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顔出し着ぐるみ史 > 続々・顔出し着ぐるみ史】カテゴリです。
ここでは、2000年代後半に入ってから急激に廃れていったマスコミにおける顔出し着ぐるみのことをまとめます。

ゆるキャラブームの台頭及びアニ顔ドーラーブーム

【コラム】着ぐるみ=中の人の顔の出ているものにも書いたのですが、2000年代中頃からゆるキャラ®が大ブームとなり、その影響でCMにも人体着用ぬいぐるみ(以下、TV業界で伝統的に使用されている呼称であるぬいぐるみと表記)のキャラクターものが増加しました。
同時期の女性アイドルの顔出し着ぐるみCMブームが静まってきたことにより、ぬいぐるみキャラのCMが増えてきました。
ぬいぐるみの中に入って演技するスーツアクトレスが、ぬいぐるみキャラの中身であることがニュースや雑誌などで書かれると、ネットで話題になることも多くなりました。

’08年頃のひこにゃん及びせんとくんの人気により、ゆるキャラ人気を不動のものにしたことの影響も大きいです。
ピラメキーノ』(2009~・TX)の“キャラ-1GP”を代表とするゆるキャラや企業キャラクターを活躍させる企画や、『笑っていいとも!』(1982~・フジ)の“テレフォンショッキング”でマスコットキャラのゲスト出演も注目されることも多くなりました。

他にも、ドーラーというアニメのような顔つきのマスク(通称:アニ顔)を被った愛好家が注目されると、CMにもこのようなキャラクターが登場するものも見られるようになりました。
特にドーラーが歌手デビューするなど、アニ顔マスクをかぶってのタレント活動をする例や、アニ顔専門カフェも登場するほどの人気を集めています。


女性タレントの人体着用ぬいぐるみ姿が主体になった時代

女性タレントの顔出し着ぐるみ姿を売りとしたCMやテレビ番組、グラビアなどが、ぬいぐるみマスクオフに押されてしまうようになったのは、おそらくゆるキャラブームの頃に近い時期あたりだと思います。

マスクオフを売りにしたCMでは、女性タレントのマスクオフが話題になる前の1990年代に注目されたのは、坂井真紀さんが主演の『森永製菓/チョコフレーク』CMがありますが、その頃は顔出し着ぐるみCMも平等に共存していた頃でした。

2000年代に入ってから、ゆるキャラなどのイベント用ぬいぐるみで、中の人である女性がぬいぐるみの頭部を外すことに興味を抱いている愛好家がネット上で多数を占めていることが判明してから、マスコミもそのような内容のものを重視するようになり、次第に女性タレントの顔出し着ぐるみ姿から女性タレントのぬいぐるみ姿主体にシフトするようになっていきました。

宇多田ヒカルさんや一青窈さんといった有名女性アーティストが、ぬいぐるみを着た姿をプロモーションビデオで披露*1したり、バラエティ番組『アイドリング!!!』(フジテレビ721→フジテレビTWO)でアイドリング!!!が動物のぬいぐるみに入る企画がウケたことにより、この女性タレントがぬいぐるみを着る路線の人気を不動のものにしたようです。
他のバラエティ番組でも、女性タレントが動物のぬいぐるみに入る企画の増加や、ゆるキャラの中身が女性であることによるマスクオフのハプニングが注目されてきています。

ドラマでゆるキャラを取り上げたエピソードを見てみると、男性タレントの場合は『ラストメール2~いちじく白書~』(2009・BS朝日)で顔出し着ぐるみキャラクター、女性タレントの場合は『ママさんバレーでつかまえて』(2009・NHK)や『ウェルかめ』(2009~10・NHK)で人体着用ぬいぐるみ、というように趣向が異なっている傾向も、女性が顔出し着ぐるみ姿ではなく、ぬいぐるみの中に入っているのを好む嗜好に合わせていることから、女性タレントの人体着用ぬいぐるみ姿が主体になった時代を象徴しています。

グラビアでも女性が動物のぬいぐるみの中に入って、その後、マスクオフを披露するシチュエーションが主流になりました。マニアの嗜好をとらえたのも大きいです。

コント番組『志村屋です。』(2008~10・フジ系)の”だんごのしむら屋「かわいい着ぐるみと醜い着ぐるみ」”というコントでは、かわいい着ぐるみ=女性が中に入った人体着用ぬいぐるみ、醜い着ぐるみ=女性がフェイスペイントを施して着用した顔出し着ぐるみ――という皮肉を描いた内容になっているのも、女性が人体着用ぬいぐるみを着る姿を好んだファンが多いことで成り立っている内容に感じられます。

他にもAKB48のメンバー3人からなる納豆PRユニットのナットウエンジェルも、芸能ニュースのインタビューで「納豆の着ぐるみを着ると思っていた」と語り、納豆とは無関係の実際の衣装に感激したことにより、女性タレントが顔出し着ぐるみを敬遠することが大きくなったのも、人体着用ぬいぐるみ主流と同じく、顔出し着ぐるみ不遇の時代の流れを象徴しています。


