動く斜面上の運動
慣性力を用いる問題。慣性系と加速系の間の乗り換えが自由にできると,運動がよく見えてくる。固定した斜面に連続する水平に動く斜面上に小物体が乗り移り,動く斜面上で運動を続けるという「親亀・小亀」の変型。

多分,次のような設定なのだろう。


動く斜面の加速度をaとすると,斜面の運動方程式は
Ma=N\sin\theta
一方,斜面上で見た小物体のつりあいの斜面に垂直な成分は,
N+ma\sin\theta=mg\cos\theta

両式からNを消去して,
(M+m\sin^2\theta)a=mg\sin\theta\cos\theta
を得る。これから斜面の加速度が求まる。

a=\frac{mg\sin\theta\cos\theta}{M+m\sin^2\theta}

一方,斜面上で見た小物体の斜面方向の運動方程式は,加速度を\alphaとして,
m\alpha=-mg\sin\theta-ma\cos\theta
となり,\alphaを得るがあまり美しい結果にはならない。

静止系から見たらどうなのか,という疑問を追求することは常に有意義である。
結論からいえば,小物体の加速度は,斜面の加速度\vec{a}と斜面から見た小物体の加速度\vec{\alpha}とのベクトル和になり,もちろんこれは重力と垂直抗力の合力の方向を向く。その方向は斜面下方より下を向くことになるだろう。

上で求めたつりあいの斜面に垂直な成分の式は,
mb=N-mg\cos\theta
と書けば,静止系から見た小物体の運動方程式の斜面に垂直な成分ということになり,
b=-a\sin\theta
は,小物体の加速度の斜面に垂直上方成分である。まさに垂直抗力が束縛力であるという意味がはっきりする。すなわち,Nの大きさは,束縛条件b=-a\sin\thetaを満たすように(運動を斜面上に束縛するように)調節されるわけである。

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最終更新:2009年02月15日 10:11
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