「一体、どこに行かれたというのだ!!」
本拠地である帝都の一室でダークエルフの軍師であるヘスタトールは頭を抱えた。
「確かに………書き置きには2、3日で戻るとありましたが…」
ティルフィードが残していった紙切れを見ながら、ダークエルフの妹ヘスタプリンが呟く。
「姫様はここ3日の間心労がたたって、床に伏しているという事にしているが…もう限界だぞ。
将兵の士気に関わる!プリン、もしや、姫様の行き先を知っているのではないだろうな!?」
「まさか…それならとうの昔に連れ戻していますよ」
しれっとして妹は兄の疑いから身を引いた。
「同じ女性として見当がつかんか?」
「全く見当が付きませんね」
妹からの即答にがっくりと肩を落としながら軍師は呻いた。
「姫様が幼き頃より仕えてきたこの身。
姫様の身に何かあれば亡き先王様や王妃様に申し訳がたたん!」
「……そ、そうですねぇ~」
実際のところ、ヘスタプリンは兄の疑ったとおり、ティルフィードから
行き先も、目的も聞き、それを容認し、協力もした。
若干17歳といえども、覇王亡きあと、動揺する帝国内や将兵をまとめ上げ、
一大勢力にしたティルフィード。皇女自身の政治能力もさることながら戦闘能力は桁違いだ。
帝国の猛将達でもその剣術に太刀打ちできるものは数えるほどしかいない。
さらに万が一に備えて、ティルフィードの命に危機が迫るような事態になれば
その身を強制的に帝都へ転送させる魔術も掛けている。それはヘスタプリン自らが行った。
「ああ…こんな事が他の主将達に知れたら…考えるだけで胃が―――」
「兄様、大丈夫ですよ。皇女様は何かお考えがあってなされた事です。
きっと戻ってこられますよ」
心の中で『このロリコン野郎』とやや引きながら、兄を励ます妹であった。


「はい、ティル。リンゴ飴」
「これはリンゴなのか?飴なのか?一体、どちらなんだ?」
次の日の夜、アリスに強引に誘い出された二人。案の定、アリスはどこかに消え、
二人で夜の出店を回った。初めはよそよそしかったものの………
せっかくの割引チケットなのだから…小腹がすいたから骨付き肉を。
辛かったので葡萄酒を。デザートが食べたいなぁ~とシャーベット。
食後のお茶にする?と紅茶を。そして先のリンゴ飴。
何気なしに出店を満喫している二人であった。
酒が入ってほんのりと紅がのったティルフィードの肌にリュイナッツはいつになくドキドキしていた。
(……意識してないつもりだったけど…ティルってか、可愛い。何か凛々しくて…)
自分より背が低いため、衣服から覗く白いうなじに、淡く実った胸元に引き締まった腰
そこから柔らかな曲線を描く尻のライン。
「ん、んーとリンゴに飴が塗ってあるからどちらでもあるんじゃないかな?」
「そうか…ならば、この甘い飴の部分を頂こう…ん、甘くて…んちゅ」
ペロ…ペロ…と舐める舌にリューイはさらに顔を赤くした。
「…………」
(…げ、な、何、反応してるんだよ…み、みっともない…)
ズボンの不自然な膨らみを隠すようにリューイは足早に界隈を歩いていった。
そして着いたのは街の水源にもなっている湖を一望できる丘だった。


「ここは?」
「僕のお気に入りの場所。夜は獣が出ることがあるから街の人はほとんど来ないんだ」
祭りの明かりに上を見上げれば満天の星空に月。それが湖に反射に映る。
まるで湖を一枚の紙に見立て、そこに星という色をちりばめた壮大な芸術品のようだ。
「……美しいな」
リンゴ飴を食べ終え、ふとぽつりと呟く。
「そう、よかった……」
丘のゆるやかな斜面に背をあずけた。ふと、リューイは呟やくように言った。
「僕の父は勇者軍の一人だった……でも、覇王を倒したからって、この世は平和にならなかった」
「混沌と破壊の調べの奏でたのは勇者達だった……」
「そう、皮肉な話だよ……覇王を倒しても誰も感謝なんてしてくれなかった。
憎まれて、恨まれて、罵られて……今までの苦労はなんだったのか…
血と汗にまみれて、ネズミを食べ、泥水をすすってまで戦った意味は何なのか?
そんな父は絶望して……」
「自らの命を断ったのか?」
「……でも父は、父さ。僕は僕だ、きっと新生帝国軍を倒して、そしたらティル――――――」
ガバッと起きあがったリュイナッツはティルフィードの手を持ち、言った。
「ぼ、僕は君が好きなんだ。だ、だから僕と――――――」


