映像:アニメーション


アニメ

巌窟王

  • 人が星の海に進出を果たしたルイ・フィリップ歴5000年代。パリに住む青年貴族アルベールは退屈凌ぎに訪れた月面都市ルナでモンテ・クリスト伯爵と出会う。
    伯爵に窮地を救われたアルベールは彼をパリの社交界に招待し、伯爵もまた時を同じくしてパリに移り住む。その妖しげな魅力と莫大な富によって瞬く間に社交界の中心となった伯爵に惹かれ、次第に傾倒してゆくアルベール。伯爵の真意に気付かぬまま……。
  • アレクサンドル・デュマの小説『モンテ・クリスト伯』を原作としたTVアニメーション。当初は同作を原作としたSF小説『虎よ、虎よ!』のアニメ化として企画されていたが、権利関係がクリア出来ず原作からのアニメ化となった。本作の舞台設定がSF的――生活文化などは中世ヨーロッパ風ではあるが――な所はその名残りであると言えよう。
  • 3DCG作画に定評のあるゴンゾ製作だけに、本編中に登場する車や宇宙船、巨大ロボ(!)と云ったSF的ガジェットの作画はTV作品とは思えぬ華やかさを誇る。しかしあくまで添え物であり、故にメカデザインで参加の小林誠氏のクレジットが『友情デザイン』なのはご愛嬌と言ったところか。
  • 友に裏切られ虜囚となった青年が絶望の果てに『巌窟王』より力を授かり復讐者=モンテ・クリスト伯となり、その力に己を見失いそうになりながらも復讐を果たしていく姿は龍血を得た龍血保持者を思わせる。しかし、それ以上に本作がカオスフレアに通じる点は、もう一人の主人公=アルベールの存在であろう。
  • 復讐対象の一人であるモルセール将軍の子であるアルベールは原作では脇役に過ぎず、本作でも当初は復讐の足がかりに利用された事も気付かず伯爵に傾倒する幼い若者に過ぎない。しかし彼は優しく純真であるが故に伯爵を信じ、彼の復讐に気付いた後も真実を求め駆け出す勇気を失わなかった。そんな彼の輝きは、復讐の闇に染まっていた伯爵の心すら照らし出す。
  • 本作は絶望から力を得た男の復讐劇であると同時に、絶望に晒されながらも歩みを止めなかった若者の成長物語である。カオスフレアのモチーフとして、ふさわしい一作ではないだろうか?
    • ……とまぁ面倒臭い事を考えずに、『コードギアス』でブレイクする直前の福山潤の初々しい少年演技と中田譲治の妖しくも魅力的な伯爵ボイスにうっとりするだけでも十分に価値のあるアニメだと思います。あんな声で耳元で囁かれたらそら堕ちるわ。

