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パラレルワールド姉妹逆転」(2007/12/31 (月) 23:39:08) の最新版変更点

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 ……これはどうしたことでしょう。  細川可南子は目の前に広がる光景を、信じられずにいた。  どうしたらよいものか、と上を仰ぐようにして見たら、三つのスロットと三つの単語が目に入った。 ――パラレルワールド、姉妹、逆転?――  やられた。ここは眼鏡をかけた、しょぼい文しか書けない、いつものヤツが作り上げた世界だ。  おかしいと思ったのだ。卒業したはずの前薔薇さま方がいたり、可南子自身も気がついたら薔薇の館にいたり……。  しかもこんなメタな展開で可南子にそれを気付かせる辺りが、春日とか名乗るヤツの手口なのだ。 (どうせなら、jokerさまや若杉さま、くま一号さま辺りに、このキーワードをひいて欲しかったな……)  小さくため息をつき、可南子は改めて顔を前に向けた。  そこには、薔薇さま方が勢揃いしている。さっきも言った通り、前薔薇さまであるお三方まで。  そこに、何故か可南子もいる。  人出が足りないから助っ人にでも来た、という設定なのだろうか。さすがに十一人もいると、あの大きなテーブルも狭く感じる。 (私だけが、姉妹がいないって訳か。第三者としては適任だったのかしらね)  作者が単に可南子ファンだということには気付かず、自分の出した結論に納得している可南子。 (さて、何が『逆転』なのか、確かめてみようじゃないの……)  可南子は、ゆっくりと視線を動かした。 【志摩子と乃梨子】 「……ねぇ、お姉さま」  一番最初に動いたのは、同じクラスのガチ百合娘、二条乃梨子だった。切り揃えられた髪に手櫛を入れながら、隣に座る姉の藤堂志摩子を見る。 「うん? どうしたの、乃梨子」  この小さなやりとりを聞いて、可南子は既に違和感を覚えていた。 「お茶が、飲みたくありませんか……?」  にっこり微笑む乃梨子。 「あ、そうだね。お願いしてもいいかな、乃梨子」 「はい」  ふわりと立ち上がり、「皆様も、少し休憩に致しませんか?」と乃梨子が言った。 (なるほど。性格が逆転しているのね)  ぽやぽやした乃梨子と、冷静な志摩子。うん。乃梨子に違和感バリバリ。  可南子がそう思った時、別の方向から動きがあった。 【令と由乃】 「異議あり!」  立ち上がり、人さし指を志摩子の性格をした乃梨子に突き付けるのは、山百合会の斬り込み隊長、島津由乃だ。 「乃梨子ちゃんはいいかも知れないけど、私はまだ書類が残っている! そこで休憩とは、あてつけに他ならない!」 「わ、私……?」  オロオロしだした乃梨子ちゃんに、助けが出る。 「異議あり」  元祖ミスター、支倉令だ。 「それはあくまで由乃自身の仕事処理能力の問題であって、適度な休憩を挟むのは疲れを取るという意味もある。乃梨子ちゃんに何ら落ち度はない」 「ぐ、令ちゃん……」 「仕方ない。だったら……『つきつける』!」  令が取り出したのは、美味しそうな香りを漂わせる、特製スペシャルケーキ。 「く、あああああああああああああああああっ!!!!」  由乃は頭を抱え、ダメージを食らっている。目の前にあんな美味しそうな物を出されては……。 「まだやるかい、由乃?」 「……」 「仕方ないなぁ……。じゃあ、とっておきの証拠品を提出しようかな」  令は由乃の顔を挟むと、ゆっくりと唇を[禁則事項です]した。 (やり手弁護士、愛情と食欲に負ける、か) 『逆転裁判』な姉妹になっていた二人を見て、可南子はひとり、うんうんと頷く。 【聖と志摩子】  紅茶とケーキを前に、しばしの休息。しかしこんな時でも、何かしらの『逆転』はある訳で……。 「お姉さま」  そう呼ばれて顔を上げたのは、セクハラの女王、佐藤聖。しかし既に、聖の表情だけで可南子は違和感を覚える。 (……怯えている?)  