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    <title>気まぐれ小説</title>
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    <description>気まぐれ小説</description>

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    <title>色々な小説</title>
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    <description>
      *大邪念のオリジナル小説

ここは、「大邪念の日記」の小説が置いてあります。
本日のアクセス&amp;counter(today)
先日のアクセス&amp;counter(yesterday)
今までのアクセス&amp;counter(all) 

-現在「～Deus to enemy ～　驚異という名の大樹」が掲載中。
是非見てください。
キャラ紹介に詳しいことが記載されていますんで
お手数かけますが、見たら感想、アドバイスもお願いします。

-「～Deus to enemy ～　驚異の大樹」を長編にしたいと思います。
まとめたんでご了承ください。
１週間に１話書きますんでそこもご了承ください。


感想は、ブログにお願いします。
なんでかと言うと、アドバイス少ない……
言いたいことがあったら、ブログで。
一応非公開可能ですので

質問等あれば、何でも（出来る限り）お答えします。

[[管理人の日記（新設致しました）&gt;http://g080.blog118.fc2.com/]]


まだ修行中ですが、よろしくお願いします。

では、お楽しみ下さい
ブログも宜しくお願いします    </description>
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    <title>第三十章</title>
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    <description>
      「ブリッジ…！！」
死体塗れの地に立つブリッジは、それに一瞬にして反応し、振り返った。
「……！？」
目を疑う。マルクルだった。一番来てはいけない人が、来た。動揺するブリッジ。
「何で…何で来た…？」
「お前を助けるため、後理由、聞かせてよ」
なんて執念、ブリッジは呆れつつも、刀を持つ手を緩めなかった。気配は後三つ。
「ボス……速すぎ…」
その内の一つがミニッツであった。息を切らして、ブリッジをチラッと見る。
これはいけないこと。彼らに真実を伝えたくなかったである。だから――
「お前ら……帰れ…今すぐだ」
「お前の指図は受けない。俺には“本当のことを知る権利”がある」
だからダメなのだ。本当のことを知ってしまっては――あんなこと、知らないほうが良い。
ブリッジは不意に悲しい顔をして、それを伏せた。
「く……お前――」
すると、もう一つの気配が、いつの間にかここに一瞬にして現れた。
ワープしたかのようだ。三人ともそれに驚く。
現れたのは男。大柄で、来ているローブは黒く、刀を持っている。
「……焔魔（えんま）か」
「久しぶりだな、火天（アグニ）――いや、まだ『ツクリモノ』か…」
ブリッジはそれを聞いて、焔魔を睨みつけた。赤い目が光る。
するとマルクルが、ブリッジに
「おいおい…あいつ――」
「一つ聞く、お前の目的は何だ？」
それを無視するかのように、焔魔に質問を仕掛ける、焔魔は笑いながら
「ふっ……“星を見るため”かな？」
そして、暗い空、それを見上げて焔魔は続ける。
「帝釈天（カルラ）の力で、世界を開放するのだよ。そして、『創生者』率いる我らが神となるのだ！！そのためには、邪魔なものはすべて排除しなくてはならない。“人”も、な」
「お前……自分が何してんのか分かっているのか！？」
焔魔は薄く笑った。
「火天、お前こそ人のことを言えるのか？あそこにいる小僧に何をしたのか――」
「うるさいっ！！」
無気味な笑み。見ているだけで反吐が出る。
マルクルは、その会話を不思議そうに聞いていた。同様にミニッツもである。
事実、それを隠そうとするブリッジ。焔魔は話を切り替えた。
「ところで……お前も我らと共に来ないか？」
それを聞いて、ブリッジは少し顔が変わる。
「“お前”を維持できる方法もそこにあるぞ――どうだ？来ないか？」
誘惑だ。それが頭を過ぎった。それはブリッジの考えではない。
「お断りだ。お前らと行動を共にするつもりは無い……」
ブリッジは焔魔を睨みつけた。「残念だ」焔魔はため息をついた。
「――ひとつ言うが、俺たちの中では反抗、失敗は二回まで許される。火天、お前は失敗と反抗がそれぞれ一回。つまり…」
両人、刀を構える。同時にマルクルとミニッツは後ろに下がった。
「お前は、死ぬべきものだ」
それを言うと、焔魔はブリッジの間合いに突っ込んだ。そして風のような速さで、刀を振りかざした。
一瞬遅れていたら血だまりができていたろう、ブリッジは反応して斬撃を片手で受け止める。
「くっ！！」
が、重さが異常であった。一気に崩されるところで、ブリッジはもう一方の手――『刻印』で創った炎の刀を大雑把に横に斬りつけた。焔魔はそれを軽々と後ろに跳んで避ける。
しかし、微量の安心、それがブリッジに芽生えた瞬間だった。
「……！！」
片手だ、片手でブリッジは弾き飛ばされていた。数秒コンマの出来事。反応できない。
ブリッジはアスファルトに転がった。次々に事は進む。
「殺すだけでは物足りない……何か戦利品を……」
そう言いながら焔魔はブリッジの首を掴んで持ち上げた。腕が力無く下がる。
「やめろぉ！！」
すると、マルクルである。しっかりと“腕”はついており、眼は紅く色付いていた。
そして、焔魔に向かって走り出す。が、次の瞬間、首に冷えたものを感じた。
「動くなよ？ボスさん。後お前もだよ、チビ」
銃器。聞いたことある声、気配、感覚――。あっさりと止まる足。
「ふ……ツェルか――持ち場はどうした？」
「行き違い、羅刹（らせつ）に俺の持ち場盗られたから、暇つぶし」
「嘘か本当か……まあいい。どうせ嘘であろう」
マルクルは『紋章』を解いて両手を上げた。ミニッツも眼だけを動かす。
ツェルは焔魔の言うことには反応しないで、『スプレッド』をマルクルに突きつけていた。ハンドガンだが、バレルの数が四つと多い。言い換えれば小さい散弾銃。
「ん？」すると焔魔は何か気づいた。そしてそれがわかると笑い出す。ブリッジ含め、焔魔以外には何かわからない。
「ふふふ……忘れていたな。“封印”の事を…全く歳はとりたくない。さて――その眼か」
ブリッジは血の気が引いた。自分を見る目、これは人ではない。欲望にまっすぐな怪物の目であった。
「まだ、封印は健在しているようだな……傷一つついてない」
そう言いながら、焔魔の大きい手と欲望が近づいてきた。ブリッジの額から汗が異常にでる。焔魔の口元が徐々に薄く笑い出していた。
すると、ブリッジは急に刀を落とした。そして向かってくる手を両手で捻って、焔魔と自分の両方を倒した。焔魔は叩きつけられると同時に、間合いをとる。大柄な体に似合わず、人から外れた瞬発力だ。
ブリッジはよろよろと立ち上がる。首からは血が流れ、口からも血は流れていた。
そして転がる刀を拾い上げた。
「これが…あいつらの目的……これさえなければ――」
「何をする？」
刀――『月読刃（つくよみのやいば）』の刃を、ブリッジはあっさりと折った。シュワァァと炭酸のように出て行く“魂”今までこれで殺めてきたものの魂全部。
そして、折った小さい刃を自分に向けた。
「ブリッジ！？やめろぉぉ！！」
マルクルの声が響く。その声、焔魔の薄笑いは一瞬にして消えた。
「お前…正気か！？そんなことをしたら――」
声なんて届きはしない。“信念の中の決意”には――
「……っ！！」
次の瞬間、ブリッジの視界の片方は赤で染まった。鮮血が地を汚すと共に、先程の刃がブリッジの片目を深く傷つけた。
駆け回る激痛。片目を押さえ、息を切らしているブリッジ。その顔は少し笑っていた。
「ブリッジ……そんな…」
ミニッツは泣きそうな顔をして、血塗れのブリッジを見た。背けたい光景、人が傷つくこととはここまで他人を傷つけるものなのか。悲しい、負の感情と笑っているブリッジ。
彼は強すぎた。弱いところは絶対見せない強さ。
「……ぐぁぁぁぁぁっ！！！」
そして突然の第二次の激痛。次は眼から炎が燃え盛った。
一瞬にして解かれた封印は、彼自身を焼き尽くすほどの炎をあらわにした。
ブリッジはそれを必死に片手で抑えつけ、堪えた。指の隙間から炎が漏れる。
「くそ……何でそこまで…」
マルクルはそれを見て、膝をついた。
絶望の叫び声と灼熱の炎が、宙へと広がっていく――    </description>
    <dc:date>2006-11-19T13:57:07+09:00</dc:date>
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    <item rdf:about="http://www14.atwiki.jp/supairaru/pages/10.html">
    <title>メニュー</title>
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          </description>
    <dc:date>2006-11-19T13:45:10+09:00</dc:date>
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    <item rdf:about="http://www14.atwiki.jp/supairaru/pages/100.html">
    <title>第二十九章</title>
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    <description>
      一閃。
血が舞い、一人の男が倒れる。そこには刀を持った男が一人立つだけ。ここはライシエンス。
ライシエンスは、裕福な工業都市。ドンと立ちはだかった街では、パイプが何本も入り組んでおり、住人のライフラインとされていて、“ライシエンス自体”を支えている。
そして何より工業的な発展性から、北のアルティスタ、南のフィンクに支援している大きな勢力――というより国である。
基地はというと、基本倉庫の山。そして奥には大きい塔。
ブリッジの背後にはその大きな街が大きく建っていた。
ブリッジはそれを無視して、守衛の一人を殺した。すると、定期連絡か無線から声がした。
『おーい』
幾度か声をかけて、ついには消息を確かめる。しかし遅い。
こいつはもう死んだ。それを示すかのようにブリッジは無線を守衛の体ごと突き刺した。無線が火花を散らし、鮮血が吹き出て、守衛の出血個所が増える。見違えるように赤く染まる人間。
すると、刀が重い。それを感じて、ブリッジは少し焦る。

