10.
 柔らかな月の光に包まれて、2人は静かに抱き合っていた。ラティは既に泣き止んでおり、その
顔をアッシュの胸に埋めている。
 離れるのが惜しかった。ずっとこの温もりを感じていたかった。
 だがいつまでもこうしているわけにもいかない。まだまだ話し足りないこともあるし、何よりパーティー
を抜け出して抱き合っているなどと知られでもしたら、ラティフィアにとってあまりよろしくない事態を招
きかねない。
「姫さま」
 抱きしめる腕をほどき、ラティの肩を掴んで引き離そうとする。肩に触れられた瞬間ラティの肩が大
きく跳ねたが、離そうとしていることに気付くと、アッシュの背中に回した腕に力をいれ、アッシュの胸
板に一層強く鼻先を押し付けてくる。
「10年間」
 ラティがくぐもった声で呟く。
「10年間、貴方が帰ってくるのをずっと待ってたわ。晴れの日も、雨の日も。朝も、夜も。来る日も
来る日も、貴方だけを待ち続けた。もしかしたらもう帰ってこないんじゃないか。約束なんて、忘れて
しまったんじゃないか――」
「自分が姫さまとの約束を破るわけがないじゃないですか」
「それでも、怖かった。怪我はしてないかしら。病気を患ってはいないかしら。ふとした時に、そんなこ
とばかりが頭に浮かんでくるの。
 ――だから、あの日、魔王に侵略を受けていた機械皇国を救った勇者の名前を見た時、凄く
驚いて、凄く嬉しかった」
 機械皇国エルドギア。魔王の信徒によって籠絡寸前にまで陥り、アッシュのパーティーが勇者
候補として世間に知られるに至った、始まりの国。
「生きていてくれた。約束を覚えているかは分からなかったけど、約束通り立派な騎士になってくれ
た。それだけで泣きたくなるくらい嬉しかった。
 それからの毎日は、前よりもずっと楽しくて、もっと不安な日々だった。毎日のように入ってくる勇者
の武勇伝。だけどそれは、裏を返せば毎日貴方が危険な日々を送っていたということだから。だ
から」
 アッシュの背に回した手に、さらに力が籠もり、ラティはまた声を上げずに泣いた。
「心配してくれて、ありがとうございます。それと、ごめんなさい」
 手をほどきかけていたアッシュは再びラティを優しく抱き締めた。
「ねぇアッシュ。これからは、ずっと一緒にいられるのよね?」
「――はい、姫さまがそう望んで下さるなら」
「ずっとずっと、傍にいて、守ってくれるよね?」
「はい、必ずお守りします」
「約束、出来る?」
 アッシュの腕の中で顔を上げたラティはまぶたが赤く泣き腫れていて、目尻に涙が貯まっていた。
「もちろん。この場で、誓います」
 アッシュはラティの頬に手を添えると、指でその涙を拭ってやった。
 ラティの碧眼がアッシュを捉えた。あと少し、もう少しアッシュが屈めば、唇と唇が触れる距離で、
二人は見つめ合った。
「……言葉だけじゃ、足りないわ」
「もう一回、指切りでもしますか?」
「……意地悪」
 そう言って微笑み、静かに目を閉じたラティの唇に、アッシュは優しく自分の唇を重ねた。