次の瞬間、志摩子は聖の身体に抱きついていた。 「や、やめなさい、志摩子っ!」 「あはは、いつも私が他のみんなにちょっかい出すと不満そうな顔してたのは、どこの誰ですか~?」 「や、やめ、っ!」 「口移しでケーキ食べさせてあげましょうか、お姉さま」 「だ、誰か、助け……んぐぅっ!?」  可南子は顔を真っ赤にして、テーブルの奥の惨劇を見ていた。だんだん、聖の抵抗が弱まっていき、やがて、志摩子が放れる頃には、心ここにあらず、といった感じだった。  こちらも性格が逆転、しかも、セクハラの部分をメインに。  志摩子の身体、乃梨子の性格、聖のテクニック。まさに最強の薔薇さまが誕生していた。 【蓉子と祥子】 「志摩子! いい加減になさい!」 「仮にも学園内で、そんな破廉恥な!」  山百合会の良心、水野蓉子と小笠原祥子が志摩子に向かって声をあげる。  上級生である二人に叱られては、さすがに志摩子も小さくなるしかない。 (……ん?)  一見普通に感じるこの光景にも、可南子は逆転を感じた。 「まったく、聖も聖よ。もっと姉としての――」 「志摩子ったら、普段から乃梨子ちゃんにすればいいのに、いつも祐巳を――」 (……ああ。声が逆転してるんだ)  篠原恵美ボイスの祥子に、伊藤美紀ボイスの蓉子。二人ともお姉さま声だから、あまり違和感はないけど、若干蓉子がキツく聞こえる。 (アニメ見てないとわからないわよね……)  そう思いながら、可南子は紅茶を飲んだ。 【祐巳と瞳子】 (ああ、そういえば、祐巳さまはどうなのかしら)  可南子が何気なく祐巳を見た瞬間。 「ぶふぅっ!」  思わず噴き出す可南子。 「可南子さん、大丈夫?」 「まったく、何をやっているんですの?」  乃梨子と瞳子から声をかけられる可南子。  ロサ・コシヒカリこと福沢祐巳と、ロサ・ツンデレラこと松平瞳子。二人の逆転は……。 (祐巳さまには悪いけど、縦ロール……似合わない!)  髪型の逆転。瞳子は可愛らしくなったが、祐巳の縦ロールはかなりいただけない。  可南子は笑いが堪えれなくなり、紅茶を噴き出してしまったのだ。 【祥子と祐巳】 「可南子ちゃん、いま濡れたタオル持ってくるからね」  祐巳は縦ロールをふわんふわん揺らしながら、流しへ向かった。 「大丈夫なの? 可南子ちゃん」  祥子の心配そうな声に、まさか貴女の妹の髪型で噴き出しましたとは言えない。 「ええ、少し気管に入りそうになっただけですから」 「はい、可南子ちゃん。顔を拭いたほうがいいよ」 「ありがとうございます、祐巳さま……」  可南子は祐巳を見た。さっきは縦ロールばかりに気を引かれてしまったが、また一つ、逆転を発見してしまった。 (……まさか)  祥子を見ると、可南子のそれは確信に変わった。  ――祐巳は、すごい巨乳になっていたのだ。小さな背丈に、縦ロールの髪型、そして巨乳。志摩子とは違う、最強の薔薇さまである。可南子的に。  代わりに、祥子はぺったんこ。スタイルの逆転である。 (……ということは、あのセクハラ志摩子さまは、毎日あんなことやこんなことをこの祐巳さまに!?)  可南子は顔を真っ赤にして、志摩子を見た。目の合ったセクハラ志摩子は、ニヤリと笑って両手の指をわきわきと動かす。 (あの指の動きで、この祐巳さまの……)  直後、鼻から綺麗な鮮血を噴き上げ、可南子は身体を床に預けた。 【江利子と令】  色々あったが、なんとかこの資料も片付いた。この話も終わりに近づいている。携帯でこんなに書いたのは初めてだった。 (作者の指の痛みはともかく、令さまと江利子さまは何が逆転していたのか、わからなかったなぁ……)  帰る支度をしながら、可南子はぼんやりと考えていた。すると、その江利子が動いたのである。 「それじゃあ、お先にー」 「ごきげんよう、江利子さま」 「はいごきげんよう。令も帰るわよ」 「はい、お姉さま」  令と由乃が江利子に並ぶ。そこで初めて、可南子は気付いた。 (でかっ! 江利子さまでかっ!)  令よりも身長の高い江利子。ひょっとしたら可南子とそう変わらないのではないか。  身長差の逆転である。 (……地味なオチ……)  可南子はそう思いながら、次はきっと別の作者さまに私を使ってもらおうと、願うのだった。