――時間が…無い……。

そしてブリッジは、走って奥へと進んでいった。

※

「お前……っ！！」
「待ってください！ボスっ！」
一発、入るところだった。しかしエリウスが横から入る。
「わしは真実を明かしただけじゃ。なぜ責められなければならない？これが事実じゃ」
それにも動揺せず、オロードは偉そうにパイプ椅子に座っていた。
殴ろうとするマルクルはエリウスがなだめた。拳が下がり、マルクルの息が少し落ち着く。
二人はオロードの家にいた。
ミニッツの提案で、ここにヒントがあると予測できたからである。ミニッツは当然来ない。すると
「…彼はどこに向かったんですか？」
単刀直入にエリウスが聞いた。それに合わせてオロードは深くため息をつく。
「ライシエンス。そこで全てが分かる」
そして、それだけを残した――

※

「侵入――」
兵士の口はもう動かなくなっていた。刀で串刺しにされ、一瞬にして焼き払われた肉体。口や体からの血は、蒸発して空気に混じる。
ブリッジの目に色は無く、無惨に死に行く兵士に目も向けない。“制約”。彼の掟である。戦いの時は感情がでないのだ。
また、ブリッジは兵士が事に乗じて次々に集まってくるのが分かった。気配である。
すると、案の定。兵士が銃器を持って倉庫の脇から次々に出てくる。さっきはいなかった倉庫の上には、ライフルを構えた狙撃主。
「やれ」
誰かが指示を出したようだ。一斉射撃。
銃声が大きく吼えて、建物を反射してこだまする。散乱する空薬莢。
「……『霧生の舞（きりゅうのまい）』」
それに反応して、ブリッジは真上に跳んだ。そして狙撃主を見つけては螺旋状の“気”を飛ばす。
龍に噛み千切られるがごとく、直撃して粉々になる者や、上手くかわせても、倉庫から落
下して死ぬ者――様々だ。なので、ライフルの細い弾は一発も飛んでは来ない。
着地すると、兵士たちがブリッジを囲む。前に戦ったフィンクの兵士の数よりは劣るが、数は千を越すであろう。
するとブリッジはそれを見て、刀を下げた。目の前には先程命令した上級階級と見られる男。
「焔魔（えんま）はどこだ？会わせろ」
「焔魔様だと……？お前のような――」
わかった。
小さい声と、冷たい刃が通り、男の首が吹き飛ぶ。
一瞬の出来事。鮮血を見ても、気にできない兵士たち。そして一人が叫んだ。
「こ……殺せぇぇぇ！！！」
ブリッジはその声を聞く前に、次の一撃を放っていた。数人の兵士たちが、吹き飛び、臓物を撒き散らして体が半分になる者や、首と胴が分けられてしまう者――
悲鳴と恐怖が渦を巻き、銃を乱射して味方を殺している者までいた。
唯一共通していることは、血の匂いと、悲鳴、苦痛、そして鮮血で汚れたアスファルト。
重なる死体もまたその一つ。
が、今回は少なかった。焼き尽くされる者もいる。そのためだ。
火葬、とでも言おうか。ブリッジは、『刻印』を使って兵士の一部を消滅させていた。
「邪魔だぁぁっ！！！」
大半の兵士は召されていっただろう。未だ、銃弾をブリッジに当てた者はいない。
声を荒げ、刀を振り、斬り――
ブリッジは焦った。いや、焦っていた。
今ので分かる、ついに“制約”に反してしまった。声を荒げて、焦りだす自分が良い証明だ。感情を剥き出しである。
そろそろ“変わる”運命なのか？恐怖心がブリッジの焦りを進ませた。
「――くっ……」
刀が重い。体の力も抜け気味。
焔魔と接触の前に、“変わる”かもしれない。“制約”も、だ。

――変わってはダメだ。俺にはまだ…っ！

『朽ち果てるモノ。使えなくなるまで、使い抜け』
そう、自分の中で響いた。

※

「飛ばして、ミニッツ！！」
基地内、マルクルが声を荒げた。ミニッツはキョトンとする。
「ライシエンスだよ！！基地付近っ！」
ミニッツはマルクルを見て、不機嫌そうに
「ブリッジを追うの？」
そう聞いた。案の定「当たり前」と返ってくる。
それを聞いて、ミニッツはしばらく悩んだ。エリウスも隣で何か悩んでいる。内容は同じだろうか？
沈黙が流れて、ミニッツの目が変わった。
「エリウス、残って。俺とボスで行くから――」
エリウスは、小さく頷くとパソコンの前に座った。マルクルたちは転送装置の前。
「じゃ……行ってくるから」
ミニッツだ。言葉が薄く広がる。
それを聞くと、エリウスが、機械に指示を送り、機械が認証した。
そして台の上にいた彼らは消えていった――