11.
 唇を重ねるだけの大人しいキスだった。だが2人は離れることなく、長く唇触れ合わせていた。
 やがてラティが苦しそうに眉を顰めたので、アッシュは唇を離した。つぅ、と2人の間を繋いだ銀の
橋が自重に耐えきれずに落ちた。
 ラティフィアがゆっくりと目を開ける。目尻がトロンと落ち、潤み、熱を帯びた瞳でアッシュを見つめ
……再度目を閉じ、唇を尖らせた。
想い人とのキスの後でただでさえ理性というストッパーが効きづらくなっていたアッシュには、この
コンボは致命的だった。先程とは打って変わってきつく抱きしめ、乱暴に口づけると、舌をラティ
の唇の隙間に滑り込ませた。突然の舌の侵入にラティは最初は驚いていたが、より入り易いよ
うにした唇の隙間を広げ、おずおずとアッシュの舌に自分の舌をからめてきた。
唇を重ね、舌を絡める。性交においては一番最初の段階であるにも関わらず、アッシュは既に
軽い射精感を覚えていた。他の男を知らない処女の柔らかい唇、その口内を舌で蹂躙するた
びに頬を赤らめて溜息を漏らし、その舌に積極的に自分の舌を絡めてくる。その絡み付いてくる
ラティの舌も、そして舌が絡み合うたびに響く唾液がピチャピチャと混じり合う音もまた、アッシュに、
そしてラティフィアにも強い快楽を与えている。
ラティの体ががくがくと揺れはじめた。アッシュが名残惜しそうに顔を離すと、ラティは最後まで舌
を絡めようと、口を開いて舌を出した。なんだか親鳥にエサをねだる小鳥みたいだ、などと考え
ていると、ラティの膝ががくんと折れ、アッシュにもたれ掛かってきた。
「姫さま!?」
驚いたアッシュは彼女を抱き寄せると、ベッドに腰を掛けさせた。そして立ち上がろうとするも、ラ
ティの手がしっかりと服を掴んで離さなかったため、ラティを抱いたままその横に腰を掛けた。
「大丈夫ですか? 姫さま」
「ご、ごめんなさい。その……ちょっと腰が抜けちゃったみたいで」
頬を赤らめ、恥ずかしそうに。

「その……お、大人のキス?……が、気持ち良過ぎて」

そんな、雄の理性を溶かしてしまうような魔性の言葉を吐いた。
「ッ姫さま!」
「え? きゃっ」
アッシュはラティの両手首を掴んでベッドに押し倒すと、また強引にラティの口内に舌をねじ込み、
その口内を思うまま凌辱し始める。歯茎をなぞり、歯を滑らせ、舌を絡ませ、唾液を交歓する。その
たびにラティは苦しそうに、だけど甘い吐息を吐いて、その動きに応えようと舌を絡ませくる。
 ラティフィアの左手首を押さえていた右手を、ラティの左腕をなぞりながらゆっくりとおろし、ラティの
胸元に持ってきた。
「ん!?」
 驚いて悲鳴を挙げそうになったラティフィアだが、唇をアッシュに塞がれている。
 アッシュの右手はゆったりとラティの胸の輪郭をなぞるように動く。同性すら羨む抜群のスタイルを
持つラティの乳房は、間違いなく『巨乳』の部類に入る。ただし決して大きすぎることはなく抜群の
バランスで形を保っている。その乳房をドレスの上からやさしくなぞると、ラティフィアが恥ずかしそうに
身を捩った。アッシュはそんなラティを逃がすまいと左手をラティの腰に回して抱き締め、右手でラテ
ィの左の乳房を掴んだ。
「んんっ、ふぅッ!」
 合間合間、口の端から漏れる嬌声が艶めかしい。ドレスの上から揉みしだくと、彼女の乳房はぐ
にゃぐにゃと形を変えた。
 右手首を押さえていた左手も下ろしてきて、両手で左右両方の乳房を揉むと、ラティはベッドのシ
ーツが擦れるほど大きく身を捩った。
 両手で乳房の感触を楽しみながら、ディープキスも継続する。ラティもキスには慣れたようで、時
折ビクンビクンと身体を痙攣させながらも、アッシュの口の中にまで侵入し、歯茎をなぞったりしてく
る。
 アッシュの両手の動きが止まる。どうしたのか、と恐る恐る目を開けたラティだったが、止まったア
ッシュの手が、ドレスの胸元に掛けられているのを見て、次に何をされるのか理解した。
 ドレスの胸元に伸びたアッシュの手がすすっと滑るようにラティの身体を伝うと、、今まで彼女の乳
房を覆っていた部分がするすると脱げ、彼女の形の良い乳房が剥き出しになった。
「――――!」
 恥ずかしさに耐え切れなくなったラティは、真っ赤になった顔を両手で隠し、イヤイヤと首を振っ
た。


