【まどか☆マギカ】佐倉杏子はポップコーン可愛い78個目


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139 名前:†[] 投稿日:2011/11/16(水) 00:18:06.09 ID:ycKKCGDa0 [1/4]

君の仮面を外してからもう半年以上経ったね
あの頃の君は獰猛な蛇のようで、狼のようだった
この腐りきった世界で孤高に生き続ける為に必要だったのだろう
でも、僕には一目見ただけでわかった
君が仮面を被って劇を演じているのを
其れは古典的な悲劇などではなく、まさしくシュトゥルム・ウント・ドラング
其れは荒々しい疾風怒濤の戯曲
ファウストにもテンペストにも劣らぬ君の戯曲に僕の心は躍らされた
でも、その戯曲を味わった僕に更なる慾望の甘い吐息が訪れる
僕は役者としての君ではなく、本当の君を知りたくなったのだ
君は僕を煙たがったね
当たり前だろう 君くらいの少女は他人に付き纏われる事を嫌うだろう
しかし、僕は諦める事は出来なかった
だから、ずっと君の傍で滑稽に一人で踊り続けたんだ

でも、そんな君も徐々に心を開いてくれていったね
覚えているよ、あの日、あの時、あの場所で
君からもらったあのチョコレート
甘くて蕩けるチョコレート
仮面を外した本来の君
その笑顔は眩しくて、優しくて、
僕の心は激情の稲妻と恋慕の焔で無茶苦茶に乱されていった
恋しくて、恋しくて、僕はどうにかなってしまいそうであった
僕は神を呪った
どうして僕を苦しめるのだと
僕は神を讃えた
よくぞ僕と彼女を巡り合わせてくれたと

そして、あの夜に僕は君の仮面を完全に剥いだ
もはや、君は僕を拒もうとすらしない
聖女のような微笑みを魅せてくれた君は僕に全てを委ねてくれた
初めての愛の口付けを交わそうとする僕達だったが、僕達は互いの名前を知らなかった
全く以って滑稽な劇だ
だが故に面白い
その時初めて、君の名前を知った
『佐倉杏子』
うん、実にいい名前だ
桜咲く教会の庭で僕は初めての君を知った
それからというもの、僕と君は毎日逢瀬を繰り返し
ともに食べ、ともに眠り、ともに愛を語り合ったことを僕は忘れない

喜劇は永遠に続く たとえその生命が枯れ果てようとも

コメント:

270 名前:†[sage] 投稿日:2011/11/17(木) 00:25:56.93 ID:8+PdZW5G0 [1/3]

今日は杏子ちゃんとスキー場に行ったの
まだ、ちょっと早かったのか、人は少なかったよ
杏子ちゃんと一緒にリフトに乗って雪景色を眺めるの
一面永遠の銀世界とは言えないけれど、雪景色は綺麗だったよ
多分、この雪は人工雪だと思った
今度はちゃんと天然の雪が振る時に日を改めて再び訪れようと思ったよ
杏子ちゃんとこうしてあんあんしてるだけでも楽しいけれど
白い粉雪が舞い散る銀世界であんあんするのはまた格別だと思うから

杏子ちゃんの話によると、どうやら少なくとも1回はスキーをした事があるらしい
ご存知の通り杏子ちゃんは運動神経抜群だが、それは幼い頃からそうだったらしいのだ
杏子ちゃんはお義父さんが滑るのを一度見て、滑り方を教わっただけで上手く滑ることが出来たらしい
一方、妹のモモちゃんは滑れるようになるまで、けっこう時間がかかったらしい
どうやらモモちゃんは杏子ちゃんと同じ血を引いている所為か、とても負けず嫌いだったようだ
だから、杏子ちゃんに滑り方を習うのを嫌がって、お義母さんの方から教えてもらったらしい
最終的にはモモちゃんもちゃんと滑れるようになって、家族みんなで仲良く滑る事が出来たんだって
その日の帰りにスキー場で食べたステーキの味は今でも鮮明に蘇ってくるという

