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柿食えば愛する祐巳へ大変身」(2007/12/31 (月) 23:11:16) の最新版変更点

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 これはあえて、三人称で書かせてもらう。綿密な取材に基づいた創作であると考えてもらってもよい。  大変申し訳ないが、面倒な説明は省かせて頂く。  とにかく、小笠原祥子と細川可南子、そして松平瞳子は、凄まじい能力を身に着けてしまったのだ。  一番最初にこれに気付いたのは、細川可南子だった。  学校からの帰り道。近所の八百屋の店先で、とても美味しそうな柿を発見した。そして、それを購入したのだ。  その時の相手をした、八百屋「八百重」の大将・重野太市さん(62歳)はこう証言する。 「いやぁ、おっきい姉ちゃんが柿くれって言ったから売っただけだよ。ま、結構可愛かったから二つおまけしたがね、がはははは! あ、ちょっと母ちゃん、耳引っ張るなって、お客さんの前なんだから、すまんすまん謝るから」  とにかく、柿を3つとおまけ2つの計5つを手に、可南子は自分の部屋に戻ったのである。 「ただいま」  言ってはみるが、返事は無い。小さくため息をつき、私服に着替えてから、キッチンに立つ。買ったばかりの柿の皮を剥き、皿に載せる。  とりあえず、一口食べてみる。とても甘く、そして美味しい。 (祐巳さまにも食べさせたら、喜ぶかしら)  なんて考えたもんだから、さぁ大変。次の瞬間、可南子は自分の身体の奥が疼くのを感じた。 「な、なに!?」  身体が火照る。自分は柿アレルギーだったのか、などと考えてみたが、その思考も止まった。  視界が変化する。しゃがんでもいないのに、どんどん下へとシフトしていく。  自分が小さくなった、と分かったのはその直後であった。着ていた服がダブダブになっていたのである。 「こ、これは……」  ふらふらと歩きながら、可南子は自室の姿見の前に立った。  直後、悲鳴。  しかし、嬉しそうな。 「ゆ、祐巳さま!?」  可南子は、祐巳になっていた。  この時祐巳は、祐麒とプロレスごっこをして、弟の理性を無意識に破壊しかけていた。 「ちょっと令! 一体どういうことなの!!」  小笠原祥子の金切り声は、電話の向こうの支倉令に十分届いたようだ。 「祥子、耳鳴りした、耳鳴り」 「令の耳鳴りなんてどうでもいいのよ!」 「ひ、ひどくない?」 「説明して頂戴。どうして貴方から貰った柿を食べた私が、祐巳になるのよ!!」 「そんな事言ったって、ていうか意味が分からないよ、祥子」 「馬鹿!」 「ば、馬鹿……さちこぉ」 「ちょっと令、泣くのはよしなさい! 言い過ぎたのはごめんなさい、謝るから」 「うん……うん」 「だから、あなたは何ともないの? 柿、食べたんでしょう?」 「私は、なんともないけど……由乃にあげちゃったから……」 「ちょ、ちょっとそれって、不味いのではなくて?」 「……え?」  令の息遣いが止まった。すると、電話口の遥か向こうから、怪獣の鳴き声らしきものが聞こえてきた。 「れいちゃあああああああああああああん!!!!!!!」 「う、うあわああわわよしよよしよしのおおおお」 「なんでわたしが令ちゃんになるのよおおおおおおおおおおおお!!!!!!」 「お、おちついてよしのおおおおおおお」  そこで電話が破壊されたのか、鈍い音と共に、令との通話は途絶えた。  とにかく、あの柿は普通のものではなかったようだ。  ため息と共に受話器を置くと、すぐにベルが鳴った。表示されている番号は、見覚えのあるものだった。  この時祐巳は、お風呂上りに随分とラフな格好でいたので、弟の理性を限界寸前まで追い込んでいた。 「祥子お姉さま……」  我ながら弱弱しい声だ、と松平瞳子は思った。  お風呂から上がってすぐ、下校時に祥子から貰った柿を思い出した。令からのおすそわけのおすそわけであったが、瞳子は嬉しかった。  普通に皮を剥き、普通に食べた。とても美味しかった。  そして、なんの意識もせずに、鏡を見た。  毎日見ている狸顔がそこにあった。瞳子は普通に通り過ぎる。ちょっと戻る。もう一度鏡を見る。うん、祐巳さまがいる。瞳子は再び通り過ぎる。慌てて戻る。鏡を凝視する。自分のいるべき場所に、祐巳さまがいる!  