※

兵士は一人足りとも生きている者はいない。
皆、どこかしら斬られ、傷が浅かれ深かれ、スパッと入ってしまった者まで多種多様。
目を伏せたくなる死体のコレクション。重なるその下には血だまりができて、臓物もそこに溜まっていた。
それを見たブリッジ。血の光景、自分がしてきたこと――それを振り返ってしまう。
すると、ふと涙が頬を流れた。不思議な線を絵描き、一筋。ブリッジはとっさにそれを拭う。
慣れていたはずだった。いつもは目にもくれないはずだった。
これは“制約”は完璧に消えたことを示す。ブリッジはそれを自覚できた。同時に危機感を覚える。
命日は近い。    </description>
    <dc:date>2006-11-12T13:07:16+09:00</dc:date>
  </item>
    <item rdf:about="http://www14.atwiki.jp/supairaru/pages/99.html">
    <title>第二十八章</title>
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    <description>
      ――ダメだよ…行かないでよ…

想いは届かない。彼は過ぎていった。残るものは無く、得たものは「傷」だけ。
彼はどこに向かうの？彼は何をするの？彼は何を思っているの？

――彼は何で俺を裏切ったの？

ブリッジは、自分の仲間。
敵にそそのかされた？それだけでは彼の心は折れないであろう。
自分は彼のことを分かっていない。それだけでも涙があふれてきた。
「何で…？」
マルクルは倒れた。砂と風だけの世界で――

※

「ブリッジの奴……何してんだよ……？」
医務室に辛うじてマルクルは運ばれていた。そこにはエリウスとミニッツもいる。
ミニッツがそう呟くとき、すでに日付は変わっており、今は深夜。
「何なんでしょう…か」
エリウスも疑問に思った。突如起こった出来事。ブリッジの裏切りは皆、マルクルを見た時点で分かっていた。
傷だらけのマルクル。それを見ると、ブリッジは本気で殺しにかかったように見える。
だが、殺しはしなかった。生かした。
それが全くもって理解不能な点だった。
「裏切り者……ブリッジは自分から…？」
「総幹部長はそんなこと――」
エリウスはそれ以上言わない、いや“言えなかった”。
ミニッツの言うことが本当になったら――どこへ行くのだろうか？ここの軍所属とばれればどこに居ても極刑間違いなしである。
旅人などもそう、これが一番の難関だ。犯罪者などは全国的に指名手配される。軍人も例外ではない。
エリウスは少し考える。
すると、ひとつ浮かび上がる考え。
「もしかして……！？」
「え？」
「彼は……自分一人で軍を潰すんじゃないですかね？」
プラス思考すぎだ。ミニッツは呆れる。
「……出来ればそう願いたい。出来れば――」
声。それに、エリウスは驚き、振り返った。ミニッツもだ。
「ボスっ！生きてたんだね！！」
ミニッツは冗談なのかそうじゃないのかよく分からないが、歓喜の声。マルクルは苦笑いする。
「当然でしょ……」
そう言うと、マルクルは痛みを堪え、ベッドから出た。
「どこに行くの？」
「ブリッジだよ…あいつを探さなきゃ……」
エリウスはそれを聞くと、悲しい顔をする。彼は自分にされたことが分かっているはずだ。
また、ミニッツも焦ってマルクルを止めた。
「待ってよ。ブリッジは……」
「まだ分かってないことがあるんだよ……納得いかん」
マルクルはミニッツを軽くはらう。ミニッツは、焦って言葉を放つ。
「この基地は危ないってこと分かってる？」
エリウスも耳を疑う言葉。マルクルの重い足も止まった。
「どういうことだ……？」
「連合だよ。フィンクを潰したディルキーに連合組んで攻撃してくるつもりだって」
マルクルはしばらく考える姿勢に入ったようで、立ち止まった。
連合、そんな事考えもしなかった。元々組んだ後はどうなるのか分からない。アルティスタとライシエンス。
ブリッジのことより、そっちを優先した方がいいのだろうか？いや――
「俺は……ブリッジを探す」
マルクルの決意は固い。堅固たるものだった。
「この基地はどうなるの！？」
ミニッツの質問に答えはしなかった。エリウスもマルクルを見る。
「あいつは俺たちを裏切ったんだよ！？それなのに――」
「まだ俺は仲間だと思っている」
マルクルは下を向いて、ミニッツはそのマルクルを睨んでいた。
ミニッツは少し、呆れる。
「馬鹿だよ本当…でも――」
沈黙が降りかかる。
彼の考え、ミニッツの考え。食い違うものだたが、少しかみ合っているようだった。逆説がそれを示す。
「お前はあいつが出て行って悲しくないのか？何も知らないで、どこか行って、それでむしゃくしゃしないのか？」
それを聞いてミニッツの顔はクシャリと歪み悲しい顔になった、そして俯く。
「別に……だって裏切り者でしょ？悲しくない。悲しくなんか――」
途中で一息入れた。
「悲しくないわけないよ……」
そして、小走りで医務室を出て行った。エリウスはそれを追いかけない。
「彼は……幹部長は――」
マルクルはエリウスを見てため息を付いた。
「……すまん」
自分へのため息。嫌悪感と罪悪感がやや残る。
鉄のような冷たい空気。
その中で二人が残った。沈黙の土産つきで。

※

「ブリッジ！大丈夫！？」
マルクルは飛び込むようにしてブリッジに近づいた。
「悪い……無理しすぎた」
ブリッジの体には模様がいたるところに張り巡らされ、大火傷のように熱を帯びていた。
マルクルはすぐに水を用意して、思い切りブリッジにかける。蒸気の音がして、ブリッジはさっきより楽な顔をつくった。
「今の何？」
「四段階の能力…だな」
また、意識が飛びそうになった。ブリッジはそう付足す。
「すげぇ…」
マルクルは自分の『刻印』を見た。自分には出来そうにない能力。少し嫉妬する。
「でもまだ俺はできてはない。あまり使いたくない…」
「もしこの能力を使うとしたらどこで使うの？」
ブリッジはため息をついた。
「……その時はきっと来る」
「あ！ずるいよそれ！！」
マルクルはブリッジを睨んだ。ブリッジは特に顔の変化はさせない。
そしてマルクルは言った。
「それじゃあ誓いを立てましょう――」    </description>
    <dc:date>2006-11-04T14:07:02+09:00</dc:date>
  </item>
    <item rdf:about="http://www14.atwiki.jp/supairaru/pages/98.html">
    <title>第二十七章</title>
    <link>http://www14.atwiki.jp/supairaru/pages/98.html</link>
    <description>
      ※

