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狂気と砂嵐第2話 - (2009/07/13 (月) 12:59:14) のソース

TVの砂嵐。
あのザーザーいう音と無限に変化する灰色の世界のことである。
それは無意識の集合知の集積が具現化したものである。
人間の意識の中にしか存在せず世界的内在が生み出した現像。
実際は存在しない。
ただ多くの人間がそれを信じ、そんなものがあったような気がする。
もしかしたらあったかもしれない。
そういったことが街のあちこちで話され、ふとした会話に上り、世界のあちこちで繰り返されているうちに、そんなものが現実にあったような気がしているだけの存在である。

それは、都市伝説であり一度たりとも存在したことがない。
存在していたような気がするだけの存在にすぎない。
狂気と砂嵐でなされた全ての議論は架空のものだった。
2100年、もはやアナログ放送は禁止され世界ではその存在を実証することはできない。



架空のものを研究する人間として世間から相手にされず、細々と生き残っている砂嵐研究者は語る。
テレビの砂嵐に住み着く砂嵐生命体は絶滅した。
最後の砦だったアナログラジオ生命も2018年には世界共通規格のデジタル放送でおきかわりその雑音は消え果てた。
アーサーCクラック博士の残した伝説のバイブル「宇宙放射と砂嵐」はもはや入手できない。


ただ狭い彼らのコミュニティの間で2つの奇妙な噂が流れていた。
世界のどこかに砂嵐生命体を飼育している研究者がおり、砂嵐生命の存在に気付いたものの前に突然現れて砂嵐生命体の株分けと飼育方法を教えてくれる、と。
また別の噂では田舎の奥深くで細々とアナログ放送を行っている集団がおり、そこでは絶滅したはずの砂嵐生命が全て生き残っているのだと。

うわさの真偽を知ることはできない。