気付くのにイギリスのコメディアンみたいな行動を取ってしまった瞳子は、かなりパニックになった。  自分の身体は自分がよく知っている、と一旦裸になりかけたが、祐巳の裸を想像して鼻血が出た為にそれは中止。鼻にティッシュを入れた祐巳の顔に爆笑。普段の髪形をしてみたが、縦ロールが微妙な為に落胆。  三人の中で一番面白い動きをした瞳子である。  で、祥子に電話をかけたのだが、思いのほか祥子もパニックになっていたようだった。  何故なら「私、祐巳さまになってしまいました」と言ったら「あら、奇遇ね」と返してきたからである。  この時祐巳は、考え事をしながら、下校途中に祥子から貰った柿を食べていた。  そして、次の日の朝。 「……ごきげんよう」  瞳子は、祐巳が縦ロールに失敗したような外見だった。 「……ごきげんよう。二人とも」  祥子は、少し朝に弱そうな祐巳といった感じだった。 「……ごきげんよう」  可南子は、祥子以上に制服が大きくて、スケバンみたいになっていた。 「本当に、祐巳さまになってしまったんですね」 「可南子ちゃんまでなっているとはね」 「瞳子、これからどうしましょう」 「……見ました?」 「何を?」 「……黄薔薇姉妹」  可南子の言葉の直後、令と由乃が現れた。 「ごきげんよう、って、げっ! 微妙にどこかが違う祐巳さんが3人!!」  令の外見の由乃が驚いている。その横にいるのは……剣道部の部長である。 「剣道部の……?」 「れ、令だよ、祥子」 「令ちゃんに無理矢理柿を食べさせたんですけどね? 頭に浮かんだのが部長だったんですよぉぉおおおおおおお」 「ちょ、ちょっと由乃おちついへがぁっ」  振り回す手が顎にクリーンヒットして、令はその場にうずくまった。 「私は、近所の八百屋さんで買ったんですが、お二人はどこから?」 「私は祥子お姉さまから」 「私は令から」 「私も令ちゃんから」 「私は志摩子から」 「……志摩子?」  祥子が驚いた声を上げる。 「志摩子は、なんともないのかしら……?」  すると、全員の背後から、泣きそうな声が聞こえた。 「ごきげんよぅおぉ~……」 「祐巳!?」  振り向くとそこには、モデルのような美人が立っていた。 「えっと……どちらさま?」  由乃が問いかけると、彼女は答えた。 「祐巳ですよ、令さま……」 「私、由乃」 「……え、はい?」 「祐巳、私はこっちよ」 「……私が、三人?」  一瞬の沈黙の後。 「きゅう」  祐巳はばったりと倒れてしまった。 「私、昨日お姉さまから貰った柿を食べてみたんです。そしたら、気が付いたらこう……」 「祐巳、その時、誰を考えてこうなったの?」 「そ、それが……お姉さまも食べたかなぁとか、可南子ちゃんと瞳子ちゃんにも配ってたなぁとか……」 「そ、それで、そんな身体に……」  祥子の黒髪。可南子の身長。瞳子の顔。そして祥子のゴイスなバディを元にしたバランスのとれた身体。ある意味でパーフェクト超人の誕生だ。 「とにかく、元に戻る方法を考えないと」  令はそう言っているが、実を言えば由乃も祥子も可南子も瞳子も、別に戻らなくてもいいかな、なんて思っていた。好きな相手の身体を好きにできるという神のような特権を手にしてしまったし、祐巳に至ってはなんかとってもすごいし。  そして、もう一個問題が。 「私の家で取れた柿がこんな事態を引き起こすなんて、ねぇ……」 「志摩子さん、でもこんな経験、普通はできないから大丈夫だよ!」  藤堂志摩子の外見の二条乃梨子と、二条乃梨子の外見の藤堂志摩子がそう言った。二人は目を合わせると顔を真っ赤にして、繋いだ指を絡めあうのだが……。 (二人とも……まさかとは思うけど、まさか!!)  全員がピンク色な想像をした。  最後に、八百屋「八尾重」の大将・重野太市さん(62歳)に話を聞いた。 「あの柿ね、実は俺の知り合いの寺の住職から買ったんだよ。藤堂さんっつってね、外見は生臭坊主だが中身はしっかりした人でね。それで、毎年大量に取れるからってんで格安で買ってるんだよ。値段的にはトントンってとこじゃないかね。どうだい? 美味かったろ? お、母ちゃんどうした。こないだのは謝ったじゃねぇか。え? 柿? 喋ってなかったっけ? いやははは、知り合いだし利益なくても、いた、いてぇってば母ちゃん許してお願いごめんなさい」  ──今現在を以ってしても、元に戻る見込みは無い。 文責:築山三奈子                                             の外見の山口真美