模型戦士ガンプラビルダーズ ビギニングG

  • 2009年、東京・お台場潮風公園。父親に連れられ実物大ガンダムを見に来た少年イレイ・ハルは、初めてのガンプラを手にする。
    それは、ガンダム好きの友人ケンタすら見た事がないと言う「ビギニングガンダム」のプラモデル。父親からプレゼントされたニッパーで早速ビギニングを完成させたハルは、ケンタに誘われて自作のガンプラを使う対戦ゲーム『ガンプラバトルに参加する事に。辛うじて初戦に勝利したハルのビギニングの前に、“ガンプラマイスター”ボリス・シャウアー操る改造ガンプラ・フォーエバーガンダムが立ち塞がる……!
  • アニメ『機動戦士ガンダム』の人気商品にしてバンダイの稼ぎ頭、子供から大人まで、果てはケロン星人やパットフットの天才科学者まで魅了する人気ホビー・ガンプラの、シリーズ開始30周年を記念して製作されたのが本作である。ガンプラを主題材とした初のアニメであり、バトル要素も含めて(80年代のプラモ少年に多大な影響を与えた)名作漫画『プラモ狂四郎』の正統後継作と言えよう。
  • 世界観/時間軸を越えてMSが同一フィールドで戦うシチュエーションは近年のガンダム系ゲームでは定番となった光景だが「ガンプラ同士のバトル」と云う一味違う点も描かれており、「ダメージで実際のプラモ同様に破損する」「三個買いでフィンファンネルをフル可動に改造」「肩が破壊されてもジャイアンドバスにくっついたままのドムの下腕部」「プラスチックとパテの素材差」等、実際に当のガンプラを組んだ事が有るならニヤリと出来る要素が満載。ガンプラ製作の描写も実際に作る際に参考となる位に丁寧で(パチ組み→丁寧仕上げ→塗装スミ入れ、と段階的に描かれているのも芸細)、見た後に自分でも作りたくなる事請け合いである。
    • 第2話(Bパート)にはザクF2型をベースにポリパテとプラ板で重武装改造を施した“スーパーカスタムザクF2000”が登場。「僕の考えた最強のMS」を地で行くデザインとプラモデル説明書で明かされた俺設定の数々は、似た様な事を考えていた黒歴史を心に隠し持つ嘗てのガンプラ少年達を感涙させたと云う。
    • でも、「F2の1000倍強いからF2000」とか「開発チームには魔術師や祈祷師が参加」とか「製造コストが高過ぎて試験機一機のみ」とか「余りに強過ぎた為地下深くに封印」とか、割とカオスフレアだと日常茶飯事の設定だよね。うん普通普通。
  • その一方で「父親の導きでガンダムに出会う主人公」「圧倒的技量で立ち塞がる謎の仮面(サングラス)の男」「戦闘中のトミノ風台詞周し」等、ガンダム本編に通じる要素もキッチリ押えられており、この辺りは最新シリーズ作『機動戦士ガンダム00』も手掛けたガンプラ世代の脚本家・黒田洋介の妙手と云えよう。
  • ガンプラの紹介・宣伝に留まらない、手を動かして作る喜び・楽しさの啓蒙、戦いを通じて成長する少年の物語、(決してガンダムの範疇に囚われない)ロボットバトル、そのいずれにおいても秀逸な一作である。カオスフレアのキャラやシナリオを作る際にも、これらの要素は参考になる筈だ。
    • ……とりあえず、初対面のガンプラ初心者を「ゲート処理も甘い、目のシールが歪んでいる!」等と説教しながらフル改造の自作ガンプラでフルボッコにするガンプラマイスターことボリス・シャウアーさん(ファースト直撃世代の40代・移動手段は馬)は、或る意味「悪いベテラン」の典型例なので。先輩プレイヤーの皆様におきましては、反面教師として心に留めておいて戴ければと。
  • 現在はアニメ本編後の時間軸となる『ガンプラビルダーズG』『~J』の模型作例連動ストーリーがそれぞれ電撃ホビーマガジン/ホビージャパン誌で連載中。ガンプラマニアの美少女に手解きを受ける『G』、HJ誌のガンプラモデラーとバトルを繰り広げる『J』と、アニメで見れない模型誌ならではの展開はこれまた必見である。