「……俺の勝ちだな」
焔魔（えんま）はふと笑った。それを憎たらしく見る長髪の男。彼は手かせと足かせで拘束されていた。
ここは拷問場のような部屋。湿潤で、ジメジメしている。殺風景。
「終わりだよ。お前も、後にこの世界も」
長髪の男はそれを聞いてにやりと薄く笑った。焔魔の顔がやや変わる。
「甘い……“俺はまだ、俺じゃない”」
そう言うと、口笛を吹いた。すると男の黒い長髪が光りだす。青白く、だ。
それがわかると、焔魔は反射的に後ろへと下がった。男から聴こえてくる旋律。
男はある程度、口笛でその旋律を奏でた。そして、
「半分――いや、三分の二だ。俺は自分を消す。これで帝釈天（カルラ）は俺の魂なんて目にもくれない。残念だったな……俺はまだ“不老不死”ではないんだよ。自分の命ぐらい自分で管理できる」
そう言うと男は、吹奏を続けた。すると焔魔は男の喉を掴んだ。
「やめろ」
男は吹き続ける。目を閉じ、この環境に微動だしない。綺麗な旋律だった。
焔魔は喉を掴む手に力を入れた。男の吹奏のリズムがややずれる。
「わかってるんだよ。それは、『移し身の旋律』だろ？」
男は止めない。かすれながらも、吹き続けた。焔魔はもっと力を入れる。喉が裂けるぐらい。
音が徐々に止んでいく。途切れ途切れの吹奏。
焔魔はついに、左手を男の心臓に突きつけた。そして、
「火天（アグニ）、来い」
どこからともなく来た火天は、先程水泊（すいはく）が持っていた刀を男の腹部に突きつける。
「やめろ、いい加減に――」
しかし男は吹き続けた。喉がかれようと、裂けようと。

――俺は死なない。いや、死ねない…今は“不老不死”でいるしかない。

男の長い髪は、段々と元の色に戻りつつあった。
焔魔はそれを見た瞬間だ。動いた。
左胸から血が、吹いた。それと同時に、火天も刀で男を斬ったようである。刀に取り込まれていく“光”、それと紅く染まった焔魔の左手。
口笛は止み、男の胸には細い穴が開いていた。そこからは紅く染まり、多量の血が流れている。
男は、動かない。下には血だまり。
焔魔はそれを見ると、一回壁を拳で砕き割った。轟音と、拳の痛みが残る。
「水泊を呼べ……こいつ…リオンを探す」

※

「お前のせい……と言うしかないじゃろうな…」
オロードはブリッジを見て、ため息。これはかなりの回数続けられている。
「俺…じゃないだろう？火天じゃないのか！？」
オロードは首を横に振った。
「焔魔、そしてそやつと組んでいたのはお前だ。意識が無くともな」
ブリッジは、何も言わない。これ以上言っても、返ってくるのは悪い知らせだから。
オロードは一息つく。
ブリッジは自分に嫌悪感を抱いた。深い暗いそして湿った空間、下手をすれば二人とも死んでいたから。罪の意識。死ぬ覚悟はある、しかし何も知らないで死ぬってことは今の自分にとっては許されない。
ブリッジの目が変わった。
「俺は……どうすればいい？」
「知らん」
オロードのきつい目付き。ブリッジはそんな目を見て、一つ分かることがあった。
「焔魔はどこにいる？」
「聞いてどうする？」
「殺す」
オロードはそんなブリッジを見て、「無理だ」と一言言った。
「彼はわしより強い」
さらに続ける。
「――この話をしたってことはな、お前の命も残り少ない。この話で、火天を意識しだしただろう？次だ、時が過ぎるか、お前が死ぬか……火天は『呪霊（じゅりょう）』のようにお前と心身を入れ替えてくるじゃろう」
ブリッジはオロードを睨みつけた。
「ロード爺、そいつらの集団は何なんだ？あんたもその内の一人か？何で奴らを知ってるんだよ？」
オロードは何も答えなかった。ただ静かに時が過ぎていく。ブリッジはため息。
「――だんまりか……焔魔に聞けば……」
「諦めの悪い……奴は『ライシエンス』にいる」
ブリッジはそれを聞くと立ち上がった。清々しい空気ではなく、わだかまりが残る結果だった。
「また来る」
オロードは、また深くため息をつく。
雨は、止みそうにない。

※

喉もとを掴み、焼け焦げたマルクルに刃を突きつけた。
「死ね」
それだけが小さく響く。すると、色の無いマルクルの目が一変した。
刹那な時間、ブリッジを一瞬にして吹飛ばした。何も、いや何をしたのか分からないぐらい速い。
マルクルの目は完全に“あの状態”呪霊が乗り移った時の紅い、血のような眼球だった。
ブリッジは立ち上がり、刀を持ち変える。つまり構えを変えた。
「お前は……ブリッジ、何でだよ！」
マルクルは左手の腕をブリッジに指した。彼の紅い目から、涙が零れる。
「ブリッジも、誰かに乗っ取られているの！？」
マルクルは必死に叫んだ。
「“仲間だから秘密は無し”じゃないのかよぉ！」
ブリッジはそれに微動だにしなかった。眉も変えず。
「……言ってどうなる？」
声と同時だ。ブリッジはマルクルに急接近した。そして神速で斬りつけた。
超反応、マルクルはそれをかわす。しかし、ダメだった。ブリッジの刃は二本。
もう一本の業火の刀が深く、マルクルを切り裂いた。
マルクルは吹き飛ぶ。途中、地に体が滑り、見事に砂埃が舞った。
「期待外れだな……マルクル」
マルクルは倒れたままだった。
そのまま殺そうとするブリッジだったが、興味が反れる。また、自分には時間がない。一瞬にして自分の炎を消す。
そしてブリッジはマルクルに近づいて、転がっている体を片手で拾い上げた。
「何で“音”を使わない？」
マルクルは、焦げ付く体を動かさないで、微量な意識で聞くだけ。ブリッジは続けた。
「お前も人の事言えないな……“本気で戦え”？自分に言い聞かせろ――俺は約束どおり好きにさせてもらう……」
一瞬クラッと来る。
『刻印』の使いすぎだろうか？ブリッジはマルクルを無視して、よろける体を引っ張り、東へと歩いていった。

※    </description>
    <dc:date>2006-10-29T11:03:54+09:00</dc:date>
  </item>
    <item rdf:about="http://www14.atwiki.jp/supairaru/pages/97.html">
    <title>第二十六章</title>
    <link>http://www14.atwiki.jp/supairaru/pages/97.html</link>
    <description>
      やはり狭い。オロードの家。
そんなに人が入りそうにない部屋。前もギリギリだった記憶がある。四人――いや五人だ。
オロードが部屋に入る。二人だけの空間、圧力は充分に大きい。
オロードはパイプ椅子に腰掛けると一息ついた。前に何をやっていたのかは分からないが、疲れている様子。
オロードは口を開く。
「何を教えて欲しい？」
「俺のことだ」
ブリッジがそう言うと、「お前のなんだ？」とオロード。言葉を喋ろうとも微動だにしない眉は相変わらずだ。
「俺の過去のことだ。親のこと、暮らし――些細なことは何でもいい」
「……自分の記憶がないのか？」
オロードは不信そうにブリッジに訪ねた、「そうだ」とブリッジ。
「どこから？」
「……十五、いや十四から前の記憶がない。丁度あんたの養子になった時からだ」
「そうか……」
オロードの口が閉じた。そしてしばらく彼は目を閉じる。ブリッジはジッとそれを見つめるばかり。
そして沈黙が破られた。
「ある一人の男の子の話をしよう」
ブリッジは黙って聞く姿勢、オロードの話には何かと意味がある。
「その子は、二刀流の使い手でな、彼は毎日のように決められた組織の決められた任務をこなして、日々を過ごしていた。まだその子は十一歳、子供なのに戦いに借り出されてたんじゃよ。毎日のように人を殺して、安住の場所をもらい……まるでミニッツを投影している子供じゃった。彼も、好きな事ばかりしながら食って生きていける訳ではない。そう思っていたようでな、素直に宿主に従っていたんじゃ。しかしある任務の時、とんでもない失敗してしまったんじゃよ――」
オロードが、顔を伏せて続ける。ブリッジは真剣な目つきでオロードの顔を見た。
「“感情移入”。彼は同じ年の男の子を殺そうとするのじゃが……初めてなのかできなかった。同じ環境にあった人間でもあったからじゃな。そいつは一人で山菜を採っていて、寂しそうだった。だけど殺さなければ自分は生活できない。迷う奴は、ついにやろうとするのだが……返り討ちにされてしまった。彼には意外にも保護者がいたから」
「それで…？」
「――その子は正体がばれて、組織で極刑に。そして“自分を変える”という強制的な方法で、罰を受けたんじゃ」
ブリッジは息を呑んだ。緊張する、だけど何か懐かしい…？いや分かるような…。
そう思っているうちにも、オロードは話を進める。
「それで――」

