永遠に、美しく ◆zmHe3wMKNg



『いよいよこのゲームも佳境だなー。あともう一踏ん張りだぞ。頑張って生き残れよー。じゃあなー』


若狭吉雄のふざけた放送が終わり、辺りが静まり返る。
日向有人はしばらくその場を動けずにいた。

「……嘘だろ?あと何人残ってんだよ!?」

まだ昼に入ったばかり。その内の6時間だけで15人死んだ。そして、この殺し合いは佳境に入っているという。
最初の放送を聞き逃したこと、ゲームを始めてからロクに人と会ってこなかったことが
却って言い知れぬ恐怖感を彼に与える。
会場を調べて、主催者の目的を調べて、脱出の糸口を掴む。正直今からでも遅くないと思ってしまっていた。
だが、あまりにものんびりし過ぎたのではないか?
既に、自分が気絶して寝ていた間に、もはや取り返しのつかない状況になってしまっているのではないか?
ひょっとしたらもう残っているのは自分以外の全員を殺して生き延びようとしている連中ばかりなのではないか?

「……駄目だ!」

頭を振り、嫌な予感を取り払う。
殆ど何もしていない自分が生き延びているのだ。少なくとも、まだ殺し合いに乗ってない奴は何人かいる筈だ。
そいつらに合流しなくてはならない。一刻も早く、今どうなっているのか知らなくてはならない。
無理やり自分を納得させ、足を踏み出す。

「よし、行くぞ!」

―――――その時だった。

「!?」

診療所の扉の向こうで、ガタリと何かが動く音がしたのは。

「……あ?」

日向有人は再び凍りつく。あの場には死体しかない。
誰か他に、あの場に誰かいたとでも言うのか?それとも……。
とてつもなく嫌な予感がした。

「まさか!?」

日向有人は急いで診療所の中へ引き返した。

ありえない。

あいつは死んでいた。

放送で今名前も呼ばれたじゃないか!

だが、俺が最初に奴と戦った時も奴は死んだと思っていた。

ならば―――――

荒れた内部を進み、待合室の前で立ち止まる。
そっと息を殺し、口を開いた。



「……誰か居るのか?」

予想通り、返事はない。意を決し、扉を開け中を覗いた。中には誰も居ない。
あちこちでガラスが割れている荒れた部屋の中は死体が転がっているだけだ。
森屋英人の死体が一つ、転がっているだけ。

「……まさか……。」

まさか、まだ銀塵院は生きていたのか?

「おいおい、マジかよ!ははっ、バイオハザードじゃあるまいし。」

ふと、違和感に気付き、廊下を見渡した。
そう言えばもう一つ足りない。
顔のない仏さんしか転がっていないのだ。
一瞬の内に、朽樹良子と銀塵院水晶の死体が消えた。

「……なんだ、これは……?」

心臓の鼓動が速くなる。
異様に早いペースで進行する殺し合い。今現在の怪奇現象。
――――何か常識では考え難い事が起きている。
そう考えるより他なかった。





【B-6 診療所/一日目・昼】
【男子二十五番:日向 有人(ひゅうが-ありひと)】
【1:俺(達) 2:あんた(達) 3:あいつ(ら)、○○(呼び捨て)】
[状態]:制服がぼろぼろ、顔面に目立つ切り傷多数(応急処置済み)、全身打撲 、恐慌
[装備]:ボウガン(装填済み)、アイスピック、バングルの片割れ
[道具]:支給品一式×2、ボウガンの矢(18/20)、サバイバルナイフ、毒薬(3瓶)、予備のガーゼ
[思考・状況]
基本思考:殺し合いに乗る気は無い 、一刻も早く今どうなっているのか知りたい
0:マーダーを殺す
1:テトにもう一度会って問い詰める
[備考欄]
※テト達三人が黒幕だと疑っています
※倉沢ほのかの存在が、あの集団にとってマイナスになると思っています
※第一回放送を聞いていません




