「雪、焚き火、山奥にて。」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

雪、焚き火、山奥にて。」(2008/04/02 (水) 02:18:31) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

 ――雪が、降る。 「……寒いな」 「心頭滅却すれば、火もまた涼し。で、ござるよ」 「今涼しいとまずいんじゃないか?」 「だからさっきから寒くて寒くてたまらないでござるよ」 「……馬鹿か」  目の前の糸目忍者は、唇を真っ青にしている。焚き火を前にしてそれはないだろ、お前。 「しっかし、なんだってこの季節に野外で修業なんだ」 「んー、特に決めてなかったでござる」 「……やっぱり馬鹿だな」  どうやって捕まえたか知らないが、蛇を焼いている。  一応魚も焼いてはいるが、どうしても目線は蛇に行ってしまう。 「……なぁ、帰らないか? 寒いだろ。帰って、一緒に……」 「いや、申し出は嬉しいがごめんなさいでござるよ」 「どうして」 「んー。一度決めてしまったから、でござるかな」  でたよ。  こいつは妙に頑固で、妙に義理堅くて、妙に優しくて……。  だから、私が惚れたんだよなぁ。 「それより、真名こそ帰った方がいいのではないでござるか?」  私は答えずに立ち上がる。 「無理して拙者に付き合わずとも――」  黙れ。  唇も、首筋も、指先も。冷たくなってしまって……。この、馬鹿。 「……ま、真名……」 「付き合うさ。恋人の帰りをじっと待てないから、私はここに来たんだ」  二度目の口付け。紫色した唇を激しく貪る。  隣で、焚き火が爆ぜた。なんだ、暖かいじゃないか。  ――まぁ、寒かったら暖めあえば済む話なんだがな。  私は、楓を強く抱き締めた。  雪は、止まない。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: