傾向:エロ本番有り、複数♂×淫乱姫、相変わらずちょっと暗いです


「クレメンティナ殿下のおいでです」
 白いキャップの看護婦がそうささやくと、軽く羽毛の毛布を整え、席を立つ。
 気を利かせて、退出するらしかった。
「……」
 熱でかすむ視界では、すべてがぼやけてゆらいでいる。よって、世話になっているはず
の看護婦の容貌ですら、彼は知らなかった。知っていたかもしれないが、忘れてしまった。
 ――白百合城。
 旧宮殿は剣と槍の時代の遺産、無骨な砦と言っていい外見であった。だが、火薬の時代
には高い城壁も通用しない。大陸の国々は、次々と砦や城壁を捨てていた。
 帝国の新宮殿は、湖沿いの丘陵に広がる街を従えた、白亜の城館である。前皇帝が十数
年をかけて建築した美しく華奢な姿は、見るものにため息をつかせずにはいられないだろ
う。
 その内部、黒百合の間。ひとりの男が死に掛けていた。
 帝国皇帝――イルデブランドである。
「兄上……」
 声が聞こえてきて、彼はようやく妹が近くに来ていることに気がついた。
(ざまはない)
 そう考えるのがやっとで、自分を嘲笑する余力すらなかった。二十一歳の若者は、原因
不明の熱病に侵され、徐々に死んでいくほかはろくなこともできずにいた。
「無理をなさらないで。お身体にさわります」
 イルデブランドがなにか言おうとしているのに気づいたのか、クレメンティナが先に制
する。
「近頃は少し、暑さが戻ってきたようです。秋だというのに……」
 妹は兄の気を紛らわそうとしてか、頻繁にやってきては外の出来事を話していく。とり
とめもない話が主だが、それも余計な心配をかけまいとしてだろう。
「でも、冬が早いよりはずっといいでしょうね。今年の冬は暖かいといいのですが……兄
上?」
 イルデブランドは、毛布に置かれた妹の手を探るように手を動かした。健康でさえあっ
たら一瞬ですむものを、思い通りに動かない上に、あきれるほどのろい。
 そのおかげで、慌てた妹の方から手を握られる。
「兄上? 苦しいのですか」
(違う。私はそなたに言わねばならぬことがあるのだ)
 口にしようとしたが、かすれたようなうめき声になった。情けないことだが、こうなっ
ては皇帝もなにもないものだ。帝国元老院があり、国内情勢はまずまず安定している――
そうでなかったらと思うと恐ろしい。彼が皇帝であるばかりに、帝国が破滅していたかと
思うと。
「兄上……今医者を呼びます」
(行くな)
 立ち上がる気配に、彼はできる限りの力をこめて妹の手を握った。
 しかし、兄のあまりの力の弱さに、逆にクレメンティナは動揺したらしかった。
「あ、兄上。兄上!……医者をッ! 誰かッ! 誰かいないのか! 陛下が……!」
 ばたばたと周囲が騒がしくなる。
(クレメンティナ……)
 イルデブランドはあえいだ。
(暗い……)
 まだ死ねない。だが、命が危ういほど弱っているのは確かだ。たったこれだけのことを
しようとしただけで、もう意識を失いかけている。
 慌てたような医者と看護婦の声が聞こえた。それから先は、熱と眩暈の底に沈んでしま
う。再び目覚めた時こそ、クレメンティナに話さなければ……。