 これはあえて、三人称で書かせてもらう。綿密な取材に基づいた創作であると考えてもらってもよい。  大変申し訳ないが、面倒な説明は省かせて頂く。  とにかく、小笠原祥子と細川可南子、そして松平瞳子は、凄まじい能力を身に着けてしまったのだ。  一番最初にこれに気付いたのは、細川可南子だった。  学校からの帰り道。近所の八百屋の店先で、とても美味しそうな柿を発見した。そして、それを購入したのだ。  その時の相手をした、八百屋「八百重」の大将・重野太市さん(62歳)はこう証言する。 「いやぁ、おっきい姉ちゃんが柿くれって言ったから売っただけだよ。ま、結構可愛かったから二つおまけしたがね、がはははは! あ、ちょっと母ちゃん、耳引っ張るなって、お客さんの前なんだから、すまんすまん謝るから」  とにかく、柿を3つとおまけ2つの計5つを手に、可南子は自分の部屋に戻ったのである。 「ただいま」  言ってはみるが、返事は無い。小さくため息をつき、私服に着替えてから、キッチンに立つ。買ったばかりの柿の皮を剥き、皿に載せる。  とりあえず、一口食べてみる。とても甘く、そして美味しい。 (祐巳さまにも食べさせたら、喜ぶかしら)  なんて考えたもんだから、さぁ大変。次の瞬間、可南子は自分の身体の奥が疼くのを感じた。 「な、なに!?」  身体が火照る。自分は柿アレルギーだったのか、などと考えてみたが、その思考も止まった。  視界が変化する。しゃがんでもいないのに、どんどん下へとシフトしていく。  自分が小さくなった、と分かったのはその直後であった。着ていた服がダブダブになっていたのである。 「こ、これは……」  ふらふらと歩きながら、可南子は自室の姿見の前に立った。  直後、悲鳴。  しかし、嬉しそうな。 「ゆ、祐巳さま!?」  可南子は、祐巳になっていた。  この時祐巳は、祐麒とプロレスごっこをして、弟の理性を無意識に破壊しかけていた。 「ちょっと令! 一体どういうことなの!!」  小笠原祥子の金切り声は、電話の向こうの支倉令に十分届いたようだ。 「祥子、耳鳴りした、耳鳴り」 「令の耳鳴りなんてどうでもいいのよ!」 「ひ、ひどくない?」 「説明して頂戴。どうして貴方から貰った柿を食べた私が、祐巳になるのよ!!」 「そんな事言ったって、ていうか意味が分からないよ、祥子」 「馬鹿!」 「ば、馬鹿……さちこぉ」 「ちょっと令、泣くのはよしなさい! 言い過ぎたのはごめんなさい、謝るから」 「うん……うん」 「だから、あなたは何ともないの? 柿、食べたんでしょう?」 「私は、なんともないけど……由乃にあげちゃったから……」 「ちょ、ちょっとそれって、不味いのではなくて?」 「……え?」  令の息遣いが止まった。すると、電話口の遥か向こうから、怪獣の鳴き声らしきものが聞こえてきた。 「れいちゃあああああああああああああん!!!!!!!」 「う、うあわああわわよしよよしよしのおおおお」 「なんでわたしが令ちゃんになるのよおおおおおおおおおおおお!!!!!!」 「お、おちついてよしのおおおおおおお」  そこで電話が破壊されたのか、鈍い音と共に、令との通話は途絶えた。  とにかく、あの柿は普通のものではなかったようだ。  ため息と共に受話器を置くと、すぐにベルが鳴った。表示されている番号は、見覚えのあるものだった。  この時祐巳は、お風呂上りに随分とラフな格好でいたので、弟の理性を限界寸前まで追い込んでいた。 「祥子お姉さま……」  我ながら弱弱しい声だ、と松平瞳子は思った。  お風呂から上がってすぐ、下校時に祥子から貰った柿を思い出した。令からのおすそわけのおすそわけであったが、瞳子は嬉しかった。  普通に皮を剥き、普通に食べた。とても美味しかった。  そして、なんの意識もせずに、鏡を見た。  毎日見ている狸顔がそこにあった。瞳子は普通に通り過ぎる。ちょっと戻る。もう一度鏡を見る。うん、祐巳さまがいる。瞳子は再び通り過ぎる。慌てて戻る。鏡を凝視する。自分のいるべき場所に、祐巳さまがいる!  気付くのにイギリスのコメディアンみたいな行動を取ってしまった瞳子は、かなりパニックになった。  自分の身体は自分がよく知っている、と一旦裸になりかけたが、祐巳の裸を想像して鼻血が出た為にそれは中止。