運命の悪戯のように思えてしまうが、今日訪れたこのスキー場は昔に杏子ちゃんが家族と来たスキー場と同じだという
杏子ちゃんは昔を懐かしむような口ぶりで教えてくれた
そんな事をお喋りしているうちにリフトは『想い出の路(初心者コース)』に着いた
さて、滑ろうかと杏子ちゃんがポッキーを咥えながら提案してくる
どうも杏子ちゃんのスキーウェアのポケットが膨らんでいると思ったらこういうことだったんだね
よし、滑ろうかとわたしが答えようとした瞬間、ストックが手から落ちてしまった
それを拾おうとしゃがむと、何故かわたしの身体は徐々に滑っていってしまう
わたしはここが斜面だという事を忘れていた
わざと転んで減速しようとしても、すでにかなりの加速を始めてしまっている
わたしが焦っている間に目の前に崖が現れた
嫌だ、落ちたくないと願って、必死に減速しようとするが時既に遅し
わたしは恐怖の余り目を閉じる

しかし、わたしの身体は崖を落ちるどころか、加速することすらしなかった
杏子ちゃんがわたしのことを抱き抱えてくれたのだった
「転ぶより先に八の字でブレーキしろよ・・・まったく・・・」と杏子ちゃんは呆れたように言う
ごめんなさいとわたしは心配をかけてしまったことを心から謝った
「ったく・・・あとで特訓決定だな」と杏子ちゃんは笑いながら言った
「じゃあ、まずはここを下っちまうから、暴れるなよ」
そう言って杏子ちゃんはわたしをお姫様抱っこしたまま斜面を下っていく
杏子ちゃんに悪いから自分で下りると言っても、ヒヤヒヤするという理由で却下されてしまった
でも、わたしは嫌な気分は全くしなかった
杏子ちゃんに抱えられて下る斜面はスピード感があって爽快だった
そして、杏子ちゃんの温もりがとても温かかった
それはとても安心できて、幸せで

だから、わたしは雪上を滑走する杏子ちゃんのほっぺたにキスをした

コメント:

438 名前:†[sage] 投稿日:2011/11/18(金) 00:21:58.09 ID:+Mfdhpv/0 [1/4]

もう11月も半分もない
もっと言ってしまえば今年もあと1ヶ月ちょっと
杏子ちゃんと出逢ってけっこうたったんだなぁ
でも、もっとたくさん杏子ちゃんのことが知られたらそれはとっても嬉しいなって
そんな事を考えながらわたしは引き出しを整理する
少しずつ掃除を進めて、大晦日にドタバタとしないようにする為だ
大晦日はゆっくり杏子ちゃんの傍で蕎麦を食べて過ごすんだ
だから、その為にも今出来る事からコツコツとやっていかなくちゃ
まずはいらないモノは葬り捨てなくては
そう思って引き出しの中のモノをすべて外に出す
ん?これは・・・!懐かしい玩具が出てきたものだね

「何やってんだ?」とお昼寝してた杏子ちゃんが目を覚まし、話しかけてきた
お片づけだよ、とわたしは杏子ちゃんに返事したの
杏子ちゃんは散らばった玩具を手に取り弄り始めた
「遊戯王にベイブレードって・・・あんたけっこう懐かしい玩具持ってんだな」
杏子ちゃんも遊んでたの?、とわたしは聞いてみると
「ウチは貧乏だったから・・・学校のヤツがそれ持ってるのを見た事があるってだけだよ」
けっこう重いことを言っているのに、杏子ちゃんの表情には曇りはなかった
「このドランザー欲しかったんだよな~」と杏子ちゃんはまじまじと散らばった玩具のうちの一つを見る
そんな純心無垢な杏子ちゃんを見ていると心がポカポカしてきた
だから、わたしは杏子ちゃんに提案してみたの
遊んでみる?、って

杏子ちゃんは幼い子供のような純粋な目で、ぶつかり合うコマを見ている
わたしのドライガーは杏子ちゃんのドランザーに吹っ飛ばされ、壁に叩きつけられてしまった
「面白いなコレ!」と杏子ちゃんは一昔も二昔も前の玩具に興じている
杏子ちゃんがこんなに楽しんでくれるんなら捨てない方がいいかな?と訊いてみると
「玩具を粗末にするんじゃねー!」と怒られてしまった
「大切にしなよ。欲しくたって、手に入らないやつもいるんだからさ」と杏子ちゃんが優しく付け足す
わたしはそんな杏子ちゃんがとても愛らしく思って、思いっきり抱きしめてあげた
「な、何するんだよ・・・///」
ごめんね、でもわたしは杏子ちゃんのこと、ずっと大切にするよ
「な・・・なんだよぉ///」
わたしは恥かしがる杏子ちゃんの頭をよしよしと撫でてあげる
「あたしもあんたのこと大切に思ってるぞ・・・///」
杏子ちゃんは顔を赤らめて、わたしの身体に思いっきり抱きついたの