「お綺麗ですよ、姫さま」
 アッシュがラティの耳元で囁いて、ドレスの上からではなく、直接乳房に触れはじめる。ドレスという
拘束から開放された双丘は、丘というよりは山と言った方が正しく、そのボリュームでありながらも自
重に負けず、その頂きはツンと上を向いていた。
「興奮、しました?」
「……馬鹿っ」
 直接触る乳房は、まるで指を吸い込むように柔らかく、アッシュの指の動きに合わせて形を変え
た。
 指を滑らせ、今度はその薄紅色の頂きを、親指と人差し指で挟むと、

「―――――――ッッ!」

 身体を大きく弓なりに逸らせ、ビクビクビクッと何度も痙攣した。
「姫さま!?」
 突然の大きな反応にびっくりしたアッシュだったが、ふと、彼女の太股に目をやると、内股にてら
てらと光る粘液が伝っているのが見え、そして理解した。
 乳首に触れられた瞬間、ラティは達してしまったのだ。
 ラティはアッシュの腕の中で呼吸を整えると、申し訳なさそうにアッシュを見上げた。
「……ごめんなさい、アッシュ。私ばっかりが気持ち良くなって……」
 アッシュは首を横に振り、彼女を抱き寄せた。
「私は、姫さまさえ喜んでくれればそれで良いのです」
 それを聞いたラティはむぅ、と頬を膨らませ、
「それじゃ私が嫌なの」
 と、アッシュの唇をつんと突いた。
「だからアッシュ」

「一緒に、気持ちよくなろう?」

12.
「……恥ずかしいから、あんまり見ないで」
 月明かりに照らされて横たわる彼女の白い裸体はただただ美しく、まるで一個の美術品のようだ
った。くすみ一つない白い肌も、さらさらと流れるように広がった金色の髪も。
 全てのファクターがアッシュの劣情を駆り立て、アッシュの理性をガリガリと削り取る。上気し、赤く
なった頬も、恥ずかしさをごまかすような照れ笑いも。
「……綺麗です」
 もっと気の利いた言葉を知っていれば、と自分自身の語彙の少なさを呪った。だがラティには、
普段から世辞にはなれているラティからしてみれば、飾り立てた1000の言葉より、嘘偽りのない、
たった一つの本音の方が嬉しかった。ましてやそれが、想い人ならなおさらである。
 アッシュがベッドに身を乗り出すと、ギシリ、とベッドが軋んだ。その軋みがまた、アッシュの心臓の
拍動に拍車をかける。
ベッドの上を進み、ラティに寄り添うと、左手でラティの金の髪を優しく撫でた。ラティは嬉しそうに
目を細め、アッシュの手の動きを甘んじて 受け入れていた。
 左手で髪を撫でながら右手を滑らせてゆく。首筋、鎖骨を伝い、ふくよかな双丘へ。その頂きの
突起を指で弾くと、ラティは身をよじらせた。
 右手をさらに降ろしてゆき、臍をなぞり、局部――を通り過ぎ、太股を撫でると、そこは既に溢れ
出た愛液でぐっしょりと濡れていた。
「姫さま、濡れてますよ」
「……いやぁ」
 耳元で囁くと、顔を真っ赤にし恥ずかしそうに身をくねらせて悶えた。
太股を撫で続ける。ラティの曇りない白い肌をアッシュの指が這うたびに甘い嬌声をあげ、蜜壷
の奥から粘液が溢れ出してきて、ベッドに大きな水溜まりを作った。耳たぶを噛みながらラティの
反応を楽しんでいたアッシュだったが、その一物は既に大きく猛って臨戦体勢だった。
「っ姫さま……」
「あ……」
 苦しそうに呟くアッシュのいきり立つ一物を見たラティは、顔を赤らめ、静かに、だがしっかりと、頷
いた。