ガラス戸を開けると、そこには顔をくしゃくしゃにして涙を流している朽樹良子の姿があった。


「こんな形の恋なんて……変よね。」

「でも、これ以上抱え込むなんて無理なの。どうしようもなく…苦しいの」


「………」

喜佳は、泣きじゃくる良子を前にしても、黙るしかなかった。掛ける言葉が見当たらない。

「私の事嫌いになった?」

「……………。」

喜佳は、何も言わずに良子に駆け寄り、何も言わずにそっと抱き締めた。

「嫌いになんてならないわ」

喜佳が掛けたその言葉に、良子は僅かに嬉しそうな顔を浮かべ、喜佳を抱きしめ返した。

「………鬼崎さん………。」

「なぁに?良子……!?」

不意に、喜佳は胸のあたりに違和感を感じた。良子の右手が一糸纏わぬ姿の喜佳の胸を揉んでいる。

「ねぇ、良子!?どこ触ってるの!?」

「ごめ……ごめんなさい……でも……鬼崎さんのそんな格好……我慢できない。」

「きゃ!」

喜佳は良子にシャワー室の中に押し倒された。倒れた二人の上からシャワーのお湯が振り注ぐ。

「ちょっと!良子!やめ!あ……ぷ……うむぅ!」

良子は喜佳の唇を自分の唇でふさぐ。
しばらくの間、二人の甲高い声がシャワー室に響き渡り続けた。



「………………。」

柔らかいベッドの上で、鬼崎喜佳は目を覚ました。ここは島の南西部付近の民家の一つだと思う。
うたた寝する直前に聞いた放送で、生徒がずいぶん減っていて、聡右も生きていて、安心して気が抜けて。
放送された人の中に朽樹良子の名前があって、一気に疲れが襲ってきて。
まぁ、殺し合いの最中で二度も惰眠を貪るという呑気で無謀な行動を取った理由は考えれば色々出てくる。
しかしそれにしても。

「………はぁ、なんて夢みてるのよ……。」

よりによって良子と、数時間前にしてしまった恥ずかしい行為を思い出すなんて。
多分鏡で見たら顔は真っ赤になっているであろう。
いや、女の子同士はノーカウントだからまだ聡右とする時はファーストキスになる筈。
……何考えてんだ私は。
再び溜息をつく。なんだかものすごく疲れている。また寝てしまおうか。
このまま寝てたらいつの間にかゲームが終わってたりして。
……それじゃ駄目よね、いくらなんでも。
喜佳はベッドから降りた。まだ聡右が生きている。
生きている私には、まだやれることがあるのだ。そう信じたい。


「それで……いいよね、良子。」

「おはよー!目は覚めたかしら、喜佳?」





ありえない声が、扉のすぐ傍から聞こえてきた。
驚愕のあまり、息が止まる。

「ん?どうしたのー?」

恐る恐る、顔を声がした方向に向けた。

「………嘘………。」

にこやかに笑顔を作っている朽樹良子が椅子に座っていた。

「元気になったみたいね。良かった。あ、今からお茶入れるねー。」

良子は立ち上がり、電気のついたポットを用意された二つのカップに注いでいく。

(……生きて……いたの………?)

だが、今感じているのは嬉しさではなく底知れぬ違和感。
朽樹良子が生きていた?そんな、そんな筈がない。さっき放送で呼ばれたではないか。
それに、良子は確かに死んだのだ。私の腕の中で。
大体……あんな重傷を負ってこんなに元気に動ける訳ない。
重症?そうだ、傷は!?
喜佳は首だけを動かし、良子のお腹を覗いて見た。
制服が破れ、血痕が付き、腹部に大穴は空いてなかった。

「お茶入ったよー。ねぇ、いつまで突っ立ってるの、喜佳?こっちに来なよ?」
「え……ええ……。」

ようやく膠着状態が解かれた喜佳はゆっくり朽樹の方へ向かって歩き出した。
怪我が治っている?いや、実は私の見間違えで最初から対して怪我なんかしてなかった?
でも確かにショットガンで撃たれて……まさかあれも白昼夢だったとでもいうの?
いや、ひょっとしたら診療所で襲われていた辺りも夢だったのかもしれない。
本当はずっと寝ていていま起きたばっかりなのかも。なんだ、ははは。
良子のすぐ傍まで近づき、もう一度、お中をよく見てみた。

