男は唇を噛みしめてただ時が過ぎるのを待っていた。
いつものことだ。
そう言い聞かせながら。

一つ扉を隔てた隣の部屋から、男と若い女の喘ぎ声とベッドのきしむ音が聞
こえる。
小国と言えど城のベッドが安普請なわけが無い。それほど激しい行為が行わ
れているのだろうと思うと、男はわかっていても気が狂いそうだと目を閉じ
た。

「相変わらずお美しい」
まだ年若い、少女とも言える女王の肌に吸い付きながら、中年の男は女王を
褒め称える。
暴食の限りを尽くしているのが見て取れる、脂ぎった豊満な体で女王に跨が
り、その白い身体を隠す薄物を手荒にはぎ取る。
そして零れ出た豊かで柔らかな乳房を、肉厚な手のひらできつく握る。
「くぅ…」
男は性急に乳房の間に己の物を挟み込む。
「マリアンヌ様、その麗しい唇でご奉仕していただきましょう」
女王は、臭いのきついモノに僅かに顔を歪めるが、乳房を自分の手で左右か
ら緩急を付けて押しつぶし、間のソレに口接けをする。
そして先走りで濡れている鈴口を舐め吸うを軽く繰り返す。
「おお、良いですなぁ。ちっちゃいお口が気持ち良ぉございます」
きゅ、きゅと乳房で刺激を与えながら、小さい口に懸命に男のモノを頬張り
舌で舐めまわし、強めに何度も吸っていると男の身体がぶるりと震えた。
「おほう! 発射しますぞう! ちゃんと全部お飲みくだされぇ!!」
言った途端、美しい口の中でどろりとしたものが爆発した。
「うくっ! ぐ…げほっ…ごほ」
喉を灼く白濁した液体を飲み込もうとするが上手くいかずむせてしまう。
男はそんな女王に構わず、女王の足を開いて身体の中心を濡れた舌でぺちゃ
ぺちゃと舐め始めた。
「ああ、あはぁ」
マリアンヌは男の愛撫に声を上げた。舌が胎内に潜り込むと自然と腰が揺ら
ぐ。
年若い美しい女王が、淫らに己の下で動く様に男は既に我慢が効かなくなっ
ていた。
「陛下、行きますぞ!」
「……---殿、お約束下さいまし、例の件、必ずと」
「勿論お約束しますとも! それ!」
「あああああああっ!!!」
男を身の内に迎えて、マリアンヌは悲鳴に近い喘ぎを上げた。
「おおお、なんと具合が良い」
男は、気持ちよさに声を上げて勢いを付けて腰を動かす。
「おほっ おお、おお! 出しますぞ!出しますぞぅ!」
叫ぶと、男は女王の胎内に射精する。
「あふうぅ!!!」
女王も同時に身体を痙攣させて達していた。
男は最後まで内側に放つと満足したのか、抱え上げた細い足を下ろすと己を
引き抜く。
途端に、今まで男が塞いでいた場所からどろりと白い液体が零れでた。
それを見てニンマリと笑うと手早く着衣を身に着け、テーブルに置かれた書
類に必要事項とサインを書き込むといそいそと部屋を出ていった。

マリアンヌはゆっくりと身体を起こすと、気怠げに髪を掻き上げる。
一息吐くと、何も身に着けないまま隣室へと入る。
控えていた側近の手から薬を受け取ると、苦いソレを一気に飲み干す。
「キース、妾の身体を清めるのを手伝っておくれ」
キースと呼ばれた長身の男は、黙って頭を下げる。真っ直ぐな銀の髪が揺れ
た。
僅かに見えた下唇の更に下に血が滲んでいるのに、マリアンヌは心の中で小
さく微笑んだ。

