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「母の日」を主体とする超短編集」(2008/04/02 (水) 01:59:12) の最新版変更点

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1.赤い花  母の日といえばやはりカーネーションだろうかと思って花屋に向かったはいいが生憎定休日だった為に引き返してまた寝るのも嫌だなぁと考えてふらりと駅前のデパートに行ったはいいがそこの花屋はつい先程カーネーションが売切れてしまったとのことでため息をつきながらもとぼとぼと家に戻ろうとしたら停めておいた自転車が無くなっていたのでまぁ古かったので別にいいか買い換える切欠が出来たと前向きに考えて家に戻ろうとした時にゆっくり見て回ることがなかったので新鮮に見える町並みをもう少し堪能しようと普段は行ったことのない方向へと向かってみればそこは少し小さめの公園で二つしかないベンチのうち片方は塗装したてらしく座れないようになっていたために別のベンチに座ろうとしたらいかにも薬の中毒者だと言わんばかりの目をした男が近寄ってきて体当たりをしてきて地面にひっくり返ったら腹から鈍い痛みが脳まで駆け上がってきたので視線をそこへと動かせば包丁の柄が腹から生えているのを見つけて力任せに引っこ抜いたら血が吹き出てしまい衣類は当然周囲の地面まで血で濡らしてしまいたまたま近くを通りかかった駐在に男は捕まりそして駐在は地面にのたうちまわる無様な男を見て無線でなにやら知らせていたがすでにそれが何を言っているのか聞き取れなくなってきてそこでようやく自分が死ぬというのを意識して死ぬ間際に何を考えたかといえば自分には母親なんかいなかったということだった5月12日。 ---- 2.未だ見ぬ母へ  海外から母親がやってくる。とはいえそれは義理の母親であり、本当の母親は俺が幼い頃に事故死している。  貿易関係の会社に勤めている父親が海外出張中に向こうで知り合ったという。そのまま向こうで簡単な挙式まであげてしまったというんだから、父は本当にあなどれない。  期せずして今日は母の日。正直言ってすぐに受け入れることは出来ないが、時間がきっとどうにかしてくれる、と何かの本で仕入れた言葉を頭に浮かべながら俺は空港内の花屋で買ったカーネーションを握り締めた。  しかしいくらなんでも時間だって解決できない事だってある。例えばついさっき起こった事件。  目の前で着陸を失敗した旅客機が炎上している。車体を削りながらも炎の塊となったそれは激しい音を立てて俺のいる空港へと迫ってくる。  俺はそこから動かなかった。なぜならその旅客機には、直接会ったことのない母親が乗っているから。  おかえり、母さん。 ---- 3.MOTHER  地球を全ての母親だというが、ならば母の日は地球の日でもあるのではないか?  EARTHはそのスペルを組み替えればHEARTになるのは有名だが、地球=心=母親という式は強引だが成り立つと思うのだがどうか?  この大きく青い水と緑の星をいたわることも時には重要だと思うのだが、果たしてこの星に住んでいる生き物──その頂点に立つ人類はそれを考えたことはあるのだろうか?  母なる大地、母なる海、母なる地球。それを汚し、壊し、蹂躙するさまはさながら自分の母親をレイプして、惨殺するのと変わらないのでは? ”子供”である地球人はそれを理解しているのだろうか?  ──まぁ、これからその星を侵略する身としては、どうでもいいのだが。 ---- 4.5月13日日曜日午後6時26分  久しく声を聞いていない息子から電話があった。 「良平かい? 本当に、良平なのかい?」 「ああ、そうだよ。俺だ」  私は電話口の向こうにいる息子と沢山話をした。  良平は最近面倒なことがあったらしく、しかし決して私やお父さんの力は借りないと決めていたらしいが、母の日ということもあり、つい電話をしてしまったと言っていた。 「何でも力になってあげるよ。お父さんは病気で先月から入院しちゃったけど、なんとか大丈夫だから、力になれることなら何でも──」  私は涙を流しながらそう言うと、良平も涙ながらに返事をしてくれた。  電話を切った後、私は久しぶりに聞けた息子の声に元気を貰った気がして、いそいそと着替えをし出した。お父さんに早くこのことを伝えたかったし、それに銀行にも行かなければ。  良平の口座に60万円振り込めばいいんだよね、お母さんすぐに振り込むからね。
