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ヨハネスブルグのギャングへ潜入捜査する捜査官の話を書いたストーリ。
創作は久しぶりでその間に驚くほど腕がにぶったうえにプロット段階なのでまだまともな読みものではありません。
骨組みだけ作ってる状態でいたるところ書きかけです。


作品元ネタと創作用前書き

とある売れ筋小説を種本にキャラメイクや会話内容だのを作っています。
興味のあるかたに聞かれたら私すぐに元ネタを答えられますが現状私のレベルが低すぎて良い意味での真似になってません。
3名の方からこの作品を良くするためのアドバイスをいただいたのですが、まだそれを活かせるほどの状態ではないので、アドバイスに対する感謝は後日記載します。
本当はアドバイスをもらったらそれは創作を手伝ってもらったのと同じわけだから、もう私ひとりで書きあげた作品ということになりません。
アドバイスに対する感謝を書かないのは礼儀に反する気もしますが、それはアドバイスにこたえられるだけのまともな作品になってからでないとアドバイスをいただいた方に悪い気もするので後日記載します。
著者である私は自閉症テストで高スコアを取る人間なのでキャラの魅力や会話が不自然なのは仕様なのでそこのところを改善したいですね。








南アフリカヨハネスブルクの市街地。
世界有数の犯罪都市として有名なこの街を夕日が照らしている。
オレンジ色の夕焼けが建物の隙間から街へと入り込み、鋭角的に切り取られた光で街路を照らし出す時刻。
良識のある人々はこれから家の扉を厳重に閉め、塀には有刺鉄線が張られ、金のないものは一獲千金を狙って街に繰り出す時刻だ。

夕焼けに照らされた街並みの中歩道を一人の女性が歩いていた。

名前は霧咲弥生、年齢24歳女性。
元日本の大学生をしていたがひょんなことからこの犯罪都市に在住することになった。
ミニスカートにラフなシャツ。
切れ長の瞳に腕や足に見られるバランスのとれた筋肉は格闘技で身につけたものか。

スリの多発する道を避けて通り、犯罪多発地帯を避けて通る。
この街に住む者なら誰もが持っている当然の知恵だ。

途中の道にあるストリートギャングのたむろするダンスホールのとなりを通る。
ここからは彼らの縄張りだ。
逆に言えば彼らの誰かと仲が良ければここほど安全な通りはない。

噂をすれば影だ。
軽自動車に1,2、、、6人、外に一人しがみついて7人だ、よくもまあ入ってるもんだ。
ストリートギャングの若者達で一番貧乏。
しかし一番仲間思いの連中が軽に乗ってやってきた。
とろとろ走る軽が道に寄せて歩道を歩く彼女に次々と声をかけてくる。
「よー香住」
「久しぶり」
「今日、トールの穴で俺の友達がライブやるんだよみんなで行くんだけどいかないか?」
「香住久しぶり、きめてかないかいい薬がはいったんだよ」
運転席に座る男性が一声。
「おいお前ら全員車から降りろ、俺は香住とドライブだ」
「なんだよそれ」ちょっとあきれた声が自動車の中で上がる。

香住というのは彼女の名前だろうか?


「あれ、今日ケンがいないみたいだけど?」
「ケンなら銃を片手に見回り、俺たちの島で勝手に商売してる奴がいるって勝手にいっちまってね、真面目な奴さ.
「あいつは白人だけど俺たちの仲間だちゃんと手伝わねえとな」
「まあその前に俺たちはライブだけどさ」
ストリートギャングの仲間意識は、入ってないものにはわからないものがある。
彼らは仲間の名誉が傷つけられたというだけで銃を片手に相手の家に押し込み、仲間が捕まったとなれば警察と銃撃戦をしてでも取り返しにくることがあるほどだ。

「ごめん、今日よるところがあるんだ」
香住、彼女の偽名で車に別れを告げるとそのまま道なりに進み彼女は煉瓦作りの典型的なキリスト教系教会の入口扉の前に立った。
建物の名はセントガーバメント教会。
19世紀に設立された教会である。
もともとは敬虔なイギリス系キリスト教徒が集まっていたまっとうな教会としての歴史を持つ。
日曜にはミサが行われ、敬虔なキリスト教徒のコミュニティの中心を形成していた小さくも幸福に満ちた教会だったという。

