「ふいいぃっ!」
顔をぐしゃぐしゃにしたその少女が、思わず変な声を出すのも無理はない。
一晩のインターバルにて再充填された精は、濃さでは劣れど量と勢いは十二分だった。
ジュッ、ジュッ、じわっ、じわっ、また否が応にも『分かって』しまう。
「あ、あ、あ、あ……」
捻じ込まれた規格外からの、びゅくん、びゅくん、というその脈動。
完全に押さえつけられ、全身で覆い被さられ、一切身動き取れなくされての種付け行為。
逞しい褐色の肌、赤色の髪と金色の瞳が、彼女の視界を埋めていて、
「出てる……中出てるぅ……」
でも少女はだらしなく口を開けて、そんな犯される歓びに酔ってしまう。

「リュカ、犯されちゃったな」
「…うん、犯された……犯されたぁ……」
ハァハァ見つめ合いながらの明るい声に、でもどこか幸せそうに女は頷く。
両手は男の背にしがみ付き、生白い両脚はしなやかにも深く男の腰に絡んでいた。
「妊娠しちゃうな、こんな膣出しされて」
「…! …や、やだ……妊娠やだ……怖いぃ……」
意地悪く囁かれたのにビクンとして、でもあまり怖がってない風に男の胸へとすがりつく。
「ほんと、ダメなわんこだね」
「う……ご、ごめんなさい……リュカ、ダメなわんこでごめんなさい……」
こつんと額を合わせられて、また少女の身体が軽く震える。
『ご主人様いやらしいわんこでごめんなさい、だからもっといじめてください』
今にもそんな声が聞こえてきそうな、淫靡にも健気な雌犬の顔。

「リュカ、好きだよ、大好きだよ」
「あう……」
中出しされながらの繋がりあっての口接に、目を閉じた少女が貪欲に応じる。
激しく舌を絡め合う歓喜と、萎えかけた肉棒にぬちゅぬちゅと精液を混ぜ込まれる歓喜。
行為後の最高な余韻と酩酊を、更に高める優しい後戯に、
(……もう、いいや……)
だからリュカは、どろりとした思考でそう思った。
(……ロアの赤ちゃんなら、もういいや……)
周りは許さないかもしれないけど、世間的には不道徳かもしれなくても、
――でも強いもん。優しいもん。頼もしくって逞しくって、大事に守ってくれそうだもん。
(……いい、いい、……できても、いい……)
ぬちゅぬちゅ、ぬちゅぬちゅ、上のお口と下のお口で互いの体液を攪拌し合う。
完全に陰茎が萎えてしまうまで、チョコとミルクをぐちゃぐちゃと混ぜた。

 *  *  *

「また汗かいちゃったなー」
「ん…」
貴上の男女や恋人というよりは、やっぱり家畜と飼育係。
自分も汗だくなのさえほったらかして、嬉々として女の子の身体を拭いたげている王子が、
でも牧畜民族の末王子な以上、それも仕方がないのかもしれない。
…どう見ても馬や羊への愛情の注ぎ方の延長だとしても、本人に悪気はないのである。
おかげでまるで剣盾か商品でも磨くみたく、ころころころころ転がされる少女。
「わう…」
でもそんな奔放さを割と楽しんでたりするリュカの瞳に、ふとそれが像を結んだ。

股間の黒々としたぶらさがり。
硬さは失ってしまっていたが、それでも見た目に大きくべとべとで。

「おわっ!?」
反射的に顔を近づけて口に含んでしまったのは、そういう習慣があったからだ。
かつてはこうやってよく、事後に男根を清めさせられた。
「お、おおー!」
何か感動したような感嘆が上から響いてくるにも関わらず、
リュカは身に染み付いた習慣のままにロアの男根も綺麗にしていく。
すると不思議なことが起こった。
「……!?」
あれほど出したはずなのに、みるみる彼女の口内で萎えた陰茎が膨張しだす。
たちまち口中には収まり切らず、押しやられるようにして最早半分も咥えられなくなった。
驚き戸惑う以上に、口中で起こったその暴威に『なぜか』無性に興奮する。
口中を蹂躙するそれに、まるで畜獣が餌に飛びつくよう、夢中でちゅうっと吸い付いた。
そうするとまたビクビクッとして大きく硬くなるそれが、すごく楽しい、面白い。

ぱっくり開いた尿道の残滓を吸い取って、カリ裏や亀頭も丁寧に清めた。
口から離すと途端にビンと反り返ったその硬い幹に、愛おしむように舌を這わせる。
どころか同じく大きな陰嚢の、皺一つ一つにまで舌を沿わせ、
ぐるりと潜り込むと性器と肛門の間、股下の汚れまで綺麗にこそぐ。
あまつ肛門付近まで汚れているのを見ると、そこにもためらうことなくペロペロと――
「…ッ、…っ」
――上の方で白黒している目にも気がつかず、付着した汚れを口に吸う。
そうして再度、今やギンギンの怒張の前に来ると、改めてその亀頭にかぶりつき、
顎が外れんばかりに咥え込むと、ちゅっちゅとカリ裏にバキュー……