 ……これはどうしたことでしょう。  細川可南子は目の前に広がる光景を、信じられずにいた。  どうしたらよいものか、と上を仰ぐようにして見たら、三つの単語が目に入った。 ――パラレルワールド、姉妹、逆転?――  やられた。ここは眼鏡をかけた、しょぼい文しか書けない、いつものヤツが作り上げた世界だ。  おかしいと思ったのだ。卒業したはずの前薔薇さま方がいたり、可南子自身も気がついたら薔薇の館にいたり……。  しかもこんなメタな展開で可南子にそれを気付かせる辺りが、春日とか名乗るヤツの手口なのだ。 (どうせなら、ほかの素晴らしいSS作者さんに、このキーワードをひいて欲しかったな……)  小さくため息をつき、可南子は改めて顔を前に向けた。  そこには、薔薇さま方が勢揃いしている。さっきも言った通り、前薔薇さまであるお三方まで。  そこに、何故か可南子もいる。  人出が足りないから助っ人にでも来た、という設定なのだろうか。さすがに十一人もいると、あの大きなテーブルも狭く感じる。 (私だけが、姉妹がいないって訳か。第三者としては適任だったのかしらね)  作者が単に可南子ファンだということには気付かず、自分の出した結論に納得している可南子。 (さて、何が『逆転』なのか、確かめてみようじゃないの……)  可南子は、ゆっくりと視線を動かした。 【志摩子と乃梨子】 「……ねぇ、お姉さま」  一番最初に動いたのは、同じクラスのガチ百合娘、二条乃梨子だった。切り揃えられた髪に手櫛を入れながら、隣に座る姉の藤堂志摩子を見る。 「うん? どうしたの、乃梨子」  この小さなやりとりを聞いて、可南子は既に違和感を覚えていた。 「お茶が、飲みたくありませんか……?」  にっこり微笑む乃梨子。 「あ、そうだね。お願いしてもいいかな、乃梨子」 「はい」  ふわりと立ち上がり、「皆様も、少し休憩に致しませんか?」と乃梨子が言った。 (なるほど。性格が逆転しているのね)  ぽやぽやした乃梨子と、冷静な志摩子。うん。乃梨子に違和感バリバリ。  可南子がそう思った時、別の方向から動きがあった。 【令と由乃】 「異議あり!」  立ち上がり、人さし指を志摩子の性格をした乃梨子に突き付けるのは、山百合会の斬り込み隊長、島津由乃だ。 「乃梨子ちゃんはいいかも知れないけど、私はまだ書類が残っている! そこで休憩とは、あてつけに他ならない!」 「わ、私……?」  オロオロしだした乃梨子ちゃんに、助けが出る。 「異議あり」  元祖ミスター、支倉令だ。 「それはあくまで由乃自身の仕事処理能力の問題であって、適度な休憩を挟むのは疲れを取るという意味もある。乃梨子ちゃんに何ら落ち度はない」 「ぐ、令ちゃん……」 「仕方ない。だったら……『つきつける』!」  令が取り出したのは、美味しそうな香りを漂わせる、特製スペシャルケーキ。 「く、あああああああああああああああああっ!!!!」  由乃は頭を抱え、ダメージを食らっている。目の前にあんな美味しそうな物を出されては……。 「まだやるかい、由乃?」 「……」 「仕方ないなぁ……。じゃあ、とっておきの証拠品を提出しようかな」  令は由乃の顔を挟むと、ゆっくりと唇を[禁則事項です]した。 (やり手弁護士、愛情と食欲に負ける、か) 『逆転裁判』な姉妹になっていた二人を見て、可南子はひとり、うんうんと頷く。 【聖と志摩子】  紅茶とケーキを前に、しばしの休息。しかしこんな時でも、何かしらの『逆転』はある訳で……。 「お姉さま」  そう呼ばれて顔を上げたのは、セクハラの女王、佐藤聖。しかし既に、聖の表情だけで可南子は違和感を覚える。 (……怯えている?)  次の瞬間、志摩子は聖の身体に抱きついていた。 「や、やめなさい、志摩子っ!」 「あはは、いつも私が他のみんなにちょっかい出すと不満そうな顔してたのは、どこの誰ですか~?」 「や、やめ、っ!」 