そして、その晩、わたしと杏子ちゃんはコマのように廻り続け、ぶつかり続け、愛し続けたのだった

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456 名前:†[sage] 投稿日:2011/11/18(金) 01:03:49.32 ID:ajieUvJE0 [1/2]

なあ杏子、覚えてるか……?
初めて出会った日の事。
降り注ぐ雨の中、廃墟になった教会の前で佇んでるお前を見つけて、
俺は思ったよ。捨て猫みたいな女の子だって。
俺はお前に傘を差し出してやった……。
どうしてそうしたのかはよく分からないけれど、
多分……お前を歪んだ欲望の捌け口にしようとしていたんだ。
俺にとって、それが愛するという事だったんだ。
そしたらお前、笑って「ありがとう」って言ってくれた。
それからずっと一緒に過ごして、お互いに何十回、何百回って
「ありがとう」って言い合ったな。……楽しかった。
なあ杏子、お前は生きていくためにたくさんの罪を犯してきたよな……。
それはきっと、世間では悪とみなされるんだろう。
でも、世間がお前の事をいくら悪と思っても、
俺にとってお前は確かに生きる希望であり、心の支えだった。
なあ、これは俺の勝手な思い込みだけど……、
お前、大好きだった父親を悪にしないために、
自分が悪だって思い込んでたんじゃないのか?
悪いのは自分だって思う事で、父親を守ろうとした……。
それが真実なのか、俺の妄想なのかは分からないけど、
俺の同じ事しようと思う。
悪いのは全部俺で、お前は何も悪くない。
お前が悪にならないように、俺が全部の悪を、罪を、背負ってやる。
だから……「ありがとう」って言って欲しいな。それが最後の望みだ。
なあ杏子、今まで本当にありがとう……
じゃあね

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478 名前:†[sage] 投稿日:2011/11/18(金) 11:05:37.98 ID:imUteHgS0 [3/13]

外に不審な物音を聞いた気がして、佐倉杏子は目を覚ました
さやかか?
彼女は枕元の目覚まし時計に手を伸ばした。三年近く愛用してきた、ゴミ捨て場で拾った時計だ
もう七時過ぎだ。朝日がまぶしい。こんな朝っぱらに来てくれるほどさやかとは親密ではない
「さやかぁ~~~~……」
杏子はむくりと起きあがり、腫れぼったいまぶたをごしごしと擦りながら、パジャマ代わりのジャージ姿のままダンボールハウスを出る
外には近所の白猫が居た
「にゃあ」
「あ。うまそー……」
猫はただならぬ悪寒を感じ取って走って逃げ出した
そろそろ出かける時間だ
彼女は朝食をとった。昨日コンビニで廃棄処分される所を貰ってきた弁当。さやかに叱られて以来、盗みはしていない
なかなか豪勢な朝食だった。家族と暮らしていた頃、一週間近くリンゴ半分だけだった経験を思い出せば、なおさらの事だった
続いて、杏子は近くの公園で手短に洗顔と歯磨きを済ませた
公衆トイレの鏡で、猫の尻尾のようなポニーテールを整える
三分間、鏡をのぞく
ほっそりとした、幼さの残る顔。ちょっと気の強い釣り目。強がってるけど、どこか子供じみた印象がとても可愛い
「ニカッ」
わざわざ笑ってみると、やんちゃな八重歯が口からのぞき、愛嬌がでてきた。まぁ、こんなところだろう
彼女はダンボールハウスに戻り、ポケットの点検を始めた
うんまい棒、うんまい棒、マーブルチョコ、ロリポップ、林檎、チェロス、饅頭(餡子)
「……うっし、完璧」
彼女は床に置いたひび割れた写真立てに目を向けた。写真の中で、父親と母親と妹、そして小さい頃の自分が微笑んでいた
「じゃ、行ってくるな、親父、お袋、モモ」
杏子は写真に向かって微笑むと、いつもと変わらぬ見滝原の街へと出て行った
さぁ、急ごう。今日も刺身にタンポポを乗せるバイトの日だ

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627 名前:†[sage] 投稿日:2011/11/19(土) 00:23:21.37 ID:jE7FvBQL0 [1/3]