アパルトヘイト崩壊が変化のきっかけとなった。

歴史を持つこの教会もアパルトヘイト崩壊で白人資本の撤退と一緒に神父もイギリスへと帰り、後継の神父がバチカンから送られることもなかった。

教会はギャングが格安で買い取った。
今でも表向きは教会を装い日曜にミサを行われている。
だが平日は麻薬販売や路上犯罪の手下を集めるための場所と化していた。

街の良識ある人にとっては怒りを誘う事態といえる。
黒人白人を問わず良識あるこの地区の住民の中には何としてもこの魔窟撤廃を歓迎しないものはいまい。

彼女は教会の重々しい鋼鉄製の扉をあけ、教会の中で寝床を確保したホームレスを一発軽く蹴って教会の中へ這入っていく。
教会の中は綺麗に並んだ椅子、奥にキリスト像が鎮座している。
典型的な教会の姿だった。


平穏で穏やかな夕日がステンドグラスから差し込み光と影を生み出している。
黄昏時の平穏を感じさせるこの光景は。
こんなところで犯罪を行うなんてね。
世も末、だわ。
彼女はそう考える。

教会の講堂の左右の壁にはドアが並んでいた。
元は慈善事業として病人や旅人の宿泊施設として作られた個室である。
それが建物の両側に備えられているのである。

彼女はB102とプレートのある扉を探しノックした。
そこが目的地なのだ。
ヨハネスブルク警察の特別捜査官。
この場所を根城にしているギャングの組織に取り入りこの組織のボスをあげる使命を帯びている。
彼女は一呼吸おくと頭の中を書き換える。


自分は、日本で生まれ日本で大学生をしていた。
学費を稼ぐために麻薬の栽培に手を出し自宅に麻 薬栽培用の温室を作る。
最初のうちは小さく販売していたがいつの間にか客が増え学費以上のものがたまった。
学業そっちのけで順調に金をためていったが、ある日客の一人が麻薬更生施設に入るか悩んでいるという噂を聞き、逮捕を恐れ日本から脱出することを決意。
麻薬密売でためた金で偽のパスポートを用意しここ南アフリカにやってきたというわけだ。

彼女がこの教会を知ったきっかけはこう示し合わせてある。

アパルトヘイト崩壊後、地元銀行は資金繰りに困り彼女の預金していた口座は封鎖された。
街にあふれた黒人失業者の波の中一人途方に暮れていた彼女。
彼女の友達黒人青年ポールから友達のよしみでギャングゲートクラックでの仕事を紹介してもらったのだ。
そう口裏を合わせてある。

実際の黒人青年ポールは麻薬密売でつかまっている。
ゲートクラックは赴任された彼女の担当地区となった場所で幅を利かせている麻薬組織の一つだった。
近年犯罪件数の増加著しいヨハネスブルクを懸念した中央は警官の人員増加を検討。
その一人として南アフリカの首都警察から派遣されてきた彼女は、地元の警察署に入るときは変装し、情報を集めるためにストリートギャングと仲良くなることから始めた。
有能な彼女はこの街の犯罪組織の一つゲートトラックの話をストリートギャングから聞き出し、最近開設されたばかりのこの教会を密売の供給源と突き止めたというわけだ。

彼女は潜入捜査を行うためのストーリを探していた。
犯罪組織ゲートクラックから納得され、怪しまれずに組織に潜入するための手段が必要だった。

黒人青年ポールの逮捕がきっかけとなった。
尋問室をカメラから観ていた彼女は彼の。
貧困が彼を犯罪に走らせた。
そういうタイプに思えたのである。
貧しい家庭に生まれ人から信頼されたこともなく、路上犯罪に手を染めただけ。
優しい人間なのではないか?
そう直感した。

ポールにはゲートクラックとの仲介することで司法取引を成立させ逮捕をなかったことにさせる。
潜入捜査の手綱として彼に協力してもらうのだ。
電話で教会のギャングと連絡を取らせ、犯罪者志望の新人、霧咲弥生がいると連絡させる。

これは彼女にとって一種の賭けだった。
ポールが裏切らないとも限らない。
司法取引をギャングにばらす可能性もあった。

吉と出るか凶と出るか。

「誰だい?」
静かな重みのある声だ。
この部屋の主だろう。
警察が集めた資料によればこの声で日曜のミサを行っている偽神父のはずだ。

部屋の扉を開けたら何人ものギャングから銃を突きつけられるかもしれない。
彼女はその恐怖を抑え落ち着いた声を整える。
「私の名前は霧咲弥生。日本人。ポールから仕事があると紹介されたのだけど?」
「ああ聞いている今ドアを開けよう」
彼女は完全に頭の中を書き換えると犯罪者霧咲弥生としてB102のドアをくぐったのだった。