1.赤い花  母の日といえばやはりカーネーションだろうかと思って花屋に向かったはいいが生憎定休日だった為に引き返してまた寝るのも嫌だなぁと考えてふらりと駅前のデパートに行ったはいいがそこの花屋はつい先程カーネーションが売切れてしまったとのことでため息をつきながらもとぼとぼと家に戻ろうとしたら停めておいた自転車が無くなっていたのでまぁ古かったので別にいいか買い換える切欠が出来たと前向きに考えて家に戻ろうとした時にゆっくり見て回ることがなかったので新鮮に見える町並みをもう少し堪能しようと普段は行ったことのない方向へと向かってみればそこは少し小さめの公園で二つしかないベンチのうち片方は塗装したてらしく座れないようになっていたために別のベンチに座ろうとしたらいかにも薬の中毒者だと言わんばかりの目をした男が近寄ってきて体当たりをしてきて地面にひっくり返ったら腹から鈍い痛みが脳まで駆け上がってきたので視線をそこへと動かせば包丁の柄が腹から生えているのを見つけて力任せに引っこ抜いたら血が吹き出てしまい衣類は当然周囲の地面まで血で濡らしてしまいたまたま近くを通りかかった駐在に男は捕まりそして駐在は地面にのたうちまわる無様な男を見て無線でなにやら知らせていたがすでにそれが何を言っているのか聞き取れなくなってきてそこでようやく自分が死ぬというのを意識して死ぬ間際に何を考えたかといえば自分には母親なんかいなかったということだった5月12日。 ---- 2.未だ見ぬ母へ  海外から母親がやってくる。とはいえそれは義理の母親であり、本当の母親は俺が幼い頃に事故死している。  貿易関係の会社に勤めている父親が海外出張中に向こうで知り合ったという。そのまま向こうで簡単な挙式まであげてしまったというんだから、父は本当にあなどれない。  期せずして今日は母の日。正直言ってすぐに受け入れることは出来ないが、時間がきっとどうにかしてくれる、と何かの本で仕入れた言葉を頭に浮かべながら俺は空港内の花屋で買ったカーネーションを握り締めた。  しかしいくらなんでも時間だって解決できない事だってある。例えばついさっき起こった事件。  目の前で着陸を失敗した旅客機が炎上している。車体を削りながらも炎の塊となったそれは激しい音を立てて俺のいる空港へと迫ってくる。  俺はそこから動かなかった。なぜならその旅客機には、直接会ったことのない母親が乗っているから。  おかえり、母さん。 ---- 3.MOTHER  地球を全ての母親だというが、ならば母の日は地球の日でもあるのではないか?  EARTHはそのスペルを組み替えればHEARTになるのは有名だが、地球=心=母親という式は強引だが成り立つと思うのだがどうか?  この大きく青い水と緑の星をいたわることも時には重要だと思うのだが、果たしてこの星に住んでいる生き物──その頂点に立つ人類はそれを考えたことはあるのだろうか?  母なる大地、母なる海、母なる地球。それを汚し、壊し、蹂躙するさまはさながら自分の母親をレイプして、惨殺するのと変わらないのでは? ”子供”である地球人はそれを理解しているのだろうか?  ──まぁ、これからその星を侵略する身としては、どうでもいいのだが。 ---- 4.5月13日日曜日午後6時26分  久しく声を聞いていない息子から電話があった。 「良平かい? 本当に、良平なのかい?」 「ああ、そうだよ。俺だ」  私は電話口の向こうにいる息子と沢山話をした。  良平は最近面倒なことがあったらしく、しかし決して私やお父さんの力は借りないと決めていたらしいが、母の日ということもあり、つい電話をしてしまったと言っていた。 「何でも力になってあげるよ。お父さんは病気で先月から入院しちゃったけど、なんとか大丈夫だから、力になれることなら何でも──」  私は涙を流しながらそう言うと、良平も涙ながらに返事をしてくれた。  電話を切った後、私は久しぶりに聞けた息子の声に元気を貰った気がして、いそいそと着替えをし出した。お父さんに早くこのことを伝えたかったし、それに銀行にも行かなければ。  良平の口座に60万円振り込めばいいんだよね、お母さんすぐに振り込むからね。

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