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オレには高校時代からAという名の親友がいた。」(2011/08/24 (水) 15:45:04) の最新版変更点

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オレには高校時代からAという名の親友がいた。 少しクセのあるやつだったが、兄弟のようにいつも2人でいて、 お互いを理解しあっていた。 目指す道はそれぞれ違ったが、 どんなに歳をとってもいつまでも一緒でいようと、堅く誓いあっていた。 そしてAは東京の大学へと進学し、オレは地元の田舎大学に行くことになった。 別れてからもオレたちは互いに電話で連絡を取り合った。 オレもそこそこ大学生活を楽しんではいたが、Aの都会での生活は本当に楽しそうだった。 色んなサークルに入り、毎日合コン三昧で、とても勉強が手につかないような状態らしい。 そんなAの生活がオレは羨ましくて仕方なかった。 ある日、Aから東京に来ないかと誘われた。 ちょうど夏休みだったし、以前から東京に興味をもっていたオレは、 是非行きたいと返事をした。 新幹線の中でもずっと互いのことを話していたが、途中で携帯の電池がきれてしまった。 そこで初めて携帯の充電器を忘れたことに気付いた。 しまった。まだ待ち合わせ場所も聞いていない。 駅に着いてから公衆電話をさがしたが、 いつも携帯から掛けていたので電話番号を憶えていなかった。 仕方ないので、慣れない都会で携帯ショップを探し、やっとのことで充電することができた。 携帯を開くとAからの不在着信とメールが奇妙なくらい来ていた。 「どうしたんだ?何かあったか?」 「××前でまってるぞ、早く来いよ!」 「オレの彼女も連れてきてやるよ!会いたがってたろ、お前」 「B(Aと同じ大学に行った高校の友達)も来るってさ!みんなで盛り上がろうぜ!」 「おい、本当にどうしたんだ?一言くらい返事をくれ!」 オレはAが怒っていると思い、状況を聞くためにBに電話した。 プルルル…ガチャ「もしもし、Bだけど。何か用?」 何か用?久しぶりに会うというのに随分そっけないではないか。そのことをBに尋ねると、 「会う?Aと3人で?オレはそんな話聞いてないぞ」 何かがおかしい… オレはBにAのことについてもっと詳しく聞いてみた。 すると意外な答えが帰ってきた。 どうやらAは今までオレに見栄をはっていたらしい。 Aは都会の生活に慣れることができず、1人でいることがほとんどだったそうだ。 講義もサボり気味で単位も取れず、最近は大学にさえ顔を出さなくなったらしい。 オレは急に心配になってBとの電話を切ったあと、すぐにAに電話した。 プルルル… プルルル… なかなか出ない、 プルルル… プルルル… ガチャ… やっとでた。だが妙に静かだ。何の物音もしない。 オレはそのまま暫く待った。 やがて獣の息づかいのような荒々しい音が聞こえてきた。そして… 「う゛ら゛ぎ り゛も゛の゛」 静寂の中にはっきりと、背筋が凍るような声が響いた。 この世のあらゆる悲しみと憎しみの込められた声、 それはAの声とはとてもかけ離れたものだった。 その後すぐ電話は切れた。 3日後Aは山で首を吊った亡骸として発見された。 Aのバッグからはもう一人分の縄が見つかったらしい。

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