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スキマ様がみてる - (2008/10/08 (水) 02:19:45) の最新版との変更点

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 「ごきげんよう」 
 「ごきげんよう」 
  朝の挨拶が交わされる中、真美は校舎へと向かっていた。 
  リリアン女学園高等部二年、山口真美。新聞部で発行している校内新聞『リリアンかわら版』の現編集長。 
  季節の変わり目で、彼女は風邪をひいてしまい、二日ほど学校を休んでしまった。でも、今は全快。元気が有り余っている。 
  前髪は髪留めでトレードマークの七三分けにして、二日ぶりの学校生活が始まる。 
  薔薇の館に取材を申し込もうか、それとも蔦子さんと一緒にいいネタでも探そうか。などと考えながら歩いていた彼女の前に、一枚の紙がヒラヒラと舞い降りた。 
 「?」 
  拾い上げると、右上には『新聞』の文字がある。一瞬、自分たちの発行している物かと思ったが、『リリアンかわら版』に『新聞』の文字はない。 
 「ぶんぶん? なんて読むのかしら」 
  右上には、『文々。新聞』とある。こんな新聞は見たことも聞いたこともない。 
  歩くのを止めて考え込んでいると、「あややややや」という声が聞こえた。 
 
  頭上から。 
 
 
 >幻想郷の愉快な仲間たちが、リリアン女学園『に』現代入り 
 
 
 「あやややや。私としたことがついうっかり」 
  開いた口が塞がらないという状態は、呆れている場合だけではない。驚きで声が出せない状態でもある。 
  目の前に下りてきた少女は、背中に黒い翼が生えていた。 
 「拾ってくれたのですね。ありがとうございます」 
 「い、いえ……」 
 「それでは、急いでいるのでこれで失礼。ごきげんようです」 
 「ごき……げん、よう」 
  彼女は再び空に戻った。すごいスピードで、真美の頭上から姿を消す。 
  口を開けたまま、彼女の消えた方向を見ているだけの真美の耳に、他の生徒の声が聞こえた。 
 「あら、文さまよ」 
 「さすが『音速の天狗』さまですわね」 
  頬をつねった。 
 
  痛かった。 
 
    *** 
 
  教室で授業を受けても頭には入らなかった。 
  部室で原稿をまとめようとしても、気が散って仕方がなかった。 
 
 「日出美」 
  妹の名前を呼ぶ。高知日出美は、「はいっ」と元気な返事をする。 
 「ちょっと、気分転換に散歩してくるわ。後、お願いね」 
 「はい、お姉さま!」 
  いい妹を持ったなぁ、と思いながら廊下を歩く。 
 
  気がつけば、薔薇の館の前にいた。 
 「……薔薇さまなら、何か知ってるかなぁ……」 
  薔薇の館の扉を開けようとした。 
  真美が手を伸ばしかけた時、扉が内側から開いた。 
 「……」 
 「おっと、ごめんなさい」 
  赤い髪の、背の高い女性が目の前にいる。緑色の中国風の服が目に入った。 
 「お客様ですか? ようこそ、紅魔……じゃなかった、薔薇の館へ」 
 「あ、ありがとうございます……」 
 「どうぞどうぞ」 
  笑顔で応対してくれた彼女は、階段を上がっていく。 
  狐につままれたような顔をしながら、真美もその後に続いた。 
 「失礼します、お客様です」 
  声をかけてから、扉を開けてくれる。 
 「ごきげんよう……」 
  中を覗き込むと、そこにはいつもの光景があった。 
  支倉令さま、小笠原祥子さま、島津由乃さん、藤堂志摩子さん、そして、福沢祐巳さん。 
  真美は安心したように溜め息をつき、中に入った。 
 
  が。 
  見慣れない人がいるのにそこで気付いた。 
 
 「ごきげんよう、真美さん」 
  祐巳さんが愛くるしい笑顔を向けてくれるが、真美の視線は一番奥に座る少女に釘付けだった。 
 「ごきげんよう、編集長」 
  少女が真美に声を掛けた。 
  優雅な振る舞いは祥子さまにも負けていない。 
 「あ、あの、祐巳さん、その方は……」 
 「あっ、真美さん休んでたから知らないのね」 
  由乃さんが真美の疑問を晴らしてくれるようだ。 
  と思いきや、奥に座っていた少女が立ち上がった。そして、背中から翼を広げる。 
 「初めてお目にかかるわね。私はレミリア・スカーレット。スカーレット家の現当主よ」 
  優雅に微笑むが、その笑顔に真美は恐怖も覚える。 
 「よろしくね、編集長」 
  なんだか、また熱が出そうだった。 
 
 「どうぞ」 
  椅子に座った真美は、向かいがレミリアさんであることが少し不安だった。 
  彼女はずっと真美を見ている。心の中まで覗かれていそうだった。 
  そして、今紅茶を用意してくれたのは、レミリアさんの片腕だという、十六夜咲夜さん。メイド長らしい。 
 「はい、ありがとうございます……」 
  紅茶を飲んだ。薔薇さまが淹れてくれるお茶も美味しいが、咲夜さんの淹れたお茶は、また違った美味しさがあった。前者は『雰囲気を味わう』(味も格別だが)、後者はただ単純に『美味しい』と感じる。 
  徐々にこの異様な異形の人々がいる空間に、慣れつつある真美だった。