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ここは砂の星ガルド、領主ハインリヒの本拠地要塞の執務室である。
豪華な執務机、棚には部下からもたらされた最新の勢力情報が並んでいる。
部屋の窓からはギガンダムを罠にかけるための土木作業と訓練が進んでいる様子が見える。

領主ハインリヒ、天使軍のガルドにおける最大の同盟者であり、ガルドの天使軍同盟の盟主であるところの彼はこの部屋で膨大な作業を前に思案していた。



何から片付けるべきか?
大陸南部では今までにない勢力の大変動が起こり、悪魔軍は続々と補給と援軍をもって意気盛ん着実に占領政策を進めている。
ギガンダムの威容を見た南部の有力勢力が悪魔軍に恭順の意を示していると聞く。
南部の部隊や行政官の引き上げもしなくてはいけない。
領主としての仕事もある。
戦争だからといって裁判や仲裁、同盟の顔出しなどの仕事がいきなり消えるわけでもなく、やるべきことは無数にあった。



火急は軍事だな。
まずは南部の領土を失って北に逃れてきた諸勢力を吸収をするための軍使を立てるべきだ。
ハインリヒは、部下に報告を作らせ、それぞれの勢力の財源や戦力や目的を聞き、どの部隊にどのような条件を提示するかを選び、軍使を集めた。


この時ハインリヒは軍使の前で意外な条件を語っている。
ガルドの習慣では、拠点や領土を失い吸収された部隊は低い地位に置かれ交渉力もなく戦場において危険な任務が割り当てられ、階級も低く扱われる。
ここまでは習慣どおりであり、ハインリヒも軍使にその条件で交渉にいけと命じている。
ここから先は習慣どおりではない。
南部を取り戻した暁には、これら吸収部隊を独立勢力とし、もともとの領土を返還し独立するための資金までだそうというのだ。
これはガルドにおいては異例なことであったが、戦意を掻きたて後日英雄譚が一ダース単位で生まれることとなる。


北に向かう軍使を選んだハインリヒは次に南部に向かう軍使を選んでいる。
南部で日和見を決め込んでいる勢力に、中立を守るか天使軍に協力するかを問いただすよう命じている。
どちらに付くかを聞くのはガルドの領主としては呼吸のようなものであり、日常作業だがおろそかにするわけにも行かない。
どれだけの勢力を味方につけるかは、後日の南進の難易度を大きく変える。
その意味では戦争の成否は軍使が握っているともいえた。


悪魔軍ひしめく南部だが、軍使にとっては以外に危険ではない。
軍師に手を出してはいけない、これはガルドの常識であり、法を破るのは悪魔軍くらいのものだ。
妨害しようとする悪魔軍に注意し、地元勢力の土地を選んで進めばそれほど危険なことではなかった。




次はハインリヒの居城を目指してくるだろう同盟者達。
彼らの歓待と引き止め、長期にわたって受け入れ養うための準備が必要だ
今同盟は瓦解状態となっている。
砂漠の星で最も信頼できる戦力たる要塞。
これがギガンダムの前では砂上の楼閣の如しとなっては離反する領主も多い。
逆に言えばギガンダムさえ何とかすれば同盟の威信を取り戻すことが出来るわけである。

ギガンダムに対しハインリヒは3つの策をもって対応に当たる。
一つ目はハインリヒの居城。
この城はグレイゼム大陸でいや天使軍で最も巨大にして強固な要塞と言われている。
ここ数年天使軍指導による要塞の近代化が進み難攻不落の名をほしいままにしている。
この要塞をもってすれば、ギガンダムに対抗することも容易だろう。
ハインリヒに集う同盟者はこの城砦を頼りに集ってきている。


2つ目は窓外で進行中の作業である。
要塞そのものをギガンダムを閉じ込める巨大な檻としギガンダムを屠る。
その為の準備と訓練が進行していた。


3つ目は天使軍からの応援部隊である。
天使軍部隊を率いるは英雄ロボヘラクレイガー。

巨体に圧倒的な力、腕から闘気弾を発射して雑魚を蹴散らし最高の切れ味を誇るカタナで巨大な敵を叩き切る、天使軍最強と謳われるロボである。
今まで幾多の巨大ロボ、モンスターを倒してきた彼なら何とかなるかもしれない。
同じく12英雄のグランバズとサスペクターリングも救援に駆けつけてくれる。
要塞が落ちたとしても彼らが何とかしてくれる。
ハインリヒは期待していた。


決戦は急がなくてはならない。
ギガンダム顕在な限り、同盟の威信はどんどん地に落ちていくがハインリヒは楽観していた。
ギガンダムにとっても同じだからである。
ハインリヒの居城は同盟軍にとって精神的支柱であり、この城が健在である限りそうそう同盟の崩壊はない。
ギガンダムにしてみれば、ハインリヒの居城さえ落とせばよいのである。
決戦の火蓋は早々に切って落とされるだろう。