「ちょっ、ちょちょちょ、ストップ! ストップストップ!!」
……制されて、不思議そうにのそのそ顔を上げた。
「限界だから! もう限界、てか出ちゃうから! それ以上されるとマジ出るから!」
非常に慌てて止められるが、でもだからこそ彼女には分からない。
「…出るなら、出した方がいいんじゃないですか?」
そうだ、それが陽根を鎮める一番だろう?
「そりゃ出るけど、でも出たら絶対痛いんだって、ほとんど汁しか出ないんだって!」
…痛い? 汁?

「でも、硬くなって……あ。ひょっとして、硬くなってるけど出すと痛い?」
「そう! てか勃っちゃうんだよ若いから!」
小首を傾げて野太いものを凝視する彼女に、酷く切羽詰った声が降り注ぐ。
「若いともう限界でも刺激受けると反応しちまうんだって! そーゆーもんなんだって!」
そんな間にもそれはギリギリと反り返り、テカテカと尿道を広げた先端なんか、
どう見てもリュカには限界に見えず……でもなんとなく理解した。
よく言うではないか、『若い内は気力体力で多少の無茶や徹夜も利く』と。
これはつまり、きっとそういうことなのだろう。
だから『若い』とか『青い』と呼ばれる燕達は、熟れた淑女達から好まれるわけか。

「……わかりました」
理解が及び、故に素直に身を離す。
「…あの、すみません」
「え?」
一を聞いて十を知り、十を知って百を弁える。
「その、もう限界なのに、勝手に刺激してしまって」
「あ、いや、それはいいよ。全然悪くねえ、ってかむしろ凄い良かったし」
本当に聡く賢いわんこの、律儀で真面目、謙虚な態度に、むしろロアの方が赤面した。
悪くない。そりゃもう全然悪くない。

「ていうかさ」
「っ?」
だから一旦離した身を、ひょいと抱きかかえられてもう一度引き戻され、
「綺麗にしてくれたんだよな? …ありがとな」
「……あ」
抱き締められながら撫でられる頭に、リュカの心は満たされた。

事実だけを言えば、決して甘くも美味しくもない。
精は苦く、愛液は酸っぱい。どちらも生臭くてぬるぬるで、そこだけ取れば不快の極みだ。
だからかつては嫌であり、故に今はもう嫌ではなかった。
「その、また今度してくれる? …すっげえ気持ち良かったからさ」
「………はい」
ご主人様に褒められて嬉しい、求められるからまたしてあげたい。
信賞必罰が守られる体制は、だから首長への忠誠を生む。
苦行や苦役を積んだ後に、然るべき褒美と賞賛が待つから、苦行それ自体も快になる。
達成感。充実感。生きがい。やりがい。

「汗かいちゃったから、また水飲もうな?」
「………」
コクリと頷いて、杯を渡され水を注がれ飲まされて、でもそんな手取り足取りが幸せだ。
『あぁー私は今ご主人様に一挙一動に至るまでの全てを支配されてるよー、楽しいねぇー』
とお空に向かって叫んでしまいたい、それくらいの幸せだ。
「残り俺飲むけど、もういい?」
「……はい」
ああほら杯を片手に、ご主人様が実に行儀悪く水差しの水をラッパ飲みするのを見て、
でもそんなご主人様の強さ逞しさに、見てるだけで幸せになっちゃえている。
なんて燃費のいい女だろう、ご主人様のカッコいい姿だけでご飯三杯はいけそうだ!
ドM、ドM、理想のドM!!

そうしてリュカを抱き寄せたロアが、彼女を自分の胡坐上に座らせて数十秒。
*1
奇しくも二人、全く同じことを考えた。
『田舎の娯楽だなんてセックスくらいだ』との、お偉い文明人様の言葉があるが、
悔しいけどそれは間違っちゃいない、本当に碌な暇潰しがない。

ロアはロアで、こう見えて忙しい身、仕事サボりそうでサボれない。
血族としての自覚に加え、親兄姉への信義もあって、与えられた仕事はしっかりこなす。
実を好むあまり名を疎かにする悪癖はあるが、それでも腐ってるなりに王弟殿下、
…それでいて遊びや悪戯にも全力を尽くすから、『阿呆』や『うつけ』とも謗られるのだが。
チラリと窓の外を見れば、日は随分高くなったものの中天には遠い。
昼まで時間をもらった以上、それまで暇を潰す必要があるが、
でも今更庭を案内してもらったり、引越し先の探検をする気にはなれなかった。

