長きにわたった戦乱の世が終わり、大陸に平穏が訪れた。
西部の新興勢力を壊滅させた勇者軍と覇王軍が和平条約を結び、戦争の終結を宣言したのだ。
覇王軍・勇者軍及び各地の軍組織は解体され、大陸軍として統合された。
大陸には議会制が設けられ、各国の代表達が話し合いという形で問題にあたる事になった。
各地の街は春の訪れとばかりに活気に溢れ、勇者達は祝福と感謝の賛歌と共に讃えられ、
連日を通してのお祭り騒ぎが続いた。
それは元・帝国であった領地でも同じであった。
商人が各地の産物を卸し、露店には食料品に生活雑貨がずらりと並べられ、
城下は活気にあふれていた。

「城下がこのようなにぎわいを見せるのは初めて見た気がする」
夜、月夜に照らされた城の一室で椅子に腰掛けた女性がふと呟いた。
意志の強そうな眼はどことなく柔らかく、温和な表情をみせている。
絹の衣服を纏い、白く浮かび上がる肢体は少女にある初々しさではなく
成熟した女性の艶やかさを醸し出している。
「あれから……もう2年にもなるのだな」
「そうだね……だけど問題はまだまだ山積みさ、自治権やら領地権やら…」
隣に座る男性が同じように呟く。


「しかしお前があの一族の血を引く者だったとは……あの時は心底驚いたよ」
「黙っていてすまなかったと思う……」
2年前の湖畔での一夜の件(くだん)を男性は謝罪した。
「だが、そのおかげで皆を説得する事ができた……父王に諫言した一族の最期には皆、同情したのだ。
お前の一族の長は最も優秀な側近でもあったと聞いている」
昔を思い出すような口調で女性は告げた。
「…………君は僕で……僕で本当に後悔していない?」
その言葉に女性はクスッと笑みを見せ、わざと声を上げて言った。
「………お前がその台詞を言うのか?」
女性は立ち上がり、椅子に座る夫の肩に手を掛け、口づけをした。
吸い込まれるような美しい紅色の瞳が夫を見つめ、微笑み浮かべながら囁いた。
「私の純血を捧げたのだぞ?それはこちらの台詞だ」


「はああ……んんんっ!」
ティルフィードが背を仰け反らせて叫びました。
湖畔での一夜限りで別れた二人。
それが数奇な縁で再び巡り会えた。しかも今度は『夫』として。
勇者軍の使者として条件が記載された書簡を携え、現れた時には呆気に取られたものだ。
そして遅れてこみ上げてきた歓喜の声を、高鳴る胸のときめきを押さえ、ひた隠し通すのはなかなかに苦労した。
しかも講和条件に、リュイナッツとの婚約が盛り込まれていた事には運命とさえ思った。
もちろん条件に目を通したヘスタトールやキエルヴァは『政略結婚だ!』と大反対だったが、
勇者軍と協力して西部の逆臣達を討ち取るまでは……と渋々、納得した。
そして西部平定直前の軍議の場で明かされたリュイナッツの真の素性には心底驚かされた。
既に取り潰されていた帝国貴族の末裔が、その本人だと言うではないか。
『嘘だ』と罵るヘスタトールに対してリュイナッツが見せた紋章が刻まれたペンダント。
それには覇王軍の軍旗に記されている紋章。これは覇王の一族の紋章ではない。
覇王が取り潰した側近の弔いとして用いたものだ。
その確たる証拠に帝国の上層部の者しか
知らない当時の記録まで本人の口から語られたのだ。
これにはヘスタトールも面をくらった。


密かに進めていたリュイナッツ暗殺計画を断念しなければならない状況に追い込まれたからだ。
計画の協力者達がリュイナッツの前で片膝をつき『新王様に忠誠を誓います』と頭を垂れたからだ。
もはや、結婚に反対する者は誰もいない。むしろ祝福するものまで出てきた。
リュイナッツとティルフィードは正式に婚儀を済ませ、新王の座へと即位した。
そして初夜――――――
それこそ足腰が立たなくなるまで燃えに燃えた。東の空が明るくなるまで愛を確かめ合った。
生涯巡り会う事はないだろうと…かりに巡り会えたとしてもそれは、どちらかが命尽きる時だろうと諦めていた。
その切なさを自ら慰める事で堪えていた二人。その情熱は今も尽きることはない。
となれば必然的に冒頭の様な行為に発展する。

