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 その日、鳥居江利子は困惑していた。
「あら江利子。ごきげんよう」
 目の前にいるのは、明らかに山口真美ちゃんだ。
 新聞部の築山三奈子さんの妹で、新聞部のエース。
 江利子は、ひたすらに脳をフル回転させる。

●ツッコミどころ、その1
 誰もいない薔薇の館にいて、普段蓉子が座る席に座っている。
●ツッコミどころ、その2
 仮にも黄薔薇さまである江利子を呼び捨てにしている。
●ツッコミどころ、その3
 なんでスクール水着姿なのか。ていうかリリアン指定の水着じゃないし。

 とりあえずこの3つが上がった。
「あ、あの……お姉さま?」
 江利子は自分の発言に驚いた。すんなりと「お姉さま」と呼んだのだ。
「なぁに? 江利子」
「あの、どうして、今日は、その」
「江利子ったら、どうしたの? そんなに噛んじゃうなんて」
 クスリと笑う真美ちゃん。その姿に、江利子は軽くときめいた。
 少しだけおでこを出した髪形。
 控えめな体つきによく似合うスクール水着。
 普段は三奈子さんを嗜める印象しかないのに、初めて見た柔らかい笑顔。
 自分のハートがズッキュンドッキュンときめくのが感じられた。
「お、お茶淹れますね!」
「ありがとう」
 なんだか楽しくなってきた。

「ごきげんよう」
 蓉子が入ってきた。すると、真美ちゃんを見て動きが止まった。
 同時に、蓉子を見て江利子の動きも止まった。
「真美さま! 今日はどうして?」
「ごきげんよう、蓉子ちゃん」
 笑顔で蓉子と真美ちゃんが話をしているが、その蓉子の衣類が問題だった。
 アメリカ人でも着ないような際どいデザインの水着。
 Vの形をしたそれは、大事な部分を隠してはいるが、後ろから見ればお尻が丸見えだった。
「蓉子、それ……」
「え? ああ、昨日買ったのよ。似合う?」
「似合うというか、素敵な目の保養だけれど、ちょっと……」
「おっはよー」
「聖!!」
 江利子は三度驚く。
 聖もまた水着姿で、というか水着っぽくて、というか一瞬全裸に見えました。
ビキニは着てるけれど、それは下だけでして。
「ちょっと聖、それは流石にこの掲示板ではやばい格好よ!?」
「えー、いいじゃんヌーブラ」
「それは絆創膏っていうの!!」
 さすがにこればっかりは危ないと感じたので、無理やり体操着を着せる。
 ちょっぴり逆効果でさらにえってぃな感じになったのは気にしない。

 制服を着ているのは自分だけ。随分と奇妙な光景だ。

 あれ? じゃあ三奈子さんの妹は誰になっているのかしら?
 それともお姉さまって真美さんにそっくりだったんだっけ?

 江利子の思考が崩れていく。
 ていうか最初の時点で夢だってわかっていたけど、まぁ、これはこれで。