「新たな仲間」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

新たな仲間」(2008/04/02 (水) 01:29:32) の最新版変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

 ――機能停止まで、あと僅か。私は壁に背を預け、唯一動く左側のカメラを左右に動かしてみる。  人間でいうところの右目は、暴走したディフェンダーの攻撃により、破壊されてしまった。侵入者の自由を奪う為の機能である硬質のワイヤーは、私の右頭部を貫通し、腕部を麻痺させた。  私はディフェンダーを破壊し、この通路を進んだが、記憶回路にも影響していたらしく、行き止まりに辿り着いてしまった。  私は倒れ、そして、迫る死を待つだけとなっていた。  ――声が聞こえる。  人間は既にいない。となると侵入者か。 「さっきのでかいヤツ、強かったなー」 「もう少し探索したら、一旦街へ戻ろうか」  足音が迫る。 「ありゃ、こっちも行き止まりだ」  片手に剣を持った少女だ。傷ついていたが、流血はしていない。 「……あそこ」  青白い肌をした少女が、私を指差した。それに気付いたのは、眼鏡の女性だ。 「大変、腕が……!」  彼女達は私に駆け寄ってきた。五人の女性だ。  白衣の女性が、私を見て、表情を強ばらせた。 「人間じゃない……」  その言葉と同時に、私の首に刃物が当たる。古い文献にあった、侍のような格好の少女だ。 「……下手な動きをしたら、我が刀の錆となるぞ」  私は、早まった死を受け入れることにした。人間によって造られた私が、人間によって破壊される。これは決定されていたのかもしれない。  ――だが、私に死は訪れなかった。 「……落ち着きなさい、洗濯板娘」 「だ、誰が洗濯板だ!」  顔色の悪い少女が、侍少女の気を逸らさせた。 「……間違えたことは、何一つ言ってない」 「き、貴様!」 「大丈夫。これから大きくなるわよ」 「まだ若いんだから、気にしなくても……」 「あたし、蛍の薄い胸も大好きだよ?」 「……つるぺたはステータス。恥じることはない」  周囲の四人に言われまくった侍少女は、奇声をあげながら仲間であろう四人に斬り掛かった。しかし。 「……和泉蛍に命ずる。畏れよ、我を。そして、自らを縛れ」  顔色の悪い少女が呟いた言葉に従うように、侍少女は動かなくなり、自らの持ち物であろう糸玉で、手足を縛り、床に座ってしまった。 「……邪魔だったから、つい」 「し、縛られた蛍も好きだよ、あたし……」 「あなた、私たちの言葉がわかるの?」  眼鏡の女性が聞いてくる。私は「――はい」と答えた。 「名前は?」 「――EV-08、Evolution Viosystem No.Eight、E.v.E.です」 「え、えぼ……何?」 「呼びにくいようでしたら、イヴ、とお呼びください」  このやりとりの後、私は質問に答え、戦闘の意志が無いことや、これまでのいきさつを話した。  眼鏡の女性はフラニーさま。白衣の女性はロゼさま。言葉遣いの少女はララさま。剣士の少女はパティさま。侍の少女は蛍さま。名前をインプットした。  パティさまが私を背負い、街へと連れていってくれた。その後、フラニーさまが様々な部品をチェックしてくれた。 「うん、城の敵が落としたやつでなんとかなりそう。でも、右目は駄目だわ……ごめんね」 「いえ。私こそ、修理して下さいまして、ありがとうございます」 「いえいえ。あとその服どう? ウチのリーダーのお古なんだけど」 「文句はありません」 「そっか。よかった」 「――あの、フラニーさま」 「ん?」 「お礼がしたいのですが、何かございませんでしょうか――」  ――私の名前はイヴ。  Holicという名のギルドに所属している。  弓矢を持ち、日々を樹海で過ごす。  私を助けてくれた皆さんの、何より、フラニーさまの為に――。  ――追伸。  蛍さまですが、しばらく縛られたままでした。  手足が自由になってからも、ララさまとロゼさまが面白がって何度も言葉でいじめていました。 「……命ず、ロゼに向かって上目遣いで決めゼリフ」 「はい。……甘くて美味しい私を食べて、ご主人さま」 「あらあら、蛍ちゃんがそういうなら遠慮なく……うふふ♪」