「ん?もう、どこ見てるの?エッチ。」

「…………。」

確かにほとんど治っている。だが良く見ると、あちらこちらに小さな穴が開いていた。
それを、なにか細いコードの様なものが蠢いて一生懸命修復している。
なんだろうこれ?ナノマシン?ていうか――――

「……違う……。」

「え?」

やめろ。

やめろ。

良子の死を穢すな。良子の死を汚すな。

「違う!あんた良子じゃない!」

喜佳はお茶の入ったカップの乗った机ごと、良子を突き飛ばした。

「きゃ!」

激しく転倒し、しばらくして上半身だけ体を起こした。
喜佳は戸惑いを感じながらも、良子を見下ろし睨みつける。

「……バレちゃった?」

良子の顔をしたそいつはニヤリと口を歪めた。

「……誰だお前は?」
「誰でもいいじゃない。あなたの朽樹良子が目の前に居るのよ?」
「喋り方も仕草も全然違う。舐めんなよクソったれ。」


なにが起こっているのかよくわからないが。
良子の死体に良子じゃない何かが入っている?
理解しがたいが、私達が連れてこられた時も瞬間移動させられたとしか思えないことが起こったのだ。
訳の分からないことの一つや二つくらい起こってもおかしくない。そして、そんな訳の分からないことを
遣りそうなのは――――。

「アンタが、黒幕なの?」

そいつは、表情をかえないまま、ゆっくりと立ち上がった。

「ある意味正確。ある意味不正解。この状況、この世界を望んだのはあの二人。
 私はそれが成功した時に得られる物をすべて提供することと引き換えにこの舞台を仕立て上げた。その結果が今。」

「なんの為にこんなこと!?私達を殺し合わせて何がしたいの!?」

それを聞いたそいつは、呆れたように返事を返した。

「あなたこそ、これ以上生きててどうするのですか?」

「……は?」

「仮にゲームの穴を突いて生き延びれたとして、家に帰ったところであなたが幸せになれると思っているのですか?
 継ぎたくもない組を継いで、ヤクザの組長になって。内木聡内と結婚なんて夢のまた夢で。
 これ以上生きててもやりたいことなんて何もできませんよ?
 正直、あなたはここで終わった方がいいと思いますけどね。」

「……なんで……?」

喜佳の家の事情を漠然とでなく詳しく知っている人は内木聡右しかいない。

「舞台を用意する為のバックボーンとなる組織。紫苑財閥。銀塵院教団。鬼崎組。
 これのどれかにする予定だった。あなたもこちら側の候補だったのですよ。
 まあ結局悠の所望通り若狭の……。」

「……へぇ、そうなんだ……。」

だが、こいつはやっぱり分かっていない。
自分は心の中では覚悟しているのだ。組を継ぐことを。
そして裏で暴挙を働く組を変えるのだ。
どんなに困難だろうがそれが私の夢。だから、

「勝手に夢も希望もありませんみたいなこと言わないでよね!
 残念だけど、私にはまだまだやりたいことがあるわけよ。
 できるかどうかなんて、やってみないと分からないじゃない。」

「……ふぅ。」

朽樹良子は扉に向かって歩き出した。その顔は仮面のような無表情。


「状況を覆すのはあなたの力じゃ到底不可能。帰ったら何の準備もなく直ぐに組を継ぐことになる。
 ただの女子高生に過ぎないあなたが思っている以上に社会は汚くて理不尽。
 継いだところで傀儡に過ぎないあなたは周りに利用されるだけにすぎない。
 これはずっと以前から計画されていたこと。」

「……!?」

そうだ。父は、鬼崎虎之佑は謀殺されたのだ。裏に何か、強大な力が働いていた?