杏子ちゃんは炬燵に入ってお気に入りのゲームボーイアドバンスに興じている
この前はゲームボーイカラーをやっていたのだが、どうやらGBCのソフトは全てクリアしてしまったらしいの
攻略本なしにオルゴデミーラ作っちゃうなんて、やっぱ杏子ちゃんはすごいよ!
そんな杏子ちゃんは新しいゲームはないかと聞いてきたので、わたしはアドバンスをあげたんだ
DSやPSPも勧めてみたのだけれど、杏子ちゃんは3D酔いが酷いらしいので返されてしまった
杏子ちゃん曰く「移動する度に頭がクラクラする」とのこと
わたしも最初は慣れなかったけど、杏子ちゃんはもっとらしい
でも、杏子ちゃんは楽しそうにアドバンスをプレイしてるからまぁいいかな
無理矢理やらせて3D酔いなんてさせたら可愛そうだもんね
杏子ちゃんはゲームのBGMの鼻歌をご機嫌そうに歌っていた
あ、ハイラル城のテーマだ

時間がたつ度に杏子ちゃんの鼻歌はBGMと共に変わっていく
杏子ちゃんの顔を見るとどうやら悩んでいるみたい
どうやら困り果ててしまったらしく、わたしに「次はどこに行けばいいんだ?」と聞いてきた
アイテム欄を見ると持っているものが少しめちゃくちゃだった
おそらく、ストーリー関係なしにあっちこっちに行って迷ってしまったのだろうね
わたしもよくやったなぁと懐かしく思ってきたよ
杏子ちゃんは「分かったか?」と心配そうな顔で訊ねてきた
一昔も二昔も前のゲームをこんなに楽しそうにやってる杏子ちゃんが可愛い
そうだね・・・杏子ちゃんは今まで、ゲームセンター以外のゲームをやった事がないって言ってたね
だから、杏子ちゃんにとっては昔のゲームだって、やった事のないものだから新鮮さを感じているんだね
そう思うと益々杏子ちゃんが可愛くみえてきた
「なー、あたしの顔なんて見てねーで次何処に行けばいいのか教えてくれよー!」と杏子ちゃんはわたしの身体を揺さぶる
嗚呼、気持ちいいよ杏子ちゃん・・・

「ふー、やっと念願のマスターソードを手に入れたぞ!」とはしゃぐ杏子ちゃん
杏子ちゃんがカチャカチャとボタンを押すのに合わせてアドバンスからヤアッ!ヤアッ!という声が聞こえる
ライフ満タン時に出るビームで周りの敵を無差別に倒したり看板を切ったりして遊んでいる
すると杏子ちゃんがいきなり焦ったように言った
「あっ!せっかくいいところなのにランプが赤色になっちまった!」
どうやら、遊びすぎて電池残量があと僅かになってしまったらしい
杏子ちゃんは「ちぇっ」といいながらセーブをして、電源を切った
ごめんね杏子ちゃん、アドバンスSPはどこかにいっちゃったの・・・、とわたしは杏子ちゃんに謝る
「なんであんたが謝るのさ?あたしは、こんな面白いもんが出来て幸せだよ?」と杏子ちゃんはわたしの手を握ってきた
「ほんとありがとな、やっぱあんたに逢ってから人生変わったよ」と優しい声で囁く杏子ちゃん
「当たり前のことだけど、ゲームだけじゃない。あんたに逢ってから全てが幸せに見えてきたんだ」
わたしはいつの間にかに杏子ちゃんを抱きしめていた
「どうしたんだよ・・・いきなり・・・ 恥ずかしいだろ?///」
ねぇ、杏子ちゃん?今から別のゲームしてみない?
そう言ってわたしは杏子ちゃんと唇を重ねる

そして、わたしと杏子ちゃんは愛のゲームを一晩中愉しんだのだった
セーブ機能なんて無粋なものはなく、
それはただ、お互いにお互いの愛を囁き続ける最高のラヴ・ゲームなの


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774 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/11/20(日) 00:41:49.60 ID:qFzHYsHJ0 [2/2]

能力の有無はもはや関係ない
目の前に山があれば登るように、目の前に海があれば潜るように、目の前にあんこちゃんがいればあんあんするのみ
むしろ時間を止めたらあんこちゃんの反応が見れない
安易な方法であんあんして意味があるのか?
お前はヘリがなければ山の頂上に行かないのか?潜水艦がなければ海に潜らないのか?
確かに、時間を止めれるのなら好きにできるだろう。誰の目を気にせずあんあんできる
でも、それで、あんあんしたと、そう言えるのか?
コロンブスは、大陸があると信じて、自分の目で確認しようと海を渡った
三蔵法師はシルクロードを旅した
人間は宇宙に出て地球の青さを知った
目の前にあんこちゃんがいて、耕作員がすることはなんだ?時間を止めてあんあんするか?
違うんじゃ、ないかな。耕作員がすることは、恥も外聞も関係ない
土下座でもなんでもしたら良い
あんこちゃんの、止まっていないあんこちゃんをあんあんして、生の反応を楽しむ事じゃないのかな
いずれ、息子が出来て、こう聞かれる時が来るだろう
『お父さん、お母さんをあんあんしたらどうなるの?』
そんな時、時間を止めてあんあんしかできなかったから想像した事、伝聞した事を伝えるのか
自分の目で、確認した真実を伝えるのか
俺は、真実を伝えられる後者でありたいと……そう、思うよ

