• 星の庭師
  • 物語の主題(分類 SF小説)
閲覧者数  -

星の庭師D案
テラフォーミング後の生態系を豊かにするお仕事の紹介。
  • 要点
ミツバチ風のサイボーグ生物をつかって生物や植物の健康状態を調べ、生態系の保存や改善に役立たせるというSFガジェットの紹介。
その生物は蜂(以下蜂)のように巣箱にすみ、蜂のようにはなたれて方々へ散らばり、蜜の代わりに生物サンプルを集めてくる。
この蜂達(本当は蜂ではないが)は内蔵の道具で生物の健康状態を調査しサンプルをとり伝染病対策や治療をする。
蜂は仕事のないときは植物や地面や水質のサンプルを採取することもある。
蜂のようにそれを巣に持ち帰り、巣箱は分析装置でそれを分析する。
巣箱は遠くにある惑星環境調査用サーバーにデータを転送。
サーバーでは単純な満足度調査から人工衛星による惑星データの分析までを統合して星の生態系を豊かにするのに役立てている。








本編

  • 小さな虫のお話
風が草をなでては草原が波打つ、広大な平原、土地の低いところには湖が点在している。
日差しは春の柔らかさであり、平原ではバッファローの群れが草を食み、狼がそれを遠巻きに眺めている。
そこに一匹の虫が現れ、バッファローの首筋に止まった。
虫、というには少しおかしい、つや消しがなされているがその体には金属を思わせるものが混じっている。
注意深いものがよく見れば羽にはところどころ配線のようなものを確認できる。

その脳はニューロンデザインランゲージという抽象化された言語により人工的に作成されたもの。
バッファローに止まった虫は、与えられた脳機能プログラムに従い作業を始めた。
サイボーグ昆虫は、心音をとり、匂いのデータを分析し血液を採取していくと、最後に小さな種のついたICチップをバッファローに埋め込み去っていった。











  • 3日後
バッファローの体に埋め込まれた種は発芽し、体のなかで成長していく。
まず種は埋め込まれた動物の遺伝子を取り込む。
種の中にある急速成長する万能細胞に遺伝子が埋め込まれた。
これで種から根が出てもバッファローの免疫系から攻撃されることがなくなる。
そして種はまず血管に根を張った。

これをICチップが確認すると、チップからは圧縮された遺伝子データが送られてくる。
ICチップの遺伝子データは途中にある細胞で翻訳され、多様な遺伝子が生み出されていく。
根はこれを使って仕事を行う。
血管にはられた根の仕事はこうだ。
血液を調べバッファローの体内で何かのウイルスが繁殖してないかを調べ、血液中からそれを検知していく。
危険なウイルスが見つかれば、ICチップがそれをデータに翻訳、ネットを通してサーバへと送信していく。

この監視仕事に必要な遺伝子はICチップと種から提供される。
これだけでは足らないので、寄生される母体、今回はバッファローからちょろまかしてくるという寸法だった。










-7日後
種はすっかり育ち、今度は血液と周りの細胞を原料に新しい寄生虫を作り上げていく。
寄生虫は血液を通して体中に流れていく。
体の各部にたどり着くと着生し、生物の健康状態を監視するのだ。
寄生虫は血液を通して連絡を取り合い、司令塔はICチップとなる。











  • なぜ?
なぜ、これほど高度な技術が必要なのだろうか?
それは、この草原が異星にあり、地球とはまったく別の生態系を持っていた星だからである。
空を見れば太陽は地球よりも赤外線に偏り、黄色い光が強い。
この星はもともと金星に近い大気をもち、原始的な生物しかいないものの地球と違う生態系を持っていた。
星には、地球と違う微生物とその代謝物が溢れていた。
大地が毒を生み出すといっても良い。
今でこそ、テラフォーミングが進み土着微生物も駆逐されたが惑星は広大である。
地の中には無数のウイルスが潜みいまだに代謝が進行している。
どこに未知のウイルスが、生物が代謝で生まれた毒物が潜んでいるかわからなかった。
このための用心として導入された道具だった。