「……まさか……おじいちゃんが……?」

外に出た良子は振り向き、ニヤリと笑った。

「急に、強気ではなくなりましたね?まぁ、どんなに威勢が良くても。
 現実の力の前には屈するしかないのが悲しいところですね。
 結局、会場に放りこまれたら碌な反抗もできずに互いに殺し合うしかないあなた達のように。」

気が付くと膝が震えている。自分はおじいちゃんに、鬼崎嘉聖に勝てるのか?
無理だ。勝負にならない。悔しいがそれは私が一番良く知っていた。
そして同じように、目の前に居るこいつとまんまと乗せられている私達では、
勝つとか負けるとかいう以前に勝負になっていない。

「うる……さい……あんたに何が……!」

「まあ、悠もテトも、似たようなものでしたけどね。二人とも強大な力の前になすすべもなく諦めかけていた。
 ――――だから、私が境界を破壊してあげた。夢と現実の境界を。」

喜佳は、やや虚ろになった目で、良子を見た。

「誰なのよ、アンタ。」

「……女子二十二番、二階堂永遠。」


再び、喜佳の元へ近づいていく。

「片桐和夫をドーピングしてつくったマーダーはお気に召さなかったようなので、
 そろそろ本気で私の作品を見せようかと魔が刺した結果が今の行動なのですが。
 そういえばあなたもまだ誰も誰も殺してなかったわね。せっかくですし、いいことを
 教えましょうか?―――優勝賞品の内容とか。」

「……は。景品なんてあったんだ。」

「ええ。この状況は私が卜部悠とテトの要望に合わせてデザインしたもの。
 次は優勝した人に合わせた理想の世界を私が作ってあげる事になっている。」

喜佳は鼻で笑った。

「理想の、世界?……なにそれ?」


「テトの要望通り、ラトも殺した。
 あなたが望むなら、私の技術を駆使して死んだ人を全員生き返らせてあげてもいいですよ。」

「……!?馬鹿、そんなこと出来るわけ……!」

そう言って目の前にある顔を見た。朽樹良子の顔を。

「……ねぇ、どうなってるの?それ?」

「人間の構造などそれほど難しくはない。少し弄れば脳は簡単に乗っ取れる。
 テトやラトが降ろすという神と呼ばれる存在と同じ事を行えばいい。
 今は自分で使っているが……時間さえあればまだ奥に残っている朽樹良子の
 残留思念を復元することも可能だ。」

ありえない、だが。ひょっとすると。
こいつがゲームみたいに人を殺させるのは、簡単に生き返らせれるからだとでもいうのか?

「どうする?やる気出た?」

「……う……。」

生物と非生物の境界を突破する、夢と現実の境界を破壊する、禁断の兵器。
それが今、私の目の前に―――





「……って!一人かよ!」

某所。主催本拠地でもある豪勢な観光船。
その客室の一つで卜部悠は自分で自分に突っ込みを入れていた。
テトは全然帰って来ず、二階堂は再び「お出かけ中」。
今、卜部の前には巨大なPCとよくわからん機械の様なものに頭にプラグを刺して繋がっている
二階堂の「抜け殻」が椅子に座って眠っていた。なんでも、これは会場の「端末」とリンクできる機材らしい。
しかし、レプリカントは全滅したのに何処へ行ったんだろう。

「……まてよ?」

そういえばこのゾンビちゃんは機械部品が一切使われていない心身証明の動く死体。ということは。
彼女の意識が移動できるのはレプリカントの電脳だけは無いということなのか?

なんかテトがラト殺しても二階堂が生き返らせてくれるから大丈夫とかトチ狂ったこと
いってたけど、確かに納得できるわね。生き還っているように「見せる」ことは永遠は
出来るんだろうね。あーあ、絶対騙されてるわあの娘。

コイツが作れるのは所詮ソックリさんの死体人形にすぎないのにね。

でも、ひょっとしたらテトはそれでいいのかもしれない。
自分の望みどおりの彼氏。望みどおりのラト。それは既にラトじゃない。
自分の思い通りのお人形こそが彼女の望みなのかもね。ひひひ。

愛おしそうに椅子で眠る二階堂を見る。
私より目立ってる奴は全員死ねばいいと思っている私だが(朱広竜は除く)
不思議とラトに匹敵する能力をもつこの女にだけは何故か劣等感を感じなかった。
生物学的に人間とは別の存在。それによる諦めにもにた感情、もしくはこいつの正体が
所詮は強化されたAIにすぎないという生物学的な根源的優越感。


まあどうでもいいけどね。
分かっているのはこいつが無敵だということだ。
ラトをそそのかして一週間前に若狭の組織を壊滅させ、この殺し合いプログラムを乗っ取った。
まだ奴の力が回復していまいときにゲームを開始して真っ先に首輪爆破。
あのウザいラトですらこの女の策略の前では手も足も出ずに死んだのだ。