リュカはリュカでやはり元忙しい身、侯爵夫人としてかつては多忙も極めていた。
亡夫ヴェンチサ侯フェリウスは、能はあるけど情のない人物、
『飼い犬が粗相をして飼い主に恥をかかす』だなんて許すはずもない以上、
公の場では完璧な淑女として振舞えるよう、厳しい躾が施されていた。

……崩れたのは、やはり春の急な開戦と、三月前よりの篭城戦以降だろう。

戦争、それも敗色濃厚の戦争というのは、色々な過飾を取り払ってしまう。
着付けに時間なんて掛けられなくなったので、ドレスもコルセットも纏わなくなった。
髪結いに時間さえ掛けられなくなったので、長かった髪も切り落とされた。
最初の一ヶ月こそ普段よりも苛烈な家庭内暴力に晒されたが、
以後はそれすらされない、その時点から既に奥離れで監禁状態だったのが変な話だ。
普通ならこういう時こそ『ギラついた欲望』の発露対象にされるのだろうが、
どっこい普段から散々発散されてただけに、いざそうなったら『構ってる暇なし』と放置、
最後には『役立たずだから』と忘れられてさえいたのが皮肉である。
――最後の数日間、監禁中なのに食事が運ばれなくなって飢え死にしかけ、
自決手段さえ無い中、同じく押し込められた侍女数人と励まし合いつつ水だけで凌いだ、
起き上がれないところを敵兵に救われたのが、せいぜい味わった苦痛だろうか。

だからこそ今の幸せが夢のようだ、この暇な時間さえ代え難い。

肌に染み付いた栗の花や柑橘の匂いは、拭いた程度では当然取れず、
二人とも沐浴なり湯浴みなりの必要を感じていたが、今はこの匂いに浸っていたかった。
ロアはロアで、リュカの髪に顔を埋めながらぼんやりとそんな匂いを満喫し、
リュカはリュカで、回されたロアの腕の熱さ、背中に感じる彼の体温を感じている。
意識はクリアなのに身体が火照ってだるい中、そうやってただぼんやりと座っていて……
「――そうだ」
「…?」
行動を起こしたのは、やはり主導権者たるロアの方だった。

「なんかすげぇ順序逆な気もするんだけどさ」
「はい」
見上げたリュカの目と、見下ろすロアの目が、カチリと合う。
「ロア、ロアネアム」
……ああ、そうか。
「先盟主ゼリドの末子、華王クウナが末弟、ゼティスのロアネアム」
本当に今更の気はするが、そういえば確かに抜けていた。

「昨日付けでこの城の城主、北中央ヴェンチサの属領執政官ってことになったから」
途中まで名前さえ知らないのに、忍ばれ受け入れてしまってたなんて、
本当に叙事詩や恋愛譚の中のことみたいで、改めてリュカの顔が赤くなる。

「階級は小将師……あ、これ大中小の将軍でいうならの小将軍な?」
「はぁ…」
そうしてやっぱり、なんか軽い。
「まぁ戦時だってんでの臨時の論功行賞、正式な拝命は年明けなんだけどな。
指揮兵数も1000のままだから、実質千人長と変わんねーし」
『属領執政官』だとか、『小将軍』だとか、職名だけ聞けば何か偉そうな響きが、
でも非常にどーでもいいことのようにポンポン飛び出すせいで、やたら軽い。
「…あ。それとあれだ、オーテーデンカ?らしいよ? 自称王国の自称王子だけど」
あまつ『王弟殿下』に該当する帝国語の発音とアクセントがおかしかったせいで、
本家帝国人であるはずのリュカにさえ、最初意味が通じなかった。

オーテーデンカ、オーテテンカ、……ひょっとしなくても王弟殿下?
…まさかなぁ、と思いつつ、ちらりとロアの顔を盗み見る。

「……リュカは?」
「えっ? あ」
そんな物凄い失礼を考えてるとは露も知らず、ごくごく自然に訊いて来たので、
リュカも動揺、ある種条件反射的に応じてしまった。
「リュ、リュケイアーナ。リュケイアーナ・オル・ペレウザ・ウェド・ヴェンチサです」
帝国貴族では普通の、長い本名。
どっこい。
「…あ? オルペー、ウー…?」
「あ、や、いえ。…リュカでいいです、忘れてください」
…なんとなくそんな予感はしていたけれど、
やっぱり覚えられなかったなぁと、ある意味達観と共に首を振ってしまう。
まぁいいんだけどね。捕虜だし。本当に名前の意味が消えてるし。

が、そうなると何を紹介したらいいのやら、改めてちょっと言葉に詰まる。
「ええと……生まれは帝国の中央の方で、ペレウザ…っていう子爵家の、令嬢――」
「シシャク?」
「あ、子爵は帝国貴族の階級で、…まぁあんまり目立たない低い方の爵位、です。
…令嬢をしてたんですけれど、四年くらい前から、その、このヴェンチサに嫁いで、
あとはご存知の通り、南領辺境侯フェリウスの、四番目の後妻、してました」
ロアにも分かりやすいよう慎重に言葉を選びながら、
なるべく砕けた言い方で――意外と難作業だ――自分の複雑な境遇を説明していく。
「…まぁ、建前なんですけどね。本当に見ての通り、愛妾ですらない立場でして」

