※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

 瞳子は、体育館のステージ上に現れたセットを眺めながら、悦に入っていた。
 舞台のセットはとてもリアルで、演劇部と協力してくれた部活に感謝しなくてはならない。
「どうですか、可南子さん」
「私は演劇はあまり詳しくないからなんとも言えないけど、いいんじゃない?」
 可南子さんは台本をペラペラとめくりながら答えた。
「でも、私の椅子を投げるってのはどうなの」
「リアリティがありますわ」
「別にいいけれど」可南子さんは台本の続きを読み出した。
 瞳子は可南子さんが視界に入る位置に立ち、セットを再び眺め出す。
「あら」驚きの声。
「どうかしましたの?」
「この舞台、真美さまも出るの?」
「そうですわ。いわば客演、ですわね。演劇部で出るのは私だけです」
「黄薔薇さまも出るのね。ふぅん」
「出たかったですか?」
「まさか。私は出るより見るほうがいいわ。志摩子さまに……あら、桂さままで」
「ご存知ですの?」
「テニス部では有名よ?」そう言いながら、可南子さんは台本のラストの方を読む。
 すると再び驚きの声。
「……白薔薇さま、凄い役なのね」
「脚本の担当した方が言うには、普段見れない姿を、との事ですわ」
「いや、これ見たら乃梨子さんが怒りそうよ」
「うーん、でも意外性はありますわ」
「うん、まぁ……ね」
「……やっぱり、出たかったですか?」
「実を言えば、ちょっとだけ」
「ふふっ」
「ところで、瞳子さん」可南子さんは、真面目な顔で瞳子を見た。
「はい?」
「いつになったら、ここから出られるの?」