※

「どうかな？これの成果は…」
水泊（すいはく）が刀を片手に指を指した。血塗れの火天（アグニ）。その血を辿っていくと、見事に一人の人があった。
長い髪、息はあるが動かない。まさに瀕死である。
「……やるな“不老不死”か。お前の技量の成果だな、水泊」
焔魔（えんま）は納得した様子だった。
男をドサッと放り投げると、火天は何も言わずにどこかへ消えていった。
「いや……器のおかげだ」
水泊はそんな火天を見て呟いた。そしてなにか遠くを見る目をした。すると
「……くそ！あいつをどうするつもりだ！？」
長髪の男である。焔魔は静かにささやく。
「馬鹿め……自分の心配をしたらどうだ？ちなみにあいつには“種”を植え込んどいた……火天に感謝するんだな」
「自分で起こした不幸に拍車をかける気か……お前らは…あんな子供に対しても…！」
一発、蹴りが飛んだ。顔が弾かれ、長髪の男の顔にあざができる。そして、口から血が一筋流れていた。
焔魔はもの凄い形相で、長髪の男を睨んだ。そんな威圧に負けていない長髪の男。そして立て続けに口を開く。
「あの子……お前らが火天と呼んでいたあの子にも何かやったのか……まだ子供だぞ！お前らは人を何だと思ってるんだ！？」
「口が過ぎたな……“不老不死”。お前が死なないのは分かっている――死なないんじゃない、“死ねない”だったか？くくく…」
焔魔が笑う。不気味で腹が立つ。すぐにこいつの首を捻り折って、殺してしまいたかった。
これも、奴らにやられたためであった。“不老不死”という肩書き、嬉しい事なんて何ひとつ無い。
求めていないものを持たせられ、そして生涯それを背負わせられる――あいつも自分も、そして火天という少年もそうだろう。
そう思うと、長髪の男は焔魔を睨むのを止めて、水泊を見た。
水泊――見た事の無い奴だ。こいつがきっと彼を変えたのだろう、そして彼があいつを変えた。
元凶。
こいつが元凶ならば、こいつが裏で糸を引いているなら……異常な事態になることも考えられる。
帝釈天（カルラ）が魂を創れたり、混合できたり、できるのは知っていた。しかしそれだけでは“この計画”は実施不可能。混合できる魂がないのだ。
創れることはできるが、質は同じ。“養殖の魂”だからである。あまり意味をなさない。
そして――異常な事態、水泊が持っている刀がそれを引き起こす……と思う。根拠は無いが。
あの刀、不気味な光り方、魂の匂いと言うのだろうか？透き通った匂いが微かにする。
もしや――。
あの男はまずい、と長髪の男は危険感覚を察知していた。
すると髪を掴まれた。焔魔だ。
「さて、始めようか」

※

「――わかるか？ブリッジ」
ブリッジは少し悩んで、オロードの顔を見た。
「つまり俺は火天とやらに体を乗っ取られていたって訳か」
オロードは少し下を向いて黙った。
沈黙が流れる。嫌な沈黙だ。これはこれで。
「……むしろ逆じゃよ」
オロードの不意の一言に、ブリッジは耳を疑った。
「…俺が？これは俺の体ではない！？」
オロードはそれ以上何も言わないで、顔を下に向けた。
恐ろしいものだった。これが自分の体ではなく、他人の体。そして自分は魂だけ、存在意義は？人生が擬態だとすれば？自分の今までの行動および思考は？
全て、火天と呼ばれる青年の体を乗っ取り、気づかないうちに自分で彼を操作して、それを知らずに現在に至った。
「彼が目覚めれば、お前は死ぬ。お前が死ねば、彼は目覚める」
この体は火天のもので、自分は代わり。
オロードが、その事実を知って、火天……つまり自分を保護したのかは分からない。
きっと自分ではなく、“彼”を大事にしたかったのだろう。自分は時間稼ぎに必要なだけ。
ブリッジは青ざめた顔をしていた。そう思うだけで、自分の存在が哀れだと気づいたから。
「俺は……『呪霊（じゅりょう）』と同じってことか……」
「解釈の通りじゃ。そしてお前自身――」
拍車をかける様なオロードの声。いや、話。
「――お前は、マルクルという小僧に、“とんでもないこと”をしているのは分かっているか？」
ブリッジは、首を傾げた。

――“誓い”の通り。俺は奴を守るのが役目

マルクルとはそう約束した。あの卑怯な戦いの後だ。誓いを立てたのは。
「なんなんだよ……それは」
過去は戻れないところがあるため、引き出せることは少ない。それを分かって誓いを感じる。いや思い出すブリッジであった。
恐る恐る聞くブリッジに、オロードはゆっくりと言った。
「……お前があ奴の『呪霊』を促進させ、育てあ奴を殺そうとした。そして…あ奴の師匠となる人物も――」
ブリッジはそれを聞いた瞬間。頭が、真っ白になった。

そして――    </description>
    <dc:date>2006-10-22T12:21:23+09:00</dc:date>
  </item>
    <item rdf:about="http://www14.atwiki.jp/supairaru/pages/96.html">
    <title>第二十五章</title>
    <link>http://www14.atwiki.jp/supairaru/pages/96.html</link>
    <description>
      ※

処罰、彼はそれを受けることになる。彼の覚悟は決まっていた。
多分死刑、方法としては焼き殺されるか首をスパンとやられるか――できれば火葬で葬って欲しい。
と、とんでもない想像と、とんでもない要求を思い、こぢんまりとした椅子に腰掛けていた。
そこは暗くて先が良く見えないところで、七人の人がいる。彼らもまた、緊張気味なのかピリピリしていた。
「奴の任務失敗……処分的にはどうなる？」
低い声だ。知らない人の声。
「お偉いさんたちは？」
青年の声だ。この声も知らない。というより、ここには焔魔とあと数人しか知っている人はいない。
「知らん。でもこの中で一番偉いのは――焔魔、お前だよな？」
「……俺が決めるのか…しかし説得力ない」
すると、さっきの青年が高笑いしだした。
「はは……！確かにさっき放置しとけば“処罰”だったよな、“不老不死”に殺されてよぉ！」
焔魔は隣で硬い表情をつくる。
「……言うことはない。帝釈天（カルラ）、お前が決めろ」
「え……私？ん～正体がばれた時点で“除去”と決まっているんですけど……一応子供ですからねぇ――って俗称で呼ばないで下さいよ」
何だか雑談のようになってきている。と彼は思ったが、いつものことなのか、違うのか定かではない。しかしここでそれを聞くと、処罰が重くなるかもしれないので彼は何も言わなかった。すると
「……悪いが、俺のところで保護させてもらえないか？」
みんながバッと顔の向きを変える気配があった。先ほどの青年が口を開く。
「新入り、あんまり調子に乗らないほうが良いと思うぜ？」
「……後のことも考えてる」
青年は「ほぉ」と言って、
「じゃあ言ってみ？“水泊（すいはく）”」
水泊と呼ばれた男は、青年を少し見て、灰色の髪の青年を見た。
「……処分はそいつの記憶、戦闘での制約、感情を取り除く」
この言葉に少しざわついた。青年は苦笑している。
「水泊さん。じゃあ彼の力はどうなるのですか？」
帝釈天の一言。水泊は黙り込んだ。それを見て「ほら見ろよできねーだと」と青年が罵る。
「封印する」
次は静まり返る場。何言っているのか分かっているのか？と、全員思っていただろう。
「…代わりがいなくなるだろう？」
焔魔が口を開いた。
「宿すものは用意している」
と、その言葉に反応したのか即対応。その反応から、焔魔は納得してそれを承諾した。