二階堂永遠は機械のAIなんかじゃない。コイツは神だ。

「ハリボテの神様だけどね、ひひひ……!」

足もとがおろそかになっていた卜部は、伸びていたコードに足を引っ掛けて勢いよく転倒した。

「イテテ…部屋の整理くらいしとけっての…!?」

ゆっくりと顔を上げ、前を見る。
コードに引っ張られた二階堂が椅子から転げ落ち。
その頭からプラグが抜けていた。



「…………畜生! 永遠の奴!」






「……!!!!……」

突然、朽樹良子――二階堂永遠が、頭を押さえてふらつき出した。

「どうしたの……!?」

「……接続……断絶……?」


その時、二階堂の後ろを見て。喜佳は驚愕の表情を浮かべ、叫んだ。

「良子!!後ろ!!」

「え?―――あ。」

二階堂の後頭部が、何か固いものにぶつっかって静止した。
その筒状の物からカチリという音とともに何かが発射される。
発射されたものは瞬時小さな鉛玉を飛ばしながら破裂し、
頭蓋と脳髄とともに朽樹良子―二階堂永遠―の頭部を粉々に吹き飛ばした。

「ん、あれ?」

頭部のない死体が血を噴き出しながらうつ伏せに倒れ込む。
イサカM37を構える太田太郎丸忠信はそれを釈然としない顔で見下ろした。

「なぁ鬼崎、こいつさっき俺が殺さなかったっけ?」

その様子を唖然とした顔で鬼崎喜佳は眺めた。
まるで狐につままれたような、夢から強制的に現実に戻されたような。

(……死んだ……嘘……?)

「おーい、聞こえてるかぁ、鬼崎?」

「……馬鹿。そいつが主催者よ。」

何か、笑いたくなってきた。だから自暴気味に喜佳は笑ってみた。

「え?マジ?」

「良かったわね。英雄よ、アンタ。おめでとう。ふふっ、ははははっ。」

あまりにもあっけない結末。阿呆らし過ぎて泣けてくる。
首謀者が死んだら優勝賞品とか首輪とかどうなるんだろう?
でも一つだけはっきりしてることがある。

私は人生を突破する最期の希望を失ったということだ。



「んーどうしたー?鬼崎?」

鬼崎喜佳はさっきから目が虚ろになって笑っている。
うーん。やっぱ同じ奴を二回も殺されると精神的にきついのかね?
ふと、とある欲望が太田の思考をよぎる。今なら簡単にコイツを――。

「なぁ、そんなとこで座ってないで中に入ろうぜ?俺と一緒にさ?」

「……好きにすれば?中古でよければ。」

「え?マジ?相手誰よ?」

「さぁ?ご想像にお任せするわ。」

なんか首のない朽樹の方を見ていた気がするが、軽くながすことにする。
太田は喜佳の肩を抱き、民家の中へ入ることにした。。
不意に、何故か愛餓男が旅行に行く前に新しい規制法案に怒っていたのを思い出した。
なんでも凌辱エロゲが発売禁止になってゆくゆくは学園とか獣人とかあらゆるエロゲが販売できなくなるそうな。
俺の生きがいを奪うんじゃねぇとかやたら暴れてたな。ウザいから何度か殴って気絶させたけど。
……けっ。馬鹿馬鹿しい。ゲームなんかに頼ってんじゃねぇ。レイプも獣姦も、現実の女でヤルもんだろうが!


