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おじいさんと僕(後編)」(2006/06/07 (水) 08:28:54) の最新版変更点

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*おじいさんと僕(後編) そして僕はおじいさんを愛し、おじいさんに愛されるようになった。そしてまたおじいさんは僕を愛し、僕に愛されるようになった。 おじいさんと僕の新しい生活が始まった。 生計を立てるため、僕はバイトを始めた。コンビニでバイト、ファーストフード店でバイト、工事現場でバイト、AV撮影現場でバイト。なかなか職は手につかず、職場を転々とした。そう、事件は会議室で起こってるんじゃない、現場で起こっているのだ。 朝から晩まで、僕は身を粉にして働いた。時には辛い仕事もあった。しかし僕は弱音一つ吐く事なく、働いた。おじいさんがいたから。 家庭では僕は夫、そしておじいさんは主夫だった。毎晩くたくたになって帰ってくる僕。おじいさんは毎日温かい食事で僕を迎えた。 ある日は、ちゃんこ。 そしてまた別の日は、ちゃんこ。 朝、出かける前のちゃんこ。 お昼の楽しみ、ちゃんこ弁当。 たまの休みには、朝昼晩と二人でちゃんこ。 そしてお待ちかね、夜の営みとしてのちゃんこ。 おじいさんの正装、ちゃんちゃんこ。 驚異の視力、オスマン・チャンコン。 めざましテレビといえば、「きょうのちゃんこ」。 世界共通語、エスペチャンコ。 決して裕福ではなかったが、それでもこの上なく、幸せな日々。しかし始まりのあるものには終わりがある。どんなに抵抗しても逆らえない、この世のさだめ。 ある朝、おじいさんは動かなくなった。 悲しみにくれる僕。いや、あまりに突然の出来事に僕はあっけにとられ、呆然としていただろうか。僕がおじいさんに出会った、あの日のように。 その夜、おじいさんは脱皮した。 寝室に横たわった、まだ動かないままのおじいさん。その隣に僕はおじいさんの抜け殻を発見した。 翌朝、おじいさんはまた脱皮した。 寝室に横たわった、まだ動かないままのおじいさん。その隣のおじいさんの抜け殻のその隣に、僕はまた新たなおじいさんの抜け殻を発見した。 おじいさんは脱皮する。まるで・・名前は何だったかな、ロシアの有名な、人形の中から小さな人形が出てくる、あの人形のように。脱皮の先に待つものは?僕は何を得るの?希望の光は?僕は何かに憑かれたようにおじいさんの殻を剥がし続けた。 その果てに僕が見つけたもの・・ おじいさんの皮をかぶった「何か」それは、サル、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、ケン・ヒライ、おじいさん、その進化の最終過程としての、小さな、小さなおじいさんだった。 僕は小さなおじいさんを胸ポケットにこっそりと忍ばせた・・・ 「南くんの恋人」エピソード1はこれにて終了です。

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