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ドンドンドドンド ドンドンドドンド ドンドンドドンド ドンドンドン
 ドンドンドドンド ドンドンドドンド ドンドンドドンド ドンドンドン
ドンドンドドンド ドンドンドドンド ドンドンドドンド ドンドンドン
 ドンドンドドンド ドンドンドドンド ドドドンドドドン ドドドドドドドド

 ……椿組に入れない。
 松平瞳子は、教室の前で凍り付いていた。

 ふと考え付いた事があったので、いつもよりかなり早めに学校に来てみれば、この仕打ちだ。
 謎のドラム音と誰かが教室で暴れる音が響いている。警察を呼んでも問題ないと思われる。
(どうしましょう……。守衛さんを呼んで来ましょうか。それとも……)
 それよりも、先を越されたのが悔しかった。1番だと思っていたのに、先客がいたとは。
 と、その時。
「うさうさうさーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
 瞳子はその場でずっこけた。
「ほ、細川可南子!?」
 まごう事無き、細川可南子の声である。この雄たけびで、ますます瞳子の思考がおかしくなっていく。
「うっさーうさうさ うっさーうさうさ うっさーうさうさ ぴょんぴょんぴょん!」
(……うさぎ!?)
「ぴょんぴょんとことこ ぴょんぴょんとことこ ぴょんぴょんガブリッうさぁー!!」
「た、食べられた!! うさぎさん食べられた!!」瞳子は焦る。
「私が、私が死ぬ前に一言だけ……」
「なに、なんですの!」
「角の中華料理屋の冷やし中華……美味しかったうさ……ガクッ」
「うさぎさぁーーーーーーーーーん!!!!!」
 瞳子は、廊下にひざをつき、絶叫した。

 ガラリ、とドアが開く。
「……ごきげんよう」
 不機嫌そうな、長身のクラスメートが、瞳子を見下ろしている。
「……ごきげんようですわ……」これ以上ない赤面っぷりである。
「どうしたの? 具合でも悪いの?」
「い、いえ、そんな!」
「それならいいんだけど。スカート汚れちゃうわよ」
「!!」慌てて立ち上がり、裾を手で払う。
 よくよく見れば、可南子は全然汗もかいていない。それどころか、いかにも「さっきのバカでかい絶叫で起きました」な表情だ。
「あの……」
「なに?」
「可南子さんは、こんな朝早くから、なにを」
「……部活の朝練、明日に変更になったのを忘れていたのよ。だから、自分の席で仮眠を」
「そ、そうでしたの」
「そういう瞳子さんも、珍しいじゃない?」
「わ、私は、その!」
「私」
「はい!?」
「……トイレ行ってくる」
「は、はい……」

 遠ざかる可南子を見てから、瞳子は教室に入った。
 あまりにショックが大きすぎて、本来やるべきことを忘れていたのだ。
 ドアを閉めて、自分の席の机に上り、マラカスを構える。
 最近知ったおまじない。意中の相手と結ばれるおまじない。
 可南子が戻るまでに、やらなければ。

 深呼吸をして、瞳子は踊りだした。

ドンドンドドンド ドンドンドドンド ドンドンドドンド ドンドンドン
 ドンドンドドンド ドンドンドドンド ドンドンドドンド ドンドンドン
ドンドンドドンド ドンドンドドンド ドンドンドドンド ドンドンドン
 ドンドンドドンド ドンドンドドンド ドドドンドドドン ドドドドドドドド
「うさうさうさーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」

 ……椿組に入れない。
 細川可南子は、教室の前で凍り付いていた。