  • 宇宙人ユービノスさんこんにちわ
宇宙人ユービノス、テラフォーミングを請負、宇宙中からあつめた生物データベースを使いどの種族よりも豊かな生態系を作り出すことを生業にしている種族である。
冒頭のICチップもユービノスの発明である。
高い技術を誇りその報酬は莫大。
レアメタルから惑星特区、外交特権や莫大な国債。
何より各種族からうける名誉と尊敬と感謝は全ての報酬に変えがたく、彼らの宇宙船を阻むものは宇宙に数少ない。
報酬といえば、ちょっと変わったものに遺伝子データベースや生物サンプルの要求がある。
そうして宇宙の隅々より集めた秘蔵の生物兵器といえば各種族の恐怖の呼び名も高く、テラフォーミングとなれば生物を組み合わせてお好みの星をデザインし尊敬を集める。
そんな種族だ。

だが、今回はとても平和な話。
宇宙にあるとある恒星系のとある惑星を入植可能にし、その星の環境を人類が住みやすいように維持する。
ユービノス達は人類から委託されてこのテラフォーミング済みの星の環境を維持する仕事に従事していた。
今平原に立っているのはそのうちの一人で、地球から入植された哺乳類系生物の健康管理を担当していた。
単純にいえば生物の伝染病を予防し、入植した生物達の健康管理を行うの仕事だ。
時に同僚や人類と必要な植物や土中細菌のバランスの相談をして仕事をこなす。





平原の真ん中、日差しがよく、大地には適度な湿り気があり、良い日だった。
陽だまりは暖かく、鹿の群れが草を食み、小高い丘にはウサギ達が巣を作り、狐達がそれを眺めている。
のどかな風景。



















そんな中彼は自らの仕事を行うために、平原においていた商売道具へと向かう。
大きな巣箱台のボックス、彼はそれをガラス窓から中身をのぞく。
中にいるのは昆虫サイズのサイボーグ生物達。
巣箱は日の光を受けて温まり、中の虫たちの動きはとても良い。
これが彼の商売道具だった。


彼ら虫たちの仕事は単純だ。
蜂に似ている。
羽を震わせてこの地域一体に散らばり、哺乳類をさがす。
そして内蔵された針で採血を行い、体温を調べ毛並みを見その他各種内蔵の道具で生物の健康状態を調べ、その哺乳類が未登録ならICチップを組み付け巣箱に戻ってくるのだ。
とても単純な仕事。
虫達はミツバチのように集めたサンプルを巣箱に差出し、巣箱の中の機械はそれを分析する。
そして、サンプルの分析結果からこの地域一体の哺乳類の健康状態がわかるという寸法である。


彼は巣箱の受け取ったデータをみ、動物達の健康状態を調べ風向きを調べる。
データはよく整理されている。
ウサギ達に特殊なダニがわいているらしい、これは病気というより食べ物の問題だろう。
重金属が土地に含まれており、それがウサギ達にたまって抵抗力が弱まっているのだろう。
当面の治療用ウイルスや蜂たちによる治療よりも、ウサギ達の普段の食べ物に重金属の排出を促す作用を混ぜたほうが良いだろう。
そういえば重金属を吸い上げ葉に蓄え土壌を改善できる植物があったな。
これを取り寄せて土壌改善をするのも良いかもしれない。
これは植物の長に相談する必要がある事項だった。


彼はデータを見る。
どうも鹿の数が増えていた、植物相の多様性に悪影響を及ぼす可能性があり、減らす必要もあるかもしれない。
鹿とウサギの問題を議題にかけるためにサンプルを多めにとるように設定しておいた。

