Kreuz Traum ~十字架の夢~

Kreuz Traum ~十字架の夢~


「Kreuz Traum ~十字架の夢~」とは離脱小説のひとつ。ローゼンメイデンからクトゥルフ神話など、様々なものの影響を受けたと思われる。

離脱小説の歴史の中において、中核となる時代に位置する。離脱小説の中心ともいえる作品である。

調律の歌


 ――その歌は呼び戻す。

 ――その歌は蘇る。

 ――その歌は人の形。

 ――その歌は照らす。

 ――その歌は……。

 ――旋律を再び奏でる者を呼び覚ます。

 ――調律する者とされるもの――今こそ、その時。

 ――伝説に記される、世界の禊の時。

 ――大地を洗い、不純物を流せ。

 ――大いなる神の人形の許で……。

 ――大いなる……神の――

ストーリー


 時代としては、「神殺し」の後の世界となる。「神殺し」の世界はニャルラトテップにより破壊されたため、Kreuz Traumu世界と連続はしていない。舞台は二代目の「全能なる父」となったニャルラトテップにより作られた地球。現実世界の地球の歴史とは全く異なる。第一部と第二部に分かれる予定であった。“和音”と“不協和音”、“調律”と“調律師”、“フォルテ”、“十字架”……音と音が紡ぎだす、永遠に繰り返す旋律の物語。

第一部


 田舎のとある名家に生まれ、親の遺産で、妹と元執事とともに暮らしていたルードウィッヒ・エノク(通称ルード)が主人公である。ルードが学校から帰宅している途中、街が宙に浮かぶ赤髪の男によって滅ぼされる。命からがらルードはその破壊劇から生還するものの、帰宅した時には屋敷には誰もおらず、妹のシャラーはあの赤髪の男――調律師――に連れ去られてしまったということを、調律師の残した手紙によりルードは知る。ルードは手紙の中にあった“和音”、“調律”という言葉を手掛かりとして、一人妹を救い出すために旅立つ。

 国境警備隊に所属している兄アノグルスの協力を得ようとするが、彼は行方知れずとなっていた。ルードは兄が以前、自分に何かあればセシャルの丘へと行けという謎めいた言葉を残していたのを思い出し、セシャルの丘へと向かう。セシャルの丘の前には巨大な砂漠が存在する。ルードはその沙漠にて、人形師十字架が作ったとされるKreuz Traumという人形群の中の一つである「月光」と出会う。彼女は意志を持ち、自ら動く人形であった。ルードは何故か月光とともに旅するようになる。月光はルードの未来に大きく影響することとなる。

 ルードはその後、様々な人々と出会っていく。砂漠の砂鯨討伐体のルドルフ・ウェーバー、奇妙な術師のアマデウス・モーツァ。Kreuz Traumシリーズの彼岸花、睡蓮……。セシャルの丘では、兄アノグルスと再会するも、ルードの目の前で兄は何かの抜け殻のような死体と化していき、兄の中からはルードのうり二つの青年が姿を現した。彼は「ヴァールハイト」と言った。ルードの半身を名乗るそれは、自分たちが合一することにより、フォルテ-強き音-と戻ることが出来るとルードに告げる。ルードとアノグルスはフォルテの半魂が宿った存在であると告げる。(フォルテ、楽園追放の事件に関しては後述)

 ヴァールハイトはルードに調律師が行おうとしている世界の禊である“調律”、それが“不協和音”と呼ばれる人間の大部分を抹殺するものであると告げ、“和音”と呼ばれる存在であったシャラーは、“調律”に必要なために誘拐されたのだと告げる。さらに、ヴァールハイトはこの世界創造の際に起こった事件や、神が世界を去った事など、己の名の通り、真実をルードに告げていく。ルードはヴァールハイトと合一することにより、フォルテとして覚醒する力を得ることとなった。

