1960~70年代の
バラエティヒーロー史です。
1.1 バラエティヒーロー誕生以前
本格的なバラエティヒーローが登場する以前には時代劇パロディのコントバラエティ番組が主流でした。
『
とんま天狗』(1959~60、YTV)は鞍馬天狗のパロディー版で、パロディヒーローの元祖だと思われます。
スポンサーの大塚製薬とのタイアップ要素も強く、番組内CMも行われました。
毎回やられるためだけに登場する悪役や唐突な 必殺技などのお約束を揃えていたほど、バラエティヒーローものの基盤も作り上げました。
『
てなもんや三度笠』(1962~68、ABC)はストーリーよりもギャグ重視で、ミュージカル的要素や多数の流行語、前田製薬とのタイアップによる番組内CMも取り入れ、大ヒットしました。劇場版や続編2作品も製作されました。
1970年代に突入すると、永井豪先生の原作による当時流行していたギャグ漫画の実写版『
ハレンチ学園』(1970~71、TX)で、悪役《
ヒゲゴジラ》のキャラクターが人気を集め、バラエティ悪役の第1号とも言うべき存在となりました。
『イワタニ産業/
サンタック』のテレビCMではCMオリジナル怪獣として《
ゴキドン》が登場しました。
1.2 本格的バラエティヒーロー誕生
第2次怪獣ブームおよび変身ブームとなった1971年秋、本格的なバラエティヒーローが誕生しました。
『
マチャアキのテレビはこれだ!ドラマが3つも』(1971、TBS)で日本初の本格的ヒーローコント《
カンチョーマン》が登場し、堺正章氏が好演しました、マイナーながらも日本初コント系バラエティヒーロー誕生の金字塔を打ち立てました。
企画系バラエティヒーローの元祖は『
ハッチャキ!マチャアキ!!』(1971~73、NTV)の《
ハッチャキ仮面》であり、これも堺正章氏が扮しました。
円谷プロのアトラクション用怪獣と相撲をする子供たちを応援する役割で、毎回登場する円谷プロの怪獣が話題となり続編の《
ハッチャキ7》や《
ハッチャキエース》が企画されたり、テーマソングのレコード販売が行われました。
バラエティ番組オリジナル怪獣のルーツはカンチョーマン以前の『
マチャアキ、前武、はじまるよ!』(1971、NTV)に登場した《
ガリガリ&ベロベロ》で、ショートコントを繰り広げました。
『
ちびっこスペシャル』(1972、TX)にも《
テラ・インコグニータ》という怪獣が登場したり、『
おはよう!こどもショー』(1965~80、NTV)では《
レッドマン》や《
ゴッドマン》などといった番組オリジナルヒーローが活躍するミニコーナーが1972~75年に放映されました。
1971年には他にもTVCM専用のヒーローが誕生しました。
円谷プロが製作したナショナルの電気掃除機 『
隼』のCMに登場した巨大ヒロイン《
隼》です。
怪獣
ゴミラとの対決で機能をアピールし注目を集めました。
1972年、長寿バラエティ番組『
シャボン玉ホリデー』(1961~72、NTV)の番組末期にバラエティヒーロー《
ピースマン》が活躍しました。
1.3 多彩化するバラエティヒーロー
1973年には日本初のローカルヒーローが活躍するローカル番組『
レインボー・アタックエース』(東北放送)がエンドーチェーン主導の企画により誕生しました。
1973~74年、ザ・ドリフターズのコント番組『
8時だヨ!全員集合』で、身長3mもの巨大ぬいぐるみ《
ジャンボマックス》が毎回のコントの終わりごろの出番だけでありながら大人気を博し、『
アタック!真理ちゃん』(1974)などのTBS系列バラエティ番組にも多数登場しました。
1.4 第1次バラエティヒーロー黄金期
1976年、『
みごろ!たべごろ!笑いごろ!!』(1976~78、テレ朝)で《
デンセンマン》が『電線音頭』を引っさげて登場し、視聴者の注目を集めました。役者の顔を見せない特撮ヒーロー風デザインのバラエティヒーローとして人気でした。
漫画連載やキャラクターグッズ販売も行われ、キャラクターショー展開もあり、TV業界以外のマスコミの注目を集めました。
デンセンマンの影響で『
笑って笑って60分』(1975~81、TBS)の《
ミスターボワッキマン》や『
たまりまセブン大放送!』(1977~78、TBS)の《
パンツマン》、『
対決!スーパーカークイズ』(1977~78、TX)の《
カウンタックマン》などといったバラエティヒーローが星の数ほど誕生しました。
1979年には女性アイドルがスーパーヒロインに扮する『
少女探偵スーパーW』(1979、TBS)が放映されました。
しかし、第1次バラエティヒーローブームはヒーローと音頭などの歌に頼りすぎたために沈静化してしまい、タケちゃんマン登場まで一時衰退してしまいました。
TVCMでは《
(元祖)ムキムキマン》が『森永製菓/
エンゼルパイ』(1977)でエンゼル体操を披露してブレイクし、『
出没!おもしろMAP』(1978、テレ朝)のメインキャラとしても活躍しました。
ドリフターズが声の出演と人形のモデルを担当したギャグ重視の人形劇『
飛べ!孫悟空』(1977~79、TBS)も放送され、主題歌とトーク部分を担当したピンク・レディーブームに乗せて大人気になりました。
『
ドリフ大爆笑』(1977~2003、フジ)では志村けん氏のヒットキャラ《
バカ殿様》が人気を集めました。
最終更新:2008年01月11日 00:39