 何度そう決意したかも忘れてしまった。近くにいるはずの妹にすら話しかけられず、彼
の意識は再び混濁した。

「殿下はいらっしゃいませんね」
「いたらお前を呼ぶものか」
 ニーノはいつものごとく、そう答えた。
 白百合城、姫百合の間――第一皇女クレメンティナの私室は静まり返っていた。つる草
模様の繊細な格子が入った窓からは、夕日が斜めに差し込んでいる。
「殿下は陛下のお加減を見に行ったよ」
「そうですか……」
 ニーノは籠に入れた洗濯物を目の前のメイド――サーラに渡した。
 彼とメイドには共通点がある。
 黒髪、褐色の肌、平均的帝国市民よりかはいくらかすらりとした体型。つまり、南方出
身者の典型的な特徴だ。
 その南方人の中でも、サーラはやせている方だろう。
 紺色のお仕着せに包まれた薄い腰、白いエプロンをわずかに押し上げているだけの胸、
小柄な体躯。端整だが幼い顔立ち。
 黒目勝ちの瞳に漂う落ち着きがなければ、十四、五歳の少女だと言っても通る。
「……ニーノ様」
「様はつけるな」
 控えめに呼びかけられて、彼は顔をしかめる。このやりとりにはうんざりしていた。
 だが、サーラが彼の要求をのんだことはない。
「誰もおりません。今はそう呼ばせてください」
 南方の王国が健在だったころ、ニーノの一族に陪臣として仕えていた男の一人娘が、
サーラである。歳が近い関係で、幼いころから親しくしていた。ニーノにとっては姉のよ
うなものだが、彼女はあくまで主従の境界を崩さない。
 昔はそれでもよかったが、今となってはただの従僕とメイド、同格である。
「ニーノ様、申し上げたくないのですが、いつまでこんなことを続けるのです」
 サーラは洗濯籠に押し込まれたシーツに目線を落とし、とがめるような口ぶりだった。
 ごまかしようもない。そもそも、絶対にごまかせないからサーラに頼んでいるのだ――
情事で汚れたシーツや衣類の始末を。
 ニーノの方からは、誰の情事で汚れたものだと明言したことはない。
 自分は関係ないと言い張ることもできた。が、サーラは信じないだろう。なにより、
空々しすぎる。
「いつなんどき、誰に気づかれるか……。皇女の純潔を奪っただけではなく、お子をはら
ませるようなことになれば、帝国もただではすまさないでしょう」
「……」
 答えない旧主に、メイドはいらだったようだ。
「今ニーノ様を守ってくださる一族はおりません。危険です」
「わかっている」
「わかっておられるのなら、こんなこと……」
 サーラは低い声で言ったあと、決然と顔を上げた。その表情には熾火のような、静かだ
が長く長く燃え続ける憎しみがある。
「皇女に心まで許してはなりません。よもやニーノ様もお忘れではないでしょう」
 彼と彼女の祖国、湿地帯の奥の古い王国は、帝国に武力で踏みにじられた。もっとも、
その手の侵略にしてはあっさりすんだ方だろう。あまりに突然で、あまりに圧倒的だった。
抵抗するいとまもなく陥落した王都は、ほぼ無傷の軍を残していたほどである。
 だが、抵抗は小さかっただけで、なかったわけではなかった。ニーノの一族は抵抗した
数少ない勢力のひとつだ。そのおかげで一族のほとんどは殺されてしまったのだが。


「……ニーノ様がお忘れになったとしても、わたくしは覚えています。優しかった人たち
が、死んでいくところを……。わたくしとて、ニーノ様にかばっていただかなかったら死
んでいました」
「もう忘れろ」
 サーラはひるまなかった。
「帝国は仇です。ニーノ様、ゆめゆめお忘れにならぬように――敵なのです」
 たった六歳だったニーノは、その日のことをよく覚えていない。サーラを銃弾からかば
ったおかげで、途中で意識を失ったからだ。
 八歳の少女はすべてを見たのだろう。だからこそ、憎んでいるのだ。
 その時、不意に扉が開いた。サーラの肩がぎくりとゆれる。
「ニーノ――」
 部屋に入ってきたのは、皇女クレメンティナだった。
 だが、なにか言いかけていたにも関わらず、その語尾は消え入って、途切れる。
 てっきりニーノしかいないものと思っていたのに、部屋の中にメイドがいるのに気づい
たのだろう。部屋付きのメイドならば、とうに退出していなければならない時間だ。彼女
の目が不審げに細められる。
「……見かけないメイドだわ」
「あの、わたくしは失礼いたします」
 サーラが顔をそむけながら、頭を下げる。そして、皇女の横を通り抜けるようにして出
て行った。
 ぱたぱたと足音が遠ざかる。
 なおも眉をひそめ視線でメイドを追いかけている皇女に、ニーノは声をかけた。
「ご心配なく、汚れ物の始末を頼んでいるメイドです」
「汚れ物?」
「汚れるでしょう、衣類や、シーツが」
 それだけ言うと、皇女もようやく悟ったらしい。彼女はやはり姫であり、情事の後始末
をどうしているかなど、考えたこともなかったはずだ。その発想がないのだから仕方ない。
だが、頭が悪いわけではないので、説明されればさすがに理解する。
「それで洗濯籠をッ……」
 クレメンティナが薄く頬を上気させ、眉を上げた。彼女が常軌を逸した行動を取るのは、
ニーノの前だけである。彼以外の人間に己の暗い場所を見せたと知って、羞恥を覚えたら
しかった。
「あのメイドは同郷だから頼まれてくれているんです」
「そっ……そんなことはわかっている。わ、わたしが聞きたいのは――」
「口の堅い女ですから、大丈夫でしょう。誰かにもらすなんてことはありませんよ」
 そう、サーラが他人にこのことを話すことはないだろう。主――ニーノの不利になるこ
とを、間違っても口にすることは。

