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ハム太郎」(2006/07/01 (土) 18:49:17) の最新版変更点

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娘が6歳で死んだ。 ある日突然、風呂に入れている最中意識を失った。 直接の死因は心臓発作なのだが、持病のない子だったので 病院も不審に思ったらしく、俺は警察の事情聴取まで受けた。 別れた女房が「彼氏」同伴でやって来たが、 もはや俺にはその無神経に腹を立てる気力もなく 機械的に葬式をすませた。 初七日も済んで、俺は独りで映画を観にいき、娘が観たがっていた ゴジラととっとこハム太郎の二本立てを観ることにした。 とっとこぉはしるよハム太郎♪の歌を聴いた瞬間、やっぱり俺は泣いた。 6歳にもなって活舌の悪い娘が、この歌を一生懸命覚えて、 とっとこぉ、はしゆよ、はむたよお♪と歌っていたっけ。 ハム太郎の紙コロジーだってクリスマスに買ってやるつもりだった。 女親のいない家庭だったが、少しでも女の子らしくと、 服を買うときだって、面倒がらずに吟味を重ねた。 学校だって、行きたいところに行かせてやるつもりだったし 成人式には、ちゃんと着物を着せてやるつもりだった。 女房と離婚してから俺は100%子供のために生きることにして、 必死にやってきたのに、この世に神様なんて絶対いないんだと知った。 一人になった俺は、今でもハム太郎を欠かさず観ている。 30半ばの男が、ビール飲みながらアニメを観てる光景は異様とは思うが、 なんとなく習慣で、金曜の6時半は必ずTVをつけてハム太郎にしている。 もちろん毎週泣いたりはしていない。 今朝、仕事に行くとき車の中でラジオをつけると、子供電話相談室をやっていた。 ゲストはハム太郎とたいしょうくんの声優が来ていた。 「どうしてハム太郎は、何かするとき(たーっ!)って言うんですか?」 「どうしてたいしょうくんのおへそはバッテンなんですか?」 二人の声優は「○○くん!あのね・・・」と一人一人の名前に語りかけ、 きちんとそのキャラクターを演じて答えた。 俺はまた泣いてしまった。一人でTVを習慣で観ていても平気だったのに。 聞いてくれ、ハム太郎、そしてたいしょうくん。 俺にも娘がいたんだ、男としての自分を捨てて父親としてのみ 生きる決心をさせるにふさわしい最愛の娘だった。 何枚もハム太郎の絵を描いた。何度も懸賞に応募した。 ぬいぐるみショーは地方都市優先だったから東京にはなかなか来なかった。 ハムちゃんずは、全国の子供達のスターだからそれはしょうがない。 だけど、うちの娘もずっと疑問に思っていたことがあったんだ。 それは「どうしてまいどくんはいつも目をつぶっているのか?」という疑問だ。 どうかどうか、俺の娘の名前も呼んで語りかけて答えて欲しい。 そんなバカで無茶なことを考え、嗚咽しながら俺は車を運転した。 ダメだ、ずっと冷静に暮らしているのに、ときおりこんな些細なことで 突然こんな風になってしまう。

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