REDLINE

  • 遠い遠い未来の話。四輪がエアカーに代わろうとする時代に、それでも四輪に拘る愚か者がいた。彼の名はJP。宇宙最速の存在を決める、5年に一度の大イベント<REDLINE>、何でもありのそのレースに、武装を一切搭載しない改造トランザムのスピードのみで挑む、ウルトラ純情野郎。 史上最悪のアンタッチャブルな惑星「ロボワールド」にて強行開催されるREDLINE。 資金難から八百長に手を染めた親友メカニックの思惑、レース妨害に動くロボワールド軍、ロボワールド政権打倒に動くゲリラ、そういった諸々の思惑を他所に、JPとトランザムは超高速のレースに挑む。 追いかけ続けてきた憧れの女の子を振り向かせる為に・・・。
  • 製作期間7年。作画枚数10万枚という、史上空前の手描きアニメーション映画、それがREDLINEである! 伝説のアニメーターである故・金田伊功の遺伝子が全編に溢れるレースシーンを見れば、もはや日本アニメの歴史に新たな一ページが加えられたことに疑いの余地は無い。 車がすっ飛び、ビームが爆発し、ケレン味と爽快感溢れ、手に汗握るレース内容は、ただ胸を熱くしてTVの前にかじりついていたあの頃を思い出させてくれるはずだ。
  • そして特筆すべきはそのストーリー内容だ。 リーゼントに革ジャンの地球人JP、ヒロインのソノシーは人魚とのハーフ、ゴリラ顔のクルセイダーに、双子のアイドル魔法使い、クライムファイターコンビ、そしてチャンピオンのグレズ! 加速性能のみが頼りのトランザム、水陸両用のホバーカー、地中潜行可能な多脚マシンと、メカニックもさまざま。 そんな彼らが、親友の八百長、軍事国家を巡る陰謀、レースの妨害、その他諸々の思惑を「そんなの関係ねぇ!」の一言で切って捨ててレースに挑む姿は、まさにアスリートにおけるキャンペーンの最終回を観ているかの如し興奮を与えてくれる筈だ。 特にクライマックスにおける<女神の祝福>の演出は必見であろう。
    • 惜しむらくは宣伝費まで制作費に回しちゃったせいか知名度が低く、上映館も期間も限られた上に、現時点でブルーレイはおろかDVD化の予定さえ立っていない点か。幸い原画集は発売されているので、その熱意の一片を感じつつソフト化に望みを繋ぎたい所である。 
    • 2011年にブルーレイ&DVD化している。是非、この熱い物語を見て欲しい!

魔法少女リリカルなのは

  • 原作:都築真紀
  • 海鳴市に住む小学生・高町なのはは、喫茶店を営む両親と兄と姉に囲まれ平和に暮らすごく普通の少女……だった。異世界からの来訪者・ユーノに出逢うまでは。
    ユーノに託された意志持つ魔法の杖“レイジングハート”と共に、海鳴市に散逸した魔力の源ジュエルシードを集めるなのは。そんな彼女達の前に、黒衣の魔法少女・フェイトが立ち塞がる。ジュエルシードを巡り、魔法の刃を交える二人。――その中で明らかになる、フェイトの宿命。それは、一人の天才魔導師の絶望が始まりだった――
    • 「魔法少女リリカルなのは」とは!
      戦闘魔法少女達が魔法の杖を手に空を舞い空戦したり心を通じ合わせたりする
      そんな物語である!(漫画版冒頭より)
  • 18禁PCゲーム『とらいあんぐるハート』のスピンオフ企画に端を発し、90年代に確立された美少女バトルや魔法科学融合ファンタジー、更に少年漫画の熱血要素を取り入れ、『プリキュア』シリーズと共にゼロ年代の魔法少女の代名詞となった作品である。TVアニメ第1期(所謂『無印』)、第2期『~A's』、第3期『StrikerS』を経て、現在第4期となる漫画版『~ViVid』『~Force』が連載中。2010年には第1期を元とした劇場版も公開された(2012年公開に向けて劇場第2作の製作も進行中)。
  • 本作の根底に流れるテーマは、クリエイター・都築真紀が自作で一貫して描いてきた「人と人ならざる者の物語」である。第1期からのヒロイン格であるフェイトは我が子を喪った母親の盲執が作り出した《レプリカント》であり、第2期に登場する夜天の書とヴォルケンの騎士達は、悠久の時を記憶収集とその守護に費やし続けたサクセシュアと《幻獣》だ。己を作った者の宿願を果たす為、ただ盲目的に力を振るう彼等に対し、魔法が得意なだけの少女は手を差し伸べる――「友達になりたい」「家族になろう」と。出自も価値観も異なる者との遭遇、対立、そして和解から友情を結ぶに到る展開は、正にカオスフレア的だ。
    • 「友達になる方法は簡単だよ――名前を呼んで」
  • 第3期では群像劇となってしまった為、やや焦点がずれてしまっているのだが、そのテーマは健在。サイバーパンク/グレズな魔法少女と、自分は凡人であると悩むメイジの少女の友情。《レプリカント》として生み出されてしまった少年少女たち。幼いデーモンロードと、彼女の《パートナー》であるドラゴンの成長など、参考にしたい描写は多い。
      • 個人的には戦闘サイボーグ姉妹十二人を率い、古代遺産の空中要塞で世界に宣戦布告するマッドサイエンティスト……というのは実にカオスフレアのPCっぽいと思うのだが、どうか(笑)
  • グレズ系魔法、そして近年のFEAR現代ファンタジーTRPGにおける魔法のイメージ元の一つであり(『アルシャードガイア』のサンプルPC・マジカルシューターは、“弾倉付きの”杖を装備した魔法少女だ!)、デバイス使いの《機械魔導師》PC持ちなら観ておいて損は無い。そして、彼らと共に戦うインテリジェンス・デバイスの《人の心》ロールもまた必見である。
    • 「もう一度、私にチャンスを下さい」「今度は必ず、全力を受け止めます。――マスターが、どこまでも走れるように」