「あっあっ!き、今日は…す、んん、凄いな!ふっ、ど、どうしたんだ!?」
今のティルフィードの格好は尻をむき出しにした格好だ。
リュイナッツの手が腰を掴み、下着の脇から挿入され、達したまま後ろを振り返った。
「はぁ…ん、ティル……ん、んんうう」
ティルフィードの下着の色は黒。
美しい両脚が膝上まで黒いストッキングで覆われ、黒いガーターベルトで引き上げられていた。
話し合っていた時に意識していたのだろうか、黒い下着の股間の部分が濡れている。
「あはっ…リューイのが中で大きく…ん…そんなに私の尻が魅力的か?」
椅子の背に手をつき、ティルフィードが含んだ笑みを浮かべた。
湖畔での一夜の際に浮かべたフフンッと口元が片方、上げた余裕の笑み。
が、それは快楽に必死で耐えている表情の裏返しであった。
「はぁ…はあ…そ、そうだよ…最高だよ…くぅぅ…」
ズンッとティルフィードの最奥まで届くようにリュイナッツは大きく腰を突き出した。


ああっ…あっ…リュ、リューイ……そう…そこ突いて、胸も…」
リュイナッツは密かに胸中で呟いた。
(ティルのお尻は確かに魅力的なんだよな。でも……服の上からだけど…
キエルヴァさんは豊満な、それでいてむっちりとしたお尻で…ヘスタプリンさんの
褐色のお尻も張りの良さそうなお尻も…スカート捲れた時にティーバックだったし…
ティルのお尻は少し小振りで柔らかいパン生地みたいな……な、何を考えてるんだ僕は!?)
「女の乳は男を狂わせるのだろう?ふふ…どうだ、私の胸は?」
そう言ってティルフィードはリュイナッツに向き直り、首元から覗く胸の谷間を
強調して見せた。あの頃とは比べ物にならない程、豊かに育った胸にゴクリとリュイナッツの喉が鳴った。
「ふふふ……それとも私の口で…口淫を期待しているのか?お前達の言葉では『フェラチオ』と言うらしいな」
「ど、どこでそんなティル!?」
「それは秘密だ」
「―――す、吸ってくれるの?」
くすくすと笑うと「うん」と肯定の意味を込めてティルフィードは頷いた。
既に起立しているリュイナッツのモノに舌を這わせ、指先で鈴口を軽くノックするように指を使う。
「う……」
「んちゅ……いいぞ、リューイのその表情…ああ、私もゾクゾクする」
竿に添わせ、犬歯で軽く甘噛みしながら、唾液を擦りつけ始めた。
「……あっテ、ティル!」
リュイナッツは段々と荒くなる息を押さえ、股間に踞るにティルフィードを見た。
ティルフィードは満足気に笑み、絹の衣服の両肩に手を掛けて前をゆっくり開いた。
黒い下着に覆われた白い大きな乳房がリュイナッツの眼前にさらされる。
「ふふ…眼が獣のようだぞ、リューイ……この乳で奉仕して欲しいんだろう?」
ティルフィードは下着を着けたままリュイナッツのモノを挟み込んだ