 それに感づいた調律師がルードを襲うも、完全に近い音であるフォルテとなったルードの圧倒的な力の前に翻弄される。調律師は撤退し、“調律”のときが近いことをルードに告げる。真実を知ったルードは世界を回り、調律師と戦うために、これまでであったルドルフ達を仲間として、調律師のいる“楽園”と呼ばれる天を目指す。楽園への道は世界の果てにあるとヴァールハイトに告げられたルードは、世界の最果てを目指し、向かうこととなる。その道中、月光らKreuz Traumを作った人形師「十字架」と出会う。彼もまた、かつてのフォルテの魂の転生先であり、フォルテの力によりKreuz Traumを作ることに成功したのだった。十字架は数百年前の人間であり、Kreuz Traumを作る過程において罪を犯し、処刑されたが、処刑される寸前に月光の力により並行世界へと飛ばされたのだった。その際にフォルテの魂は十字架から抜け出るも、十字架は並行世界をさまようこととなる。
 己が最も愛した月光に再び出会うために十字架はさまよい続け、とうとう元の世界へと帰還した。十字架はルードから月光を無理やり奪おうとするが、ルードに阻まれる。既に狂気に堕ちた十字架の元に月光は戻ることなく、十字架はルードによって討たれ、再び並行世界へと消える。

 旅の果て、ついにルード達は“楽園”へと到達した。かつては花が咲き乱れ、まさに楽園であった彼の場所は神が去ったことにより、荒廃し廃墟のようになっていた。そこにある生命の木にシャラーをはじめとする“和音”がささげられ、それらの力により調律が始められようとしていた。ルード達はそれを止めようと調律師と戦う。がしかし、調律は進み、ついに世界の浄化が始まろうとするところで、調律は狂い始める。調律師は完全に近いものの、完全なる存在ではなかったため調律は失敗し、シャラーをはじめとする“和音”たちも死亡する。
 ルードはそれに非常な怒りを覚え、シャラーの仇うちのためフォルテとなり、調律師を追い詰めていく。調律師も和音を失ったため、己の力のみで調律を行おうとする。そこで、神に最初に作られながらも愛されず捨てられた己の哀しみと、フォルテへの嫉妬の気持ちを吐露していく。それを知ったルードはヴァールハイトと合一を解き、己自身の力で調律師と戦うことを決める。調律師は宇宙の果ての無限のエネルギーの集まる“終始虚空”へと己を接続し、圧倒的な力をもってルード達を追い詰めていくが、ルードは楽園に残された神の遺物である聖槍ロンギヌスを持って調律師を貫く。調律師の力が逆流し、調律師は終始虚空へと消え去り、永遠の輪廻の世界に捕らわれることとなった。

 こうして、楽園での決戦は終わった。調律は未然に防がれ、“不協和音”である人間が滅ぶこともなかった。楽園は崩壊し、ルードたちは地上へと帰還する。失ったものはあまりに大きかったが、ルードは月光とともに穏やかに暮らすことを決め、屋敷へと戻るのだった。第一部はここに終わる。

第二部


 調律師を倒してからしばらく経ったところから始まる。ルードは調律を防ぎ、人間を世界の禊から救い出した。己が存在を世界に示していた調律師の恐怖から抜け出した世界の人々は安堵していた。しかし、人々は同時に不安も抱いていた。ルードが調律師を倒した存在であることは知れ渡っていた。調律師を倒せてしまったルードは、調律師よりも驚異的な存在と認識されるようになり、人々から忌避されるようになっていった。人々はルードから遠ざかり、いわれのない噂が立ち、恐怖の対象となっていく。仲間たちも、ルードのこの状況を救えないでいた。
 ルードは救って見せた世界の人々からの罵倒に晒され、日々沈んだ生活を送り、何もかもの気力を失っていっていた。シャラーを救えなかった後悔も募るばかりであった。ただ、気持ちを通じあわせた月光と無為に日々を送っていた。

登場人物

主人公


ルードウィッヒ・エノク
  • この物語の主人公的役割。フォルテの半魂の転生先であり、ヴァールハイトの半身。17歳の青年。名家の息子。シャラーという妹とアノグルスという兄がいる兄はエリートで、ルードは劣等感を感じているが、兄は嫌いではない。人としてあるべきものの、正義感、力、勇気を欠落している。ただ、そのやさしさは人一倍多い。正義感、力、勇気は半身であるヴァールハイト(アノグルス)に全て持っていかれた。ピアノの名手である以外は普通の人間で、魔法は薔薇の花を出現させるものしか使えない。戦闘は嫌いで、それが原因で学校の教師と確執があった。ヴァールハイトと合一することにより、失った全てを取り戻し、あるべき姿-フォルテ-に戻ることができる。その瞬間、全てを完璧とした完全なる生命-フォルテ-が覚醒する。その力は調律師を驚愕させるほどの力だが、不安定で気を抜くと合一は解けてしまう。だが、調律師戦では合一はせず、自分で戦うと決める。月光に特別な感情を抱いており、それによりルードは成長し、前へと進んでいく。