「……来て」


 両手でラティの足を広げさせると、その陰部があらわになる。もはや前戯の必要もないほどにぬ
れすぼり、妖しい光を放つその蜜壷に、アッシュは釘付けになった。
 ――ここに自分自身を入れたら、いったい自分はどうなってしまうのだろう。
 そう考えただけで射精しそうになる。
 亀頭を入口に押し付けると、途端にラティフィアの身体が強張るのが分かった。嫌なのだろうか、
と少し不安になったアッシュだったが、それでも、亀頭から伝わってくる彼女の熱が、アッシュから理
性を奪って行く。
ぐっと腰を押し付け、亀頭を膣内に埋めると、ラティの顔が苦悶に歪む。痛い、と口の端から漏れ
た言葉に尻込みしそうになるが、ラティが足を腰に絡ませてくる。
 ――大丈夫だから。
 破瓜の痛みに唇を噛み締めながら、それでも気丈に微笑むラティフィアに、アッシュは引ける腰を
堪えて、ぐっと前に突き出す。
 男を受け入れたことのない狭い膣内を文字通り“突き進み”ながら、アッシュは身体を倒し、痛
みに震えるラティフィアを抱き締めた。大丈夫と笑ってくれた大切な人を、少しでも安心させたかっ
た。ラティはそんなアッシュの背中に手を回して抱きついた。
「いっ……」
 アッシュの背中にラティの爪が突き立てられる。きゅうきゅうと締め付けてくる膣が根に与えてくる痛
みと、爪を突き立てられた背中の痛み。それら2つを合わせても、きっとラティの痛みには遠く及ば
ないのだろう。だからせめてこの痛みだけは受け入れていたかった。
 やがて一物が膣の最奥部に届いた。ラティの痛みの波が引くまでの間、アッシュは動かずに、
ただその愛しい人の唇にキスを落とし続けた。
「んんっ……ふぅ」
 唇を啄み、舌を吸い、唾液を混ぜ合わせる。右手でラティを抱き寄せながら左手で乳房をいじ
ると、少しは痛みが快楽に中和されたのか、ラティの表情がやや柔らかい物になる。
「うぁぅ……アッシュ……」
 ラティが潤んだ瞳でアッシュを見つめると、アッシュは頷いて、ゆっくりと、腰を動かし始めた。
「はっ、あぅ」
 緩やかな出し入れ。動く度にラティの表情が苦しそうに歪む。
「はぁん、あ、ああ」
 しかし動く度に膣内に愛液が分泌され、次第にその動きが滑らかになる。そしてそれは、2人に
与えられる快楽もまた、次第に大きくなっていくと言うことである。
 動く度に、ペニスにラティの膣の襞が絡みついてくる。離すまいとするかのようにねっとりと絡みつ
いてくる襞がアッシュの竿を擦り、動くだけでイってしまそうな程の快感を与えてくる。
 そして、ラティも。
「あ、あ、ああぁぁあっ、ふぅ、ん、んんっ」
 膣がペニスに慣れてきた事、潤滑油による滑らかに動けるようになった事、そして何より、夢にま
で見たアッシュとの交合。
 ペニスが膣壁を擦る度に女として、否、雌としての悦びが喚び起こされて、彼女に雄を求める淫
卑な本能を呼び覚ました。
 唇を噛み、舌に吸い付き、雌の乳房を揉みしだき、雄の背中に爪を立てながら、腰を振る。そこ
にいるのは勇者と姫でも、ましてや10年想い続けた幼馴染みでもない。一匹の雄と一匹の雌が、
ただ本能の赴くままにお互いの存在を貪っているだけだった。
「んん、んんーーーーーーー」
 激しく腰を打ち付けていたアッシュが、一層深く、膣の最奥に叩き付けるように腰を打ち付けると
同時、これまでとは比べものにならないくらいの衝撃に、ついにラティが絶頂を迎えた。唇をアッシ
ュに重ねたまま身体を弓なりに反らせ、声にならない悲鳴を挙げた。それと同時に彼女の膣もアッ
シュのペニスをきつく締めつけ、アッシュもまた絶頂に至り、白濁を彼女の最奥に吐き出した。


