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 ──私は、空を見ていた。抜けるような、吸い込まれるような、青空。
 そう言えば、初めて祐巳さまを見かけた時も、こんな日だったと思い出す。

 天使さま、なんて言っていた頃もあったと、私は少し口の端を吊り上げた。
 幻滅をして、目が覚めて。私はますますあの方に惹かれ、そして瞳子さんとの仲を応援しようと決めたんだ。

 瞳子さん、私に何かあったら泣いてくれるかしら。
 例えば、私が死んだら。
 私という存在が、この世界から消え去ったら。
 ……祐巳さまは泣くだろう。己惚れではなく、確実に。

「……可南子ちゃぁん……どうして、どうしてぇ……」

 なんて、死んでしまった事に罪悪感を覚えてしまうような、切ない声で。

 乃梨子さんはどうだろう。きっとその場では泣かないかも知れない。
 誰も見ていないところで、泣いてくれるのを信じよう。

 ……瞳子さんは、ずっと泣かないのかも知れない。
 なんだか、不意にそんな気がした。

 ──ああ、なんだかいい気持ち。
 このまま目を閉じて、眠ってしまおうかしら。

「駄目、駄目だよ可南子!」
「可南子ちゃん、目を開けて!!」

 乃梨子さんの声が聞こえた。祐巳さまの声も。

 私は、目を閉じきる前に、瞳子さんを探した。
 でも、見つけるより先に、視界は暗闇に閉ざされた。

「……可南子、さん……」

 瞳子さんの声が聞こえた。

 背中に伝わる、アスファルトの冷たさ。
 体温は奪われ、私の身体はアスファルトと同じくらいの温度になる。

 全く。祐巳さまったら、車を避けないんですもの。
 わたしが、とっさにかばったから、よかったものの。

 ──とうこ、さん、は、ないて、くれる、かしら。

 ──と もだち だ っ てみと めて くれ るかし ら──。