もっちゃんと前田


噛ませ犬。アメリカで言えばロッキーバルボア、日本だったら赤井に挑んだ大和田正春といったところか。おれはそんなことを考えながら電話を切った。
「またあのよだれ?」彼女がめんどくさそうに、ベットから起き上がる。
いつもそうだ。明日伊豆の白浜に行く約束なんて一切してない。なのになんであいつはレンタカーの予約をしてやがるんだ。
「だって女の子も3人くるからさ。全部で6人だろ。やっぱりでかいの借りないとさ」
理由になってねえ。約束してないんだ。あほ。しかも、またあの子がくる。もっちゃんだ。
あいつの小学校時代のクラスメートといって、何回かいっしょに飲んだり旅行に行ったりしていた。そんな時、前田はもっちゃんに擦り寄っていく。いつも垂れているよだれを拭いて近づいていくから、すぐにお気に入りなのがわかる。前田がもっちゃんといたいがために、俺と渡辺は利用されているんだ。。。。しかし、今回だけはセオリーどおりの噛ませ犬を演じてやろうと心にちかった。なぜなら、あれは・・そう確か2カ月前、

「おい。よだれ。おまえもっちゃんが好きなら早く告白しろよ!」(オレ)
「え~。どうしよう。どうしよう。大丈夫?」(よだれ)
「大丈夫はおまえの口癖だ!大丈夫だよ!」(オレ)
 1週間後・・・・
「ふられた・・もっちゃんにふられた・・」(よだれ)
「泣くな!ハンカチでまず、よだれ拭け」(オレ)

オレがけしかけたせいで、前田はみごとにふられていた。
しょうがない。多分あいつにとってもラストチャンスだ。白浜でうまくいかなきゃもう諦めるしかないだろう。
明日が晴れることを祈ろう。。。。。。






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最終更新:2008年01月11日 12:53