神無月の巫女

  • 介錯原作のアニメ。百合・巫女・伝奇・ロボと節操なく多様な要素を盛り込んだ作品である。なお漫画連載の方が先だが、よりカオスフレア的であると思われるアニメ版の方を紹介する。
  • 平凡な少女姫子と名家の令嬢千歌音は、16歳の誕生日に突然現れて破壊活動を始めた謎の巨大ロボに命を狙われる。ロボを操る彼らは邪神「オロチ」の僕「オロチ衆」――世界を破壊して闇に満たそうとする者たち。危機に陥った2人を救ったのは、オロチ衆の一人だったがその精神支配を振り切った姫子の幼馴染・ソウマだった。2人は遠い過去にオロチを封じた「陽の巫女・月の巫女」の生まれ変わりだということを知らされ、その使命に巻き込まれていく。裏切り者としてオロチ衆と戦うソウマと、翻弄されつつ封印の儀式を決意する2人の巫女。彼らを待っていたのは恐るべき運命であった。
  • いわゆる「萌え」系と見られる事が多いが、正統派の活劇としても見所は多い。ソウマはオロチを裏切った呪いによって全身を蝕まれながらも戦う悲劇の戦士であり、作品屈指の戦闘シーンである実の兄にしてオロチ衆のリーダー・ツバサとの決戦は必見。中盤での姫子・千歌音・ソウマの微妙な三角関係(といっても、千歌音が姫子に魅かれている、というイレギュラーな関係だが)はこっ恥ずかしい恋愛ロールに大いに役立てたい。
  • アニメ版で特筆するべきは、敵役オロチ衆の魅力的な設定だ。彼らは皆何らかの理由で現在の世界に絶望し、その絶望故に世界を破壊したいと願わずにはいられない者。ある者は戦火で孤児となり、ある者は夢と現実のギャップに苦しむ。ツバサとソウマも、父親からの虐待を受けた末にツバサが父親を刺し殺して引き裂かれたという壮絶な過去を抱いている。つまり彼らは一種のダスクフレアなのだ。自我を取り戻して訣別し「好きな子の笑顔を守りたい」と身を捨てて戦うソウマはカオスフレア的視点で見ても実に魅力的な存在だ。この辺り、テオスのPCをやる時に参考となるだろう。
    • もっとも、彼は終盤においてヒロイン2人を巡る巨大な運命によって弄ばれ、怒濤の負けプレイを強いられ、百合パワーに敗北した挙句、歴史に残る名台詞「今俺に出来るのは、せいぜい地球を救う事くらい」を放ったりするのだが……頑張れ!