「……水泊さん…俺どうなるの？」
水泊はどこからか刀を取り出した。灰色の髪が揺れ、青年はそれを見て少し怯える。
「しばらく自分を閉じるんだ。“火天（アグニ）”。――時が経てばお前は自由だ」
そう言うと、水泊は一閃。無防備な青年に向かって斬りつけた。血は、流れない。
倒れる火天と呼ばれる青年。そして、何か、魂のようなものが吸い込まれるようにして塵になり、刀に取り込まれていった。
「……これで良いのだろう？」
水泊は皆の方を見た。静かな空間、誰もいないように静かだ。
火天は横たわり動く気配すらない。それより『抜け殻』のようだった。水泊はそれを見ると、帝釈天を見て、こう言った。
「器はある、中身をつくってくれ」

※

「戦え……？」
マルクルはいつもと違うブリッジに驚く。何か訳ありのようだ。
「……お二人さん、喧嘩は外でやってね」
何も分かっていないのか、ミニッツがすんなりと二人を外へと追い出した。苛ついているのだろう、笑顔の裏に“ムカついているマーク”が見える。押されながらどんどん外へと追い出されるマルクルはとても情けなかった。

外は少し寒く、殺風景。これらが変わる気配なし。
これらを含めてきっと“デリス・ディルキー”という領地なのだろうと、マルクルは思った。
そんなことを思いながらふと、ブリッジの方を振り向いた。ブリッジはすでに抜刀していた。
「おいおい…どういうことだよブリッジ？」
ブリッジは腕の力を少し抜く。風が流れ、土埃が舞う。
「俺は……この基地を出る」
マルクルは「え……」と口を開けなくなった。少し汗ばむ。
そして冷や汗が流れ、頭の中が真っ白になった。
「……何で？俺、何か悪いことした！？ブリッジ……何か気に食わないことでも…」
ブリッジは何も言わなかった。必死にマルクルは質問する中、何も――
そして、マルクルの口が閉じる時、口を開いた。
「俺達の決まりだろ？『決闘で意見の安否を決める』。だから俺はそのやり方でやらせてもらう」
ブリッジは『刻印』を煌かせた。いつもより大きい光。
きっと『覚醒（トランス）』だろうと、マルクルは構えた。ブリッジは案の定、人並み異常の速さで襲い掛かる。マルクルには分身して見える。
マルクルは、攻撃に合わせてステップをしながら『紋章』使う。風のごとく刃が空間を上下左右行きかう中で、これはブリッジと戦い慣れているからだという事に気づき、ますます「基地を出る」という言葉が辛く響く。
「甘いよ」
ブリッジの太刀筋の隙は完璧といって良いほどない、がマルクルには〇コンマ数秒の隙も割り込んで入れる。
紫色の腕が思い切りブリッジの顔を弾き飛ばした。ブリッジは体勢をすぐさま整える。
ブリッジは整えると同時に向かう――ということはしなかった。むしろダメージはほとんど無く、かすり傷だけ。
マルクルが肩を下げて様子を見る頃、ブリッジの様子が変わった。刀から、炎が満ち溢れる。
よく見ると、太刀筋も微妙に変わっている。

――『覚醒』を解除？無駄なこと……だよなぁ…？

マルクルはブリッジの不審な行動に不安を覚えた。足と刀に神経を尖がらす。
そしてブリッジは炎が出ている刀を見ると、先程の速さでいきなりマルクルに近づいた。
「な……！？」
遅かった。気づけば、マルクルが見えないほどの斬撃が、光の速さほどで繰り出されていた。
血が出て、焼け付くような痛み。そして自分が浮かぶほどの圧力――これは想像と違う…。
マルクルは、血を噴出しながら浮かんだ。
また、ブリッジはその数秒も見逃さなかった。
「ぐあぁぁ！」
『月読刃（つくよみのやいば）』をマルクルの足に思い切り突き刺した。傷口が見事に炎で焼かれる。血も蒸発して流れない。
そしてマルクルは動けなくなった。足が焼け、傷が焼け、使い物にならない。
ブリッジはそんな必死のもがくマルクルを見て、「動いている」としか認識していなかった。空いている左手に炎が渦を巻く。そして刃と化した。
「『紅蓮剣（プロミネンス）』」
ブリッジは、“気”をそれら二つに込めた。両方炎が燃え盛り、激しく大気を焼き尽くす。
そして思い切りクロスに空を斬った。軌跡は燃えて、熱を帯びた。
それは熱線。全てが滅びるような業火。灼熱の槍。
何も出来なかった。マルクルは無防備。

――なんで……？

そう思うしかないのだった。結局…。
マルクルは、力なく燃え盛る槍に串刺しにされ、そして、飲み込まれていった――

※

ドアを叩く音。喧しいぐらいの音だ。力強いその音。雨にも負けない音だ。
「何で逃げる！！お前は……俺の知らないことを知っているはずだろ！？」
台詞も力強かった。あまりの喧しさにドアが軽く開いた。
叩いたびしょ濡れの本人は目の前の人間を睨んだ。睨まれている側からすると何で睨みつけられているのか分からないし、理由は自分勝手としか思えない。
しばらくすると、睨む目が止み、大きい声が響いた。
「ロード爺、教えろ！！俺はなんなんだ！？」
オロードは喧しいブリッジを見て大きなため息を吐いた。そして目がきつくなる。
「聞くには……覚悟がいるぞ？」
赤い髪が雨水で煌く。ブリッジは首を縦に振った。    </description>
    <dc:date>2006-10-22T12:19:59+09:00</dc:date>
  </item>
    <item rdf:about="http://www14.atwiki.jp/supairaru/pages/95.html">
    <title>第24章</title>
    <link>http://www14.atwiki.jp/supairaru/pages/95.html</link>
    <description>
      ※

「……よろしくね！」
ギュッと手を握った。そこには「デリス・ディルキー」と書かれた看板が、とても不器用に刺さっている。
周辺は殺風景で、何も無い。遠くを見れば海があり森があり――山もある。銀髪の青年は、赤髪の青年をキラキラした目で見た。

