「ネットワーク分析 何が行為を決定するか」 安田雪




ネットワーク分析に興味を持ったときに読んだ本。
この分野に興味がある人にとっては、定番的な教科書的な存在だと思う。

「個人の行為を決定するのは、その個人かそれとも彼・彼女をとりまく社会か」
ということを究極的な問題として定義。特に消費行動においては、
必ず「情報探索」という行動が行われる。

最終的な購買をする/しない、あるいはどこで購入するか。個人がもつ
情報収集能力とそれを支えるネットワーク力。これまで、消費行動では
「パーセプションチェンジ」という個人の意識・認識を変化させることで
行動に結びつけることができると言うことであったが、
情報が氾濫している現代、意志決定と行動そのものがネットワークの
外部性によってもたらされている。

本書では全体に難しい数式の類は出てこない。グラフ理論と応用研究の
成果について触れている程度である。それだけに、文系マーケターにも
読みやすい。読みやすいが故に、「構造同値」と言われてもその重要性も
見過ごしてしまいがちではある。まだ未読であるが、理論的な背景に
ついては「実践ネットワーク分析」に詳細に記されていると思う。

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最終更新:2008年01月14日 18:12