今日は風は西向き、近くにある山のおかげで風はすこし複雑に流れているようだ。
風をうまく使ってエネルギー消費を抑えるように調節してやる。
こうして彼は何回か虫たちの行動を調整してやると巣箱を開け放した。
巣箱から虫たちが一匹一匹飛び出し、飛び出す速度が上がり最後は塊になって飛び出してくる。
巣箱の中では準備万端になっていた虫たちが飛び出しあるものは、注射を背負い、あるものは寄生系の人工リンパ節を背負いおのおのの目標へと向かっていく。
最初虫たちは草むらの上に影を落としながら集団で飛び、進むたびに森へと向かうもの野原へと向かうもの、山へと向かうものへと別れ最後は散り散りに消えていった。


彼は虫たちの出発を見送ると、周りを見渡す。
川には豊かな水が流れ、植物はよく育っている。
ここが不毛の土地、人類にわかるようにいえば金星と地球の中間のような星だったころを思い出させる風景は今ではこの土地には何もない。
彼は自分達の種族に対する満足の一声を発すると、次なる仕事にかかった。


巣箱の解体である。
巣箱は定期メンテナンスの時機だった。
巣箱に戻ってきた虫たちは、サンプルを供出し、虫内蔵と巣箱の殺菌・洗浄システムで自動洗浄される。
それでも、自動洗浄には限界があるし、生物の殺菌能力にも問題がある。


まずは外箱を取り外す。
中身はユニット化され複雑でもない。


血液内の成分に生化学的分析を施してウイルスを検出する、人工細胞ユニット群。
膜方式の蛋白成分分析器。
採取してきた血液を試料に変えるための選別ユニット。
血液内部のたんぱく質のエネルギー状態や種類を調べるための多周波レーザーと受信機。
非線形多重問題を解くことで超音波診断装置。
危険度の高いウイルスを見つけたとき、後日より詳細な分析を可能とするための培養装置。
ウイルスや細菌を見つけるためのAI光学顕微鏡。
ウイルスチェックを行うためのドラム装置、これには映画のウイルスチェックを行うための物質が表面に印刷されている。






巣箱が定期的にサーバーに伝える状態チェックでは、巣箱は生態ユニットや薬品類が交換時機だったはずだ。
彼はより詳細なチェックを行うために、各ユニットの自動判断装置にプラグを差込テストを行う。


情報どおり人工細胞ユニット群にダメージが見られていた。
このユニットは犬が鋭敏な嗅覚で化学物質を分析するように、多種多様な物質を検地。
細胞の癌化から、化学物質による血液汚染、ウイルス汚染などを検出するのだが、どうやら寿命らしい。
細胞ユニットに汚染とダメージが見られていた。
普段は表皮のように細胞が痛んだ端から剥離し、自動清掃時に取り除かれるそれも今は定期メンテで交換の時期らしい。

部品の止め具を取り外し、生化学ユニットの保護膜を取り外すと、新しく持ってきた部品と付け替える。


他の部品にも汚れが微妙に残っているようだ。
彼は巣箱全体の電源類を落とすと、分解掃除作業に取り掛かった。

電源を落すと、分解だがケーブルを取り外す必要はない、巣箱はケーブルフリーのマイクロ波で各ユニットに電力を供給している。
彼は、ボトルを取り外し、まず虫達の寝床である巣の部分を取り外すと、これを巣箱の隣に停車していた地上車に持ち込む。


車内は作業に必要な装備が一式用意されていた。
洗い場に薬品類に棚に乾燥機、工具類、作業代、交換部品、道具置き場。


巣の汚れを簡単に落し洗い場に持ち込み超振動洗い機に漬け込む。

巣の入り口はこれで十分、次は顕微鏡付AIカメラのユニットの蓋を開け、動作チェックを走らせ顕微鏡を取り外すと、拡大鏡についた汚れを取り除く。
取り外し汚れを拭い去り、すぐにセットしなおす。
テストプログラムで隣にあるレーザーユニットの調子をみ、血液の検査スペースの汚れをとるために検査箱を車内の洗い場に持ち込む。
天気が良いひだからこその作業。
手馴れているから楽なものだ。