ただ、ロアはそんなリュカの四苦八苦よりも、別なことに注目が奪われたらしい。
「……四年?」
パチパチと目をしばたかせたロアが腑に落ちないという表情をし、
「いくつ?」
今度はある程度予期していた問いだったので、速やかに答えることができた。
「19です」
「ええ!? 俺より二つ上!?」
露骨に見えないとでも言いたげなその表情に、リュカはムッとして眉を顰める。

19歳なのだ。…15、16にしか見えなくたって。
篭城の際に腰まであった髪を切ってしまい、お子様髪型になってしまったからそう見えるだけ、
大体首から下は立派に大人なのだ、背丈や目鼻立ちだけで人を判断しないで欲しい。
19歳、女で19というのはこの時代ではもう立派な大人、
本来なら子供の一人二人設けてて普通、そういう意味でもリュカは負け組なのであって、
「ええそうです二つ上――」

二つ上。
ふ た つ う え ?

「ん? 俺?」
硬直してこっちを見つめる目に、リュカが何を問いたいのか即察したらしい。
「17だよ? てかホントに19?」
「………」

じゅうなな。

「………う」
「う?」
「嘘だああああぁ!!」
悲鳴じみた絶叫が上がった。

「えっ、ちょっ、17!? …じょ、冗談はやめてくださいよ、からかわないでくださいッ!」
「…え、いや、本当に17なんだけど俺」
「有り得ないですよッ、せめてもうちょっとまともな嘘ついてください! 最低限22とか!」
「…だから、ホントにじゅうな」
「何処をどう見たらそう見えるんですか! …ほら、立って!」
「てかお前やっぱり酔っ」
「立って! 立ってください! ――立ちなさい!!」

勿論酔っている、およそ令嬢もとい未亡人らしくない騒々しさでもって
――でも何故か一瞬だけ威厳が戻ったのも事実だ――命令するリュカに、
気圧されるがままにぶつぶつと、男が寝台の横に立つ。
勢い自身も立ち上がろうとして……でもやっぱり無理だったらしい、
しょうがないのでぺたんこ座りしたまま、まるで鬼の首取ったみたいに勝ち誇った。
「ほらおっきい!」
――だからこそ最初見た時、鬼とか悪魔にも思えて恐ろしかった。
――だからこそこんな短剣じゃ到底殺せそうにないと、実行する前から諦めた。

「何が17ですか、こんなおっきい17歳なんていません、5つはサバ読んでますね!?」
「だから本当に17……ってか、むしろ5つもサバ読んでるのお前の方じゃ――」
「14なわけないじゃないですか! 流石にそこまで子供じゃないです!」
口答えされてのお子ちゃま呼ばわりに、ムキになって反発するが、
…でも酔眼あらわに頬を赤らめて、興奮した子犬みたくにキャンキャン喚く姿や、
握り拳を固めながら上目遣い、勝ち誇っての得意げを見るに、ロアだってもごもご呟いてしまう。

「大体、風格が違いますもん! ふーかくが!」
それに気を良くしたのだろう、敵の沈黙に満足げに、わんこの嬉しそうなご主人様自慢が始まる。
「こんな傷だらけで筋骨隆々な17歳なんていません! 迫力と威圧感が違います!」
…自慢してる相手がご主人様本人ってのが、何か非常に取り違えていたが。

振る舞いは子供でも、あくまでそれは『子供っぽい大人』、
妙にの器の大きさや、漂う賊輩の親分っぽさが、上辺はともかく芯には成熟を感じさせる。
野性味を感じさせる精悍さといい、目つきの悪さから来る悪人面といい、
「…そりゃ『お前は黙ってれば25には見えるから』って、散々口閉じてろ言われっけどさあ」
悪戯小僧がそのまま大人になったような巨漢が、ガリガリと所在なさげに頭を掻く。
全裸で仁王立ちしてるってのに前を隠そうともしない辺りが、尚更青年を小僧に見せない。

「傷だらけなのだって昔からヤンチャ……ってか12が初陣だからで」
「じゅうにっ!? じゅうに!?」
自慢する風でもない、というか何度か同じ状態に陥ったことがあるのだろう、
リュカが童顔扱いに慣れてたように、ロアも困ったように説明していく。
「嘘ですよ12歳で初陣なんて! 無理ですよ! 嘘!」
だが帝国の貴族達を知るリュカからすれば、それはもっと信じられない話で。
12歳の子供が戦場に出る姿を想い、ぶんぶんと信じられないとばかりに頭を振って、
「でも俺図体だけはでかくて、12の時点でもう身長七尺(約161cm)近かったしさ」
「ななしゃく!?」
仰天ビックリ、絶句した。