人造昆虫カブトボーグVxV

  • ボーグバトル!それは人生の縮図、男のロマンである! 昆虫型マシン・カブトボーグに命をかける天才少年ボーガー、天野河リュウセイ。彼は親友のカツジ、ケンと共に日々バトルに興じていた。しかし世界最強を目指すリュウセイの前には次々と障害が現れる。孤高のライバル山田いt……ジョニー。生き別れの兄。仮面の美少女ボーガー・ベネチアン。そして世界征服を企む秘密結社ビッグバンオーガニゼーション! 「いっけぇーっ!俺のトムキャットレッドビートルッ!」
  • 熱血漢な主人公に、重病に侵されているクールな親友、食いしん坊で陽気な友人という仲良し三人組。お節介だが何処か謎めいたショップ店長。仮面をつけた美少女ボーガー。カブトボーグを使って世界征服をたくらむ悪の秘密結社。仮面をつけた首領の正体は主人公の実父……と、ホビーアニメのステレオタイプな要素や設定を悉く詰め込んでおきながら、その王道路線からトンデモない方向にぶっ飛んだ凄まじい作品である。テレビ東京でさえ放映を拒否され、地上波放送が不可能だった程であり、ホビーアニメでありながら宣伝を放棄した快作である。
  • 第一話の時点で世界大会決勝というのがぶっ飛んでいる。仮面の総帥と対決し親父越えして優勝したのを皮切りに、友人の家族が営む中華料理店のライバル店をボーグバトルで幾度となく叩き潰し、余命幾許もない親友とボーグバトルで幾度となく決着をつけたり、ボーグの力で世界戦争を終結に導いたり、夏休みの最終日に宿題を片端から強奪したり、地球に迫り来る隕石をボーグの力で破壊したり、世界創生の力を巡ってボーグバトルで対決したり、と、そのストーリーはきわめて一貫性が無い(笑)。全52期と表現されるそれは、スタッフが楽しんで作ったのも事実だが、ホビーアニメの王道展開をこれでもかと詰め込んだのも事実であり、エンターテイメントの本質を思い知らされる。
  • 一話ごとに使い捨てられるシナリオヒロインとあわせ、ホビーアニメの良い所取りなストーリー展開は、実にシナリオ構築の参考になる。ボーガー同士の心理戦は、社会属性の強さ、そしてフレアの強さを理解させてくれるだろうし、裏で手札が飛び交っているだろうことは想像に難くない。「カブトボーグV×Vはポストモダニズム」とも言われる通り、是非一度は見て頂きたい作品だ。

神秘の世界エルハザード

  • 平凡な高校生だった水原誠は、親友である陣内克彦が生徒会長選挙で行った不正を暴いたことで、彼に襲撃されてしまう。夜の学校で逃げ惑う内、誘われるかのように迷い込んだのは、学園の地下で発見された古代遺跡。そこで出会ったイフリータを名乗る美女の手により、彼は神秘の世界エルハザードへと送り込まれてしまう。 召還に巻き込まれた担任教師の藤沢と共に、昆虫種族バルログに襲われていたロシュタリア王国のルーン王女を偶然から救い出した誠は、次元を操る伝説の兵器「神の眼」ならば地球に帰れるかもしれないと考え、それを起動できる三大神官に逢うべく旅立つことに。  しかしその前にはバルログの大将軍へと上り詰めた陣内が立ちはだかり、更には古の種族「幻影族」による陰謀が蠢いているのであった……。
  • 「地球から『運命』によって異世界へと召還される」「召還された地球人は全員が特殊能力を得る」「人類と敵対する女王を中心とした戦闘種族」などなど、カオスフレアにも多くの影響を与えたに違いない、異世界ファンタジーアニメの傑作である。OVA、TV、コミック、ゲーム、小説と様々なバージョンがある作品だが、ここではOVA版について記述する。
  • 主人公の誠は古代遺産と同調できる協力者、酒が切れると強くなる藤沢先生は装着者、バルログと意思疎通し将軍となった陣内はジェネラル/協力者の、良いイメージソースとなるだろう。 他にもお姉さま・ツンデレ・クール系と揃った三大神官や、年上の女性が好みな侍女やら、お淑やかな王女に対してやたらと豪快なお姫様やら、そして温泉やら何やら……。正直、そのままカオスフレアでやっても何の問題もない世界観と設定とストーリーである。
  • 特筆すべきは、人類でもなく、バルログでもなく、世界の破滅を願う第三者「幻影族」の存在であろう。 エルハザード全体の危機に対して、人類とバルログ――というか陣内が手を組む姿はまさにカオスフレア。 「馬鹿め!真の支配者というものは、破滅など望まぬのだ!」と高らかに叫びつつ登場する陣内には、きっと大量のフレアが投げ込まれたに違いない。
    • 余談だが、陣内はサンプル龍将軍の原型の一つであった。今でこそ龍と人間のハーフの美女、というビジュアルが定着してしまったが、試しに地球人のジェネラルをやってみるのも面白いかもしれない。
      • ハイゼンガー……(いや、正体はランダムだったみたいだが)