となりにある古いドラムロールを外して、車内から持ち出した新しいドラムロールと交換する。
この古いドラムロールは、巣箱内で回転して消費されウイルスの標本が多数作られている、これはラボに搬送され後日詳細に分析されることになる。


次に巣箱の生態部品を生かすための薬品類を必要量補充していく。
後は、故障中のサイボーグ蜂を回収する。

定期メンテなのでこれで巣箱のメンテは終了。
洗浄中部品の洗浄が終わるまで、彼は巣箱の蓋をしめて洗浄が終わるのを待つことにした。
















  • プロット2.5
巣箱の解体と部品交換終えた彼は一伸びして休憩する。
動物達が近寄ってきた。
彼は野生の動物を手なづけているのだ。
テンを狐、馬、いろいろな動物が順番に彼の元に来る。
特に彼が熱心に覚えようとしているのは牡馬を使って野生の雌馬の気を引かせる技だった。
人類の友人から教えてもらったものだ。


動物の相手をしているうちに洗浄が終わったらしい。
彼は腕先を荒い、洗浄の終わった部品を乾燥機にいれ、全ての部品をセットしなおす。
全ての部品のセットが終わると、自動テストプログラムを走らせ、試運転前に巣箱の自動洗浄システムを走らす。
検査工程のセット全体が薬品で洗浄され、その後巣箱の温度があがりカラカラに乾き巣箱の殺菌完了。
綺麗なものである。





  • プロット2.75
休憩を終えた彼はデータを分析する。
植物の長に相談するためのデータの整理を行っていく。
手馴れた作業、短時間ですむ。














  • プロット2.8
サイボーグ蜂達(以下蜂)が帰ってきた。
巣箱に入ると蜂達はそれぞれ持ち帰ったデータを分析していく。


巣箱に入ると蜂は、脚を上手に使って体からサンプルの入った容器を取り出し巣箱の分析装置にセットする。
液体の入った容器は、まず水分が抜かれ巣箱に回収され、レーザーや熱処理や高度な統計と連動した処方で分析されていく。

空になった容器は次の分析に持ち込まれる。
虫は容器を巣箱の電熱器にセットしていく。
容器内側のそこかしこには、液体からいろいろな成分を分離するための生物・半生物的突起機構がついており、この分析器官が嗅覚が多様な匂いをかぎ分けるように液体中の成分を分析する。
蜂は容器内のこの分析器官で液体の成分を事前に分析しており、このデータが巣箱に渡される。

次に容器は突起部で暖められていく。
巣箱は蜂のデータを受け取るだけでなく容器を加熱することでより詳細な分析を行う。
この容器内の分析器官は、特定の物質だけを捕まえる能力があり、捕まえる量は液体の量と一定の数式化にある。
容器内の突起は温度が上がると崩壊し物質を放出する。
それぞれ崩壊する温度が決まっている。
巣箱は容器の順番に温度を上げていき、崩壊したときに出るガスを分析することでそれぞれの物質の量を大まかに知ることができた。

そして全ての分析部が終わると、容器内側の表皮が完全蒸発する。
これにより容器の殺菌と分析が同時に終わる。

巣箱が次に行うのは、次に蜂達を出すための準備である。
容器が洗浄され、過熱されて乾燥し、容器内部に再度ガスが送り込まれる。
ガスは容器内側に吸着、幕を形成。
幕は冷却されると固まり、その上に分析器官となる種が植えつけられる。
こうして蜂達はまっさらな容器で次回の出動に備えるのだった。
















-プロット2.85
植物の長や他の長が集まっての会議。
巣箱を解体した彼もここに来ている。


いろいろな相談の後、別の話が始まる。
この惑星固有の土中生物に関するものだった。
テラフォーミングが始まる前から存在し、独特の生態系を作っている生物達の話。
個の星は元が金星に似たところがあるため高度な生物は少なく、原始的なものが多い。
テラフォーミングがすんだ今でも彼らは土中に生き残っているのだが、この生物の保護と駆除をどうするかが話題になる。