栄養状態に劣ったこの時代、庶民男性の標準身長は大人でも155±5、
栄養状態に恵まれた貴族男性でさえ、最終的に180弱あれば『雲突く大男』と讃えられた世だ。
「兜被れば顔見えねーし。…その頃から5歳は水増し出来たなー」
老けてんのかなーと呟いての指折りを、リュカはただあんぐりと聞くしかない。

曰く、
有力者の子供なので、肉や魚をたくさん食えた。幼少期から健康と体格に恵まれていた。
医学の未熟なこの時代、健康と頑丈は何よりも得難い宝である。
有力者の子供なので、武術に兵法にと英才教育、狩りとかも普通にできていた。
家の手伝いに追われる庶民の子らとは、その辺でまた違ってる。
有力者の子供なので、親のコネで最初から百人長、普通じゃありえないキャリアスタート。
わざわざ補佐をつけてもらい、わざわざ軍師をつけてもらい、手取り足取り帝王学。

「…だからリュカがおかしいって思うのも、仕方ねーっては思うぞ?」
「え?」
突っ立ってるのに飽きたのだろう、ぼふりとリュカの横に腰掛けながらロアが言った。
「だっておかしいだろ? 17で将軍だなんて、普通にないもんな」
「………」
おかしくない。おかしくない。

「大体若き英雄っつったって、自力で裸一貫から成り上がったとかそーゆーのじゃねぇ、
親爺の代、爺さんの代からの雌伏と工作っつか、そーゆーのあっての大勝利だし」
でも傷だらけじゃないですかとリュカは思う。
潜った死線が目に見える、筋骨隆々じゃないですかと思う。
「てか無理だよな17で英雄とか。フツーに後ろの担ぎ上げとかお膳立て疑うべきだよな」
すっごい頭いいのに、驚く。
「一代でやるなら騙して利用して裏切って簒奪して、それで30近くでようやっとだろ?」
バカと見せかけて本質見抜いてる、調子乗ってると見せかけて弁えてるのに感動する。
「なのにこんな、なんつーか、…あー」
弱々しい、ちょっと愚痴めいて零す、そんな横顔に泣きそうになる。
可愛いのだ。強いのに弱い、賢いのにバカだ、そんな子供っぽい姿が可愛すぎる。

「……えと」
片や六尺三寸(約145cm)の小娘に対し、片や八尺余(約188cm)の大男。
「……じゅうななさい?」
「17だよ?」
だからポカンとして訊くリュカに、それでもキョトンとロアが答えた。
「…あ、でも厳密には17.5歳ぐらいだ」
「そ、それを言ったら私だって19.5歳ぐらいですよ!」
個々の誕生日を祝う風習のない昔なので、何歳何ヶ月とかはあまり意味がない。
年始に生まれても年末に生まれても、次の元旦で全員1歳、そういうアバウトな大昔。

「…てか、俺が17だと何かまずいわけ?」
そして唐突に、特に意味があるわけでもなく発せられた言葉が、
「――!!」
でも実に単純明快な解答だった。
予想外に大きなリュカの反応に、ロアはピクリと目を大きく見開いて……
けど真実に到達する、――ああなるほど、だからこんな『嘘だ嘘だ』と五月蝿かったのか。

「……二つ年下だと、困るんだ?」
「そっ――!?」
そんなことありませんよ、と言い掛けた身体が、ロアの体重によって妨げられた。
「んー♪」
「やっ!?」
大きな動物がじゃれついてくるような動きだが、動物の大きさが大きさだけに遊びでも脅威、
たちまちリュカはシーツに埋まってしまい、押さえつけられて動けなくなる。
「柔らかいベットって、こういう時便利だなー」
「お、重い、重いですよぉ!?」
重くても、でもぺちゃんこにならない程度には加減してもらえて苦しくはなく、
なのにビクともしない寝技の妙、力以上の技のキレと、完全に遊ばれてるその余裕。

「年下が『ご主人様』だと、何か問題があったりするわけ?」
「……ッ」
濡らすなと言うだけ無理がある。
「年下に大好き大好きとか言いながら、抱きついてすんすん泣いちゃったよな、そういや」
「や……」
ギャップ萌えなんて概念ない時代だが、しかし人の愚かさ欲望は永遠不変。
こんなに屈強で意地悪なのに、そこに『おっきな弟』、『弟属性』。
「俺の上にお漏らしもしちゃったし」
「……! ……!」
こんなに臆病で甘えっ子なのに、そこに『ちっちゃい姉』、『姉属性』。
「『わうぅ』とか『あおおぉ』とか、凄い声で叫びながらガクガクイッちゃってたっけ」
「!! やっ、やめて……やめてください!」
双方興奮するなと言うだに無理がある。
年下なのにご主人様と懐かれて、年上なのに自分から奴隷宣言してしまい。
「私、私犬じゃない、犬なんかじゃありません!」
「そーだな、犬じゃないな」
子犬がきゃんきゃん、『Bitch(雌犬)』にさえなれない『Puppy(子犬)』がきゃんきゃん、
年上なのにという羞恥心に拠って、果敢な抵抗を試みるけど、
「でもわんこだね、犬じゃないけどダメわんこ」
「――!!」
でも虎からすればそんな抵抗、可哀想だけれども一捻りだ。