アギュゼヴン
  • 第二部より登場予定。ルードが人間への憎悪と怒りに絶望したとき、全能なる父の力によって二代目調律師と化した姿。ほぼ完璧に近い人間と化したが、前のルードにあった優しさが消えている、だが、月光にだけは例外、かなりの優しさを注ぐ。人間(不協和音)の敵と化したが、表立った破壊行動はせず、ただ調律を行おうとした。調律と対を成す調弦を滅ぼすため、調弦師-クラム・アノス・アルヴェンス-として蘇ったアマデウスを敵として戦う。かつての仲間とも戦う運命になる。その中月光の心は揺らぎ続けた、ルードとは戦いたくない、その気持ちがずっと月光を支配した。最終的に、月光は気持ちを決められず、ルードの味方ともいえず、人間の味方ともいえない位置に落ち着いた。調律を開始する後一歩のところまで来たが、アマデウスが調弦のヴァイオリンを完成させたため、調律は失敗し、多くの群衆の前で調弦により消滅した。最後に、この世界は全能なる父の手の上だったということを知る。

Kreuz Traum


人形師十字架が造りだした人形群。彼の夢であった自ら動き、魂を持つ人形である。現在は世界に散らばっており、その全容は不明な点が多い。首から十字架のネックレスを下げているのが特徴。
魔術の力をそれぞれ備えており、戦うこともできる。力の一つとして、己が主を決め、その主の欠けた部分を補完することが出来るという。対象を補完し、完全に導くための存在であるとされる。

月光

 月の光、青白く地を照らし、見るものを魅了する光。それは、花を昼の光よりも、際立たせ、輝かせる。月光、それは完璧なる光……。人を惹きこむ、青き光。
 その光に溺れる者……死を抱く。
  • Kreuz Traumが一体。人形師十字架が最初に作った“生ける”人形。砂漠にてルードに出会い、以後行動を共にする。金髪碧眼で青いドレスを着ており、胸には銀の十字架がかけられている。

彼岸花

 悲しい思い出。紅い死の花は水辺に密かに咲いた。誰にも知られず、静かに静かに、その紅い花を咲かせた。
 あまりにも美しい、血と死の色を持つ花、その魅力は一人の旅人の心を捉える。心を奪われた旅人は、紅い花を摘む……。
 翌日、旅人は息をひきとった。手には、たくさんの紅い花が握られていた。
 これは死人花……彼岸花。
  • Kreuz Traumが一体。人形師十字架が作った二番目のKreuz Traum。調律師アルト・アノス・オーヴィアを主人としている。赤いドレスに赤い髪、赤い瞳。調律師と同じく、赤、炎を司る。胸には銀の十字架がかけられている。


睡蓮

-人形師-十字架

調律師


-調律師-アルト・アノス・オーヴィア
  • 調律師。全能なる父が最初に生み出した生命。完璧に近い生命体だったが、さらなる完璧を求めた全能なる父に事実上捨てられる。楽園(天)、地上の管理を任される。全能なる父が演じた道化にそのまま乗り、調律を生きがいとして生きてきた。父に認められるため、フォルテや不協和音への復讐のため、調律を実行しようとする。赤髪、赤眼、炎を司る者。その強さは人知を超えており、ルード達を幾度も窮地に陥れた。本人も自分自身の真の力を完全には制御できておらず、そのため、自ら真の力には封印をかけていた。しかし、彼岸花が倒されたことと、全能なる父が封印を解いたことによって真の力が覚醒、時空間を超越し、遥か宇宙の彼方の[終始虚空]と自分の身体を繋ぎ、そこから生まれる無限の力を手にした。力は暴走し、さらに調律が発動し、最凶の敵と化す。だが、無限の力と調律が相反を起こし、無限の力は[終始虚空]へと戻っていき、ルードが止めをさしたことにより、[終始虚空]へと飛ばされた。終わりと始まりの輪廻に取り込まれ、最後を迎えた。和音を虐殺した不協和音を嫌悪し、フォルテに尋常なる敵意と嫉妬を覚えている。詳細は外伝小説[調律師]を参照の事。

神性


全能なる父-ニャルラトテップ-
  • Kreuz Traum世界を創造した存在。二代目の全能なる父であり、前作「神殺し」にてアインを利用して世界を滅ぼした張本人。Kreuz Traum世界の創造神にして、全ての黒幕。嘲笑うもの。

用語

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最終更新:2013年12月21日 01:17
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