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私の母は未婚の母です。父は本妻さんと、私の腹違いの兄姉夫婦と暮らしてます。 二人はもうそういう関係ではありません。 が、私がたまに郷に帰ると、電話が来ます。 「酒のもう」と。で、指定された店に行きます。 と、席に付いた途端、酒から刺身から寿司、テンプラと、ものすごい量の料理がテーブルに並びます。 父が予約で、料理を一から注文しておくのです。 父はもうとうに還暦を過ぎて、身体の調子も良くないというので、料理にほとんど手を付けず、私の方に押しやります。 「食え、食え、もっと食え」とエンドレスに言います。 父は、自分の酒は必ず手酌で、私にばかりお酌します。 私の酒杯は常に満タンです。 食べきれない・飲みきれないでふうふう言って、店を出る頃、父は 「何か困ってることはないか」と言います。 旦那の仕事は上手くいってるか、暴力なんて受けていないか、体は大丈夫か、お金に困ってないか、と続きます。 「なにもかも大丈夫」と答えます。 最後に父は、目をそらして 「お前には何もしてやれないで、申し訳ない」 と必ず言います。 「世の中には償えないことがある。」 と言うのが父の口癖です。 父は、私の祖父の前で、 「誰に何を言われても別に何も構わないが、娘は俺に文句のひとつも言わない。それが俺のした事の罪だ」 と言って、泣いたそうです。

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