ああ、ちゅーの体勢に入った、キスってよりもちゅーの体勢に入った。
力の差と体格差で押さえ込んだ後の、数分近く続く愛情たっぷりのディープなちゅー。
ぐいぐいと身体を擦り付けて、空いた手でさわさわと白い尻や太腿を撫でる。
抵抗がやんでおとなしく、どころか次第に相手が昂ぶってしまいだしてもまだ止めない。
涙目で相手が舌を絡め、抱きついてしまうのをニヤニヤ眺めてる。
無慈悲なまでの愛情による飽和攻撃、ぺんぺん草さえ許さない焦土作戦。

「ふあ、あぁぁ……」
「ほら、わんこだ」
湯気が立つくらいに掻き混ぜた唾液を引きつつ、ロアが見下ろし睥睨し断言する。
「キスだけでこんなはふはふになっちゃって、何が年上だよ、わんこだろ?」
「……ろ、ろあのいじわる……いじわるぅぅ……」
劣等感が、敗北感が、けれどぐじゅぐじゅの快楽となってリュカの心を侵食する。
――負けている。年下相手に負けている。あらゆる全てで負けている。
そういうダメな、情けない自分に、でもきゅううっと子宮が切なくなり、じくりと脳が快感に滲んだ。

「あ、や? やっ、だめッ…」
太腿に当たる熱さと、濡れた入り口にぐっと押し当てられた硬い感触。
「やだ、だめ、もうだめ……」
「なんで? もうぐしょぐしょだろ? 余裕で入りそうだよ?」
ロアがまたしたがってる、挿れたがってるのを感じ取り、リュカは必死に拒もうとした。
「さっき、さっきもう限界だって、もう無理だって…」
「大丈夫だって! ちゃんと休憩したからもう大丈夫、一回は出来る!」
でも腕力体力では絶対的に勝てない。
押さえつけられたままぬぷぬぷぬぷぬぷ、入り口に先っぽをくいくいされる。
「あ、あ、あ、あ…」
「てかリュカが悪いんだよ! リュカが可愛すぎるから悪い、俺は悪くない!」
無茶苦茶な理屈で開き直られるが、でもそんな無理な理屈さえ、
反応してしまう自分の身体を恥じる謙虚なリュカには、額面通りの言葉として届いた。
「な? 挿れていいよね? 挿れていいよな?」
「だめ、いれないで、いれないで……」
今挿れられたら絶対にまた獣にされる、雌にされる。
そんな予感、確信があるから、だから必死で拒んだのに。

「挿れるよ? 挿れる、挿れちゃうからな?」
「いれな――っああああッ!」

ぐぼ、と入り口を押し広げて潜り込んだ剛直が、そのままずるずると彼女を最奥までを貫いた。
「がうッ…」
どすっと奥に当たった感触、これまで以上に凄まじい快感が脳を灼く。
先程の行為の余韻のせいか、昨夜の一番最初と比べ、実にあっけないほどの受け入れだった。
あまりの苦痛の無さと快楽の強さに、本人が慄きさえしたほどだ。
だというのに例によって耳に聞こえた、とっても気持ち良さそうなロアの溜め息が、
そこから更にリュカの心を押し込んで、――ぞくりという震えを身に走らせる。
(…やだ……イク……イッちゃうよ……)
痙攣する脚の付け根近くや、剛直を抱擁して離さない膣肉に、明確にそれを意識する。
(…や……動かないで……)
動かれたら絶対達してしまう、動いて欲しくなくて、
だからリュカははっしとロアにしがみ付き、ままならぬ脚を使って腰を挟み込む。
…けれどそういうのこそが機密漏洩、虎を狂奔させてるとは気づけない。

「うあああッ!?」
ずるるるっと引き抜かれた凶悪な太さに、ビクビクッと全身を引き攣らせてしまい、
「や、待……はああああぁぁッ!!」
再度押し込まれ掻き分けられる感触に、ガクガクしながら肺の空気を吐く。
「……やだ……いく……」
思わず洩れた泣き言を、もちろんロアが聞き逃すはずもない。

