• ギガンダムとオオガタナの出会い



宇宙船の事故でこの世界に迷い込んだギガンダムは、宇宙船の残骸にしがみつくように宇宙を漂っていた。
乗組員の人間は全滅し、ラクダや馬、お気楽なヤシノミムシ達(人類の生み出した生物の一つ)を乗せたコンテナが宇宙船の残骸の間を漂っている。
幾つかのコンテナに生存反応があったが非常に遠くで回収できそうにないコンテナもある。
状況を確認し、使える物がないか回りを見渡す。


どうやらここは恒星系の外近くらしい。
遠くを見渡せば、この宙域の太陽が小さく見える。


こういう時のセオリーとして、原隊の支持を仰ごうにも通信は通じず、電磁波には経験したことのない奇妙な雑音が混じっていた。
通信には何か言語を連想させるものが混じっていた。
ギガンダムに内蔵されている膨大なデータベースにも、記憶にもない言語だった。
未知の知的生命体のようなものがいるのかもしれない。
いるとすればどの星にいるのだろうか、彼らは交渉のできる相手だろうか?


ギガンダムは惑星へと探査の手を伸ばした。
重力源が奇妙だった、惑星の数が多すぎるのだ。
恒星の回りを回る惑星は妙に数が多く、ぼやけてはっきりしない。
いつもならクリアに観測できるはずの惑星の様子が、把握できない。
残骸が邪魔をしてうまく計測できないというのもある、だがそれだけでは説明がつかない。

幸いにもギガンダムは恒星の回りを回る楕円軌道に乗っているらしい。
となれば、だんだんと恒星系の内側に入ることと内r後で星も選定できるだろう。
星の数が多いなら降下や生存に適した星もあるはずだ。
彼は体に無数についている人類製のセンサーで探査を継続し、通信から意味が汲み取れないか注意し、知的生命体がいるならコンタクトをいつとるべきかを無意識レベルで考えながら近場の事態を片づけ始めた。




とりあえず、ギガンダムは8本の足を器用に使って宇宙船の残骸やコンテナを寄せ集めていく。
コンテナの動物たちはギガンダムと違い真空にも宇宙の放射線にも長期間は耐えられない。
となれば彼らを守るための盾が必要だった。
宇宙船の残骸は恒星に近付いた時、コンテナを熱や放射線から遮断する役にたつだろう。


近くの軌道にある残骸を長大な蜘蛛の手足で引き寄せ、遠くの残骸を蜘蛛の糸で手繰り寄せ手元に集めていく。
小さな残骸の塊を作り、そこから放射状に残骸を集めその上にコンテナを止めるためのくぼみをつくっていく。


残骸を集め終えたギガンダムは次に、散らばったコンテナを集めることにした。
巨大な蜘蛛の糸を発射していく。
コンテナは射程圏内、不思議なことに何度もミスをして当たらない。
自己診断センサーで点検しても機械類にも生体部分にも異常はないと伝わる。
これも少し異常なことだった。
他に手段がない以上、何度か狙いをつけ直してようやく命中して手元に手繰り寄せることができた。



ギガンダムはコンテナと残骸を蜘蛛の糸でつなげて鳥の巣のできそこないのようなものを作っていく。
ラクダとヤシノミムシ達のコンテナは回収できた、馬のコンテナは回収できなかった。
ヤシノミムシ達は状況が分かっているのかわかってないのか、鳥の巣を作るためのコンテナ位置微調整のたびに喜んでいる。
宇宙の静寂の中で、ギガンダムは手慣れた作業を続けていく。
ヤシノミムシは、そこそこの知能を持った海洋生物である。
丸っこいボディにかわいい手足、50センチくらいの体長で群れて生活する。
人間の子供に似ていて、好奇心旺盛でよくしゃべる連中だ。
人類が星星の生物と掛け合わせて作りだした生物だった。
彼らでも話し相手くらいにはなる。
とにかく巣は完成したこれでコンテナの動物たちを守ってやれるだろう。