――何なんだよこいつは…？

あまりの馴れ馴れしさに虫唾が走った。
赤髪の青年は握った手をバッと振り解いて、少し銀髪の青年を睨んだ。
「…俺はまだ入るとは決めてない」
銀髪の青年はキョトンと顔を一変。そしてしばらく考えると、ニヤッと笑みをつくった。ほんの少し不気味である。
「よし！じゃあこうしよう。勝負して俺が勝ったら入る。負けたらそっちの勝ってってことでね」
赤髪の少年は納得した表情で、腰にある鞘に手が触れた。彼の中では、勝負方法は“決闘”と自動的に決まっている。銀髪の青年もそれを悟ったかのように、構える。
赤髪の青年は、ジャケットにかかっているナイフと、腰のベルトに留めてあるホルスターをチラッと見ると、刀を抜刀しつつ斬りかかった。横に、縦に、斜めに――。ウォーミングアップなのか、それはとても大雑把である。
銀髪の青年は、ヒョイっとそれを下がりながら回避。そして余裕の顔をつくる。
「俺、別に武器は使わないからね？」
次の攻撃に移ろうとする相手に意外な一言。
赤髪の青年は悪態をつかれ、勢いが一気に無くなる。
「お前……なめてんのか？」
自分へのハンデだと思い、少し眉間にしわが寄る。
「いやいや…違うって！だってさ、俺が死んでもあんたは困らないでしょ？あんたが死んだら俺はとても困るからさ………一応ゴメンね」
必死に手を振ったり、一礼したり、とても忙しい奴だ。赤髪の青年は呆れる一方。
これでも“決闘”だ、と感じるのはだいぶ遠く、遥か彼方の未来だな。是非未来を見てみたいものである。自分がそう感じた瞬間から、“制約”を守らねばいけないのだから――

――ゴッ

刹那な時間。意識が一瞬薄れた。震源は後頭部、だ。
ふらっとしたところに、銀髪の青年が支えた。赤髪の青年は、それをこれ異常ないぐらい悔しそうに睨んだ。銀髪の青年は、にやにやしている。
「……てめぇ不意打ちかよ…卑怯だ……な」
「そんなこと言うんだったら、俺が謝っているうちに、本気で近づいて袈裟斬りで倒しちゃえば良かったじゃん。卑怯に対応できるのも“実力”だよ。今度戦う時は本気で来てね？」
その台詞の後、ケラケラと悪魔のごとく笑う銀髪の青年を見るだけで腹が立ったが、自分の恩師を思うと、一理も二理もある。
全く持って不条理な奴だが、卑怯な奴だが、うるさい奴だが――何だかいつもの山賊とかと違った。
「――じゃあこれからもよろしくね！」
手を握り、立たせて、また手をギュッと握りなおした。赤髪の青年はため息を軽く吐いた。それに構わずに、「寝てないで手伝って」と言う遠くで銀髪の姿。アホ面だ。
少し笑いながら、赤髪の青年は立ち上がる。

微量な温もり、彼にとって初めての経験であった。

※

基地は相変わらずの散らかりよう。また、なんとも言えない静まりよう。
ゴチャゴチャしていると落ち着かなくなるエリウスにとって、矛盾した状態。なんとも言えない、というのは疲れもあり、気分的にも良くはないからだ。
これは誰のせい？誰が汚したの？さっき綺麗にしたばっかりなのに――
と、思うばかり。さっきというのは五、六時間前。一般人の思考では、さっきというのは三時間未満のことを指す。軍人と常人の違いがこれだ。
仕方なく、くたびれた体を動かして書類を積み上げて、千枚という数の書類を区分分け。ファイルが百二十枚という数だ。
この書類は全てミニッツのもの。これを見た彼はきっと驚くだろう。
なんとなくミニッツの世話はエリウスがしている。エリウスは姉のような存在なのだ。
器用なのか、これらの作業と追加。彼女が三十分足らずにこなしてパンパンと埃を掃い、早足で私室へと戻っていった。

「……？ブリッジがいない」
いち早くマルクルが気づいた頃、ミニッツは着替えていた。ここは浴場の前。
大きくもなく、人が最大で二十人（シャワーの数は十六）入れるショボイ浴場だ。
「リンデスへ行ったらしいよぉ」
素っ裸でミニッツがタオルを取った。

――そんなに悩んでたのか？

マルクルは上半身裸で、考え込む。
彼は何で悩んでいる？何を及ぼしている？
夜が更けていく、そして――

※

「……お前は何故戦う？」
赤髪の青年が銀髪の青年を見る。
周りには死体の山、切傷やら銃傷やらあった。血はまだ固まっていない。
「……言わなくちゃだめ？」
「仲間だからな。秘密は無しだ」
軽く言ったその言葉には、時に恐ろしい理由になる。銀髪の青年は目の色を変えた。
「……仕方ないなぁ…ある人を追ってるの」
ため息混じり。赤髪の青年は刀を鞘にしまいながら、もう一人を睨んだ。
「殺しで……追いつくのか？他にあるだろ？」
「……『全てを支配しろ。そうすればまた会える』」
銀髪の青年はもう一方の質問には答えなかった。ますます赤髪の青年は目が遠くを見るようになり、切なくなった。
「……質問に答えろ」
銀髪の青年は、また深いため息。まあこれで喋るのだから重要ではない、機密ではないはずだという解釈。
「“復讐”」
「“復讐”？なんのだ？」
また表情の一変。赤髪の青年は、やや気圧される。雰囲気が違うとわかった。
「村の。奴らに殺されたから」
奴ら、とは軍の人間全員を指すのであろう。
「“復讐”したら？」
銀髪の青年は、少し考えた。さっき言ったのに、だ。
「……彼にあって、師匠を元に戻す」
意味が深すぎる。赤髪の青年にとって、これ以上は禁断だと分かった。「そうか」と口を閉ざした。
銀髪青年はしばらく座ってた。そしてしばらく閉じた、口を開く。
赤髪の青年への言葉だった。

「ブリッジ……お前も何かある。大きいものが」

※

風呂上りの二人、湯気が立っていて、相当浸かっていた様に見える。
すると、ブリッジだ。マルクルの前に立っていた。マルクルはタオルを首に巻いていて、顔が緩い。
「お、帰ってきた」
ミニッツがそれに反応した。ドロドロな服のブリッジ。あまり寄りたくない。
すると、ブリッジは急に刀の刃をマルクルに向けた。
それにマルクルはキョトンとする。
「何のつもり？」
ブリッジはしばらく何も言わずにいた。時間が経つ。
雰囲気の違いだ。何かが違う。するとブリッジの口が開いた。
「俺と、戦え」    </description>
    <dc:date>2006-10-14T22:45:12+09:00</dc:date>
  </item>
    <item rdf:about="http://www14.atwiki.jp/supairaru/pages/94.html">
    <title>第二十三章</title>
    <link>http://www14.atwiki.jp/supairaru/pages/94.html</link>
    <description>
      ※