「うっ…く…ぁ…」
圧倒的な圧迫感にリュイナッツは思わず唸った。ぐにゅぐにゅと脈動する
柔乳に挟み込まれる感覚は何とも形容しがたい。
「あはははっ、ピクピクしているな。こうやって…ん、ぺろぺろと舐めると」
ゆっくりと乳房を上下させ、先端が飛び出る瞬間を狙って、そこを口で責め、裏筋を舌を這わせる。
リューイの脳裏にあの街でのリンゴ飴を舐めるティルフィードの舌が鮮明に脳裏に映った。
「ぐう…あっ…テ、ティル!」
乳房を両手で抱えシュッシュッとリズムよく扱き上げる后の淫らな性技にリュイナッツは思わず天を仰ぐ。
「もう降参か?堪え性がないな」
リューイが拳を握りしめ、モノがビクンビクンと大きく反応する。
それを見て射精を悟ったティルフィードは扱くスピードを早めた。
口をすぼめて、先端に舌を這わせ、手で睾丸を覆う皮を優しく揉むほぐす。
「す、好き放題言ってく…くうううっ!」
「我慢するな、身体に毒だぞ?」
「うっ…ぐう!」
リュイナッツがついに限界に達した。それをティルフィードは見逃さず、モノを唇で覆った。
モノの先端がビクビクと震え、グワッと大きくなると透明な液がピュッと出され、
続いてゼリー状の白濁液がティルフィードの口内に勢いよく飛び出した。
「ん…はぁんくううっ、はむ…んぐんっんんっ」
唇を深く被せ、手でモノを扱きながらティルフィードはリュイナッツの射精を口内で受け止めた。
「ぐ…あ、ああ……テ、ティル…うっ」
腰をガクガク振るわせながら、身をかがめ后の頭部に手を回し、腰を突き出す新王。
「うっ…ううう…く…」
ようやく長い射精を終え、ティルフィードが唇を引き抜くと、その口元からとろりと白濁液が垂れ落ちた。
「んぐぐ……ケホッケホッ…濃い子種だな…喉に絡みつく…」
ゴクンと喉を鳴らして口内に溢れる白濁液を飲み込む皇女をリュイナッツは思わず抱き締めた。
「はは……私の口はよかったか?」
「ああ…最高だよ…ティルにしてもらえるなんて…」
「そう思うなら……こちらもな?」
ティルフィードは精液で汚れた下着に手を掛けた。


「うん、あ…ああ…ティルの胸…ん、柔らかくて…ん、んっはぁ…ん、んんん…ティル!はっはっはあああ…」
リュイナッツはティルフィードに折り重なり、胸に指を食い込ませ、上下左右に色んな角度で突っ込んだ。
「あはァはんっ!いい、それいい!!わ、私の中がっ!んんんっ!はっはああ!」
髪を振り乱しながら、乱れるティルフィード
「ふ、ふふ…こ、こんな姿…宰相には…見せられないな…んふっ!」
ティルフィードは己を組み敷くリュイナッツの唇に吸い付くようなディープキスをした。。
口内で絡み合う舌は何とも言えない程、甘く、ねっとりとした熱を帯びている。
「ね…ん、ティル…くっ…そ、そろそろ欲しくない?」
「ん、あふ…そ、そうだな…ん、世継ぎは欲しい……もっと…もっとして!
それで私を……孕ませ…ああっ、そ、その為に側室を廃したんだ!わ、私だけ
お前が抱いていいのは私だけだ!んんっ!」
くるりと反転し、今度はティルフィードが上になった。こぼれ落ちてくる豊満な乳房にリュイナッツは吸い付く。
「そう、吸って…ん…あ…もっと…強く…んんッ」
リュイナッツは下から両手でぐにゅぐにゅと揉みほぐしながら吸い続ける。
乳首は充血して完全に勃起し、その刺激を歓喜するように受け入れる。
そして再び、リィナッツが上になり、後背位に戻るとフィニッシュのように激しく尻に打ちつけた。
「ああっ、いい!いいぞ!リューイ!!もっと、もっと、もっとして!」
リューイは我を失ったかのように乱れるティルフィードの尻に腰を叩きつけた。
じゅぷじゅぷと先走り液と愛液とが混ざり合う粘着音が淫らな性交の終局を告げる。
「あっティルッ!し、締め…くうう…き、キツ過ぎる」
「リューイ、リューイィィッ!わ、私、私!もう、もうダメェェッ!」
我を見失うほど乱れまくり、絶叫するティルフィードの乳房を掴み込み、乳房の形が変わるほど
指を食い込ませるとリュイナッツはぐっと限界まで腰を引き、ずぶっと力一杯突き出した
グググッっと下腹部からモノの内部を精液が昇ってくる快感は最高だ。
「テ、ティル!だ、出すよ―――うっ」
「来て、来てぇぇッ!あ、あなたっ!!」
膣の収縮と共にリューイは二度目の射精をティルフィードの中に解き放った。
体内に注ぎ込まれる熱い轟きに后の身体がビクンビクンと疼き、
ベッドに突っ伏すようにして身を横たえた。
「あ…はあ…ティル…ティルフィード……」
挿入したまま、その背に覆い被さり、その白い項に軽いキスを繰り返す。
尻をうねらせ、挿入されたモノから逃れると、どぶっと膣口から白濁の糊のような体液が糸を引いた。
「は…ん…お、お前の子種は濃すぎる…この間の謁見最中に下着の脇からこぼれ落ちてきたんだぞ?」
「ははっ……そうか、それで顔を赤くしてたんだね」
「そうだ……だが世継ぎの心配は無用だな?お前には皇位継承権を争うぐらい子を孕まされそうだよ」
フンッと昔のように鼻を鳴らせ、そっぽを向く若い后は何とも愛らしい。
「拗ねた顔も可愛いよ、ティル」