13.
「父は、自分を捨てたワケではありませんでした」
 ラティを腕枕したアッシュが、そんなことを呟いた。
「父は知ってしまったんです。近い未来、新たなる魔王が生まれることも、それを止めることが出来
るのは、バイフロストだけであることも」
「知ってしまった?」
「――父は、未来視の魔法持ちでしたから」
 バイフロストの家系は魔力をほとんど持たない。故に彼らは魔法を使うことは出来ないのだが、
代々1つずつ、禁忌魔術である時空魔術が発現するのだ、とアッシュは言う。
 アッシュの父親は未来を見通す“未来視(さきよみ)”の能力者であり、自分もまたその時空魔
術を1つだけ使うことが出来るのだ、と。アッシュはラティが今まで知らなかった事実を、穏やかに
語った。
「元々バイフロストは500年前の勇者パーティーの一員として名を挙げた家系ですからね。
 ただ500年前と違うのは、バイフロストはもう唯の騎士ではなく、王の一族になってしまったこと。甘
やかされてそだった王族では、これから先の過酷な戦いで勝つことはできないだろう。父は、そう考
えました。だから」
「だから、アッシュを捨てた?」
 ラティの質問に、アッシュは目を閉じて頷いた。
「兄はバイフロストを継がなければならない。もちろん自分はパフリシアに入婿する、という約束は
ありましたが、自分の下に弟も妹もいませんでしたから、兄か自分か、どちらが行くことになるかと
考えれば、答えは1つでした。
 父に最後にあった7つの夜、父は泣きながら強く抱き締めてくれました。お前にばかり過酷な運
命を押し付けて済まない、不甲斐ない父を恨んでくれ、って」
 父が悪いワケじゃないのに、とアッシュは笑った。
 そのアッシュの父も、アッシュが勇者一行として旅をしている最中に他界した。ラティフィアも葬儀
に参列したが、立派な騎士として育った息子の姿に満足したのだろう、その死に顔は、とても穏や
かな物だった。
「その後、父の言葉通りに野に下った父の知り合いの騎士に弟子入りしました。自分はそこで師か
ら戦い方と生き方、そしてこの世界の美しさ、ここに生きる人々のたくましさと優しさを教わりました」
 と、そこまで言って、アッシュはハッとしたような表情になって口を覆った。
「……すいません、自分のことばかり話してしまって」
 退屈ではありませんでしたか?と聞くアッシュに、馬鹿ね、とラティは笑って答えた。
「良いの。もっともっと、貴方の話を聞かせて」
 私たちには欠けてしまった10年間がある。その間を少しでも埋めたいから。ラティはそう言って、ア
ッシュをぎゅっと抱き締めた。
「良いんですか? そんなこと言ってしまって。千夜じゃ語りきれませんよ?
 それに、姫さまの話をまだ何も聞かせて頂いていないし」
「良いのよ。昔からよく言うでしょう?『人生は短い、けど夜は長い』って。まだ、夜は始まったばかり
なのよ。
 それに、これからはずっと傍にいてくれるんでしょう?」
「――ええ、ずっとずっと、お傍でお守り致します」

   ※

「まったく、散々人に心配させといて、勝手に仲直りですか」
 陽が昇り、ラティフィアを起こしに部屋に入ったミーティアは、ベッドの上で寄り添う2人の寝顔を見
て、人騒がせな、と呆れたように溜息を吐いた。
 話疲れて眠ってしまったのであろう2人の寝顔は、まるで10年前と変わらず、無邪気で、とても
幸せそうだった。
 今日は予定もないし、ゆっくり眠らせてあげようと考えたミーティアは、くるりと踵を返し、自室の扉を
開けた。

「2人とも、良い夢を」

 ミーティアは誰にも聞かれないように、2人の幸せを祈ったのだった。

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最終更新:2009年07月07日 03:29