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 あの悪夢のような転職騒動からしばらく経つ。
 相変わらず、あの不可思議なパーティは魔王討伐の冒険を続けている。
「どおおおおおおおおおおおりゃあああああああああああああああ!!!!!!!!!!」
 魔物に振り下ろされるのは、魔力を秘めた杖。
 鈍器が魔物の頭をカチ割り、悲鳴を上げる事もなく、魔物は地に伏した。
「へへっ、アタシの勝ちだ!!」
 魔法使い・ビーナス。かつて戦士であった彼女は、相変わらず簡単な魔法も覚えれずに、肉弾戦を好んでいる。
 魔物に背を向けて、勇者・ユーニに向けて満足そうな笑顔を浮かべているが、ユーニは内心複雑だった。
 隣で「ビーナスさん、かっこいいです~」と言っているのは、戦士・リズ。彼女は以前は僧侶だったが、ビーナスに憧れて戦士に転職してしまった。しかし、相変わらず剣の重さに四苦八苦しているようだ。
 そしてユーニの後ろで「さすがです、ビーナスさん」とクソ真面目な顔で踊っているのは、遊び人のポプリ。彼女は遊び人から一度は賢者になったというのに、再び遊び人に舞い戻ったという女だ。
(もうやだ、このパーティ)
 そう思いながらも、ユーニは長いこと寝食と旅を共にしてきた仲間を信頼していた。
 いつかきっと、今の職業に相応しい能力を手に入れると信じて。
 ビーナスが笑いながら戻ってくる。その背後で、魔物が最後の力を振り絞って起き上がりつつあるのを、ユーニは見てしまった。
「ビーナス! まだよ!!」
 そう叫んだのと同時に、背後から「いけない!!」という声が上がった。
「私がとどめを!」
 ポプリが駆け出す。賢者の頃と相違ないオーラを出している。
 が。
「とおっ!!」
 何故か掛け声と共に、彼女は転んだ。思いっきりリズに激突する。
「はっ、無意識のうちに遊び人としてのスキルを発揮してしまいました!」
「ポプリィ~!!」
 ユーニが悲しそうに叫ぶ。
 それと同時に、今度はリズが可愛い悲鳴をあげていた。
「わっ、とっ、はわっ、ひぇっ」
 重い剣を咄嗟に構えたはいいが、ポプリがぶつかったせいで、ヨロヨロと魔物に向かって進んでいく。
「うおっ、あぶねぇ!」
 徐々に勢いがつき、ビーナスの隣を掠めていく。
「ふえぇ~!!」
 魔物が完全に起き上がろうとしている。その瞳は、怒りに満ち溢れている。
 そこへ突進していくリズ。
「いやぁ~~~~~~っ!!!」
 しかも、運悪く足元の木の根につまづき、リズは更に前のめりになった。
「リズ!!」
 ユーニが叫んだ。
 その瞬間。
「……?」
 リズはおかしな体勢で自分が静止したのに気付き、そっと顔を上げた。
「ひぇっ!?」
 ビーナスの一撃でダメージを食らっていた魔物の頭部に、剣がサックリと食い込んでいた。魔物は完全に事切れている。
 そんな状態の死体と目が合ったのだ。リズは今度は尻餅をついた。魔物は、仰向けに倒れていく。
「……お、おー、おー?」
 ビーナスは戸惑いながらユーニを見る。ユーニだって同じ心境だ。
 これは結果オーライなのだろうか。それよりも、
「グッジョブです、リズさん!!」
 とりあえず、地べたに転がりながらサムズアップを決めているポプリを殴りたい気分だった。


「何故、私がユーニさんに怒られなければならないのでしょうか。私はただ、遊び人の職務を全うしたまででですね」
「いいから、そこに正座!!」
「はい!」
「モデルポーズで座るんじゃない!」
 その日の夜は木陰で野宿である。
 ビーナスとリズが食事を調達している間、ユーニは胃の痛みを堪えながら、ポプリにお説教タイムをかましていましたとさ。