TV業界などのマスコミにおける大不況

2008年ごろから“平成の大不況”が起こり、マスコミにもその余波を受けるようになりました。
TV業界の広告収入の激減などの影響で、番組制作費の大幅削減が起こるようになり、『世界まる見え!テレビ特捜部』(1991~・NTV)など一部の例外を除き、新作の顔出し着ぐるみが見られるTV番組の数もかなり減ってきています。
09年11月19日に、バラエティ番組の着ぐるみ製作を手がけている“ステッピン・スタジオ”が、不況の影響とバラエティ番組での着ぐるみ製作受注の激減の影響で破産したのも、バラエティ番組における顔出し着ぐるみの衰退を物語っています。

大不況になる以前の数年前から、イベントやグラビアなどで見られる顔出し着ぐるみもウレタン素材や発泡スチロール素材のものから、着ぐるみパジャマや市販のパーティーグッズ着ぐるみなどの安価な着ぐるみが主流となりました。
後の『PON!』(2010~・NTV)では、ザ・たっちがロケで段ボール製の着ぐるみを着ることも、バラエティ番組における顔出し着ぐるみの低コストを極限に高めました。

着ぐるみ製作よりも安上がりなCGの発達やアニメへの転換も大きく、’09年には『大日本除虫菊/キンチョーリキッド』CMで、十数年間着ぐるみで通してきたちゃうちゃうカッパのシリーズが、アニメに代わったことが不況下にあることを象徴しているようです*2

顔出し着ぐるみ不況の中で、顔出し着ぐるみをテーマにしたアニメや漫画、TVゲームが人気を集めている傾向がますます強まっている方向を見せています。

東日本大震災初日後の異変

’11年3月11日に東北地方太平洋沖地震やそれに伴う大津波による東日本大震災やその後の福島原発の事故による放射能漏れの影響で、マスコミにも自粛ムードが起こり、バラエティ番組にかなりの打撃を与えました。
ビートたけしさんが長年着ぐるみコスプレを披露してきた『世界まる見え!テレビ特捜部』(1991~・NTV)では、着ぐるみで笑いを取ることから撤退する本人の意向で、かぶりものコーナーが自粛される事態もありました。
それと同時期に震災の影響に関係なく春の改編で終了した『関口宏の東京フレンドパークII』(1993~2011・TBS)と『恋のから騒ぎ』(1994~2011・NTV)の2つは共に顔出し着ぐるみを売りにしたコーナー(前者は“ハイパーホッケー”、後者は“愛の説教部屋”)があったため、バラエティ番組における顔出し着ぐるみで一時代を築き上げた2つの番組の終了は大きかったと思います。

その翌月、東京ディズニーランド営業再開についてのニュースで、NHKなどが、元来マスコミで禁句とされてきたミッキーマウスなどのキャラクターに対する“着ぐるみ”呼称が使用されたのも、TVや新聞などのマスコミで、ゆるキャラブームが築き上げた“着ぐるみ=中の人の顔が出ていないぬいぐるみ衣装”という認識が圧倒的になったことを象徴させています。

マスコミの顔出し着ぐるみ衰退期と特撮の顔出し女幹部衰退期

テレビ朝日系列・東映制作の『スーパー戦隊シリーズ』では、『侍戦隊シンケンジャー』(2009~10)の薄皮太夫が顔を出さないタイプの悪の女幹部として登場しました。前年度の『炎神戦隊ゴーオンジャー』(2008~09)でのケガレシアが役者の顔出しキャラクターであり、『シンケンジャー』からは男性スーツアクターが演じ、人気声優が声を当てる女幹部に路線変更を行いました。女性層に人気が高い声優・朴璐美さんの起用も成功し、『シンケンジャー』はスーパー戦隊でかなり人気の高い作品のひとつとなりました。
後続の『天装戦隊ゴセイジャー』(2010~11)のメタルA、『海賊戦隊ゴーカイジャー』(2011~)のインサーンとこの非・顔出し女幹部への路線変更が成功したり、それに合わせて俳優がキャラの声を当て、人間の姿としてたまに顔出しで登場する顔出し幹部を男性のみに絞る傾向により*3、特撮番組における顔出し女幹部の衰退は、顔出し着ぐるみ不況期と偶然にも一致しているように感じます。
特に『ゴーカイジャー』のインサーンは、顔出し幹部の予定だった風貌のため、例年のパターンならセクシータレント起用のはずが、声優起用のために非・顔出し幹部に変更されたと推測されます。20数年前から人気が根強い声優・井上喜久子さんの起用が大好評であることから、非・顔出し女幹部路線は完全に定着しました。

スーパー戦隊から顔出し女幹部から非・顔出し女幹部に路線変更した背景には、同局の『仮面ライダー電王』(2007~08)での人気声優大量起用からと、『仮面ライダーW』(2009~10)のクレイドール・ドーパントのような顔出し前提のようなデザインの似非顔出し女幹部怪人(但し、普段の人間体は普通の服装の女幹部)、そして、『シンケンジャー』と同時期の『トミカヒーロー レスキューファイアー』(2009~10・テレビ愛知)の女幹部・チュウカエン*4の声に萌えアニメを中心に活躍してきた声優を起用したことの影響が見られます。
特撮に興味がなかった声優ファンが特撮に興味を示す方向が、皮肉にも特撮ものの顔出し女幹部衰退を招いたようです。