 ――夜。
 白百合城の東にある尖塔は、無骨な姿を湖畔に晒している。高い高いその塔は、旧時代
の唯一の異物だった。大半の棟は取り壊され、美しい白亜の城へと姿を変えたというのに、
かたくなに敷地の隅から動かずにいる。
 老朽化が進み、危険だと立ち入りは禁止されていた。深く考えずにそれで納得している
者も多いが、無論、疑問に思わぬ者がないではない。
 取り壊す機会はあった。旧宮殿とともに、無用の長物は片付けてしまえばよかったのだ
から。なぜそうしなかったのだろう?
 それに答えて、訳知り顔に声をひそめ、噂する者もあった。
 曰く、塔には魔女が住んでいるのだ、と。あの塔は魔女のものだから、塔を壊せばそれ
を外に放つことになる。だからあの塔はまだあそこにあるのだ。
 もっとも、これは新入りを脅かす手段として使われている話である。嬉々として語りな
がら、自分でも言っていることを信じていないたぐいのものにすぎない。


 とはいえ、風の吹きすさぶ夜に塔の脇を通る時になって、その話は信憑性を帯びる。塔
は高く高く、暗い空と溶け込んでいた。噂を聞いたことがあるものは、思い出して不吉な
気分になるだろう。運が悪ければ、無人のはずの塔からもれる明かりを見てしまうかもし
れなかった。
 そう、明かりだ。確かに塔には住人が存在した。隠された住人が。
「あぁっ……ふふ……まだよ、まだ……」
 最上階、吹きすさぶ風の音は、厚い壁にさえぎられて中には届かない。ひとつだけある
明り取りの小さな窓には、頑丈な鉄格子が入っていた。
 揺れるカンテラの明かりが、絨毯を引いた床に複数の男の影を落としている。
 男たちの中心にあるのは、豪華な刺繍をほどこしたソファに座る少女だった。
「あふ、そう、いいわ……っ」
 しどけないと呼ぶには、下品に過ぎた。
 大きく開いた両脚はソファに乗せられ、左右から伸びた男たちの手によって固定されて
いる。
「もっと、おおっ、そうっ、そうよ……」
 金髪の少女だった。
 うっすらと上気させた頬と、切なくひそめられた眉は、明らかな快楽の証左だ。しかし、
なにかを求めるように小さく開いた口元には、妖しげな薄い笑みを浮かべている。
 レースがふんだんに使われた黒いスカートはまくりあげられ、腰の辺りでしわくちゃに
なっていた。彼女の下半身を隠しているのは、黒絹の靴下と、もっとも秘すべき場所を慎
ましやかに覆っている小さな布切れだけである。
 それは下で激しくうごめく太い指の動きに合わせて、上下していた。
「ああ……っ、気持ちいいわ……、あはぁ……っ。だめっ、あ、ああっ、まだよっ! ゆ
っくりっ、はぁ、あ、ゆっくりするの……っ」
 くちゅ、くちゅ……。
 べったりと濡れている下着は、淫靡な動作をあますところなく伝えていた。二本の指が
ねっとりと抜き差しされる。深く沈みこみ、慎重に引き出された。
 そのたびに内部の敏感な場所を引っかかれ、入り口を広げられる。少女が望んでいるの
は快楽による拷問だった。我慢できなくなるまで、ゆっくりすぎるほどに高めていくのだ。
「ゆ、指でっ、犯すのっ! イカせてって、わたしが懇願するまでよっ、ふあぁっ。あ、
ああっ、そう、いいっ」
 広げた脚のあいだをじっと見つめ、彼女は陶酔する。
 男の手のぶんだけ持ち上がった下着からは、濡れて光る無毛の秘所がちらちらとのぞく。
この上なく官能的な眺めだ。時折、勃起して包皮から顔を出している陰核すら見えた。も
っとも、大半は男の手がうごめいているところが見えるだけだが。
 それも含め、秘所で行われているすべてが感覚を煽った。
「はぁーっ、はぁーっ、はぁーっ、はぁーっ」
 じわり、じわり。送り込まれる快感はじょじょに電流のような衝撃に変わっている。
「はぁ、あ、ああっ、あ、ああ、はぁ、あ」
 じゅぶっ、じゅぶっ、じゅぶっ。
 下着の向こうで行われている淫事は、段々と熱を帯びて来る。濡れた肉が立てる音は、
いまや隠しようもなく狭い部屋に響き渡っている。
「まだ、まだ駄目よっ! あふぅっ、お、あっ! おぉっ」
 少女の声は甘さをふくんで上ずる。
 美貌の少女だった。仕立てのいい黒のドレスは、彼女の身分が高貴であることをほのめ
かしている。そのせいだろうか、浅ましい快楽にひたりきりながら、はしたなくあえぎな
がら、どこかに気品が漂っていた。
「あ、あぁっ、い、イキたいっ、だめっ、おおっ、だめだめっ、まだっ! いっ、いいっ、
我慢できな、ああっ、だめっ、もっとっ、もっと耐えさせてッ」
 淫蕩にとろけた、緑の瞳の焦点がぼやける。先ほどまで浮かべられていた薄い微笑は、
愉悦に夢中になるにつれ、消えていった。今では犬のような荒い息とともに、わずかに舌
をつきだしている。


