ペットボトルの起き上がり
かつて「伊東家の食卓」でも紹介された,はじいたペットボトルの起き上がり現象。
質問・回答を転載させていただきました。

【質問】
みなさん、ヒットペットってご存じですか?
ペットボトルに少量の水を入れて指ではじくと、ペットボトルが起き上がってくると言うものなのですが、、、
その原理と言うか、しくみが分かる方、
是非教えていただけないでしょうか??

作用・反作用の力、慣性の法則が関係してるみたいなのですが、
どう関係しているかも曖昧で分からないんです。

ご協力よろしくお願いします。

【回答】
数年前,TVの「伊東家の食卓」でも紹介されていましたね?
そのときは「へえ,おもしろいなあ」とは思ったのですが,それっきりになってしまい,今あらためて質問を拝見して,やっぱり,こうした「ちょっとした不思議」をつきつめて考えることは大切だなあ・・・と考えさせられました。その機会を与えていただいたことに感謝しつつ。

実験してみましたが,いくつかの点に気づきました。
(1) 断面が丸くて,上部がわずかにふくらんで出っ張ったペットボトルが起きやすいこと。
(2) 中に入れるのは水でなくても,おもりになるものなら何でもよいこと。
(3) 入れる水(おもり)は,ペットボトルと同程度の質量であること。

(1)は,テーブルに倒れたときにちょうどボールが落ちたときと同じように,点接触からの衝突になり,ほどよい方向(ボトルに垂直になるのがよいと思われる)の撃力をテーブル面から受けることに寄与しているようです。また,このふくらみの部分のほどよい硬さも跳ね返りを助けているように思います。

(2)(3)は,ボトルの回転に関与します。
ボトルを寝かせて口を指ではじくと,ほぼ重心を通る軸のまわりに回転します。ボトルを立ててはじくときも,重力のみによって自然に倒れるときと比べて,はじいたことによって与えられた初期角速度が大きいので,ボトルは重心の近くを軸として回転し,そのために空のボトルの場合底が途中で宙に浮いてしまいます。このとき,テーブル面へのボトルの衝突はボトルの口の方が少し下を向いた状態で起こり,テーブル面からの撃力はボトルに垂直にならずにはねかえりも悪いうえに,はねかえった後も重心位置が悪いためにばたばたとあばれる感じになります。

一方,水をおもりとして入れた場合には,重心位置がかなり下がるために回転軸も下がって,底がテーブル面をほとんど離れることがなくなるのです。すると,倒れたときに上で述べたようにボトルに垂直な撃力を与えるようなほどよい衝突が実現して,効率よいはねかえりが起こります。そしてこのときボトルの底もテーブルを離れていないので,はねかえった後もばたつくことなく安定した起き上がり運動をするようです。ただし,水を入れすぎるとボトルの慣性が大きくなって回転しにくくなるので(3)のようなほどよいおもりになる量がいいのでしょう。

多少とも解明に近づけたでしょうか?

※実際は,重心の降下や水平運動,摩擦の影響等があるためにこのようには倒れません。

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最終更新:2009年02月04日 22:04
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