コメント:

805 名前:†[sage] 投稿日:2011/11/20(日) 08:21:01.28 ID:iPOCOP/z0

杏子ちゃんの一日は朝支度に始まる
カーテンを開け、ポストから新聞を取り、顔を洗い、歯を磨く
今日、杏子ちゃんは友達とお買い物に行く予定なのだ
そんな杏子ちゃんの朝食はバタートーストに目玉焼きだった

コメント:

936 名前:†[sage] 投稿日:2011/11/21(月) 00:22:32.77 ID:L4lVY7/t0 [1/3]

あたしは何故走っているのか
あたしは何故こんな激しい雨の中走っているのか
それは栄光の為、あたしの願望の為だ
このマラソン大会とやらで優勝すればポッキー3ヶ月が手に入るんだ
それの為にあたしは走り続ける
あたしの恋人は、今日、あたしがこの大会に参加することを止めようとした
あいつはあたしの身体を気遣って言ってくれたことだろう
本当に優しいやつだよ、あんたは
するとあいつは諦めたように溜め息をつきながらこう言ったんだ
「じゃあ、わたしもゴールで杏子ちゃんのことを待ってるよ」って
風邪をひくからやめろって言ってもあいつは聞く耳を持たなかった
やっぱりあたしたちって似ているのかもな
そう思うとなんか面白いな
あたしはスタートの直前にあいつの頬にキスをして約束した
この大会が終ったら一緒にポッキーの山を食べ尽くそうな、って

物好きなヤツもいるようだ
こんな大雨の中にわざわざこんな大会に参加するヤツがいるなんて
といってもやはり人数は少ない
20人いるかいないかってところだ
まぁ、あたしが言えたことじゃないけどな
でも、あたし以外のヤツらはもうギブアップしてしまったらしい
あたしの後ろには誰もいない
ただ見えるのは果てしない道と吹きつける雨のみ
聞こえるのは土砂降りの音と暴れる風邪の音のみ
流石に魔法少女のあたしと言えども、長距離には息があがる
荒野を走る死神の列は黒く歪んで真っ赤に揺れる
疾風の如き死神の列に抗う術はあたしにはないのか・・・?
分かっている、こんなの疲労が見せている悪い悪夢だ

孤独を感じるあたしだった
長距離走者は孤独なのだ
それでも、あたしは諦めずに足を休めることをしない
こんなの、ワルプルギスの夜と比べたら屁でもないね
そう自分に言い聞かせ自分自身を鼓舞する
冷たい無情な雨に体温を奪われ続けてもあたしは負けない
こんなところで無様に諦めるなんて
そんなのあたしが許さない

ゴールが見えてきた、あともうひと踏ん張りだ
あたしは自分の身体に鞭を打ち、走れ走れと命令する
嵐の轟音の中であいつの声が聞こえてきた
「がんばって、杏子ちゃん!」
これは幻覚でも蜃気楼でもない
まぎれもなく現実のあたしの恋人の声だ
あたしは死力を尽くしてラストスパートを駆ける
幾千の暴風の壁と暴雨の槍があたしの道を遮ろうとも、全てを打ち払ってあたしは進む
そして、あたしはゴールして、そのままぶっ倒れそうになる
しかし、あいつが地面に叩きつけられようあたしの身体を支えてくれた
「お疲れ様、杏子ちゃん」
あいつは涙を流して、あたしのことを抱きしめてくれた
それにつられて、あたしも感極まって泣いてしまう
あいつはあたしの涙を冷たい手で拭う
そうか・・・あいつも、寒い中であたしのことを待ち続けてくれていたんだ
そう思うとまた感極まって、再び涙を流した
あぁ、雨が、風が、気持ちいい・・・

今まで冷たかった無情な雨が、あたしたちを祝福する天の恵みに変わったような気がした

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