少女革命ウテナ

  • 「卵の殻を破らねば、雛は生まれず死んでいく。卵の殻を破壊せよ。世界を、革命するために!」 転校生ウテナが薔薇の園で見かけたのは、男に虐待を受ける黒い肌の少女アンシー。彼女を庇った時から、ウテナの「王子」としての戦いが始まった……。
  • 世界の果てから届く薔薇の刻印と決闘の掟、主人公ウテナの切り札になるのは天空に浮かぶ城から降りるディオスの力。前世紀の傑作アニメの一つと話題を呼び、今でもファンの多い作品だ。リオフリード魔法学園の大きな元ネタでもある(正確には二部にあたる黒薔薇編だけを抜き出した形になるが)。FEAR内部でもファンは多く、ヒロイン・アンシーの黒ヒロイン路線はきくたけ作品全般に浸透しているようだ。
  • 絶対運命黙示録という言葉のインパクトの大きさや、決闘時に流れ、決闘の終了と共に終わるJAシーザーの歌は評判高い。カオスフレアとは違う耽美で無力の広がる世界観をそのまま参考にするのは難しいが、《ウエポンマウント》のブレイブソード持ちダスクフレアなヒロインと《※スペリオルユニゾン》して戦い、最後にカオスフレアとしてのヒロインと出会うのはリオフリードのグレズを演じる上で参考になるかもしれない。劇場版もどうぞ。
  • 劇場版のアレなノリはメタフィクションを超えてロマンとかメルヘンとかコメディとか色んなものが黙示録に突入していたが……あれは一体何の参考にすればいいのか分からなかったりする。

キャシャーンSins

  • 嘗てロボット達の帝国に統べられていた世界は、「滅び」により終末に向かっていた。その世界の中で、全ての記憶を失って目覚めた青い瞳の男、キャシャーン。「世界に滅びを招いた者」「その身を食らえば永遠の命を得て、滅びから逃れられる」……そんな噂を信じたロボット達に追われ襲われながら、記憶を求めて流離の旅を続けるキャシャーン。その道程で、彼は己の、そしてロボット達の背負ったSIN=罪を知る事になる。
  • テレビアニメ『新造人間キャシャーン』を原典としつつ、より一層シリアス/ダーク色を強めたリメイク作。終末観溢れるビジュアル、視聴者に謎掛けをするが如きストーリー、古谷徹や矢島晶子、内海賢二と云ったベテラン勢で固めた声優陣…等、近年のU局系深夜アニメとは一線を画す異色作であった。
  • 滅びを恐れ永遠を欲するロボット達に狙われ、結果的に滅びを与える――時に滅びを見届ける――事となるキャシャーンの姿は、グレズ:マシンライフのカオスフレアのイメージの一つとして捉えると興味深い。滅びを受け入れるか抗うか、正しいのは何れの道なのか? その過程で何を為し、何を残す事が出来るのか……?。本作ではそれらの疑問に明確に答が出る事は無く、それらは観る側に委ねられる。シナリオとしてのハードルは高いが、異なる思想が相対する事の多いカオスフレアだからこそ、参考にしてみる価値は有るかも知れない。
  • 本作のキャラクターデザイン・総作監を勤めた馬越嘉彦氏は『おジャ魔女どれみ』から『エアマスター』まで幅広い作画・動画力を誇るアニメーターとして有名。最新作『ハートキャッチプリキュア!』では『どれみ』の流れを汲むキャラクターデザインながら、濃厚なアクション描写に本作からの流れを見る事が出来る。