「くくくく……はははは!」






【女子二十二番 二階堂永遠 死亡】
【残り18人】



【B-5 住宅街/一日目・昼】
【男子六番:太田太郎丸忠信】
【1:俺(達) 2:あんた(達) 3:○○さん(達)】
[状態]:腹部重傷、左肩に裂傷(応急処置済)、脇腹に打撲
[装備]:イサカM37(1/4)
[道具]:支給品一式×3、簡易レーダー、12ゲージショットシェル(7/12)
    S&W M500(5/5)、エクスキューショナーソード(刀身に刃毀れアリ)
    500S&Wマグナム弾(10/10)、追原弾のメモリーチップ
[思考・状況]
基本思考:ゲームを潰す。最悪自分だけでも生き延びる。テトを引っ張り出して調教し直す。
0:男は皆殺し。女は犯してから奴隷にする
1:鬼崎喜佳を奴隷にする
2;グループの仲間(吉良邑子)を捜す。
3:女を引き連れてる“勘違い野郎”は苦しめて殺す(同行している女にトラウマを植え付ける意味合いも込めて)
4:玉堤英人を警戒。
5:「リン」を名乗ってシティーこと苗村都月を捜し奴隷にする。
6:念のため長谷川沙羅に会った場合はリンを名乗る(ほぼ博打行為のためTPOで判断する)
[備考欄]
※「シティー」=苗村都月、「キューブ」=古賀葉子です。
※太田のグループの仲間は三人の他にも居るかもしれませんし、いないかもしれません。
※「シティー」=苗村都月と認識しました。
※「キューブ」については半分諦めています(古賀葉子である確率の方が高かったから)
※二階堂永遠は殺したと思っています


【女子七番:鬼崎喜佳】
【1:私(たち) 2:あなた(たち) 3:あの人、あいつ(ら)、○○(名前呼び捨て)】
[状態]:激しい喪失感、右腕負傷(治療済み)、ショック
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、予備弾(21/21) 、コルトガバメント(5/7)
[思考・状況]
基本思考:聡右と合流したい。仲間を探すことを口実に、彼を探す予定
0:…………。(思考停止)
1:ゲームに乗る気はない。だが生徒の数が減ってくれると嬉しい
2:いつも通りの親しみやすい鬼崎喜佳を演じ、戦いを極力避ける
3:玉堤英人には近寄りたくない
[備考欄]
※聡右がもしもゲームに乗っていたら、どうするかまだ決めていません(自分では確実に殺してしまうという恐怖がある)
※彼女が銃を扱える事実は聡右以外は知りません
※二階堂永遠は死んだと思っています




F-3神社。

「で、私に二階堂さんを回収して欲しいって?」

携帯にかかってきた電話をテトはめんどくさそうに受け取る。

『そうなのよ、ほら、今若狭捕まえてるじゃん?早くあの娘に帰ってきて貰わないと
 拷問器具の動かし方がわかんないからさ。ね?」

「まあ確かに二階堂さんには生きていてもらわなきゃ、何のために無関係な人達を巻き込んでまで
 このゲームを始めたのか判らなくなるけど……別にそんなに気にしなくていいんじゃないの?
 あの娘絶対死なないじゃない。」

『そういう問題じゃない!てか主催者が普通に会場ほっつき歩くな!』

「まぁまぁ、いざとなったらテレポートして逃げるから。ていうか、あなたいつまでそこにいるつもり?
 そろそろあなたも参加してみたらどう?」

『は?それはギャグで言ってるのか?』

「いえいえー。それじゃ、私はやることがあるからこれで!じゃねー。」

『あ!こら!』

テトは携帯の電源を切った。

「まったく。今二階堂さんがどんな姿をしてるかわかんないのにどうしろってのよ。馬鹿馬鹿しい。」

とりあえず無視することにした。ふと、テトは後ろを振り返り、うっとりとした表情を浮かべる。
結界の張られた祭壇の中央に先ほど回収したラトの死体が祭られている。

「まっててね、ラト。もうすぐだから……。」




「けっ。なーに言ってやがる乳オバケ。私が参加してどーすんの!
 広竜が優勝して私と二人だけ生き残るのが理想のエンディングなのにさっ。」

不機嫌な顔で目の前で椅子に縛り告げられている若狭を睨みつける。

「あーなんかめんどくさくなってきた……大体、今更こいつがなにか仕掛けてたからって私達をどうにか出来る訳?」

ぶっちゃけこのペースならこれ以上何もしなくてもあいつ等は勝手に互いに憎み合って全滅してくれるだろうし。
まったく、特に扇動も誘導もしてないのに殺し合ってくれるからこっちは楽でしょうがないわ。

なんか若狭がこっちを見てにやにや笑ってるように見えた。なんかすげぇイライラする。ていうか、カチンときた。

「笑ってんじゃ!ねー!」

卜部は激情のまま、何かの秘密を保たせたまま、若狭の頭を手に持った拳銃でぶち抜いた。
そのまま糸の切れた人形のように倒れ伏す。

「あーあ……やっちまった。ま、いっか。」

卜部は立ち上がり、地図を広げて朱広竜の位置を確認した。
ふん!そんなにいうなら勝手にやらせてもらうわよ!
私に都合のいいようにね!