「口移しでケーキ食べさせてあげましょうか、お姉さま」 「だ、誰か、助け……んぐぅっ!?」  可南子は顔を真っ赤にして、テーブルの奥の惨劇を見ていた。だんだん、聖の抵抗が弱まっていき、やがて、志摩子が放れる頃には、心ここにあらず、といった感じだった。  こちらも性格が逆転、しかも、セクハラの部分をメインに。  志摩子の身体、乃梨子の性格、聖のテクニック。まさに最強の薔薇さまが誕生していた。 【蓉子と祥子】 「志摩子! いい加減になさい!」 「仮にも学園内で、そんな破廉恥な!」  山百合会の良心、水野蓉子と小笠原祥子が志摩子に向かって声をあげる。  上級生である二人に叱られては、さすがに志摩子も小さくなるしかない。 (……ん?)  一見普通に感じるこの光景にも、可南子は逆転を感じた。 「まったく、聖も聖よ。もっと姉としての――」 「志摩子ったら、普段から乃梨子ちゃんにすればいいのに、いつも祐巳を――」 (……ああ。声が逆転してるんだ)  篠原恵美ボイスの祥子に、伊藤美紀ボイスの蓉子。二人ともお姉さま声だから、あまり違和感はないけど、若干蓉子がキツく聞こえる。 (アニメ見てないとわからないわよね……)  そう思いながら、可南子は紅茶を飲んだ。 【祐巳と瞳子】 (ああ、そういえば、祐巳さまはどうなのかしら)  可南子が何気なく祐巳を見た瞬間。 「ぶふぅっ!」  思わず噴き出す可南子。 「可南子さん、大丈夫?」 「まったく、何をやっているんですの?」  乃梨子と瞳子から声をかけられる可南子。  ロサ・コシヒカリこと福沢祐巳と、ロサ・ツンデレラこと松平瞳子。二人の逆転は……。 (祐巳さまには悪いけど、縦ロール……似合わない!)  髪型の逆転。瞳子は可愛らしくなったが、祐巳の縦ロールはかなりいただけない。  可南子は笑いが堪えれなくなり、紅茶を噴き出してしまったのだ。 【祥子と祐巳】 「可南子ちゃん、いま濡れたタオル持ってくるからね」  祐巳は縦ロールをふわんふわん揺らしながら、流しへ向かった。 「大丈夫なの? 可南子ちゃん」  祥子の心配そうな声に、まさか貴女の妹の髪型で噴き出しましたとは言えない。 「ええ、少し気管に入りそうになっただけですから」 「はい、可南子ちゃん。顔を拭いたほうがいいよ」 「ありがとうございます、祐巳さま……」  可南子は祐巳を見た。さっきは縦ロールばかりに気を引かれてしまったが、また一つ、逆転を発見してしまった。 (……まさか)  祥子を見ると、可南子のそれは確信に変わった。  ――祐巳は、すごい巨乳になっていたのだ。小さな背丈に、縦ロールの髪型、そして巨乳。志摩子とは違う、最強の薔薇さまである。可南子的に。  代わりに、祥子はぺったんこ。スタイルの逆転である。 (……ということは、あのセクハラ志摩子さまは、毎日あんなことやこんなことをこの祐巳さまに!?)  可南子は顔を真っ赤にして、志摩子を見た。目の合ったセクハラ志摩子は、ニヤリと笑って両手の指をわきわきと動かす。 (あの指の動きで、この祐巳さまの……)  直後、鼻から綺麗な鮮血を噴き上げ、可南子は身体を床に預けた。 【江利子と令】  色々あったが、なんとかこの資料も片付いた。この話も終わりに近づいている。携帯でこんなに書いたのは初めてだった。 (作者の指の痛みはともかく、令さまと江利子さまは何が逆転していたのか、わからなかったなぁ……)  帰る支度をしながら、可南子はぼんやりと考えていた。すると、その江利子が動いたのである。 「それじゃあ、お先にー」 「ごきげんよう、江利子さま」 「はいごきげんよう。令も帰るわよ」 「はい、お姉さま」  令と由乃が江利子に並ぶ。そこで初めて、可南子は気付いた。 (でかっ! 江利子さまでかっ!)  令よりも身長の高い江利子。ひょっとしたら可南子とそう変わらないのではないか。  身長差の逆転である。 (……地味なオチ……)  可南子はそう思いながら、次はきっと別の作者さまに私を使ってもらおうと、願うのだった。

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