「あぁっ、いいっ、きもちいいっ。あァッ、きもちいいのっ、あぁッ! イキたいっ、ひ、ぃっ、が、がまんっ、おォッ、まだぁっ、まだなのっ」
 じゅぷっ、じゅぷっ、じゅぷっ。
 少女の葛藤を感じ取ってか、うごめく指はペースを変更しない。
「ま、まだっ……あ、ア! あ、ああっ、あ、いいっ。たえられないっ、おあっ、たえ、
たえるからっ、まだァッ」
 彼女は身体をよじる。電流はそれでも彼女をとらえ、離さない。びりびりするようだっ
た。指が静かに、だがくちゃくちゃと音をさせるたびに、限界が近づく。
「あ、あーッ! お、あ、まだ、あ、だめ、はぁっ、あっ、イキたいっ、いっ……あ! 
きもち、よくなりたいッ! だめっ、たえ、たえるぅっ、たえるからぁっ」
 彼女に忠実に、達するには足りない、しかし渇望を煽るにはじゅうぶんな快楽を、指は
発生させた。
「ひっ、お、おおっ、たえっ、たえられ、あ、ああァッ! まだっ、が、まん……んっ!
あ、あ、あっ。できっ、できないっ、無理ぃっ、きもちいいっ」
 とうとう、少女の忍耐は理性を振り切った。
 うつろな瞳、閉じられることのない口。喉から搾り出される嬌声。
「い、イキたいっ! イカせてっ、あ、あ、きもちいいからっ、いいっ、いいのっ、だか
らっ」
 その瞬間、男の指が勢い良く沈み込んだ。
「ああぁぁぁぁーッ」
 ぐぶっ、ぐぶっ、ぐぶっ。
 力強さを増した動きは、直接に少女をゆさぶった。
「そうっ、えぐるのっ、おっ、おぉっ! いいわっ、ああっ、いいッ」
 周囲を取り囲んでいる男たちの視線は、彼女のあらゆる部分を這い回っていた。半ばま
で開けられた服の隙間から見える、豊かな双丘の影。押さえつけられた白い太腿。細い首。
 そして、薄い布の下で出入りを繰り返す指の動き。
 少女はそれらすべてを、当然のことのように受け入れていた。
「も、もっとよ、もっとっ。あ、おお、ああッ! もっとずぼずぼするのっ! あ、ああ、
そ、そうっ、いいっ、もっと指を増やしてッ」
 じゅぶっじゅぶっじゅぶっ。
 つうと顎を伝った唾液が、ぽたりと鎖骨に落ちる。
 下着の中の手は少女の命令に応えたようだった。
「はっ、あぁぁっ! き、ついっ、いいの、さんぼん、あっ、あァッ! あああっ」
 ゆらゆらと腰がゆれだした。男から与えられる振動に、声が震える。
「あ、はぁっ、きこえるっ? すごい音っ! おぉっ、あ、ぐちゅぐちゅいってるのっ、
ねえっ、あっ、あ、きこ、えるぅっ!?」
 返答は返ってこない。周囲にいる男たちは、誰ひとり答えようとしなかった。だが、そ
もそも少女は答えを期待していたわけではないらしい。
「いいっ、いいっ、いいの、いいのいいのっ。きもちいいところっ、こすら、れてるっ、
おォッ、んああぁっ!」
 高まる嬌声は舌足らずになっていた。少女の瞳に、もう理性は残っていない。
「あ、ああ、あ、あ、あ、あ、あ、あ!」
 ぶるぶると彼女の身体が震えだす。しめりきった肉襞を激しく摩擦され、絶頂が急速に
近づいていた。
「ああァッ、いいっ、いいわ、っああっ! きもちいいっ、もうっ、おおっ、もうイきそ
うっ、いっく、おおっ!」
 じゅぷじゅぷじゅぷじゅぷっ。
 少女の言葉からは、すでに脈絡が失われていた。
 くいと曲げられた指が、さらにざらざらとした弱点を攻め立てる。