三擦り半という、男性の到達の早さの揶揄があるが。
「んゔゔゔううぅぅ!!!」
結局女であるリュカの方が、情けなくも三回往復で達してしまった。
ロアの胸板に顔を埋め、震えつつも必死で声を押し殺すあたりはまだ余裕はあるが、
獣めいた唸りが隠せてないら辺、それも余裕と言えるのか疑わしい。
乱暴にされて感じてしまったのが恥ずかしく、あっという間に達してしまったのが恥ずかしく、
惨めで悔しくて逆らえない、――それ故にの至高の快楽だった。


そうして呼吸を整えつつ、閉じた目からひくひく涙を零すリュカに対し、
「…やっぱり、すっげー気持ちいいや、リュカん中」
「………」
覆い被さったのがこういうこと言ってくるのだ。
「いっつもおまんこぐちょぐちょでさ、やーらかくてぴたぴたで」
「……や」
安心しきった幼子の人懐っこさが、これまた羞恥を煽り立てる。
「このずるずるまんこにチンコ突っ込んでると、すっげー安心するもん、温けーもん」
「…や、やだよぉ……」
自分の身体がとてつもなくいやらしい身体に思え、娼婦よりも淫らな肉体に思え、
…でも役に立てるのが嬉しくて、喜んでもらえるのが幸せで、
「…これで最後なんだよなーもう」
「……え」
聞き捨てならない単語に、ぱちりと大きく目を見開いた。

「……さいご?」
――最後?

「ん。昼になったら俺も仕事戻んないと駄目だし、昼飯もあるし」
「……あ」
言われて、思い出してしまった。
「お前も侍女とか戻ってくるからさ、こう、ぱぱっと片付けて、何事もなかったみたく」
夢は醒めるものだ。
永遠に楽しめる午睡などなく、永遠に貪れる惰眠などない。
背徳と獣が跋扈する宵闇は終わり、必ず夜明けはやって来てしまう。
どれだけ醒めたくなかろうと、どれだけ明けて欲しくなかろうと。

「…………やだ」
押しのけ、見ないようにしていた現実が戻って来て、
「……やだ、やだ、やだ、やだ!」
「……?」
冷たい現実に押し潰されるように、リュカの堤防が決壊した。
「やだ、いかないで、いっちゃやだ!!」

醒めたくない。
醒めたくない。
二度と夢から醒めたくない。

「…そ、そりゃ、俺だってずっとこうしてたいけどさ」
しがみついてくるその姿が哀れな子犬を連想させ、ロアも思わず胸キュンで言う。
「でもお前だって一応ほら、元侯爵夫人な立場なわけだし……」
「侯爵夫人なんかじゃないッ!!」
だが帰って来た反応の劇的さに、さしもの彼も戸惑った。

「…だってロア、言ってくれたじゃないですか、『ただの女だよ』って」
泣いていた。
男の目の前で、今までの歓喜のどれとも違う、痛ましい涙を流していた。
「…わんこだ、ペットだって、言ってくれたじゃないですか……」
見上げてくる先の、どこか狂気じみてさえ見える半笑いに、
初めてロアにも内心『あれ?』と、漠然とした疑念が浮かんで来る。
「……奴隷でいいです……」
――あれ、ひょっとして、自分は、何か。
「…捕虜でも、虜囚でも……家畜でも道具でも犬でもいい!」
――何か、とんでもないこと、してしまったりとか。

「……どーぶつで……いい……」
「…え」
目にいっぱい涙を溜めて、そんなことまで呟いてしまう彼女を見ては、
初めてロアも、何か踏み込んではいけない領域まで踏み躙ってしまった己を自覚、
散々やらかした自分の所業が、どれだけ彼女を追い詰めたか知った。
「……人間に……戻りたく……ないよぅ……」
「……あ」
そうしてそうやって泣く彼女の言わんとする所に、愛しさに胸を詰まらせる。
そこまで辛く苦しかったのだろう、これまでの彼女の人生を察し、痛ましさに胸を熱くした。
――『わんこ』『わんこ』、散々からかってきた己の招いた事態を看破した。

ロアも男だ。若く性欲旺盛な一人の少年だ。
「何でも、するから……妊娠、しても……赤ちゃん産まされる、道具でも、いいから」
だから雌犬、性奴隷なんて言葉には憧れるし、自分にベタ惚れの一途な女とか堪らない、
妊娠とか孕ませなんて単語には反応して、彼女が孕んだ姿を想って興奮もした。
「……お願い、しまう、ロアの傍に、置いてくだひゃい……」
――でも、こういうのを望んだわけではない。
「……飼って…………捨てないでくだはい、おねがいひあふ……」
ボロボロと涙を零しながら泣きじゃくり、
リアルで冗談抜きに、奴隷に、家畜にしてくれと懇願する少女を目前にして思ったのは、
達成感や保護欲庇護欲、征服欲支配欲に尚勝る――罪悪感だった。

