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とびきりどっちみち突っ走ってしまう」(2007/12/31 (月) 23:28:27) の最新版変更点

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 ごきげん(略)である。  発端はついこの間。リリアンと姉妹学園交流のある麻帆良学園のとある生徒から懐中時計型のタイムマシンを貰ったところから話は始まるのだが、そこは思い切ってバッサリカットしてみる斬新スタイル。 「とにかく、このティースクエアだかなんだかを試してみる価値があるってことね!」 「カシオペアね」  由乃の暴走と共に入る令のツッコミ。Tスクエアとカシオペアなんてこの世代のお嬢様はまず知らないだろうネタを完璧に投げて拾った黄薔薇姉妹に年齢査証疑惑が持ち上がるのはまさにこの夜のことである。 「さて、じゃあ!」  令を流して、由乃はいつの間にか持ってきたホワイトボードにペンを突き立てて、呟いた。 「どこに行く?」 「はいはい、私は過去がいいです!」といつになく元気な声を上げたのは乃梨子だった。 「過去? そりゃまたどうして」 「受験に失敗せず、第一志望の学校に受かった私が見てみたいです」  そう発言した途端、隣に座っていた志摩子が乃梨子の制服のすそを掴み、ボソリと一言。 「──私を捨てるのね」 「すすすすす捨てるだなんてとんでもない! ただ、私はちょっと」 「──乃梨子ハ、私ト出逢ワナイ世界ニ行キタイノネ?」  志摩子の声のトーンが変わり、口調も変化し、部屋の空気が凍りついた。 「──ノリコってバ、そんナコとをいウヨウニなっテシマッたのネ──」 「志摩子さん、怖い、怖いよ!!」 「と、とにかく、まぁ、チラッとだけでも見てみようよ!」 「そ、そうよ志摩子! だからそのストリキニーネの入った注射器をしまって!!」  祐巳と祥子の必死に説得により、乃梨子は一命を取り留めた。  そして彼女たちは過去に飛んでみることにした。   <<およそ半年以上前>>乃梨子がリリアンに行っていない世界<< 「──誰、あの女」  開口一番、今度は乃梨子が般若のような表情に変化した。志摩子の隣で楽しそうに笑っている女生徒がいるのだが、彼女の首には見覚えのあるロザリオが掛けられていたのだ。 「乃梨子ちゃんじゃない場合でも、素敵な出会いはあったのか」 「乃梨子さん、可哀想……」  祐巳と可南子のたたみかけるような口撃に、市松人形はガクンと頭を下げた。 「でも、でもいいんです」  乃梨子の搾り出すような声。面白半分でこの世界に来たことを後悔するメンバー。  しかし、次の瞬間。 「し、志摩子……さん?」 「あ、あああああああああああああああああ……」  志摩子は口から泡を吹き出し、白目を剥いて激しく痙攣し始めたのだ。 「そ、その注射器!」 「一発ネタじゃなかったのね!?」  大体20行前に志摩子が取り出していた猛毒入りの注射器である。 「これで私と志摩子さんは永遠に一緒だからねえええええええええ」 「まずいわ! 乃梨子さんが壊れてしまった!!」 「それ以上に志摩子さんが死んじゃうよぉ!!!」 「こうなったら、アレを使うしかないわね!!」  そう。過去を変えるしか手段はない。   <<大体十分くらい前>>志摩子が乃梨子に殺されない世界<< 「──誰、あの女」  開口一番、今度は乃梨子が般若のような表情に変化した。志摩子の隣で楽しそうに笑っている女生徒がいるのだが、彼女の首には見覚えのあるロザリオが掛けられていたのだ。 「乃梨子ちゃんじゃない場合でも、素敵な出会いはあったのか」 「乃梨子さん、可哀想……」  祐巳と可南子のたたみかけるような口撃に、市松人形はガクンと頭を下げた。 「でも、でもいいんです」  乃梨子の搾り出すような声。面白半分でこの世界に来たことを後悔するメンバー。  しかし今度は後悔ばかりはしていられない。可南子は目にも止まらぬスピードで乃梨子の右手を掴む。 「可南子さん!?」  右手から、ポロリと落ちる注射器。 「駄目よ。そんな手段を使って、志摩子さんが喜ぶと思う?」 「あ、うぅ……」 「あの、私がどうかしたのかしら?」 「貴方に殺されて一緒になったとして、志摩子さんは浮かばれやしない!」 「うぅ、可南子さん……!」 「あの、私は生きているのだけれど……」 「さぁ、嫌なことは忘れて、志摩子さんの分まで強く生きるのよ!!」 「うあああああああ、志摩子さあああああああん!!!!」 「だから、あのね?」   <<およそ半年後>>とりあえず最初の世界<< 「うーん、過去は危ないわね」 「それもパラレルワールドはかなり危険よね」  祐巳と由乃がそう言うと、乃梨子は小声で「ごめんなさい」と謝った。志摩子は乃梨子の頭を笑顔でなでなでしている。 「じゃあさ、未来なんてどうかな」  令の提案に、由乃は瞳をギラリと光らせる。 「未来面白そう! 