 ソファの上には、彼女が分泌したものがしみを作っている。男の手を、自らの尻を汚し
ながら、愛液はぼたぼたと溢れていた。
 少女が痙攣するように腰を振る――彼女の両腿を押さえつけている男たちの手に、力が
こもった。
「いくぅっ、イクイクいくっ、ずぼずぼされてっ、おま○こいくゥッ! おおっ、あっ、
ああっ、あっあっあっあっあっ! イクぅぅっ」
 ぐちゅぬちゅぐちゅぐちゅじゅぷっ!
 ためらいもなく可憐な唇から卑語をほとばしらせ、少女は全身を震わせた。
「いっくぅぅぅぅッッッ! あおおっ、あーーーーッッ!」
 びくんっ、ぷしゃああぁ……。
 透明な液体が大量に噴出する。未だに少女の肉をえぐっている手の動きと下着にさえぎ
られ、四方八方にびしゃびしゃと飛び散った。絶頂の証は、すでに淫水まみれになっていたソファのみならず、汗に濡れた白い腿やスカート、床の絨毯を汚していく。
「あっ……あァ……ッ、あっはぁ……、あぁ……っ」
 ようやく下着の向こうの律動が止まる。
 水溜りの中に腰を落としながら、少女は余韻に浸っていた。まだ内部にとどまったまま
の指が心地いいのか、時折ぴくんと震える。
「はぁ、あ……」
 ややあって、少女は億劫そうに周囲の男たちに目をやった。獣じみた息遣いが彼女を取
り巻いている。
「あふぅ……、そう……あなたたちも我慢してたんだったわね……あは」
 彼女の視線が、男たちの股間の辺りをさまよう。どの男のズボンも、ぱんぱんに張って
いた。
「ふふ……どうしようか」
 静けさは異常だった。男たちの誰ひとりとして、口を開こうとはしない。ただ、呆けた
表情で荒い息をつくだけだ。
 それだけで少女を煽るのにはじゅうぶんだった。ちらりと舌がのぞいて、桜色の唇をな
める。
「そうね。すっごく気持ちよかったから……いいわ」
 少女が言い放った。
 その瞬間、男たちがいっせいに彼女に飛びかかる。飢えた野犬の群れに、肉を放り投げ
たような勢いだった。
「あはっ、好きなところにっ、ち○ぽを入れたり射精したりしていいのよっ」
 ソファから引きずりおろされ、柔らかく肉づいた尻を鷲づかみにされながら、少女が笑
う。普通の女なら感じるだろう怯えや恐怖は、なかった。
「誰から先? ふふふ、慌てなくても時間はたくさんあるわ……あくぅっ」
 乱暴に押し下げられた服が腕に引っかかり、後ろ手に拘束された形になる。十六、七の
少女には見合わないせり出した乳房が、揺れながら暴かれた。
「全員、たっぷりしぼりとってあげるか……らァッ」
 四つんばいになった少女の下に入り込んでいた男が、未練がましく張り付いている下着
を横に押しのけ、恐ろしいほどに膨れ上がったペニスを肉襞のあいまに突き立てる。
「あっあぁ……、ふとい……っ」
 男に一気に貫かれ、少女が背筋をそりかえらせる。
 それで終わりではない。背後から伸びた腕が腰をつかんだかと思うや、ぬれそぼったも
うひとつの穴に硬い肉を突きけた。
「っ、あ、ああァァッ」
 排泄のための器官が抵抗とともに押し開かれる。熱い剛直がゆっくりと、みっちりと入
り込んでくるたびに、少女の唇から唾液がこぼれた。
「おォッ、あぁああっ、そこの穴ッ! きついっ、いいっ、イイッ! っおぉっ! ああ
あぁぁっ」