「…ご、ごめんな」
反射的に謝ってしまう。
何か自分が凄く悪いことをした気がし――ようやくその自覚が生まれ出した。
「ごめんな? ごめん」
押し潰して組み敷いてた身体を引き上げて、座位の体勢に座らせ直すと、
『ひぐ』とか『えぐ』とか泣いてしまうリュカの背中を、必死で撫で抱いてあやし始める。
…ほんのちょっとからかった、軽い意地悪のだけのつもりだったのに、
不幸にも急所、マジ泣きし始めてしまった『妹』に対して『兄』が必死で慰めようとする如く。
「……本当に、ごめん」
そうしてその背中の小ささに、危うい情愛、深すぎる情愛も抱き出す。
これが本当に『兄と妹』、為されて当然な社会からも認められた保護だったなら、
まだマシだった、どこかでストッパーがかかったのかもしれない。
でも『弟と姉』、『敵と味方』。

「……がんばれ、ないよぅ……」
リュカの方とて相手が年下、それも未開人で侵略者だとは分かっていても、
それでも縋りたいという欲求を抑えられない、もっと駄目になってくのに止まれなかった。
「……もーこうしゃくふじん、がんばれないよぉ……」
あったかいチョコ色の泥沼に、ずぶずぶ肩まで浸かってしまい、居心地良すぎて出られない。
「……りゅけいあーなで、がんばれないぃ……」
単純に彼女のせいだけではない、昨日の昼までの彼女なら、きっと耐えられて頑張れた。
…でももう壊れてしまったのだ、目の前の男に、暴威の如く薙ぎ払われた。

がんばりたくない。がんばれない。
どれだけ頑張っても成果の出せない、身の程にそぐわぬ大任大役なんてもうしたくない。
辛いことばっかりで、苦しいことばっかりで、楽しくないことなんてしたくない。
…それくらいならまだ『わんこ』がいい。
頑張れば確かな成果の出せる、自分でも誰かの役に立てる、喜んで貰える仕事がいい。
家畜だろうと楽しくて、やりがいのある仕事をしたい。

えぐえぐと泣きじゃくる生白い裸体を、褐色の大男が同じく裸体で抱きしめる。
極めて淫靡な光景のはずが、今だけは卑猥さなんて微塵もなかった。
せっかく入った陰茎も、ずるりと萎えて抜け出てしまうが、ロアが気にした様子はない。
ここでまだ罪悪感よりも性欲が勝つまでには、バカも腐ってはいなかった。
――どうしたらいいか考える。
一人の男として、ご主人様として、一軍を率いる者として考える。
ロアには女心は分からない。でも戦場は知っている。
兵達を勇気づけて気勢を上げ、鼓舞して恐怖を取り払う、将星としての機知と采配。
それでも山賊王子なりに、兵の心を掴む術、君子の在り方は知っている。

恐慌が止み、感情の暴発が収まるまで、無言で撫でて、抱きしめてやって、
「…でも、今生の別れってわけじゃねえからさ」
「………」
それでも優しく語り掛ける。
「今晩は無理だけど、でも明日の晩にでもまた会いに来っから、何度でも会えっから」
「……ん」
それさえ待てないと言いたげに、首元に顔を寄せてくるリュカの背中を、
ロアはしょうがないなと言わんばかりにぽむぽむと叩く。
「そりゃ、俺だってこうしてたいよ。寝て、起きて、食って、子作りして、また寝て。
そうやって暮らしてけるんだったら、俺だってリュカとそうしてたい」
想像して、そして二人同時に『贅沢だな』と思う。
煌びやかな宝飾も、歌や踊りや演劇もない、酒と女が少量あるだけだが贅沢だと。

「でもさぁ、やっぱ男たるもん、食い扶持は自力で稼がねーと」
「………うん」
光明神教の教えに反し、公然と一夫多妻が認められているオルブであるが、
しかし父や兄を見てきたロアからすれば、それは特段理不尽でもない。
「でないと、お前が子供産んでくれても養えないし、…な?」
「……うん」
きちんと愛せてちゃんと面倒も見れるからこそ、妻子が何人居ようと問題ないのだ。
更にそれらを養う食い扶持が、正統な責務の対価であるなら尚更良い。

「……ろあ、ごめんなさい」
「ん?」
リュカはとても賢く頭がいい。
「……わがまま言って、ごめんなさい」
だから道理を諭され冷静になれれば、すぐに反省することが出来た。
「ん。いいんだって、俺がそもそも大言吐いたのが悪いんだし」
辛いのは自分だけではないのだと分かれば、そこで素直に引き下がることが出来た。
「誰だって泣き言言いたい時や甘えたい時はあるって。俺なんていつもそーだ」
「んふ……」
むしろ理解して、慮ってもらえればそれだけで嬉しい。
ほっぺたにキスをされて、思わず甘えてしまいそうになって、――でも居住まいを正す。

「……怖いんです」
冷静になった今だからこそ、伝えなければならなかった。


<続>

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最終更新:2009年01月05日 16:47

*1 ……暇だなぁ