「広竜。あなたにジョーカーを依頼するわ。あ、そうだ。ひひひ。」

会場に居るんだから文句を言われる筋合いなんかないわよね?
ラトを生き返らせるとかレイプされた復讐とか私にはそんなの関係ねー。
つーかぶっちゃけアンタはラトの次に死んでほしい奴なんだけど実は?

「てなわけで、ついでにお前も巻き込まれて死んじまいなテト!」





ここは住宅街。辺りは静寂に包まれている。
そのどこかの民家の中にある布に包まれた何かがある。
それを中から上下に引き裂いて、

何かが姿を現した。

「太田太郎丸忠信……テトの狂気の発端……中々戦闘力も高い……。」

幼さの残るその銀髪少女は、まるで死んでいるように肌に生気がなく。
首に継ぎ接ぎと、何か機械の様なものが埋め込まれていた。

「ふぅ、おかげで移動する手間が省けた。然し困ったわね。
 本部と接続が途絶えてしまったわ。帰れない。」

少女、銀塵院水晶の顔をした二階堂永遠は、全然困ったなさそうな顔をしてニヤリと笑った。
私がゲームに参加出来ないのも無理はない。どうやったら死ぬのか自分でもよくわからないし。

「まぁ、せっかくだし彼らの様子でも見物しましょうかね。」

再認識する。私はクラスのみんなが大好きだ。
だから一番綺麗な時期に死んで欲しい。年老う前に死んでほしい。一番健康な時期に死体になって欲しい。
そして、死ぬ前に必死に足掻いてほしい。人間は死に際が最も輝くのですから。それを私に見せて欲しい。


「……ふふっ。」


本当、悠と私は非常によく似ている。

彼女も私も、人間非人間以前に根っからの鬼畜だ。








【女子二十二番 二階堂永遠 生存確認】
【残り21人】




【??? 主催本拠地/一日目・昼】
【女子二番 卜部悠】
【1:私(たち) 2:あなた(たち) 3:あの人、あいつ(ら)、○○(名前呼び捨て)】
[状態]:ヤケクソ気味、自信過剰
[装備]:
[道具]:
[思考・状況]
基本思考:私より目立ってる奴はみんな死ねばいい
0:小型船で会場へ向かう(午後2:00頃到着予定)
1:朱広竜に接触してジョーカーを依頼する

【D-5 森/一日目・昼】
【女子二十二番 二階堂永遠】
【1:私(たち) 2:あなた(たち) 3:あの人、あいつ(ら)、○○(名前呼び捨て)】
[状態]:無感動、無感情
[装備]:銀塵院水晶の死体
[道具]:なし
[思考・状況]
基本思考:ゲームを進行させて参加者の様子を色々観察する
0:自主的に参加者は殺さない(ルール違反者は別)
1:せっかくだから会場の戦闘を見物
2:ついでに状態のいい死体を早めに回収して保存する
3:ついでに参加者達をからかって遊ぶ(ゲームが促進するように仕向ける)
[備考欄]
※会場に存在する頭部が破壊されていない死体に意識を移動できます

【F-3 神社/一日目・昼】
【女子十九番 テト】
【1:私(たち) 2:あなた(たち) 3:あの人、あいつ(ら)、○○(名前呼び捨て)】
[状態]:ラトへの盲目的な愛、他者への強い憎悪、多少の罪悪感
[装備]:携帯電話(本拠地との通信専用)
[道具]:ラトの死体
[思考・状況]
基本思考:ラトを自分の理想の恋人として生き返らせる、クラスメイトを巻きこんで太田達に報復
0:自主的に参加者は殺さない(ルール違反者は別)
1:太田太郎丸忠信、吉良邑子、貝町ト子は自分が直接殺したいが今は我慢
2:材料を集めて回る。

[備考欄]
※会場内を自由にテレポートできます

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最終更新:2009年09月10日 05:44