この星の土中・土表生物達は2種類に分かれる、土中で難分解性粉末状の石油系物質を中心に多様な物質作るタイプとそれを時間をかけて分解するタイプ。
多種多様な微生物が折、多種多様な物質が生成されては分解されている。
これらの成分は水に混ざったり、土中から粉末となって宙に飛び、ウイルスの温床ともなる。
人類の好む地球系の生物はこれを分解できず、それどころか地球の生物にとって有害な成分も多い。

土中にいるため、駆除も大変である。
今回ユービノスが人類のテラフォーミングに協力したのもこういう厄介な生物が多かったからだ。
テラフォーミングのうち大規模な部分は済み、クリーンにする作業は終わっている。
惑星は広く広大である。
まだ星のいたるところに土中生物は生き残っている。


















  • 森の話 (作りかけ)
森の奥は命の音に満ちていた。
豊かに育った木の間には倒木がたまり、シロアリ達が住み着き。
木々から降り積もった木の葉の間には。


森では生態系を豊かにするために大量の動植物が導入されていたが、品種改良種も多い。
土地土地の気候風土に合わせて植物がラボで開発され、その植物の循環を支えるための昆虫類が特別セットで作られ、惑星中の生態系ニッチを埋めている。


これは大変な作業だった。
テラフォーミングする星は何の生態系も無いことが多い。
そこに既存種の入植を行うのだが、それだけでは生態系が自然発達した星のような豊かな生態系は望めない。

入植すべき生物種が何万種ではきかないからだし、膨大な量の生物をでたらめに自然に放ったとき、土地土地の生態系バランスが壊れやすいことも多いからだ。
最初に生物達が星に入植されある程度生態系が定着したところで、より生態系を豊かにするために新しくばら撒かれた生物が古い生物達のバランスを崩すことが多いからだ。



勢い、テラフォーミングにおいては慎重な生態系の配置が必要とされる。
生物のすみわけを容易にするため、慎重に計画された研究室生まれの生物種も追加的に必要になってくる。

その時、膨大な生物種をもった生態系をすばやく作り出すための仕掛けが多用される。
人工環境での既存種の微改造や、生物の特性の合成が行われ、役割や能力が付加されていく。


例えばこうだ。
植物ではユリ科の植物の遺伝子と合成した植物達が、熱帯雨林のすみわけさながらに惑星の生態系の大部分を埋めていた。
その植物達は少ない基本種から膨大な種類の植物種が生まれていき、生態系内での役割を占める。
どの植物種も基本となるDNAは短い。
これに延長された長い長いRNAが追加される。
このRNAは種のときから発現する。

RNAは植物の成長時に、スイッチの役割を果たし成長のおのおのの段階で



最も簡単な例では、ある土地での生態系を閉める要素や種同士の関係をそのままに、別の土地で全てを亜種におきかえる場合などが最も簡単な場合である。
暑い土地の生態系をそのままに、全ての種を寒さに強い種に品種改良して寒い土地に入植するなどの手法である。

ほかに2つの別々の生態系を持ってきて、それぞれの生態系の役割、一部の種だけをを入れ替え、2つの生態系が食物連鎖を保つように改良される方法。
生物層の役割を一部だけ入れ替えるのも多用される手法だった。


星の環境に合わない、環境の悪いところではすめない大型生物を汚染に強い種にするために内蔵や種を強化する研究も多い、トキなどがそうである。




昆虫類などは、基本となる種が用意され、シミュレートされた人工環境の中で進化が実験されている。
その後シミュレート結果に基づきDNAがラボで編まれ、シミュレートから現実へと放たれる。
研究室では膨大な昆虫の亜種が生み出されては自然に放たれていた。

この手の研究では生態系における分解者が重視された。

生態系の中で、生物が死んだとき、その死体を次の生命のための材料とするため、生態系の中で多様な生物が需要する膨大な量の合成物質。
これらの需要を提供するために膨大な昆虫が作成される。