第2話 犯罪者霧咲弥生
B102のドアを開けると最初に目についたのは濃い煙だった。
どうやらこの部屋の主、神父パシャブが麻薬と煙草のスペシャルブレンドを味わっていたらしい。
顔は署のブリーフィングで見た写真と一致する。
部屋の隅にはベット、真中には大きめの丸机、椅子が4つ並び片隅にはファイルが並んでいる。
こんな無防備な部屋に犯罪の証拠は置かないだろうから多分私物。

「貴方がパシャブね、私の名前は霧咲弥生。日本人。ポールから電話が来てると思うけど?」
「ああ、ここでの仕事がほしいんだってな、ポールからの電話は聞いてるよ」
弥生は指を口元に持って行って答える。
「仕事、それも普通の仕事じゃない、ここではスペシャルで報酬のいい仕事が受けられると聞いたのだけど?」
「ああそこまで聞いてるのかい、今この街でまっとうに生きていくのは大変だ。」
「我々はこの街で生きていく手段を提供している。君もそうなのかい?」
「来るもの拒まず、求めよさらば与えられんだ。」
「私のきいた話をしよう。」
「メイジャーストリート045番通り、この通りからそこでは麻薬の売人の巣窟だそうだ」
「誰にでも麻薬を売って、身元も尋ねない。」
「サメの角は何本か、そういうと」
「何とも嘆かわしいことだね。」
「しかし収入のないものにとってはとても魅力的な仕事だろうね。」
「この街では貧乏人も多い、麻薬販売に手を染めて金持ちになった者もいるという」
つまり、この偽神父は麻薬販売のセールスということらしい。
麻薬の入手方法と販売話をちらつかせるだけで決して強制はしない。
美味しい話をちらつかせて、知り合いや友人を麻薬漬けにしてでも金持ちになりたいという人物を捕らえる漁師のようなものだ。








翌日指定された駅前にあるビル街へと向かう。
元々はブティックが軒を連ねヨハネスブルクの国際都市としての。
今ではブティックは撤退。
地元民を相手にする飲食店や家電、一般向け衣料店にとって代わられている。
人通りは変わらないが歩いている人間の肌色は変わった。

紹介されたのは、置引やスリの達人だという話だ。
まずは簡単な仕事で犯罪者としての意思を試す。
そういうことらしい。
潜入捜査官という危険を察知する嗅覚と知恵を要求されるエリート職に就いた彼女にしてみればこの仕事は少し情けない。







パシャブが弥生を連れていったのはヨハネスブルクでも有名な高級料理店。
店のある街角には制服警官が安全を保証し、店内に入ればパリッとした制服を着たボーイが出迎えてくれる。
創作和食、。

気さくに家族のように暖かく新しいメンバーを迎え入れる。
それは忠実な構成員を作り出すための犯罪組織のお決まりの手口。

「今日のわれわれの仕事の成果を一緒にお祝いしよう」
分厚い防音壁で区切られたレストランの個室は一部屋も広く。



犯罪組織ゲートクラックの収入源たる麻薬密売ルートに深く入り込む。
そして仲介者と麻薬生産者、売人のリストを細かくわり出すことだった。
それが彼女に割り当てられた

特に中枢にいる人間が誰か
犯罪組織は、逮捕された時に備えて各人が最小のことしか知らないようにできている。

部分部分しか知らない構成員や取引農家は個々人の信頼で成り立っている。
自分が取引している組織の名前すら知らないのが普通だ。
そのため組織のどの部署を逮捕できても他のメンバーを逮捕することが出来ない。

組織構成員の上層部は別だ。
上層部を引っこ抜けば、組織に大々的な捜査のメスを入れることが出来る。
上層部から辿っていけば組織の資金源をとらえることが出来る。
組織も原資がなければ



別の線から犯罪組織ゲートクラック追っている捜査官もいる。
アパルトヘイト崩壊で仕事をなくした元銀行員や弁護士。
彼らにゲートクラックが接触しているという噂があるのである。

白人富裕層向け架空投資や詐欺保険銀行から融資を引き出すための架空会社。
それらの設立が予測されている。
この手の犯罪は犯罪過程で各人の担当する部分部分の作業に限ってみれば合法的なことが多いためにたちが悪い。