鼻にティッシュを入れた祐巳の顔に爆笑。普段の髪形をしてみたが、縦ロールが微妙な為に落胆。  三人の中で一番面白い動きをした瞳子である。  で、祥子に電話をかけたのだが、思いのほか祥子もパニックになっていたようだった。  何故なら「私、祐巳さまになってしまいました」と言ったら「あら、奇遇ね」と返してきたからである。  この時祐巳は、考え事をしながら、下校途中に祥子から貰った柿を食べていた。  そして、次の日の朝。 「……ごきげんよう」  瞳子は、祐巳が縦ロールに失敗したような外見だった。 「……ごきげんよう。二人とも」  祥子は、少し朝に弱そうな祐巳といった感じだった。 「……ごきげんよう」  可南子は、祥子以上に制服が大きくて、スケバンみたいになっていた。 「本当に、祐巳さまになってしまったんですね」 「可南子ちゃんまでなっているとはね」 「瞳子、これからどうしましょう」 「……見ました?」 「何を?」 「……黄薔薇姉妹」  可南子の言葉の直後、令と由乃が現れた。 「ごきげんよう、って、げっ! 微妙にどこかが違う祐巳さんが3人!!」  令の外見の由乃が驚いている。その横にいるのは……剣道部の部長である。 「剣道部の……?」 「れ、令だよ、祥子」 「令ちゃんに無理矢理柿を食べさせたんですけどね? 頭に浮かんだのが部長だったんですよぉぉおおおおおおお」 「ちょ、ちょっと由乃おちついへがぁっ」  振り回す手が顎にクリーンヒットして、令はその場にうずくまった。 「私は、近所の八百屋さんで買ったんですが、お二人はどこから?」 「私は祥子お姉さまから」 「私は令から」 「私も令ちゃんから」 「私は志摩子から」 「……志摩子?」  祥子が驚いた声を上げる。 「志摩子は、なんともないのかしら……?」  すると、全員の背後から、泣きそうな声が聞こえた。 「ごきげんよぅおぉ~……」 「祐巳!?」  振り向くとそこには、モデルのような美人が立っていた。 「えっと……どちらさま?」  由乃が問いかけると、彼女は答えた。 「祐巳ですよ、令さま……」 「私、由乃」 「……え、はい?」 「祐巳、私はこっちよ」 「……私が、三人?」  一瞬の沈黙の後。 「きゅう」  祐巳はばったりと倒れてしまった。 「私、昨日お姉さまから貰った柿を食べてみたんです。そしたら、気が付いたらこう……」 「祐巳、その時、誰を考えてこうなったの?」 「そ、それが……お姉さまも食べたかなぁとか、可南子ちゃんと瞳子ちゃんにも配ってたなぁとか……」 「そ、それで、そんな身体に……」  祥子の黒髪。可南子の身長。瞳子の顔。そして祥子のゴイスなバディを元にしたバランスのとれた身体。ある意味でパーフェクト超人の誕生だ。 「とにかく、元に戻る方法を考えないと」  令はそう言っているが、実を言えば由乃も祥子も可南子も瞳子も、別に戻らなくてもいいかな、なんて思っていた。好きな相手の身体を好きにできるという神のような特権を手にしてしまったし、祐巳に至ってはなんかとってもすごいし。  そして、もう一個問題が。 「私の家で取れた柿がこんな事態を引き起こすなんて、ねぇ……」 「志摩子さん、でもこんな経験、普通はできないから大丈夫だよ!」  藤堂志摩子の外見の二条乃梨子と、二条乃梨子の外見の藤堂志摩子がそう言った。二人は目を合わせると顔を真っ赤にして、繋いだ指を絡めあうのだが……。 (二人とも……まさかとは思うけど、まさか!!)  全員がピンク色な想像をした。  最後に、八百屋「八尾重」の大将・重野太市さん(62歳)に話を聞いた。 「あの柿ね、実は俺の知り合いの寺の住職から買ったんだよ。藤堂さんっつってね、外見は生臭坊主だが中身はしっかりした人でね。それで、毎年大量に取れるからってんで格安で買ってるんだよ。値段的にはトントンってとこじゃないかね。どうだい? 美味かったろ? お、母ちゃんどうした。こないだのは謝ったじゃねぇか。え? 柿? 喋ってなかったっけ? いやははは、知り合いだし利益なくても、いた、いてぇってば母ちゃん許してお願いごめんなさい」  ──今現在を以ってしても、元に戻る見込みは無い。 文責:築山三奈子                                             の外見の山口真美

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