決戦の日までの間、臆病者には鼓舞を、勇敢なものには働きの場を、日和見相手にはせめて中立の確約をとる必要があったが、こういった作業はハインリヒにとっては日常のようなものだった。


悪魔軍はギガンダムだけではない。
広大な大陸のこと、ギガンダム以外の部隊も精力的に動いている。
彼らの進行を遅らし撃退するために部隊を動かさなくてはならない。
敵の進行を遅らすためにリベルフォンには南西部でのゲリラ戦を展開していもらっている。



同盟軍だけでは数が足りない以上戦力の集結が必要だった。
ハインリヒは「悪魔軍に対抗せんと欲するもの、武功でもう一旗あげたいもの、拠点をなくしたものは我がハインリヒの下に集え。戦うに値する戦場、褒美、領土、勝利を約束しよう」と広く呼びかけている。
軍使達にも行く先々で公布するように言明している。



軍使達への命令も終わり、会議の準備も終えたハインリヒは大きく伸びをした。
一休憩と考え、呼び鈴を鳴らす。
かちゃりとドアが開き執事が銀製の紅茶セットを手に登場してくる。
執事と軽いジョークをまじわしながら次に行うべきは行政官の退避かなどと考える。




行政官。
ハインリヒは彼らのことはあまり心配していない。
長い群雄割拠が続いたガルドでは、行政官の地位は意外と安全だ。
彼らは国が変わろうが領主が変わろうが偉い人の首が変わっただけといい、そのまま業務を続行するのだ。
都市システムの運行は彼らなくしてはありえない以上ガルドにおいて最も安全な職種とも言えた。
それでも天使軍に協力的な行政官の安全は図らなくてはいけないし、特定勢力に肩入れしたものは政権交代時には、危険な目にあう。
要請があればだが保護が必要だった。

悪魔軍の行政は苛烈で独自の統治システムを運用しているとも聞く。
多くの優秀な行政官が仕事を失う可能性もあった。
ハインリヒは彼らのことも考えなくてはならなかったが楽観していた部分もある。
悪魔軍のインフラは近代的で能率がよく、ガルドの役人は因習と習慣にかまけ非効率を保持し、職分というささやかな特権を維持していた。
もしかしたら悪魔軍の統治はガルドの諸都市に良い影響も与えるかもしれない。
結果論であれ悪が善をなすことがあるのはこの世の不思議というものだ。




火急の軍事が終われば、後は手馴れた領主としての仕事だった。
幾つかの裁判に係争は難しくはあったが部下に任せられるものも多い。
てきぱきと片付けていく。


すこし手間取ったのは通商だった。
ハインリヒはガルドで鉱山を運営したり貿易を統括していた。
南部で荷造りをしていた商品のうちの悪魔軍に接収されている。
天使軍はハインリヒからの鉱物資源をあてにしており、納品は領主としてのハインリヒの威信と信頼にかかわる。
幾つかの商品、特に鉱物資源については要塞の在庫を放出することで穴埋めし、損害をこうむった商売に対しては複数の保険組織から費用を当てることで何とかした。
ハインリヒと関係が薄い商談については、慈善事業ではないので泣く泣くあきらめてもらうとして、倒産した商人に対する最低限の保護を設立して対応している。
敵方についた勢力に対しては、ガルドの商習慣に基づき契約の履行を求めている。



続いてハインリヒは数枚書類をめくる。
書類には資本力のある商人たちから、通商条約がどうなっているかの問い合わせが殺到しているとの部下の報告があった。
天使軍、悪魔軍、地元勢力、それらと関係のない一般の商売、商売は複雑化している。
政権交代が常態化しているガルドといえど今回のような大規模な勢力変化は珍しく、異文化である悪魔軍の商習慣に不慣れなものも多い。
これについてハインリヒは、こまごました部分は専門家に一任、自身は天使軍関係部署や悪魔軍外交官、有力商人との折衝をみずから行うことを決定している。
方針は自由貿易である。



天使軍と悪魔軍、両軍の中が決定的に険悪となり、経済圏も別々となっていた大戦後期において、このハインリヒのとった通商は天使軍からの心象が悪い。
ハインリヒにとって天使軍とは、自らの後ろ盾となる有力勢力のひとつに過ぎず、両軍のモラルや正義と悪をかけたその大戦も、ガルドの群雄割拠の延長勢力争い程度としか捕らえてなかった節があり、その感覚で通商を行ったためであろうといわれている。



こういった雑多な仕事を行うのがハインリヒの日常であり、ハインリヒの執務は夕方まで続きその日の仕事は終わった。