これは別の捜査官ジョー・マクシミリアンが担当している。
捜査官ジョーの仕事はこうだ。
評判の悪い会計事務所の噂を聞き集める。
解雇された銀行員の動向を調べ、弁護士ネットワークを調べていく。
犯罪組織と接触のあった評判の悪い弁護士を探していく。
弁護士の守秘義務は犯罪組織相手ですら、違法性が判明するまで尊重される侵されざるべきもの。
そのため捜査官ジョーの仕事はつらく厳しいものがある。

架空投資の市民や銀行からの被害届を受理して初めて捜査権が使用できる。
帳簿と会計の上で敵を追い詰めていく地道な作業。

重要視するのは人のつながりだ。
ダミー会社はもちろん組織の表にすぎない。
ゲートクラックの事務所と思われる場所に警官をたたせ尾行させる。
この手の組織犯罪にはどうしても法律に詳しい人間が必要とされる。
弁護士名簿に乗っている名前が捜査に引っ掛かればしめたものだ。

弁護士は組織の金儲けの仕組みの中枢で仕事をすることが多い。
そのため弁護士を逮捕することが出来れば一気に組織をつぶすことが出来る。
表にでてきた組織をマヒさせるだけにすぎない。

組織ぐるみの詐欺グループとなるとそれを実行できる頭は限られている。

実行犯などいくら捕まえてもトカゲのしっぽ。
実行犯の中には
マネジメントしている人間を捕まえなくてはならない。
中には自分が詐欺グループの一員であると知らずに事務仕事を担当している者もいる。
合法的な仕事をしていると信じ込むものもいれば。
詐欺のなかでも事務的法的な手続きをこなす合法的な仕事をこなすだけのものもいる。

組織の尻尾を捕まえて、人のつながりを追いかけ金の流れを丹念に追い組織の頭を追いかける。
それはとても難しい仕事。

今捜査官ジョーの前に一人の男がいた。
場所は取調室。
男はゲートクラックとのつながりが予測される
プロファイルによればまっとうに仕事をしてきた人間だとある。
ゲートクラックが設立した詐欺容疑のある

容疑はこうだ。
ゲートクラックが出資母体となって架空会社による研究投資で融資を募っている。
画期的なエイズ新薬の研究を行っておりその認可が期待されている。
市場では産業スパイが多く大手に。
そこでこっそり貴方にだけ

この文面だけならだまされる人間はそんなに多くはない。
しかし役者がそろえばべつだ。

金持ちのもとに研究員を名乗る男が直接やってきて。
顧客の前に専門用語を大量にばらまく。
研究者は語る。
私の家族にもエイズ患者がおり、何としてでも彼らを病気の苦しみから解放したい。
私は偶然にもエイズに効果のありそうな薬品の組み合わせを見つけた。
臨床試験に持っていくために研究所の拡張を行いたい。
もしこの研究を大手企業に知られたら彼らはその薬品を盗み先進国から優先的に販売するだろう。
彼らは薬に利権をとり、貧乏な国では買えない値段で販売するのは目に見えている。
私はできるだけオープンにこの薬を使ってもらいたい。
研究者の語る自分の家族の話、エイズ患者の多い南アフリカではこれがてきめんに聞く。

もちろん研究室も見せられる。
研究室にはDNA分離装置や検体用マウス飼育室、薬剤の効きを確かめるための試験管ビーカー。
データ処理をするためのパソコンが数台。
薬品を合成するための棚、化学合成用のビーカー。
薬品の生成手順を書いたノートや化学事典、もちろん中身や揃え方は出鱈目だ。
全ての装置は中古や壊れたものもあるが専門家でない客にはわからない。
職員は熱心に研究をしているように見える。
最後は会場に投資家を集め訪れた投資家を集団催眠にかける。

研究室を見せられ、自分と同じ境遇で家族を失った話を聞かされる。
最後は研究発表会と称して会場に集まった聴衆を前に熱弁が振るわれる。
「私も皆さんと同じように家族をエイズで亡くしています」
「もし大手が私の製薬法を追いかければ、みなさんの手に入らない高額な値段で薬が売られるでしょう」
「私は研究に必要な資金さえあればいいのです。みなさんの」
全員がだまされるわけではない。
会場に集まった何人が家族の話を出されてころりとだまされる。
それが狙いではある。

詐欺ではないかとの通報は、薬理の専門家から上がってきた。
大手製薬会社の社員で、未認可研究中の副作用が強い薬を配布し人体実験を繰り返しているグループの研究者。
たとえ副作用が強くとも薬理作用が解明されてなくても薬を購入できない貧乏な層にとっては最後の命綱。
彼らの存在は国際的な非難を浴びつつ、しかし現地においては救世主として容認されている。

彼らの一人が偶々現地で開催されている有望視されているエイズ新薬が発見され、そのための資金を集めている。
後援会に出席した彼は、発表者が研究者としては3流であるということを見抜いた。
研究者の提示した物質は体内でたんぱく質


しかし警察が事態を察知し確認を取り捜査令状を下ろした時には研究室はもぬけの空。
何も知らずに出勤してきた助手をしていたという男を逮捕したという次第だ。
話を聞いたところ男は教育を受けたことがなく自分がきちんとした研究所に勤めていたと信じ込んでいたらしい。

薄暗い取調室。
コンクリートの建物は白人が残していった遺産だ。
白い白亜の建物は白人主義を連想させるが、今はペンキの塗りかえ費用もままならず黒く汚れ始めている。

警察署という要塞は今では警官たちの数少ない安息の場所。
犯罪が急増している南アフリカでは警官たちが安心できる場所は無い。
巡回パトカーの中か、警察署の中くらいのものだ。
パトカーから降りて、被害者の家え向かうとき。
銃を片手に立てこもった犯人に立ち向かうとき。
派手なカーチェイスをかますとき。
そしてそんなことはこの街ではありふれている。

頼もしい鉄筋造りの建物が今では警官たちに唯一安息の場所を提供していた。
分厚いコンクリートが銃から警官を守ってくれる。
警官の巣窟にわざわざ襲撃を仕掛ける犯人は少ない。
だが街中では追い詰められた犯罪者が警官に銃を向けてくることはしょっちゅうあるのだ。
彼らのうちの何人かは今日も考える。
やれやれ今日も無事に警察署に戻ってきたぞ。
とりあえずここにいれば安全なのだ。
銃におびえながら家宅捜査をする必要もなければカーチェイスをする必要もない。


3章

彼はギャングのボスだ。
古い家系をたどればアフリカ西部で士族が勢力争いを行うなかで有力視されていた部族だった。
部族の伝統、士族の中での自分たちの部落の地位。
部族に対する忠誠と毎年のように行われる。

一度祖先がアフリカ西海岸にある港湾国家ダホメの奴隷貿易の犠牲となり部族は崩壊。
祖先はアメリカやインドのプランテーションで奴隷栽培に従事することとなってしまった。

白人社会に対する恨みともいべきものが彼の骨髄やDNAに刻まれている。
彼が麻薬栽培の道を選んだのも、その組織化の道をたどったのものどこか自然な流れがあったと言えなくもない。
彼の祖先は南北戦争の終わりとともに奴隷の解放が行われ、祖先を共通とする一族が集まり祖先たるアフリカにもどってきた。
しかし一族の戻ってきた土地はすべて白人のものになっていた。
一族はアフリカを放浪し、ついには資金が尽きて南アフリカのヨハネスブルクに定住することとなったのだった。
彼らは機械産業の発達に合わせて高給取りの道に進んだものも少数いたが、ほとんどは農地で農奴として働くことになった。
その道はアメリカでの奴隷と同じだった。
都市のスラムに住みついたものもいた。
スラムに住みついたものたちは悲惨だった。
白人有利の法整備、経済制度、商習慣、黒人に対する劣悪な教育の中黒人の地位は低いままだった。
都市の内外にバラック小屋を建て、小売りや最も危険な工場作業、建築などに従事した。
都市の拡大とともに黒人の数は増え、劣悪な労働環境を忌避して犯罪に手を染めるものも出てきた。
年とともにギャングが生まれ組織化され、抗争を経てついには街のギャングの数は安定した。

そうして抗争の果てに街はいくつかの大きなギャングを頂点とする。
ギャングの長をやるというのはかなり特殊なバランス感覚が要求される。
普通の組織なら、組織の隅々まで文書化し上司は組織の全体を大雑把に理解されることが要求される。
組織の行動は記録され文書化され記録となる。
ギャングの組織では逆だ。
誰が逮捕されても大丈夫なよう、組織の構成員は誰もが組織の一部しか理解しないようになっている。
誰が何をやっているか分からない。
組織自体は知らないうちに分裂していることもあれば、機能不全に陥っている場所も多い。
誰かが不正に組織の利益を盗みだしているなら。
常にどこかが壊れた車をゆっくりと走らせるようなそんな感覚が要求されるのだ。
今日も幹部からの報告が上がってくる。
顔だけでつながってる中だ。
どこでどれだけの上りが出たか。
どの地域でどれだけ麻薬契約農家が出来ているか。
在庫を管理し、契約金を
もちろん幹部の話をうのみにしない。
それなりにスパイを雇っている。
スパイは前のボスから引き継いだものだ。
各幹部の羽振りを調べる。
金遣いが荒いやつはいい。
一番警戒しないといけないのは地道に貯金して金がたまったところで高跳びするタイプだ。
スパイだって信頼できるかどうかわからない。

彼はヨハネスブルク一ア高いビルに立派なオフィスを持っていた。
そのビルは別の犯罪組織が違法な手段で不動産会社から買い取っている。
今では、合法的企業と非合法企業が混在した危険な。
このビルは今や下を見れば非免許脱税の畜肉加工業者、上を見れば悪徳弁護士とつるんだ知能的組織。
それら非合法組織が必要とする合法的組織の足となるグレーゾーン企業。
顔なじみ組織なじみとでも呼べそうな閉鎖経済がこのビル全体を覆っている。
もちろんこのビルには銃を片手にフロア料金を払わない連中もいる。
彼の組織は犯罪組織としては上級だった。
賃料はきちんと払うし、無数の組織とつながっている。
抱き込んだ弁護士の知り合いも多い。
組織から逮捕者が出れば架空のアリバイ証人から地道な偽証拠や偽記録に基づいた弁護活動まで幅広くそろえている。
もちろん刑務所での便宜から保釈金まで資金は潤沢だ。
捕まったときの幹部を助けるための手札を充実させた功績は少なからぬものがある。
後は調整能力でその地位に就いたようなところがある。
前のボスは野心の塊で部下を統制しようとしまくった。
そのために反発を受けた幹部のはなった刺客に倒れることとなった。
幹部に野心のあるものがそろっている分彼の野心のなさは逆にトップに座るに向いている。





硬い地面にクワを入れていく。
土は黄土色、ヨハネスブルクの近郊にある村落だ。
最初は跳ね返すように固い土だが時間をかけて何度も何度も往復していく。
畑は耕せば耕すほど柔らかくなっていく。
土は空気を膨らみこんもりと盛り上がっていく。
まだ農作業の手伝いもできな一番小さい子供が耕した土の上を喜んで遊んでいる。
雲の上を歩くようなフカフカした土は歩いていて楽しいのだろう。

作業を進めると血流が良くなり視覚がすんでいく。
近くを流れる小川の水面はきらきらと陽光を反射し輝いていく。
まっ平らな農地を吹きわたる風が気持ちいい。

家族一丸となって麻薬の材料となるケシの苗を植えていく。
おなかをすかせた子供たちがいるのだ。
それにテレビ。
あれは近くの村の村長の家にあったが子供たちはテレビを見る機会があればみたがった。
子供たちはあれを欲しがっている。
テレビはSony制が良いという話だ。
手に入れるには普段使わない紙幣を手に入れなくてはいけない。
出来た作物の物々交換や家族の食事に消えていく今を考えると。
そのためのケシ栽培だった。
気のいい商人、回ってくるたびに面白い話や都会の話をしてくれる。
そして麻薬の材料をいい値で買い取ってくれるのだ。
それに医療。
テレビを買うには街に出かけるか行商が回ってくるのを待って頼むしかない。
電力は村中の投資で村長の家にある買った太陽光パネルから電力をもらおう。
彼は彼の夢を見ながら、明日のためにケシの苗を植えていく。
それが麻薬を求める人間の精神を崩壊させ、都市の経済を悪化させる一因になるなどということは考えもしない。

それと先祖代代伝わる祖先の英霊への捧げものの準備をしなくてはいけない。
今は昔ほど大量の捧げものを行う必要がなくなったが、それでも祭りがおこなわれ、大地にささげなくてはいけない
集団住居には大地の恵みをささげるシャーマンもおり彼の一家はシャーマンの扶養義務もおっていた。
祖先の霊や大地の霊がたたり。

風はさわやかに吹きわたり、そこにはさわやかに農作業に従事する姿があるだけだった。

仕事を終え家に帰ると麻薬の売人が立っていた。
親しみのわく話ぶりで麻薬取引がいかに儲かるか後は色々面白い話を聞かせてくれる人懐っこい奴だった。







ヨハネスブルク市長アルト氏の憂鬱。


バスケットボールが出来るほど広い庭、白くペンキの塗られた住み心地のい家。
安全のために鉄格子で囲まれた我が家ともお別れだと思うと少しさみしい気分もする。
台所は冷蔵庫が取り除かれ外ではトラックに積まれているところだ。
がらんとした台所は。
リビングでは近所の人たちが集まり我が家の引っ越し用の梱包の準備をしてくれている。
彼はヨハネスブルクの道路行政官を担当しているジャック。
危険になったヨハネスブルクを去るために引っ越しの準備をしているところだった。

片づけをしていると押入れからは赤ちゃん用のを小さいベットがでてきた。
ジョンとメアリー彼の可愛い二人の子供を育てた思い出の品だ。
妻のメリッサはこの品は絶対持って行きたがるだろう。
この品は自分の手で梱包すべきだな。

庭にはうちの子供が近所の子供たちを集めて遊んでいたバスケットコートがある。
バスケットコートは分解すればトラックに収まるだろう。
倉庫には使いこまれたバーベキューセット。
あれは持っていくべきだろうか?
結婚してからはしょっちゅう使っていた。
近所の人に渡してもいいのだがどうしようか。


白人居住区のまとめ役であるヨハネスさんはまたこの白人居住区から人家族抜ける人が出たことを悲しみ私にさよならのあいさつをする。
治安が悪化しているこの町では引っ越し業者がそのまま泥棒になったという話も聞いた。
信頼できる知り合いに引っ越しの手伝いを頼む。

この地区の人口減少も激しくもう半分の家族が引っ越し、銃を持った黒人の不法占拠者まで出る始末だ。






後任を任命し最後に書類仕事を片付けるために市庁舎にやってきた私を引き止めたのはこの街の市長アルト氏だった。


「今まで顧みられなかった黒人居住区の道路を整備し、白人地区の道路の整備も継続しなくていけない」
「必要な道路行背予算は増えるのに白人資本の引き上げで市の財政は火の車。それはわかってるだろ?」
市庁舎の廊下で私を引きとめようと躍起になっているこのアルト市長である。
黒人で黒人の政治や行政への参加権を求める組織のメンバーだ。
アパルトヘイト崩壊前は行政では白人を減らして黒人を増やせと主張していた存在だ。

その市長が白人公務員である私を引き留めようというのだから人手不足も深刻なのはわかる。
市の行政が厳しいものかはこの地区の道路行政の長だった自分は一番知っているし最近の市上級職メンバの会合では今まで無視されていた黒人地区の開発費をどうやって捻出するか予算不足の話題ばかりだった。

だが私はもう辞表は出してきたところだった。
荷物はもう国際的運送会社に頼んだし、スーツケースには貯金通帳やパスポート、アルマーニのスーツ等大事なものが入っている。
アパルトヘイト崩壊後は黒人独立派から柵越しに銃撃だって受けた。
たしかに若くして街の道路行政の中核的仕事をになってきた私だ。
未練がないわけではない。
サンロマ大通りから市の大動脈を貫く作りかけの高速道路。
あの道路に幾ら予算を割り振って
主要な大通りとこれから行われるはずだった予定は全て頭の中に全て入っている。
各ゼネコン業者の社長と顔見知りなことは立派な財産だった。
それらすべてのキャリアを捨てることは確かに惜しい。

16歳になる娘の安全を考えるともうこの街にいることはできない。

私の後任はさぞ苦労することだろう。
実績のない黒人業者の道路事業参入を認めなくてはいけないのだから。

「市長?私の後任にケントを指定しておきましたが、何か不満ですか?」
市長が答える。
「彼なら、さっき私に辞表を出してきたよ。黒人のために働くなんて我慢ならないと言ってね」

市長の立場は難しかった。
街では連日のようにデモ行進が行われ白人対法が声高に主張されている。
彼ら白人公務員が黒人差別の手先となったのは事実であり政治的要求としては白人を市政から追放しなくてはいけない。
それが民意だ。
高い教育と行政手腕にたけた有能な彼らを追い出し、未熟で教育を受けてない黒人の役人を雇うことは実務者として出来ない相談だった。
彼の執務室ではどうやって白人から黒人へ行政の権限の移譲をなすべきか個々の行政分野からの報告書が山積みになっている。

中央の政治家はひたすら国民の人気取りのために白人を追放せよとばかり主張する。
一体どうしたらいいのか。
白人にとって危険になった南アフリカを去ろうという白人公務員を引きとめ、段々瓦解していく行政組織をどう運営していけばいいのか。
上層部ほど問題を深刻に受け止めていた。

休憩室

とりあえず次の後任を決めるまで
市長から解放された私は休憩室に向かった。

高層階にあるその部屋は
大きな窓にクッションのきいたベンチが並び、ヨハネスブルグの風景を一望にできる。

ヨハネスブルク警察総官のジェイク氏が座っていた。
彼は警察署の署長を統括する立場だ。
「君はもうこの国を見限ったりしないのか?」
「馬鹿を言うな肌の色が黒かろうが白かろうが市民は市民だ」
「そうか君はこの国を去るのか。大学以来の友がいなくなるのは寂しいものだな」」
「むしろ私はこれからに希望を持っているんだよ」
「今までの不公平な」
「幾ら理想を語っても黒人地区というだけで勤務を嫌がる白人警官もいる」
、、、
「犯罪組織ゲートクラック、今の私の敵だよ」
「最近北の方の地区を中心に急速に勢力を伸ばしている。」
主にあの地区だ。
彼は窓から見える都市風景の一区画を指さしながらいった。

「結局は黒人市民に仕事を与え、教育を施さないとイタチごっこだ」
「差別され仕事から疎外されてきた黒人には収入がない」
「どうしても犯罪に手を染めるものが後を絶たない」
「それは警察だけでは解決できない問題だな」



潜入捜査官霧咲弥生の取引

捜査官弥生は悪徳神父に教えられた区画へ来た。
この区画の。
ようやく

「ジャップが麻薬売買だと、こいつは傑作だ」
「ま折角来たんだ自分の使う分だけいるかい?」
完全に舐められている。
まあ彼らにしてみれば金持ち日本人からどれだけぼるかという視点でしか見れないのだろう。
ここで舐められるわけにはいかない。
組織のボスとのコネクションを作らなくはいけなかった。
取っておきの話題を出す。
「私はこれでも日本にいたころヤクザとつながりがあったのよ」
「麻薬を地元で売るだけじゃなく、日本までの密売ルートを確立出来るわ」
「組織のボスに合わせてくれないかしら?」
「おい、どうする?」
「あんた犯罪歴はあるのかい?」
「ええ、もちろんヤクザと親交があったと言ったでしょ」
国際警察機構に頼んで日本での架空の犯罪歴を登録してもらっている。
彼らが弁護士を通じて調べても立派にだましとおせるだろう。
「日本人はお金もちよ、こんな風に地元で売ってたんじゃ得られない大金が得られるわ」
「まったく」

「そうだな、いきなりというわけにはいかない実績を見せてもらおうか」
「まずはこの麻薬を売り払ってもらおうか、買い取り値段は安くしとくよ。」
「これだけの量を預けるんだ、こちらとしても一人君の手助けをする人間をつけよう」
つまりは監視役か、これはまあ想定しておくべき事態だった。
どう乗り切るか?








第4章

捜査官ジョーはヨハネスブルグの刑務所を訪れていた。
場所は殺風景な壁一面ホワイトに塗られた面会室、窓越しには結婚詐欺師で捕まった男が座っている。
名前はホープ、本人はそう名乗ってる戸籍経歴は不明。

結婚詐欺のターゲットとして捜査官弥生を口説き落としそのまま現行犯逮捕された間抜けな男だった。
とは言え落とした数の女は両手では足りない。
今でもだまされた女性のうち二、三人が、私だけは本命よねと定期的に通いつめてきている。
そんな彼だが普段から自分を逮捕した弥生のことを良い女だと周囲に言いはっている。
幾らでも甘い言葉が出てくるし自分の言った嘘を本当のことに見せるために努力も惜しまない。
犯罪者ながらどこか憎めない男である。

どこで手に入れたのか彼を逮捕した弥生が潜入捜査官になったことすらつかんでいた。
捜査官ジョーは仕事熱心な男だが、少し可愛い側面があった。


実はジョーは弥生が好きなのだが弥生の潜入捜査官という仕事柄、警察の人間とのむやみな接触は控えねばならないのは当然。
警察のチームとの定期連絡を除いて組織内では弥生は存在しないものとして扱わねばならない。
「、、、」(作者中只今会話色々考え中)

つまり要約すると彼は何とかして弥生をデートに誘いたい。
そういうことか。
結婚詐欺師としての豊富な実績を持つ彼から見ればなんともかわいい相談だった。
ハイスクールの学生自分こんなやついたなあ。