 胸に、顔に、次々とそそりたったペニスが押し付けられた。体内に入りこんだ男たちは、
すでに狂ったような律動を開始している。
「あーっ、あ、あぁぁーっ! ちょうだいっ、ち○ぽ、ちょうだいっ!」
 少女が叫ぶまでもなく、宴はまだはじまったばかりだった。

「あおぉっ、お、あ、あー、あアァッ、イクッ、いくぅぅっ!」
 ぶびゅるるるるるっ! びゅるるぅっ!
 少女の絶叫とともに、彼女の直腸に精液がぶちまけられる。
 陵辱と言うには、享楽的すぎた。少女の身体のあらゆる部分は、男たちが出したものに
よって白く汚されている。どろどろと流れ落ちる白濁は、人数を考えても尋常ではない。
 絹糸のような金髪にも、快楽にゆがんだ美しい顔にも、露出した胸にも、黒いドレスに
も――そして、ペニスが犯している菊座にも、先ほどまで犯されていた秘所にも。
 情欲の激しさと異常さを物語るように、白くどろりとしたものが、大量に飛び散ってい
る。
「いっ、あ、あ、あァーッ! イッてるっ、イッてるのにぃっ、あ、あ……ぁアッ」
 少女の小さなアナルは広がりきって、硬く勃起したままのペニスを受け入れている。射
精しながら、肉棒はなおも激しく出入りしていた。
 ソファに座った男に後ろから抱えられながら、少女は快楽に耽溺しきってる。その両手
にはそれぞれ違う男根をにぎり、無意識にかしごきあげていた。大きく広げられた足は、
ゆさぶられるごとにがくがくとゆれる。
「ひっ、あ、あーーーッ」
 次の男が膣に侵入した。すでに何人もの男が、淫裂に体液を注ぎ込んでいた。新たに押
し込まれた男根によって、どろどろのものが押し出され、したたる。
 何度欲望を吐き出そうと、男たちは飽きることを知らないようだった。乳首や柔らかい
双丘にも、ぐりぐりとペニスが押し付けられている。
「あーッ、あ、おおっ、あ、あああっ、おくぅっ、おくっ」
 突き上げられ、少女は喉をのけぞらせた。緑の瞳は見開かれ、虚空を見つめている。
 ペニスが内部をこすりあげるたび、彼女は達していた。
 アナルを犯すものと、子宮口をごつごつと攻撃するものとが、薄い壁を摩擦する。これ
だけ辱められても、なおきつく肉棒に食いつく襞は、否が応にも敏感だった。
「いくっ! またイクッぅ! あああーっ、あ、ああっ、いっく、イッてるのにっ、い、
ああ、イクうッ。おま○こイイッ、きもちっ、おおッ、きもちいいっ」
 獣のようにゆさぶられ、とがりきった胸のしこりがすりつけられていたペニスにすれる。
 ぶびゅぅぅぅっ!
 その拍子に暴発した欲望が、胸から顔にかけて飛び散った。開いたままの口の中にも入
るが、少女は気にした様子も、気づいた様子もない。
 体中から送り込まれている愉悦に我を忘れ、ひたすらに達し続ける。
「ああっ、お、おちんちんっ、ごりごりするっ。あ、ああ、あなっ、あなほじられ、てぇ
っ! あああっ、いくぅっ!」
 じゅぼじゅぶっぐちゅじゅぼっ。
 桜色の可憐な陰唇を押し広げ、ひしゃげさせながら、容赦なくオスの本能をぶつけられ
る。
 ――室内には彼女の絶叫と、男たちの荒い息遣い、ひどい水音のみが響いている。異様
なことに、男たちは誰ひとりとして声を上げようとしない。ただ盛りのついた犬のように
少女を犯し、腰を振るだけだ。
 萎えることのない陽根。何度もたっぷりと噴出する白濁液。
「おぶぅっ!」
 少女の唇を割り、ひときわ巨大な赤黒いものが喉に押し込まれる。そのまま容赦なく腰
を叩きつける男もまた、無言だった。
「んんぅっ、んぐ、お、おおっ、んんンッ」


 びゅうぅぅっ! びゅくぅっ!
 喉奥に早くもねばつくものが流し込まれるが、その最中もペニスは口内を蹂躙している。
「んふぅっ、んん……っ、んんーーーーッ!」
 もはや凄惨というより他にはなかった。いや、凄艶というべきか。
 白く汚れた姿でありながら、少女の姿はなお男たちを駆り立てている。
 ――塔には魔女が住んでいる。男たちの精をしぼりつくす魔女だ。
「おぶっ、んっぐぅっ」
 その証拠に、彼女のあらゆる場所は男を攻め立てていた。この状況にあっても、両の手
に握った肉棒をしごきあげている。膣をぐねぐねとうねらせ、アナルをしめつけ、胸のふ
くらみをこすりつけた。
 ぬるぬるの肉襞に雁まで張り付かれ、子宮口にぶちまけられる。
 処女のようなきつさで、売女のように貪欲なアナルにぶちまけられる。
 繊細に筋をくすぐり、大胆に上下する手のひらに。弾力を持ちながら、柔軟に形を変え
る乳房に。しゃぶりつく舌に。腹に、ドレスに。
 びゅっぐぅぅぅっ! びゅくびゅくびゅくっ!
「んおっ、んぐぅぅーーーっ」
 次々と押し寄せる男たちの精液。
「んはァッ! はぁっ、えあっ! いくっ、イクぅっっ、いいっ、きもちいいっ! もっ
とっ、おおっ、あーっ、あ、あああっ! もっとおかしてっ! ォあぁっ! イックぅぅ
ぅっ、い、あァッ、ああああーーーッ!!」
 少女はなおも求めていた。

 しんとした尖塔の部屋。
 うつろな瞳をした少女――第二皇女コンスタンツァが、精液まみれの身体を床に横たえ
ている。男たちはとうに去ったというのに、彼女はいまだ、脚のあいだを中心とするほて
りに震えていた。
 あれだけ犯され、汚された。にもかかわらず、飢えた欲望は彼女を自慰にかりたてる。
「はぁ、あ……」
 だが、疲労しきった肉体は思うように動かない。それでも震える指で陰核をすりあげる。
「ああ、ああっ……足りない……ほしい……」
 曙光が高い窓からほそく差し込む。
 コンスタンツァはひとりの少年を思い浮かべた。そう、どれだけ交合を重ねようと、満
足できない理由ははっきりしている。
「ニーノ……あ、あ……」
 ――彼との快楽に比べれば、どんな男でも物足りない。どんなペニスで、どんなに激し
くされようと、彼女の心はくつがえらなかった。
 コンスタンツァの脳裏に、ニーノとのまじわりが思い浮かんだ。そう、はじめての時…
…。
 塔から抜け出して、彼を誘ったのだ。姉を探している最中だった、ニーノを。

続く

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2010年04月24日 19:33