--初日/紅魔館大食堂/水橋パルスィ ……妬ましい。ああ、妬ましいわ。 どうして勇儀ってば、初対面の連中とあんなに笑顔で話せるのかしら。 どうしてお燐ってば、あんなにテンション高くできるのかしら。 ええ、どうせ私は一人よ。どうせ私はテンション低いわよ。ああ妬ましい! 「パルシーだっけ?」 私の隣に、青い子が座った。 「……チルノだっけ、名前」 「うん! あたいはチルノ! さいきょーなのよ!」 「……私、パルスィ」 「ぱるしー!」 「パルスィ」 チルノは笑顔で私を見ている。 ああ、妬ましい。この子の無邪気さが妬ましい。 「ぱるしーは地下から来たんだよね?」 「そうよ」 「いいなー、あたいも地下に行きたいなー」 「暗くて、怖いわよ」 「う、じゃあ行かない」 ……なんだろう。妬ましいのに、可愛いとも思える。 この子は恐ろしい子だ。私から妬む心を奪い去るなんて。 「チルノ」 「なに?」 「貴女が、とても妬ましいわ」 可愛くて、愛しくて、とても妬ましい。 私は、チルノのことを見れなくなった。 * --初日/紅魔館大食堂/風見幽香 「あー、私のことニートニート言うけどねぇ」 私の目の前に座る輝夜さんは、得意げな表情でそんなことを言い出した。 「ニートっていうのは、素敵な、とか綺麗な、とかそういう意味があるのよ。決して働かないとかひきこもりとかじゃないの。わかる?」 あらあら。どこからツッコもうかしら。 彼女の表情が歪むのを想像すると楽しいわ。 じゃあ、早速いきましょう。……うふふっ。 「さすがね、輝夜さん。素晴らしい知識をお持ちのようね」 「そうでしょ?」 ふふ、この蓬莱ニートが。 「NEATは確かにそういう意味ね。でもきっと、八意さんが言っているのはNEETの方ね」 「ん?」 「Not in Employment, Education or Training. つまりは勉強もしない、働きもしない、働く努力すらもしない。ふふっ、そっちではないかしら」 「な、なによ! 私がそんな風に見える!?」 「起きたら最初に何をする?」 「パソコンの電源を入れる」 「好きな食べ物は?」 「宅配ピザとポップコーン」 「履歴書はある?」 「何それ。食べれるの?」 「普段着はその服?」 「ジャージ」 「完全にNEETじゃないの」 「……あ、私そっちのニートだわ」 気づいたようね。一安心だわ。 さすがに泣きはしないけど、面白い子というのはわかったわ。ふふっ。うふふっ。 「だって私姫だもーん」 うふふ、ふふふふふっ。 この可愛い可愛い蓬莱ニートめ。うふふふふふふふふふふh(ry