昆虫が食し生態系の中での不要物を分解し、胃や腸に取り込まれた物質が分解される。
その時昆虫の腸は多様な化学物質を取り込み複雑な過程を経て膨大な化学物質に変換し、外部に排出する。
この排泄物は次の昆虫や分解者のえさと也豊かな生態系に必要な膨大な物質が提供されていく。

昆虫の腸の内部では細菌類が共生し、この変換作業を助けることも多い。

研究室で作られる、昆虫の亜種では外見や内部構造がほとんど変わらない種も多数つくられている。
腸や共生する細菌の部分のみが違う種も多く作られていた。
見た目や亜種も多数作られていたが、分解者としての能力が重視されて作られている。

魚、土壌改良のための細菌類、菌類、きのこ類、その他人類が宇宙で見つけた種も入植されている。



これら、生態系増加作業は、人類の研究者も多数従事していた。
地球では生態系を縮小させることしか知らなかった人類が、宇宙に進出した今では豊かな生態系を取り戻し、進化を加速させる役割を担っているのだ。
銀河では生態系を豊かにする作業は知的生命体の重要な仕事と認識されている。



















  • プロット4
人類の子供達がユービノスの仕事場に尋ねてきて楽しく遊ぶシーン。
プロット2.5の動物達もこのシーンに登場する。


-プロット5
骨折をした象の情報が入る。
彼は子供たちのことを大人に頼んで治療に向かう。
ここでも、ユービノス独自の治療が行われるのでその描写。




  • プロット6
子供達をエアープレーンにのせ。
夜からの、惑星生態系フォーラムへの出席をするために地方都市にある研究施設へと向かう。
研究施設でのプロット。

研究施設入り口の、大広間の端では、子供達が大勢集まっていた。
人工卵子によりどんな鳥でも孵化させることの出来る人工卵の周りに集まっている子供達。
子供達のための学習の一環として行われている。
孵化機の周りにに集まった子供達が携帯電話サイズの機器で撮影を行っている。
この機器は小型の超音波発信機であり卵の中身の成長度合いを観察できる。
超音波発信機のディスプレイに移った映像を興味津々で眺めている子供達。



子供達が注目している人工卵は万能卵であり、どんな鳥でも育てることができた。
キメラによらずに鳥を育てることが出来る利点を持っている。
形も中身も、一般の鳥の卵と同じである。
卵白と卵黄と殻、それらが混ざらないように作られた幕。
ここまでは一般の卵と変わらない、夢精無卵の卵である。

これに遺伝子バンクから複製されて提供された精子と、精子を加工して作った卵子が埋め込まれる。
これだけでは鳥に合わせた卵とはならない。
卵内で鳥の成長に合わせて栄養成分生成を行うための人工細胞が追加される。
人工細胞が、卵内の成長に合わせて卵内で必要な成分を作り出し、卵子の成長を助け、雛を作り出していく。






育ったトキは自然に放たれ、その後の継続観察や着生の手伝いも子供達の仕事になる。
生態系を豊かにすることを人類の習慣にすることが目的で行われている作業だった。
隣には、特別性の透明の殻をもつ人工卵の中で鳥が育っている。
彼はそれを眺めて、子供達の群れへとわりこみ2,3アドバイスをしていく。





次に彼は同僚のいる部屋へと向かう。
挨拶や雑談がまじわされる。


そこで隣の部屋の医療質にある、人間用医療マシーンの調子を見て欲しいと頼まれる。
動物用医療マシーンの扱いに長けた彼なら、人間用もみることができるという理屈である。
実際、リサイクルも考えられたそのパーツは、無尽蔵ともいえる珪素パーツを覗いた共通部品も多い。