「倒された帝国の者はどうなるんだろうな?」
リュイナッツの言葉を遮るようにして、ティルフィードはぞっとするような声で言った。
「え、ど、どうなるって…それは……」
言葉に詰まるリューイをキッと睨みティルフィードは言った。
「お前の父は自ら命を断ったと言ったな。感謝されなかったから命を断つ……ふざけるな!
父王を討たれた私がどんな思いをして軍を立ち上げたと思う!?」
ティルフィードは激昂して叫んだ。
「……父王?ティル……?」
「父王が討たれて、逆賊のせいで帝国が分裂する寸前だった!
信頼できる臣下は数人のみ、何度も何度も死にかけたさ!
それなのに勇者共は大陸を平定するどころか望みを断って、戦で戦友に剣まで
向ける…愚かすぎる!勇者とは何だ!?正義と愛と自由の為に戦うのか?
…その敵も正義と愛と自由の為に戦っていたとしたら?」
「ティル…ティル…ま、まさか君は!?」
「私はティルフィード。貴様ら勇者共に討たれた覇王の娘だ」
「なっ――――――!?」
掴んだままの手、端から見れば愛の告白をしているようにしか見えない格好だ。
しかし、その告白は女性からの衝撃的なものだった。
「離せ!この手を離さないか!お前なんかに触られたくない!離せ!」
手を握られたまま叫び、手を振りほどこうとするティルフィードだが力が入らない。
またリューイはその手を離さない。
「で、でも…君は…僕は君を……ティル」
「わ、私は女である事を捨てた…父王が倒れたあの時から…
女であることを…捨てようと……お前のせいだ!!」
「な…えっ…!?」
「お前が私を『女』に戻した!お前が…お前といると……」
震えながら気丈に睨み付けていたティルフィードの眼に涙が浮かび上がった。
「リュイナッツ!!」
見つめ合う二人……永遠とも言える沈黙、先に動いたのはティルフィードだった。
二人の距離がゼロになった。
初めは軽いキス…そして二人の唇が離れた。そして再びキス、今度は燃え上がるような
激しいキスだった。二人は互いを貪り尽くすような濃いキスを繰り返した。


「ん……そ、そこ……はっ…」
細い腕でリュイナッツの頭部を押さえながら
ティルフィードは唇を噛みしめた。
「んぷ…れろ…ぷちゅ……はっ」
リュイナッツはティルフィードのスカートを剥ぎ、
両脚の間に頭を埋め、股間を愛撫している。
「ま、股…なんて…舐め…んっ…はっ」
ピクン、ピクンと背を反りながら天を仰ぐティルフィード。
「あ、あ…んっ…こ、こんな事…ん」
下着をずり降ろした格好のまま愛撫を受ける皇女は何とも淫らだ。
「…は…ん…んんんっあ、は…は」
ピクンッピクンッと皇女は尻を振るわせ、脱力した。
達した後の余韻に耽りながら、リュイナッツに視線を向けた。
「テ…ティル…お尻を上げて…」
リュイナッツはティルフィードの尻を揉みし抱きながら、少し浮かせると
脚を揃えさせ、下着を抜き取った。
「はっ……リューイ」
まだ産毛ほどしか生えていない皇女の恥部が
月明かりに照らされてテラテラと光っている。
「…ティ…ティル…」
リュイナッツがティルフィードの股を開いた。
シミひとつない白い皇族の四肢に魅入られた
勇者は本能に任せたまま、自身のベルトをゆるめ、勃起したペニスを取りだした
「そ、それ………」
初めて見た異性の男性器にティルフィードは眼を疑った。」
猛々しく勃起するソレが自分の恥部に入るとはとても思えない。
「ティル……力を抜いて」
リューイは優しくティルフィードを抱き締めた。
「あ……」
そうされるだけで不思議と強ばった身体の力が抜けた。
「…リューイ」
ティルフィードは自分の上に覆い被さってくるリューイを受け入れた。
淡く白い乳房が引き締まった筋肉に支えられて、
そのピンクの先端がツンと上を向いている。
リュイナッツはその先端をゆっくりとティルフィードの潤んだ秘部にあてがった。


「ティ…ティル…ん、あ…くっ…」
「ん……はっ…うっ…リューイ…が…入って…」
リュイナッツの分身が自分の中に押し入ってくる感覚にティルフィードは震えた。
「ティ…ティル…好きだ…ティル」
リュイナッツはティルフィードの小振りな乳房をむにゅむにゅと優しい手つきで
揉みほぐしながら、腰を押し進める。
「あ…や、やめ…そん…揉ま…リューイ」
ティルフィードは眉を潜め、リュイナッツの両手を掴んだ。それでもリュイナッツの両手は止まることはない。
「あ、ああ…でも…柔らかい…ん」
腰をゆっくりと推し進めながら、リュイナッツはティルフィードの胸にむしゃぶりつき、力強く吸った。
「やっ…はっ、す、吸わない―――――――んんん」
ティルフィードが喉を仰け反らせて喘ぐ、小振りな胸がぷるんと弾み、背中がピンの反り返る。
それでもリュイナッツは執拗にティルフィードの乳房を交互に吸い、舐め回した。
「はっティル、ティル…うう…はっ」
リュイナッツはティルフィードの胸を掴み、腰を激しく突き動かした。
「あっ!い、痛い…リューイ、もっと…ゆ、ゆっくり」
ズッズッ…とリューイの剣突を受けるたびにじゅぶじゅぶと結合部から
鮮血と愛液粘った音が響く。
「ご、ごめん、き、気持ち良すぎて…止まらない」
「リ、リューイ!ダ、ダメッ!そんな激しくしな…く、くうう」
リュイナッツは眉間に皺をよせ、ティルフィードの腰を掴みこんで突きまくった。
ティルフィードは歯を食いしばって、いやいやと顔を振り、その唇から嬌声を漏らした。