その頃……
「お兄様、それくらいにしておかないとお身体に触りますよ?」
城から遠く離れた山林の館でヘスタプリンが兄のヘスタトールに自重を促した。
「……くうう…な、亡き先王様、王妃様…申し訳ありませ…ううう……」
飲み過ぎると泣き上戸になる癖をヘスタプリンは心得ていた。
キエルヴァからの報告によるとこんな状態がかなり長期間に渡っているとのことだ。
「ヘスタトール殿、致し方ない事です。女王陛下が下された御判断……帝国の領土は
失われましたが、覇王様の血は受け継がれたのです。
我々はまたティルフィード様に仕えることができ――――――」
そこで紅髪の女武将は「しまった」とばかりに手を口に当てた。
目の前にいる軍師…いや元・軍師は帝国の解体と皇女の婚姻の責任を取って職を辞し、隠居中の身なのだ。
「し…失言を…も、申し訳ありません」
キエルヴァが背中をさすりながら自重を促す。しかしもう酔いが回っているのかダークエルフは泣きに泣き続けている。
「そ…それでも…それでも…あのような者を王として…み、認め…忠誠など…ううう」
「それは構いませんよ。忠誠を誓わなくとも、お兄様はもうお仕えする身ではありませんから」
励ましているのか、はたまた、突き放しているのか、現在の宰相であるヘスタプリンはケロッとして言った。
「宰相殿……こ、この場の…その…『気』を読んで下さい!」
腹の底では『空気読めよ!この馬鹿野郎』と罵っているだろう。
キエルヴァの表情はわかりやすい。感情が露骨に顔に出るタイプだ。
もっとも、その彼女も今や『紅髪の騎士』の通り名をもつ勇猛な武将へと成長していた。
「私はリュイナッツ様を王として迎え、忠誠を誓わせていただいておりますから。
残念なのは女王陛下が側室を廃されたことですね。私(わたくし)……側室として自信ありましたのに」
ほほほっと上品に笑ってみせる妹に兄は髪を逆立てて絶叫した。
「うるさい!その名前を私の前でだすな!もう一人にしてくれ!出て行け!出て行けええ!」
わーわーぎゃーぎゃー…もはや手のつけられない状況になってきた。
「さ、宰相殿!ヘスタトール殿も落ち着いて下さい!」
机の上はひっくり返り、茶が入ったカップは割れ、酒が入ったボトルが床に転げ落ちる。
「きゃあ…では後は頼みましたよ、キエルヴァ殿。私は城に戻りますので、
くれぐれもお兄様が飲み過ぎないようによろしくお願いします」
「えっ!?ちょ…それは!」
「大陸軍に寿退社制度を設けるかどうかは検討中ですので。それまでは程ほどにしてくださいね?」
「で、ですから!私はヘスタトール殿と…そ、そのような関係では!」
紅髪の騎士の頬はその髪よりも赤く染まっていた。
キエルヴァの表情は実にわかりやすい。
館の外に出てヘスタプリンは満天の星空を見上げた。
「私も…いい相手が欲しいものです」
ダークエルフの宰相の密かな願いは星と共に夜空へと消えていった。

END

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最終更新:2010年04月24日 19:24