気軽に引き受ける。


  • 遺伝子改造人類
医務室で彼に仕事を頼んだ人間のドクター。
彼は失敗をしないことで有名な人物である。

理由は簡単、遺伝子改造を受けた人類の新種だ。
顔が人間よりも少しばかり小さい。
脳みそを徹底的にチューンしなおし90%程度の脳容積と半分のエネルギー消費量で既存人類以上の思考力を獲得している。

これはソフトウェアを徹底的にチューンするのに似ている。
脳の各サブユニットは徹底的に圧縮され、同じ機能が上手に使いまわされている。
また、脳内で起こるぐだぐだと無駄なループが刈り取られている。
作業において失敗を誘発する無駄なループや、ノイズが取り除かれた種である。

また人類よりも深く考えることも出来る。
脳から入った情報は一般的に脳の中を100度ほどループしながら、思考の土台に載せられ人間の活動が行われる。
このループ回数を必要に応じて増やすことで、小さい脳でも既存人類よりも深く考えることも可能になっていた。







もちろん新種に反対する、ナチュラルな人類も多い。
人類を反映させた理由は、脳の無駄な部分であり、この無駄な部分は無駄ではなく余裕であって、
発想や思考の多様さを生み出す脳の容量に他ならない。


当然余裕を作るために脳を増やすほうの研究も行われている。


脳の研究結果から、脳の容積を増やす研究だった。
歴史がある。
古くを当たれば最初に作成されたのは、ねずみサイズの脳をいじくるために開発されたニューロンデザインランゲージという抽象化された言語だった。
この言語は、CPUを作り上げるための言語を母親に、地道な脳機能と遺伝子組み換えの研究を父親に持つ言語である。
プログラムが作成されるように脳が作成される。


生物はそれぞれ脳の形が違い、その各機能も違う、この違いはDNAにしたがって設計される。
ではDNAをいじくることで、実験的な脳を生み出せるはずだ。

初期では、生物の脳機能を研究し、どの部分をどう変更すれば脳内でどのような感覚処理が行われるか、それを調べるための研究用のものだった。
大衆の耳目を集め興味本位のスポンサーを集めはするが、成果は大きくない世界。


軍が目をつけてからは生物兵器への応用が研究される。
鋭敏な感覚を持つ脳、ストレスに強い脳、。
ニューロンデザインランゲージは、予算がつき一気に研究が進展することとなる。

最初期では脳の一部機能を組み替えることで行われた。
生物の脳、人間に近い大きな脳というものは一般的に無駄が多い。

生まれたとき、どんな環境、どんな体で生まれるか分からない。
どんな体で生まれても、適応でき体を使いこなせるように、無駄な機能が大量に付与された状態で生まれてくる。

この無駄な機能を、有効活用することからその脳改造の歴史が始まる。




  • ユービノスの同僚
宇宙人ユービノス達は星に合わせて、体を遺伝子改造し数種類の種に分かれている。
惑星の大気に合わせて呼吸器系を少しだけ進化させたものや新しい免疫系を植えつけたものなど。

コア遺伝子を覗けば4本足のもの2本足のもの、指先が特に発達したもの。
コア遺伝子が共通しているために、異種族同士で子供を設けることも出来る。









  • 人間用全自動医療マシーンの修理。
医療マシーンの実態は3つの腕と診断装置を押し込んだ自立指向型ロボットであり、これ一台で20世紀の大きな病院と同じ検査ができる寸法である。

超音波診断から、サーモグラフィ、人工細胞に多種多様な化学物質を作らせこの物質を使い採血から採尿まで何でもこなす。
漢方医のように触診一つで病状を言い当てる機能も内蔵されている。


現在作りかけですが、少しでも早く話の内容を知りたいという方はこちらへ質問ください。
作者のやる気があがって創作スピードがアップします。
名前:
コメント:











著作権情報


  • 今回の作品の発想の原点
まず最初にテラフォーミングを行うということが着想の原点としてあり、そのなかで舞台にするなら自然が構築され始めてから、より豊かな自然を目指す話がいいだろうと熟考。
そのためには、自然の管理が必要。
動物の健康状態というのはわかりやすい発想だろうと考えたのが原点。
健康調査のためには、手数が多いほうがいい。
手数なら昆虫が一番。
いろいろ思考する、血とかスカラベとか検査機器とか、動物ごとの健康状態を診断するための検査機器、超音波とか磁場とか?
まず映画ジュラシックパークの作品内で琥珀に閉じ込められた蚊の血液から恐竜のDNAを採取して恐竜を作り出すという解説があったなと思い出す。
採血なら蚊みたいなのが一番、蚊の群れイメージ悪くない?
ここで手数がほしいなと考えながらも一度発想停滞。
アイディアを暖める。
なんとなく金野先生の 応用確率・統計入門 という本をパラオパラめくって、そうかあ、統計でいろいろなものを扱えるのか考えながら眺める。
このときに養蜂のイメージが、ジュラシックパークの蚊と重なる。
結論、大規模統計+養蜂+蚊=ユービノスの巣箱。
ここでようやく養蜂のイメージでいこうと考える。


追加、更なるアイディアの源泉として、昆虫型ロボという設定がある。
米軍が研究中の昆虫サイズの偵察、攻撃用ロボなんだけどこれにインスパイアを得たネームももとネタ。
昆虫方ロボに対抗するため、歩兵が虫取り網を持ち出して追い掛け回すというユーモラスさを重視したネームが源泉としてある。
昆虫方ロボの最初の作成日2009/06/03 (水) 13:27:17
後は当Wik9i掲載の宇宙人ユービノスの設定である。
最初に作ったときはあまり魅力的な設定ではなかった。
関連設定
後、惑星入植のイメージはアーサーCクラークの火星入植話からとった。



  • 巣箱の解体の発想の原点
昔私がユニットバスの手伝い仕事をしていたときのこと、新しいユニットバスの解体作業がありました。
細かな傷がついている(明かりを近づけ虫眼鏡で見ないとわからないレベルでした)、これは敷設した業者側の責任だという、まあちょっと常識はずれな理由での解体作業でした。
これが印象に残って、このアイディアを入れました。

  • 土中細菌の話の発想の原点
土中の生物や森林の生産能力関係の専門書を参考に作成。
加古川駅前ヤマトヤシキ6Fの本屋にはお世話になっています。
また私の父がその分野の専門家であったためなんとなく私もその分野に興味があったのも幸いでした。


  • 動物と戯れる話
子供の頃読んだシートン動物記や聖書のシーンを作った画など。


  • 蜂の巣箱でのデータ分析のシーン
加古川駅前ヤマトヤシキ6階の本屋さんにはたびたびお世話になっています。
専門書を置いてくれなければ、私は個の部分を作ることができませんでした。


  • オープニングの虫がバッファローに
Pixiv登録のたろ~さんにこの作品を呼んでもらったところ、エコロジーで面白いという感想をいただきました。
その後ネームを考えているときにそのエコロジーという言葉がやたらと印象に残り、ネームの参考のために本屋で学術書を調べ物。
その中にネット上の遺伝子データベースについて解説した本を発見。
遺伝子に解する解説がオープニングシーンの着想となっています。

エコロジーに多様なウイルス検査をするにはどうしたら良いか。
後はPixiv登録sameさんとの相談。
サイボーグ蜂にどこまで機能をつけるか。
ギミックの役割分担を明確にするのが大事というsameさんのアドバイスも役に立っています。


  • 人工卵の描写

  • 著作権情報
名前 堀江伸一
ネットの3流物書きですががんばって作っています。




  • 謝辞
Pixiv登録の しいら さんと same さんにはこの作品を作るに当たって非常にお世話になりました。
しいらさんからは率直なコメントが。sameさんからは、生命倫理と生命改造の問題に対する議論が。
お二方がいなければこの作品は独りよがりなものになっていたでしょう。
+ タグ編集
  • タグ:
  • SF
  • 生態系
  • 生物種
  • テラフォーミング

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2010年07月31日 21:09