ローリングガールズ

  • 地方自治をめぐる争い「東京大決戦」から十年、忽然と統治者・富裕者層が姿を消し、旧地方自治体が独立国家となった日本。各地域は、「モサ」と呼ばれる能力者が率いる「自警団」によって統治され、自治体同士の争いもまた、「モサ」同士の対決によって解決されていた。そんな日本は所沢にすむ少女、森友望未。モサでもなんでもない「モブ」な彼女は、ひょんなことから、偶然集まった3人の少女とともに「平和請負人」として各地を巡る旅に出ることになる・・・
  • このアニメの主人公、森友望未たち4人組は、徹頭徹尾「モブ」である。「モサ」と呼ばれる超人たちが1話冒頭からド派手なバトルを繰り広げる中、彼女たちは旅の途中で力に目覚めたりといったことはせず、あくまで戦う力のないモブのままだ。そんな彼女たちが、それでも己の意地をかけ、知恵と勇気と根性で争いを止めようとあがく姿は、ブランチ「一般人」そのものであり、おおいにそのプレイの参考になるだろう。
    • あくまでよそ者の主人公たちは、現地のモサ達と協力して問題にあたる。直接事件に関わりをもたない彼女たちが事件に関わる様はいわゆる「依頼枠」ハンドアウトの演出の参考になるだろうし、その「戦い方」は攻撃手段を持たず《盾の乙女》のみを武器とする星詠みそのものだ。
    • また、仮にも現代日本より少し未来なだけの世界でありながら、超人が平然とバトルを繰り広げる様を普通のことように受け入れる住民達は美酒町のそれによく似ている。その特徴を戯画化して描かれる各自治体(東京をコミマが支配し、山梨・静岡は富士山所有権で年中争い、広島任侠がお好み焼きの鏝で戦う!)の姿など、世界観的にも結構参考になる点が多い。
  • そして名古屋編ならびに京都編は、それぞれ違う形のアスリートがPC1をはる稀有なシナリオでもある。主人公たちの《盾の乙女》を受けた彼らがフレアを集めて放つ、《絶望を払う風》《※オファニエル》の威力をぜひ堪能して欲しい。

放課後のプレアデス

  • 星が大好きで、ちょっとドジな中学生、すばるはある日宇宙人と出会う。プレアデス星人を名乗る彼に協力して、魔法の力でエンジンのかけらを探すことになったすばるを含む5人の少女たち。どうにか力をあわせてエンジンのかけらを集めようとする彼女たちだが、なにかが足りない彼女たちは失敗ばかり――かけらを狙う謎の魔法使い、学校にあるはずのない温室といつもそこにいる少年"みなと"、難易度をましていくかけら探し――果たしてすばるたちは無事エンジンのかけらを集め直し、宇宙船を直せるのか?
  • 2015年に放映されたTVアニメ。いわゆる魔法少女ものであり、"ドライブシャフト"なる魔法の杖を駆って空を自在に飛び回る彼女たちの姿はそれだけでアンチグレズや空を飛ぶキャラクターの参考になるだろう。だが、カオスフレア的に注目すべきなのは、規模のインフレにある。
  • 1,2話では雲の上がせいぜいだった彼女たちだが、3話で成層圏を超え、4話で月に、5話では土星にまで達する。壮大な宇宙空間で時にかけらを狙うなぞの少年とドッグファイトを繰り広げ、時に途方もないスケールの天文学的な事象に挑む様は、宇宙船や艦隊ではなく、個人単位で宇宙を冒険するとはどういうことなのかの参考になるだろう。エキゾチックアンバーで宇宙がぐっと広がった今、一風変わった宇宙での冒険をしたいときに見てほしい。
  • ちなみに、本作は富士重工業(SUBARU)とGAINAXの提携プロジェクトでもある。紆余曲折の末当初予定されていた車要素は消滅したが、ドライブシャフトのデザインやエンジン音など、所々にその名残を見ることが出来る。散りばめられた天文学・物理学ネタ共々、小ネタの散りばめ方の参考にもなるかもしれない。

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最終更新:2021年05月10日 22:10
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