「何なんだよ、こいつは」
銀髪が風で揺れる。師匠は目の前に倒れて動かないローブで身を包んだ者を見た。
「く――いや、こいつの服を見ろ…ってローブか」
それを聞き、青年はくまなくそれを見つめた。
「ライシエンスかな？模様が」
師匠は、「あたり」と答えて倒れている男の襟を掴んだ。ダランと腕が下がる。
「お前……明らかにこいつ狙ってただろ？名前と、目的は？」
男は黙ったまま。
師匠がそんな男の顔を、一発殴った。鈍い音、頬が赤く腫れて、口から血が流れる。それを見ると、青年は何かとやばそうな顔をして、何歩か下がった。ひやひやしてくる。
師匠はその後も、聞いては殴りと何度もそれを繰り返した。
ぼこぼこになるほど、腫れた顔を見て青年は気の毒そうに、その顔を見た。灰色の髪をしていて、目の色が片方違う。健全な青年だろう、歳は変わらないと思う。そんなことより、自分が狙われていたというのが何より気になった。青年は師匠に
「狙ってた……？どゆこと？」
そう聞いたが、今聞いていると返ってきた。青年はまた少し後ろへ。静止していた師匠の暴行がまた続く。悲惨な現場だ。拷問。
しばらくすると、青年は青い顔をして、師匠を止めた。
「もう……やめない？」
師匠の右手が止まった。
視線が変わり、師匠は青年を睨みつける。
「ならお前は帰っていい。この調子だとこいつの体が無くなるからな」
半笑で台詞を青年に言った。青年はこんな師匠は初めてだ、と言わんばかりの顔。そして鳥肌が立つぐらい怖かった。
「……つまり死ぬってこと！？」
師匠は頷きも何もしなかったが、鼻で笑うだけ。青年は必死に訴えた。
「殺すことはないでしょ！？」
「おまえ…自分の立ち位置が分かってないようだな！」
師匠が怒鳴った。いつもビクビクしていた青年も負けてはいない。言い返す。
いつしか、男を差し置いて言い争いになっていた。ギャアギャアと声が広がり、男は放置。森が騒がしいと動物がよく現れては迫力に押されて、すぐにその場を去る。二人の言い争いは留まることなく続いた。そしてこれは騒音問題と化して、言い争いから約十五分、気配という気配は全く無くなっていた。
疲れて、声がかすれる頃、師匠の顔つきが変わった。何かを感じ取った顔つき。そしてふと、倒れている男の方を見た。
「うちの坊主が世話になったな」
そこにはもう一人、大柄の男がいた。咄嗟に二人とも跳んで身を退く。
大柄の男は、倒れているローブの男の髪を掴んで、そのまま持ち上げた。ブランと体が人形のように垂れ下がる。そして、大柄の男は師匠を見て、すこし口を開いた。
「“不老不死”か」
そう、聞こえる。珍しく師匠も緊張していた。男の実力は、相当なものと見解しているようだ。
「待てよ、そいつはどうなる？」
師匠は口を開いた。とてつもなく空気が重い。そんなことを気にしてないかのように大柄の男は
「……処分だ」
軽くそう言った。青年は、汗だくで何も言えない。言いたいのに――無理だった。ただただそれを見るだけであった。両人、いや“全員”である。『処分』の意味は全員知っていた。ローブの男もそうであろう。今より辛いことが起きる事は知っているはず。
師匠は手で少し顔を隠した。
「はは……そういやぁお前らのやり方だっけ？それ。何とか言ってみろよ、“焔魔（えんま）”よぉ」
青年はサッと師匠の方に目を向ける。
「エンマ？閻魔のこと？」
師匠は少し首を振った。「地獄とは関係ない」と言っているようだ。
「俺たちの計画に弱者は必要ない」
焔魔はそう言った。計画――青年には到底わからないことである。師匠は少し無理に顔に余裕を表した。
「……で？そいつは“どこの方角だ”？」
焔魔は、「南東」と低い声で言った。それを聞いて、師匠は安心したように見えた。が
「お前の考えは甘い。『水泊（すいはく）』はもう見つけた」
師匠の顔が青くなった。それを見て、少し笑った焔魔。
そしてそのままローブの男を担いで、森の奥へと消えていった。それと同時に重量あるプレッシャーが無くなり、青年は膝が落ちる。
そして森には、今までにないような邪悪な静けさが広がっていった――

※

「九―四―六、封鎖して、誰でも良いから」
ミニッツの声、珍しく彼の命令は大雑把であった。暗い声が兵士たちを緊張させる。
飛行船はすでにフィンク基地の中に居座っていて大きく、雨が降っているのか、ドボドボやかましい音を立てる。空の色は良くはない。
「封鎖、完了しました！」
そんな兵士の言葉に、「じゃあ帰ろうか」とミニッツは言った。兵士はビシッと背筋が伸びて、そのまま操縦士に人数確認を要求する。もちろんマルクルたちも含めて、だ。
そうして飛行船は数名兵士を残して、飛び出していった。

飛行船内。部屋は四つほどあって、兵士たちが三部屋、他は上級階級の人間たちが使う。
また、上級階級の部屋は二つに分かれていた。
ゴージャスなソファに座り、一息ついた一同。沈黙が覆う。
「……あれで大丈夫なの？」
ふと、沈黙を破り、マルクルがミニッツに聞く。ミニッツはこくりと人形のように頷いた。
「生存者は数名だし、まあどちらにせよ捕虜はここにいる。あと転送装置使えば一瞬で飛べるからね」
そういうと、ミニッツは「寝る」と言ってもう一方の部屋に歩いていった。
またしばらく沈黙。
日が射さない外を見つめ、エリウスがため息をつく。
「どうしたんだい？」
ミーナがそれを見て、心配そうに尋ねる。一緒にいた男二人がいないのは、彼らが上司に会うことを嫌がり、一般兵の元へ逃げているからであった。ミーナはそれを伝えていない。
「……実のところ、私は今回人を倒していないんです。足引っ張ってばかり…」
ミーナは驚かなかった。そして少し微笑んで
「殺せば良いって訳じゃないんだよ。誰だって好きで殺しているわけじゃない。エリウスが優しいところもあるからだけど」
マルクルもブリッジもそれを聞いて納得した表情だった。
誰も、「臆病者」と言わなかった。ブリッジだけは、なぜか表情に説得力はないとミーナは思っていたが、そこはスルー。戦場では、“相手をどこまで抑えて支配するか”というのがミーナにとっての考え。策士である彼女にとって、彼らのように弾圧、武力行使はあまり好きではない。
彼女はまた、ブリッジのやり方が気に食わないのである。考えが分からない奴、武力のみで抑える奴、こういう考えだとミーナの中ではあった。しかし今回も含めて未だに何も文句はつけない。まだ分からないことがあるからだ。上司でもある。
だが、彼を除いても、“殺しだけが全てではない”を主体に思っている人間は皆無に等しいだろう。皮肉にも自分もそうである。

――殺さねば、殺される。情なんて二の次。きれいごと

黒い思い。これは皆共通だろう……と思う。
ミーナは黙って席を立った。エリウスはそのミーナの表情を見て、不安そうについていった。
マルクルはそんなミーナを見てキョトンとしていた。
「俺、何か悪いこと言った？」
「……いや」
ブリッジも動揺していた。少しばかり顔が違うのである。マルクルだけであろう、この変化がわかるのは。
しばらくして、ふとブリッジはマルクルのほうを見た。
「お前、さっきの“あれ”どうやった？」
質問。それを答える前にマルクルは、無い腕を見た。
「過去、それをヒントに……まあ嫌なことしかないけどね」
「過去……」
珍しくブリッジの悩んだ顔である。これもマルクルは見切った。

――過去…俺は…

考えは見切れない。マルクルはブリッジをそっとして、ミニッツが入っていった部屋へ向かっていった。
ブリッジは手で顔を覆い、俯いていた。
漆黒、混沌。そして闇。
見えない世界。
その上を飛行船は飛び続けた。    </description>
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