令ちゃんと私、結婚してるかなー?」 「あはは、由乃ってば☆ 日本じゃどうなったって結婚なんてできないんだゾ☆」 「子供は何人いるのかなー? 私はねー、ラグビーの試合ができるくらいほしいな♪」 「30人なんて、ハムスターじゃないんだからネ☆」 「令、キモくってよ」  祥子の一言でorzなポーズになる令。 「ま、まぁ、未来に行って見ましょうか? ね?」  乃梨子の言葉は救いになるのだろうか。とにかく彼女たちは、遥か未来に行ってみることにした。   <<かなり未来>>由乃と令のラブラブな世界<< 「内閣総理大臣、島津由乃くん!」  ここは国会議事堂の、衆議院本会議場。こそこそと端っこに隠れているメンバーは唖然としていた。  とてつもなくナイスバディでとんでもなくインテリな表情の大人になった由乃が、「そ、そ、そ、総理大臣!?」  頓狂な声を上げたのは、島津総理のファーストレディとして世界でも有名なセレブとなってる予定の支倉令。  ──由乃が本気になったら用心せい。 「……同姓婚、法律改正して、OKにしたんだ……」  祐巳の呆然とした声。 「そのためだけに、そ、総理に!?」 「こ、この世界は、さすがにマズイわ」 「ど、どこかで過去を変えなければ」 「……い、いいこと考えた!!」   <<そして半年前>>キモい令とはっちゃけ由乃のいる時代<< 「じゃあさ、未来なんてどうかな」  令の提案に、由乃は瞳をギラリと光らせる。 「未来面白そう! 令ちゃんと私、結婚してるかなー?」 「あはは、由乃ってば☆ 日本じゃどうなったって結婚なんてできないんだゾ☆」 「子供は何人いるのかなー? 私はねー、ラグビーの試合ができるくらいほしいな♪」 「30人なんて、ハムスターじゃないんだからネ☆」 「令、それに由乃ちゃん」 「はい?」 「何、祥子?」  祥子に注意をひかれた二人の後頭部にめり込んだのは、松平瞳子のドリルアタックである。二人は一瞬で意識を手放した。 「こ、これできっと大丈夫です」 「ええ。全てを忘れていればいいのだけれど」 「こ、今度はそう遠くない未来に行ってみませんか?」  祐巳の提案に、祥子は同意した。 「そ、そうね。その方が面白そうじゃない」  気絶した令と由乃は、自分の舌を飲み込んで窒息しないように顔を横に向けて寝かせて、他のメンバーはほんの少し未来に飛んでみた。   <<ほんの一時間後>>地味に何かがあった世界<< 「ま、まさか私と祐巳があんなことになっていたなんて……」  机に伏して悲しそうな声を出す祥子。  乃梨子や志摩子も涙を堪えていたし、可南子や瞳子に至っては号泣していた。 「な、何!? 何があったというの!?」 「私とお姉さまに何かあったんですかぁ!?」  その姿を見た、過去からやって来た二人はパニックに陥る。 「どうやらお二人は、一年後の世界を見てきたようですね」 「来年に何かあるっていうのね!?」  祥子は乃梨子の手からカシオペアをふんだくる。 「あっ!」 「こうなったら、私がその原因をつきとめてやるわ!!」 「祥子さま、あまり変にいじらない方が……あっ!!」  カシオペアと共に、祥子だけがいなくなってしまった。 「どどどどどど、どうしよう! 私達帰れないよ!?」 「……私にいい考えがあります」  瞳子が女優の顔でニヤリと笑った。 「火事よ! 早く逃げて!!」 「火事ですって!?」 「レッツここから逃げるのよ!!」  全員は蜘蛛の子を散らしたようにいなくなり、あとに残ったのは気絶したまま放置されている黄色薔薇姉妹だけのようだ。 「さ、後はテーブルの上のカシオペアを失敬するだけですわ」 「……何、今の職人芸」 「声だけならまだしも、サイレンの音とかも出したでしょ」 「というかレッツって何よ」  可南子と乃梨子の呆然とした声に、瞳子は「女優ですから」と得意げな返事をする。 「とにかく、あのカシオペアを……」 「はいはい。今取ってくるから」  可南子がカシオペアを入手し、どうにか無事(?)最初の世界に帰還するのであった。   <<そしてやっと>>最初の世界<< 「──お姉さま、戻ってきませんね」 「まさか、カシオペアを失くしたりはしてないでしょうね」  みんなが口々に心配そうな声を出す。祐巳は泣きそうである。その時だった。 「ごきげんよう」  扉が開き、堂々と祥子が入ってくる。 「お姉さま!?」 「祥子!!」  祐巳と令が勢いよく立ち上がった。 「言ったでしょ、原因を突き止めてやる、って」  どうやら祥子は、カシオペアを使って数日前まで戻り、麻帆良学園のとある女生徒に会ってきたのだという。今回の騒動を伝え、「カシオペアを持ってこないでくれ」という頼みをし、自分の持っていたカシオペアは返却してきたらしいのだ。 「……どうしましょう」 「え?」  可南子は、この時代三つ目のカシオペアをポケットから出しながら、困ったような声を出した。

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