 ――機能停止まで、あと僅か。私は壁に背を預け、唯一動く左側のカメラを左右に動かしてみる。  人間でいうところの右目は、暴走したディフェンダーの攻撃により、破壊されてしまった。侵入者の自由を奪う為の機能である硬質のワイヤーは、私の右頭部を貫通し、腕部を麻痺させた。  私はディフェンダーを破壊し、この通路を進んだが、記憶回路にも影響していたらしく、行き止まりに辿り着いてしまった。  私は倒れ、そして、迫る死を待つだけとなっていた。  ――声が聞こえる。  人間は既にいない。となると侵入者か。 「さっきのでかいヤツ、強かったなー」 「もう少し探索したら、一旦街へ戻ろうか」  足音が迫る。 「ありゃ、こっちも行き止まりだ」  片手に剣を持った少女だ。傷ついていたが、流血はしていない。 「……あそこ」  青白い肌をした少女が、私を指差した。それに気付いたのは、眼鏡の女性だ。 「大変、腕が……!」  彼女達は私に駆け寄ってきた。五人の女性だ。  白衣の女性が、私を見て、表情を強ばらせた。 「人間じゃない……」  その言葉と同時に、私の首に刃物が当たる。古い文献にあった、侍のような格好の少女だ。 「……下手な動きをしたら、我が刀の錆となるぞ」  私は、早まった死を受け入れることにした。人間によって造られた私が、人間によって破壊される。これは決定されていたのかもしれない。  ――だが、私に死は訪れなかった。 「……落ち着きなさい、洗濯板娘」 「だ、誰が洗濯板だ!」  顔色の悪い少女が、侍少女の気を逸らさせた。 「……間違えたことは、何一つ言ってない」 「き、貴様!」 「大丈夫。これから大きくなるわよ」 「まだ若いんだから、気にしなくても……」 「あたし、蛍の薄い胸も大好きだよ?」 「……つるぺたはステータス。恥じることはない」  周囲の四人に言われまくった侍少女は、奇声をあげながら仲間であろう四人に斬り掛かった。しかし。 「……和泉蛍に命ずる。畏れよ、我を。そして、自らを縛れ」  顔色の悪い少女が呟いた言葉に従うように、侍少女は動かなくなり、自らの持ち物であろう糸玉で、手足を縛り、床に座ってしまった。 「……邪魔だったから、つい」 「し、縛られた蛍も好きだよ、あたし……」 「あなた、私たちの言葉がわかるの?」  眼鏡の女性が聞いてくる。私は「――はい」と答えた。 「名前は?」 「――EV-08、Evolution Viosystem No.Eight、E.v.E.です」 「え、えぼ……何?」 「呼びにくいようでしたら、イヴ、とお呼びください」  このやりとりの後、私は質問に答え、戦闘の意志が無いことや、これまでのいきさつを話した。  眼鏡の女性はフラニーさま。白衣の女性はロゼさま。言葉遣いの少女はララさま。剣士の少女はパティさま。侍の少女は蛍さま。名前をインプットした。  パティさまが私を背負い、街へと連れていってくれた。その後、フラニーさまが様々な部品をチェックしてくれた。 「うん、城の敵が落としたやつでなんとかなりそう。でも、右目は駄目だわ……ごめんね」 「いえ。私こそ、修理して下さいまして、ありがとうございます」 「いえいえ。あとその服どう? ウチのリーダーのお古なんだけど」 「文句はありません」 「そっか。よかった」 「――あの、フラニーさま」 「ん?」 「お礼がしたいのですが、何かございませんでしょうか――」  ――私の名前はイヴ。  Holicという名のギルドに所属している。  弓矢を持ち、日々を樹海で過ごす。  私を助けてくれた皆さんの、何より、フラニーさまの為に――。  ――追伸。  蛍さまですが、しばらく縛られたままでした。  手足が自由になってからも、ララさまとロゼさまが面白がって何度も言葉でいじめていました。 「……命ず、ロゼに向かって上目遣いで決めゼリフ」 「はい。……甘くて美味しい私を食べて、ご主人さま」 「あらあら、蛍ちゃんがそういうなら遠慮なく……うふふ♪」

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: