12英雄グラージェカルブレッド。
大量のヤシノミムシが合体して生まれた英雄。
12英雄中、最巨体を誇り圧倒的な継戦能力を誇った海の王者。
見た目は装甲を纏った鯨である。


グラージェカルブレッド誕生話。

所は惑星イルォード、10を10集めさらに10束ねたよりも昔、
悪魔軍がイルォードに入植を始めたばかりの頃のことです。
ある悪魔軍兵士が投網で漁をしていると変わった魚が取れました。
装甲を纏った白い色の扁平な魚です。
彼は熱心かつ忠実な兵士だったので、新種を見つけたときの規約に従いその魚を研究所に送りました。
スミからスミまで体をひっぺがえして、細部の細部まで顕微鏡で調べ、
薬品に漬け込み、利用価値がないか探る残忍な研究所です。
新発見に燃える若手達の熱心な研究の結果、ヤシノミムシの体からは希少金属が取れることがわかりました。
悪魔軍がヤシノミムシの体内にたまる希少資源を狙って大規模な捕獲を始めます。
投網を持ったデルゴンがやってきては、捕まえて体をひっぺ換えすのです。
「こんな小さな動物に何が出来る」
彼らは油断して武器も持っていませんでした。
ヤシノミムシが合体して強くなることを知らなかったのです。
最初はいいように捕獲されていたヤシノミムシも、段々と危険を察知し
集まるようになり、合体して反撃を開始しました。
最後には彼らの立てこもった工場を潰したのです。

勝利に沸き立つヤシノミムシですが、悪魔軍はすぐに帰ってきました。
今度は武器を持っています。
強力な飛び道具の前にかなうこともなく、あっという間にハコマヨ湾(後のハコマヨシティ)まで追い詰められました。

数多くのヤシノミ虫たちが、難を逃れてハコマヨ湾に集まってきます。
ハコマヨ湾までたどり着き、安息を得たヤシノミ虫たちですが安心は出来ません。
明日にも、悪魔軍たちは大挙してやってくるでしょう。
湾には傷ついたヤシノミ虫たちばかり。
このままヤシノミムシたちは全滅してしまうのでしょうか?

浜では離れ離れになった仲間や家族との再会等、数多くのドラマが繰り返されます。
そうこうしているうちに夜になりました。
満月が煌々と冴え渡り、空には雲ひとつありません。
ヤシノミムシたちは相談を始めます。
「力をあわせれば勝てるんじゃないかな?」
「鮫は強いよね」
「鮫の大きさでも勝てないかもよ」
「一番大きいのは鯨だから鯨になろう」
「鯨になろう、鯨になろう、、」
みないっせいに賛成しました。
ゆっくりと合体が始まります。
こんなに大勢で合体したことがなかったので、皆慎重に体を組み立て始めました。
時折合体のたびに体を震わせる音が響き、静かに夜が更けていきます。
こうして大量のヤシノミムシが合体して生まれたのが後の12英雄の一人、グラージェカルブレットなのです。

満月が下り、朝日が昇ると共に悪魔軍たちは出航の準備を始めます。
何しろ、希少資源を大量に獲得した部隊には出世の道が開けているからです。
他の悪魔軍部隊に先を越されるわけには行きません。
どの部隊も大急ぎで出港準備を始めます。

中でも一番有望なのはゴブレット・マンティス船長率いるハコマヨ機動部隊。
船長はハコマヨ湾は何度も訪れたことが有り、勝手知ったる自分の庭のようなものです。
ライバル部隊は天使軍との戦闘中です。

ヤシノミムシたちを刈り取るための武器に投網や燃料が搭載され、最後に彼らの出世への夢を満載して、さあ出航です。
船長は上機嫌です。
勝利を確信し戦意に燃える部下達、朝日を背にしてのかっこいい出撃、司令部から託された自身への期待、そして万全の整備を施され快調に進む船団。
彼には、船だけでなく喫水線も上がり気味に思えました。
このまま空も飛べそうな勢いです。
船団は海を滑るように走り、あっというまにハコマヨ湾に到達しました。

静かな海には魚が泳ぎ、綺麗な砂浜はアーチを描き綺麗なものです。
これを知ると皆は歓声を上げました。
砂浜があらされて無いということは、他の部隊がきていないということです。
皆は戦闘準備を初め、船長は見張りにヤシノミムシたちを探させます。
ですが、肝心のヤシノミムシ達が見当たりません。
まさか、他の部隊に先を越されたのでしょうか?
はたまた、他の場所に逃げられたのか?

「内陸に逃げたのかもしれない」
そう判断した船長は、部隊を2つにわけて、一隊には周辺海域を探させ、
もう一隊を率いて内陸の探検に出かけるための準備を始めます。

グラージェカルブレッドは、この瞬間を待っていました。
船長達が船から砂浜へ下りたところを狙い、岩陰から飛び出したのです。
突如現れた巨体を前に悪魔軍たちは呆然としています、吾に返って反撃するものがいてもどんな攻撃も装甲の前に聞きません。
砂浜に停泊している船が鼻先で転覆させられ、巨体を利用して起こした波で部下を押しながされると、流石のゴブレッド船長も撤退を命じます。
この時、全ての船が転覆させられたので陸路で帰還する破目になりました。
船長が陸路で逃げ帰るなど恥そのものです。

こうして勝利したヤシノミムシたちですが勝利の余韻に浸ることもなく、皆で浜辺の様子や海の様子を見に行きます。
我が家がどうなってるのか皆気になったからです。
合体し体が大きくなったから、どこへ行くにもあっという間です。
まわりの状況は悪魔軍による乱獲の爪あとを残し惨憺たる有様でした。
居心地のいいヤシの木は倒され見るも無残です。
好物のヤシノミを食べることもヤシノミで遊ぶこともできません。
珊瑚は破壊され多くの魚達が住処を失っていました。
鉱物資源を取るために海は汚染されています。

自分達の危機だけでなく、多くの隣人の聞きでもあると悟った
ヤシノミムシ達はこの星を守ることを決意しました。
周辺の悪魔軍を全滅させたあとも合体を解除することなく海をさまよい、
紆余曲折を経て最終的に天使軍に所属することになったのです。

天使軍に所属するまでの過程を扱った伝承は収集され、本になりました。
北の海で海の主とであった話、復讐に燃えるゴブレット・マンティスとの死闘。
死の海域と呼ばれるチベック岩礁での魔物にであった話。
色々な話が収集されソロネッツシティ王立図書館で公開されています。




後書き

海洋惑星イルォードという魅力的な星が、【語り】したらば総合-2【妄想】掲示板の皆様の手で生まれました、その星にふさわしいキャラと考えて、やしのみ虫とグラージェカルブレッドが生まれました。
イルォードがいなければ生まれなかったキャラです。
皆様に感謝しています。


追記
最新版のやしのみ虫は現実の合体ロボがヒントになっており、参考映像へのリンクもはています。



アイディア製作者

【語り】したらば総合-2【妄想】掲示板の皆様。
海洋惑星イルォード



堀江伸一製作のアイディア
やしのみ虫
グラージェカルブレッド
連絡先 sin-horie@mvd.biglobe.ne.jp

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おまけ

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初版/12英雄/グラージェカルブレット

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最終更新:2010年05月19日 12:26