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1最近、男がお弁当を持ってこない日がたまにある。そうなると多分彼はパンを購入している訳でありお米派としては断固阻止したいところなのだが、当人は私にばれていないつもりらしい。しかし流石の私も怒りで有頂天なので、今日は彼のライス弁当も一緒に作ってきた。これを渡せば彼も今までの行動を反省して、お米の大切さを思い出してくれるだろう。そして現在、お昼休み。彼は恐らく購買に行ったのだろう。姿が見えない。だが、こんな事もあろうかと今日は秘密兵器を持ってきていた。円形で上にボタンがあって、星のついたボールを捜すドラゴンなんとかに酷似しているが気にしてはいけない。彼にこっそり取り付けた発信機が球状でスターがついている事も口にしてはいけない。「さてさて、探してみるとしましょうか。……ぽちっとな」画面を見るに反応があった場所は……屋上?しまった、既にパンを食べているやも知れぬ!クラウチングから最高のスタートを決めた私にとって階段などない様である物でしかなかった。……まだご飯を食べていないのに走ったのは失敗だったかもしれない。でもこれを突きつけて奴の驚いた顔をまじまじと眺めるまではっ!どんな誘惑や困難が私に迫ってこようとも引く事は出来ぬのだよ。それが私のジャスティス。心躍る愉悦の瞬間なのだなぁ、みつを。と言う訳で屋上へ辿り着いたのですが。何やら話し声がしますね、ザーボンさん。
よし、ここは潜入操作としよう。指示をくれ、大佐。こちとら偶然にもダンボールのストックがあるから、準備は完璧だ。ちなみに今日は保存用、観賞用、貸し出し用その1、その2まで持ってるさ!障害物のない屋上で使っても意味がないので使わないけれど。ドアを少しだけ開けて、こっそりこっそり。耳を立てましてっと。片方は男に間違いない。いわゆる一つのターゲットだ。で、もう一人は…………シベリア?「今日は突然どうしたんですか? 話したい事がある。しかもシューさんには内緒だなんて」「ああ、いきなり呼び出して悪かったな。けど、大切な話なんだ」――――えっ?「……もしかして」「こうして面と向かって話すのは恥ずかしいんだが真面目に聞いて欲しい。実は俺……」二人ともそんな所で、二人きりで、私に内緒で何を話しているのだろう。分からない。なのに体が震えるのは何でだろう。それも分からない。「……あっ」手にしていた秘密兵器を落としてしまった。カタッ、と大きな音をたてたそれは、もうこの扉の向こうにいる男に反応してくれなかった。まるでそれが何かを暗喩しているかの様に。気付いたら走り出していた。きっと私はあそこにいてはいけない存在だったと、直感したから。この手に残った二つのお弁当箱が――何故か今はやけに重かった。
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