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エンカウント オブ ゲリラ イン グァテマラ


「まずいな・・・」
2002年の10月、私は前田を含む3人の仲間と一緒にグアテマラを訪れていた。
ティカルというマヤ文化最大の遺跡を訪れるため、深夜の密林をバスで向かっていた。
その途上、ゲリラらしき兵隊にバスを止められ、同乗者ともども外に出されていた。
「まずいな・・・」
もう一度、つぶやく。
一人一人がバスに手をつかされ、ボディチェックを受けている。
そんな中、前田が話し掛けてくる。
「大丈夫、大丈夫。ビタミン食べる?元気になるよ。」
彼はいつもビタミンで解決しようとする。
なによりもまずいのは、「大丈夫、大丈夫」と言い出したことだ。
やつの「大丈夫」はトラブルの前触れだ。
「バリバリ・ムシャムシャ」
そんな心配を他所にビタミンをむさぼる前田。
周囲には”かがり火”が無数に燃え盛る。
銃を持つ兵士の顔は、明らかに足し算ができない顔だ。
10まで数えられるかどうかも覚束ない。
そんな緊迫した空気の中、どっかのアメリカ人がたばこを吸い出す。
「馬鹿っ、刺激をするなっ!」
と、声に出さずに思う。
が、そのアメリカ人が私にもたばこを勧めてくる。
「オー、さんきゅう」
たばこをくゆらす自分が恥ずかしい。
無数のかがり火の中を漂う紫煙は、幻想的な雰囲気をかもし出し、
つかの間、現実を忘れる。。。忘れる。。。忘れる。。。
「がっ!これマリファナ・・・」
事態が、刻一刻と悪化する中、紫煙の向こう側で、前田がカメラを取り出そうとやっきになっている。
あわてて前田にとびかかる。
「ばかっ!死にたいのかっ!」
「えっ、まずい?ちっちぇーーな山田は」
命の恩人に向かって何たる暴言。
と思うも、馬鹿には勝てないと念じながら怒りを殺す。
他の二人はどうかと見渡す。
妻子持ちで小心者の芦田は、開いた瞳孔でじっと地面を見つめている。
しばらく帰ってきそうにない。
ボディビルダー川口は、大量の汗をかきながら、きょろきょろと当たりを見回している。
危険を感じ取った私はマリファナをやつの口につっこみ、落ち着かせる。
ふと横を見ると、前田が芦田の口にビタミンを押し込んでいる。
彼なりに気を使っているのだろう。
だが、彼の親切は迷惑で、ある意味テロだ。
突然、隊長らしき男が現れ、早くバスに乗れと追い立てる。
どうやら開放されるらしい。
全く事態が飲み込めないが、急いでバスに乗り込む。
無事にバスが走り出すと、
「な、大丈夫だったろ?」
と前田。
私は、やつの口のまわりについているビタミンをそっと取ってあげながら、
「ああ、そうだな」
と返す。
旅行中、もう一度「大丈夫、大丈夫」という言葉を聞く羽目になる。
コスタリカで嵐に会い、荒れた海の中に飛び込まなければならないときだ。
そんなこととは露知らず、我々の旅は続く・・・。

)この話しはノンフィクションです。

  5%程度の表現上の誇張を含むものの、全て実話です。