大理石で作られた広い浴室に入ると湯の中には入らず、内装同様大理石で作
られた腰掛けに腰を降ろした。
キースは慣れた手つきで湯を汲みマリアンヌの肩から掛けると、その白い肢
体に前に回る。
細い足が躊躇うことなく左右に開き、全てを晒す。
「…陛下、失礼致します」
その言葉にマリアンヌの目に険が宿った。
「2人きりの時は陛下は無しじゃといったはずじゃ」
更に不満をぶつけようとする美しい口が息を飲んだ。
濡れた男の指が中心を這いすぐに内側に侵入する。
「ああっ」
指が動くとじゅぷと濡れた音がして先ほど受けた男の精が零れた。目の前に
いる美しく忠節な男の物では無い。
構わずキースは秘められた場所を開く。ごぷりと溢れる粘液を指で掻き出す。
男と抱き合う前と湯浴みの前に飲んだ薬で妊娠は避けられるはずだが、マリ
アンヌ本人が気持ちが良くないと、命じた行為だ。
マリアンヌはキースの指の動きに耐えるように、両腕をつっぱり上半身を後
ろにのけぞらせる。
流す湯に濁りが無くなる頃には、白い身体に赤みが差し細い足が男の身体に
絡みついていた。
「キース…」
マリアンヌがうっとりと名を呼ぶと、それが合図のように深い口接けが交わ
される。

思う様口中を貪られながら、白い繊手がキースの濡れたズボンの中心に触れ
る。熱の形を確かめるように擦ると、器用に帯を解き内で膨れたモノを露出
させた。
美しい指がゆったりとなぞるそのグロテスクな存在は、通常より数が多かっ
た。前後に二本そそり立っているのだ。
マリアンヌは構わず両手を二つの熱に絡ませる。
銀糸を引いて唇と唇、舌と舌が名残惜しげに離れる。
「…悪戯な方だ」
キースが熱い息を吐きながら耳元で囁くと、マリアンヌは嫣然と微笑んだ。
「キース、早よう」
強請るように揺れる細腰を掴むと、湯と蜜で殆ど洪水のようになっている秘
裂に奥の熱を、焦らすように時間を掛けて突き入れる。
「ふ…あああ」
胎内を熱が埋めると共に、もう一つの熱が緩やかにその手前の小さな華芯を
まるで削り取るように擦りあげる。
胎内を埋め尽くし一旦動きが止んだと思った次には、逞しい身体が対する細
い身体を激しく揺らし、突き上げる。
「ひあっ……だめじゃ…ひぃぃ!!」
間断なく押し寄せる感覚に、ピンク色の口から喘ぎとも苦鳴ともつかない意
味をなさない声が次々溢れる。
「いやああああああ!!だめ…もう…あああ」
内と外に熱い白濁を受けた時には、一国の若き女王は女王の態を成していな
いも同然だった。
両目から大粒の涙を流し、しゃくりあげる口元からはだらしなく涎が零れ落
ちていく。
後始末の時にこの忠実なる側近が容赦の無いのはいつものことだ。
それに慣れることも出来ず、いいように振り回されている自分は未熟なだけ
だと、マリアンヌは心の中で唇を噛んだ。
「起きあがれますか? マリアンヌ様」
無意味な質問である。
質問した方もそれは弁えていた。
くたりと力の抜けた身体を清め抱き抱えると、湯の浅い場所に沈め清める。
温かな湯と優しく動く大きな手の心地よさに、マリアンヌはいつしか意識を
手放していた。

寝室外交、読んで字の如くである。
周囲を大国に囲まれた豊かな小国は、王族が流行病で次々亡くなり、残され
たのはまだ10代半ばの姫君唯1人であった。
先代の王はしたたかな人物で、まさに諸外国を手玉に取るような政治をして
いたのだが、成人もしていない、他に王太子も3人いたために政治学も学ん
でいない小娘に何が出来たわけでもない。
そして女王として即位した少女は決意した。
専門分野は専門に詳しい側近や大臣にまかせ、自らはその為に出来ることを
しよう、と。
少女は自分の魅力を客観的に評価し、その上で各国の重要人物に分け隔て無
くその身体を差し出すことにした。
その見返りを求めることを条件に。
最初は馬鹿なことをとどの国も歯牙にも掛けなかった。当然だろう、美しい
が小娘1人の為に国益を損なうなど出来ようはずもない。
だが、やがてある国の1人の男が考えた。
女王に子どもが出来たらどうなる? 小さいが豊かな国だ。しかも周辺の国
と戦が起こった時に要所となりうる位置に存在する。自らの国に併合出来れ
ば、素晴らしい功績だ。
結果、女王は月の半分は各国の要人と寝所を共にしている。
娼婦と陰口を叩かれようと知ったことでは無い。
守るべき国民がいることこそが女王マリアンヌの矜持を支えていた。

 

 

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最終更新:2008年12月27日 05:37