「ティルの顔、もっと、もっと見せてくれ、ティルの顔」
リュイナッツは突き入れるたびに眉を潜めるティルフィードの頬にキスを繰り返した。
「み、みるなぁ!見るな!私の顔を見るな!」
涙目でティルフィードは訴えたがその声は甘美な響きがリュイナッツの興奮をさらに高めた。
「ああッ、出る…出るテ、ティルフィード!」
リュイナッツの剣突が最高潮に達し、ティルフィードは叫ぶように言った。
「いやああッ、見るな見るなぁ!私…私の顔、見ないでえええ!!」
「ティル…あ、ああ…うっ!」
リュナッツの呻き声と共に叩きつけた腰がビクンビクンと痙攣した。
ティルフィードの最奥にリュイナッツの精が爆発するような勢いでびゅるると注ぎ込まれた。
「あっああっ!愛してる愛してるよティルフィード」
少し遅れてティルフィードが背を反らせ、甘い声をあげ、身体を痙攣させた。
「あうっ…んんん…リュ、リューイ…」
「はぁ…はぁ…はぁ…」
気持ちよすぎて声を発する事ができないリュイナッツはまだ残る精を皇女の中に
吐き出していた。その度にあっ…あっ…と尻を振り、軽く悶えるティルフィードの
姿は何とも言えない妖艶さをかもしだしていた。
「あはぁ…愛してる…愛してるよ…ティルフィード……」
「ああ…私もだ…リュイナッツ」
リュイナッツは短い呻き声を漏らしながら射精し続け、ティルフィードの首筋に軽いキスを繰り返した。


「…辛かった?」
「なぜそのような事を聞く?」
ティルフィードが低い声で問う。
その問いに答える様にリューイはティルフィードの目尻に指を添えた。
「涙の跡……」
「っ……確かにな。あんなものを受け入れた日には
痛くて、痛くてたまらん」
「あ…その…ごめん」
つんとしたティルフィードにリューイはあわてふためき、謝罪した。
「だがな……」
「ん?」
「お前を受け入れることができた……」
ティルフィードは微笑み、リューイを抱き締めた。
そしてその表情が年相応の、そして愛くるしい表情と口調で言った。
「罪悪感……それは今もどこかに残ってるけど…
一瞬だけでも満たされた気がしたから………」
「…………」
ティルフィードの寂しげな口調にリューイは何も言えなかった。
当然だ。覇王の娘と勇者の末裔…
忠誠を誓う将に、また信頼する仲間に対して
裏切りともいえる行為を二人は行ったのだ。
「リューイは?」
再度、ティルフィードは問う。
「ああ……ちょっと乱暴な言い方かもしれないけど…す、好きになって
本当に好きになって…君を愛おしいと…この手に抱きたいと思った」
赤くなりながらもリューイはきっぱりと言った。
「私はこの身を……の、呪う…なぜ、このような形でしか出会えなかったのかと。
このような出会いでしか……うっ…うう…」
ティルフィードは消え入りそうな声で呟き、再びその瞳に涙を浮かべた。
リューイの胸に頬を寄せ、額と額を付き合わせた。
視線が先ほどの情事と同じように絡み合う。
「それは違うよ……きっとこんな形だから…出会えたんだと思う、
僕はそれでもいい…君に出会えたんだから…」
リューイの笑みにティルフィードは救われた気がした。
「……ありがとう……もう、夜が明ける……」
「さ、さよなら…なのか?」
「…………ああ。夜が明けたら、もう敵同士だ」
ティルフィードの表情がティルフィードから、本来、あるべく表情へと引き締まった。
そしてその口調も。
「……うん」
「叶わぬ願いが一つ叶った。もう一つは叶わなかったが…」
「もう一つ?」
「普通の女として、お前と添い遂げたかった…いや、しかし――――――」
ティルフィードは少し思案するように顎に手を当て、言った。
「もしやも知れぬが…もうできたかもしれんな……添い遂げた証が」
「え……えーとそうかな?」

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最終更新:2010年01月28日 19:55