ときおり、軌道がずれた残骸が一つ離れ二つ離れ宇宙へと飛んでいく。
長期間は持たないが、残骸で急ごしらえしたにしてはうまくできていた。

いざとなれば軌道を見計らって惑星への降下軌道へと無理やり遷移し、適当な惑星へ向かう算段もある。
コンテナにも大気圏降下能力はあった。
星の先がどんな大気にせよ、彼らにも生きる権利はあり、動物たちを連れて行こうと考えていた。









そんな状態で宇宙をさまよっていたところを、悪魔軍の宇宙船に見出されることとなる。
発見したのは悪魔軍オオガタナ率いる船団である。

オオガタナは日本武者風の姿のロボである。
背中に背負った大きな一振りの刀がトレードマーク。
どんな相手でも、よらば切ると一刀両断。
前線での指揮能力は抜群で、最近メキメキと頭角を現している出世頭だ。
悪魔軍にオオガタナありと、後の世に恐れられるようになるまであと少しの存在である。
オオガタナは天使軍相手に近接宇宙戦闘を仕掛け、圧勝してきた帰りだった。


快調な宇宙船のエンジン、高い生存率、戦場で鹵獲した戦利品。
全てが順調な帰り道の中、宇宙を漂う巨大な金属反応の報告を受けたオオガタナはふと思うことがあり船団をそれに並走させることを命じた。
たいした距離ではない、戦勝気分で気も緩んでいる、デブリなら片づけておこうその程度の気持ちだ。




近づいてわかったのは戦艦に匹敵する巨大ロボギガンダムの姿だった。
長距離で観察していたオペレーター室やブリッジに驚愕が広がっていった。
何しろこの世界で最もでかい、のっぽと呼ばれるロボ達ですら4m、戦艦ですら100mサイズが標準ときているのに、蜘蛛型サイボーグギガンダムは戦艦に匹敵するサイズを誇っていた。




その騒ぎは、ゆっくりと実戦部隊へ広がっていった。
実戦部隊では、天使軍相手の圧勝の余韻とともに艦内ではちょっとしたお祭りムードがあり、すこしだけ酒を飲んだりカードに興じているものもおおい。
ほとんどがどうせデブリ作業と外など覗かない。
仲間内でのカードの手を止めてふと船外を覗いたものが窓による、するとギガンダムを見てあわて、それをみて可笑しがったものが次に窓を除く、しまいには驚きが驚きを呼び全員が船外を除くための窓辺に集まっていった。
全員押すな押すなと、窓を覗いていく。


皆ギガンダムの姿を見るたびにうめいたり感嘆の声をあげてはその戦力を測る。
隣のものと相談しては、あのデカブツは何者なのか、誰かみたことはないか、あれに似たものを聞いたことがないかとざわめいていく。


一度見たものはもう一度見ようと隣のものをおし、あるものは隣の窓へうつる。
優秀なものや目はしこいものはいざ出撃かと、ロボ用の大型武器庫やハッチへと集まる。


この事態を見たオオガタナはひとまず館内放送を流し、自分が代表して接触する、むやみに動くなと全員をいったん落ち着けた。
何しろ、あのデカブツが敵か味方か、それ以前に一体何なのかわからない以上まずは意思疎通が必要なのだ。



部隊の中から最も有能な通訳を3人4人と,他に宇宙航行法の専門家や法の専門家、あとはボディガードを含めて8人ほど選びおえたオオガタナは、戦艦の前部ハッチからゆっくりと宇宙へと顔を出した。


オオガタナだとて、こんなデカブツ聞いたことも見たこともない。
どう対応してよいかよくわからない。
だが長たるもの、わかってないふりが出来ない時もある。

それと戦士の直感が、おなじ歴戦の勇士であるなにかを伝えていた。
もし解り合うことができれば、あのデカブツには戦線で安心して背中を預けることのできる何かがありそうだ。
戦場では見知ったこの感覚が、オオガタナをギガンダムへと向かわせる。




そして皆の注目の中、オオガタナはゆっくりとギガンダムの顔の前へと移動していった。
オオガタナとギガンダム







































  • 元ネタ
特になし

  • 制作経緯
ギガンダムの話が書きたかったので書きました。




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名前 堀江伸一






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最終更新:2010年05月19日 13:59